上 下
8 / 59
第一章 十二試艦上戦闘機

1ー8 第一章の登場人物等

しおりを挟む
◆◇◆◇ 登場人物 ◇◆◇◆

吉崎よしざき博司ひろし
 吉崎航空機製作所の創設者

近江このえ富美麿ふみまろ
 五摂家のひとつ近江家の第30代当主、1937年(昭和12年)6月4日に第34代内閣総理大臣に任命されたが、1938年(昭和13年)3月21日に心不全により急逝した。

東功爾宮ひがしくにのみや愛彦王なるひこおう
 功爾宮朝彦親王の第九王子として誕生、1904年東功爾宮の宮号を賜り、宮家となった。
 陸軍士官学校20期、陸軍大学校26期、フランスに7年間留学、リベラルな思想の持ち主であり、戦争には反対の意見を持つものの、軍の作戦指示には従った。
 1938年近江富美麿首相の急逝に伴い、天皇陛下の大命を受け、出征地の中国大陸から帰還、第35代内閣総理大臣に任命され、最初に支那事変の終結を図った。

昌介石しょうかいせき
 中華国民政府主席、1937年の盧溝橋事件を契機に抗日を推し進める

王兆銘おうちょうめい
 当初昌介石と付かず離れずの共闘関係にあったが、1935年の王兆銘狙撃事件を境に蒋介石と一定の距離をおくようになった。
 知日家であり、日本との融和路線を取る。

リヒャルト・ゾルゲ:
 ドイツ国籍を有するソ連のスパイ。当初上海で活動していたが、日本国内に拠点を移し、上海時代の知人を巻き込みながら、帝国国内でスパイ網を張っていた。

小崎秀実:
 ゾルゲ支配下の日本人スパイ。
 近江富美麿首相の側近でもあり、近江首相の関与が疑われた。

犀園寺さいおんじ公一こういち
 帝国議会の重鎮たる犀園寺公望公爵の嫡男、ゾルゲ支配下の日本人スパイ。
 事件発覚後犀園寺家から勘当される。

小和田幸一:
 海軍大尉、海軍航空本部所属、海軍航空技術廠で戦闘機部門を担当
 知人の伝手で海軍軍人としては初めて吉崎航空機製作所を非公式に視察した

佐々木洋二:
 千葉県議会議長である桑原清三の私設秘書
 桑原清三は小和田大尉の母方の叔父にあたる

橋野孝也:
 吉崎航空機製作所金谷工場の工場長

山元やまもと磯六いそろく
 海軍中将、海軍次官であり、昭和13年4月から11月まで、航空本部長を兼務している。
 航空本部長の後任は、豊世田とよだ貞次郎ていじろう中将。

古谷一飛曹:
 横須賀海軍飛行基地のパイロット、吉崎航空機製作所の新鋭機ルー101のデモンストレーションのために、テストパイロットして二週間の派遣の上で訓練を行い、横須賀海軍航空基地でのフライトを行った。
 吉崎航空機製作所でも優秀なベテランパイロットは抱えて居るのだが、敢えて海軍のパイロットを起用することで手前みそではない客観的評価を得ようとしたのである。


◆◇◆◇ 用語解説 ◇◆◇◆

七試艦戦:
 海軍が昭和7年に、航空母艦搭載用の艦上戦闘機としての所要の性能を要求し、関連の航空機メーカーに試作を要請したものであり、三菱が試作した「96艦戦」が採用された

十二試艦戦:
 海軍が昭和11年から12年にかけて航空母艦搭載用の艦上戦闘機としての所要の性能を要求し、関連の航空機メーカーに試作を要請したもの

ルー101:
 吉崎航空機製作所が開発した新型戦闘機、時代に先駆けて過給機付きの高馬力エンジンを搭載した高速機。
 国内で調達可能な新素材のみで製造しており、製造段階での思想は、とにかく機体とパイロットを守ることに主眼を置き、将来起こり得る渡洋重爆撃機の迎撃のため、高々度対応と高速化を狙った性能を備えている。
 海軍は基地用航空機として採用、正式名称「99式基地用戦闘機」、通称「蒼電」と名付けた。

ルー101改:
 吉崎航空機製作所が、海軍の十二試艦戦要求書に基づき、離陸距離及び着陸時の最低速力に要求値に合わせて、ルー101をベースにエンジン馬力の縮小、翼面積の増加等のマイナーチェンジをすることにより、艦上戦闘機として仕上げたルー101の劣化版である。
 海軍は、同機を艦上戦闘機として採用し、正式名称を「零式二型艦上戦闘機」とし、通称を「蒼電改」と名付けた。

A6M1:
 三菱重工航空機部が、海軍の十二試艦戦要求書に基づき、開発した新型戦闘機。超々ジュラルミン、ハニカム構造など数々のアイデアで軽量化することにより、速度と航続距離の拡大を図った傑作機。
 しかしながら、削りに削った機体重量は防弾設備まで削ったことにより、撃たれ弱い機体であるとともに、高速機動時に操縦性能が悪くなる不具合が有った。
 基本的な製造時の欠陥が、後々まで残ることになり、改造を加えても性能向上は余り望めなかった。
 海軍は、同機が短い距離での離発着が可能であって軽空母でも運用可能なために、十二試艦戦としては、異例なことながら、ルー101改と共に二機種同時採用とした。
 海軍は、同機の正式名称を「零式一型艦上戦闘機」とし、通称を「旋風」とした。

九九式十三ミリ機銃:
 吉崎航空機製作所が製造した12.7ミリ機銃、従来の12.7ミリ機銃に比べ初速が速く、マ弾を使用するために大きな破壊力を有する。
 海軍が正式機銃として採用した。

九九式八ミリ機銃:
 吉崎航空機製作所が製造した7.7ミリ機銃、従来の7.7ミリ機銃に比べ初速が速く、マ弾を使用するために大きな破壊力を有する。
 海軍が正式機銃として採用した。

房二型-甲:
 吉崎航空機製作所が製造した2400馬力の航空機用星形エンジン、ルー101に搭載されている

房二型-乙:
 吉崎航空機製作所が製造した1800馬力の航空機用星形エンジン、ルー101改に搭載されている。
 劣化版のルー101改の速力を落とすために「房二型-甲」の出力を敢えて落とした。

山海関さんかいかん
 中国北部の万里の長城の東端にあたる関門を言う。
 「山海関以北」とは、この関門より北の地であり、同時に万里の長城以北の地域を意味し、支那事変の講和条件に基づき、日本軍は長城以北に軍を後退させることになった。

エタノール燃料:
 エタノールに添加剤を加えてもオクタン価100の航空燃料にはならないと思いますが、物語として錬金術でそんなものが作れたものとご理解ください。


◆◇◆◇ 会社・組織等 ◇◆◇◆

吉崎航空機製作所:
 昭和12年4月に設立した航空機関連の機器製造会社
 千葉県君津郡金谷村に本拠を置く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

母を訪ねて十万里

サクラ近衛将監
ファンタジー
 エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。  この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。  概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ
ファンタジー
主人公の少年ジンが村を出て10年。 国家錬金術師となって帰ってきた。 村の見た目は、あまり変わっていないようでも、そこに住む人々は色々と変化してて…… そんな出戻り主人公が故郷で錬金工房を開いて生活していこうと思っていた矢先。王都で付き合っていた貧乏貴族令嬢の元カノが突撃してきた。 「私に貴方の子種をちょうだい!」 「嫌です」 恋に仕事に夢にと忙しい田舎ライフを送る青年ジンの物語。 ※話を改稿しました。内容が若干変わったり、登場人物が増えたりしています。

処理中です...