10 / 59
第二章 覚醒・死者と生者の想い
2ー2 方向付けと準備
しおりを挟む
ー 吉崎視点 ー
最初になすべきこととして、私がこのまま瀬戸物屋を続けていては何もできないので、広島の店を甥っ子に譲ることから始めることにした。
吉崎家から浅岡家に嫁いで行った姉の次男坊である浅岡忠芳が、数えで21歳になるんだが、私の見たところでは、中々商才に長けている。
ウチの番頭の伊平と組ませれば、きっとうまくやって行けるだろうと思ったのだ。
私には姉以外の家族はいない。
両親は早くに亡くなっているし、私には一時期妻も居たんだが、子を為せないまま7年前に病で亡くなった。
以来、後添えも迎えず、独り暮らしをしていたのだ。
身の回りを世話する女中は居たけどね。
彼女は良い人だが、彼女とは男女の関係は無い。
だから、広島を離れること自体はとても簡単だ。
色々な人と交友はあったから、それらすべてを断ち切ってと言うわけには行かないけれど、関東地方と中国地方で距離的に離れてしまうから、自然と疎遠になるだろうとは思っている。
甥っ子に店を譲るのに概ね三か月を掛けて、私は1936年(昭和11年)7月に上京した。
取り敢えず、東京市内の下町に借家で居を構えた。
上京して最初に手掛けようと思ったのは、資金の調達だ。
前世から記憶と共に受け継いだシャルンの異空間収納庫には色々なものが入っているんだが、宝石やら純金の地金もある。
但し、宝石などは、ある日突然出所のわからないものが出てきても、買い叩かれることは目に見えているし、純金の流通量というのは一応政府が監視しているから、勝手に売り買いするわけにも行かないんだ。
というわけで、考えた末にやって来たのは山梨県だった。
山梨県南巨摩郡身延町湯之奥にある旧中山金山、ここは17世紀末には事実上閉山している。
閉山していようが、いまいが、かつて金山がそこにあったという事実が私には大事だったのだ。
例え、金が採取しにくいであろう屑鉱石であっても、私ならば左程手間を掛けずにそこから金を抽出できるし、やろうと思えば海中に微量に混在している金ですら抽出ができる。
でも、問題はそうではなく、金が採れるかもしれない場所を確保し、その上で異空間収納庫に保管してある純金を徐々にでも世の中に上手く流せるような環境が整えられればそれだけで良いのだ。
因みにかつて有名だったほとんどの金鉱山は、大手企業により鉱山権が取得されているのだが、旧中山鉱山があった地域の鉱山権は、負債の相続問題で権利が放棄されたまま宙に浮いていて、既に鉱山権も取り消されていたので選んだ場所なのだ。
私の試算では、航空機製造のために造る会社の設立には、左程の現ナマは要らないと思っており、取り敢えず10万円ほどもあれば十分ではないだろうかと思っている。
純金の重量にすると、恐らくは50キロから100キロほどもあれば良いはずだ。
私の預金の一部を使って、金採掘のための鉱山会社を設立し、旧中山金山に鉱区を設定して有限会社吉崎鉱山を登録、この会社を隠れ蓑にして純金のインゴットを日銀支店、又は、甲府市内若しくは長野市内の貴金属店で売っぱらって、資金を得るつもりだ。
その金を元手に別の法人を設立、航空機を作る会社を作ることになる。
正直なところ、航空機を造る場所はどこでも良いのだが、できるだけ人目につかない田舎でありながら、交通の便利が良いところが望ましいし、どうしても中央との折衝も出て来るから、関東圏が望ましいだろうと思っていた。
そんなわけで山梨県南巨摩郡身延町湯之奥の山中の掘立小屋において、私は1936年(昭和11年)10月までに純金のインゴットを相当量生成した。
その大部分は、私が前世から引き継いだ金のインゴットを改鋳したものであるけれど、一部は鉱山近くのボタ山の廃鉱石から試しに錬金術で金を抽出したものであり、その一部を某貴金属店に売っぱらって、軍資金約12万円(1Kgのインゴット60枚分の代価)を得た。
次いで、金鉱山の方は一時休業したまま(従業員は実質私一人だけだから、私が働かなければ事実上休業、鉱山自体は放置しておいても盗られて困るようなものは一切無い)、内務省にお邪魔して官有地の払い下げをお願いした。
私の記憶にあるシャルン君は、結構人誑しの才能が有って、とってもうまぁく人を誑し込むんだ。
今回も闇魔法を行使しつつ、内務省の役人を色々と巻き込んで、あっという間に官有地の払い下げに成功した。
1936年(昭和11年)11月には、120万坪近い山林を、僅かに二万円で払い下げてもらっていた。
まぁね、いろいろなところから推薦状を貰った上で、お国に役立つものを作りますってアピールしたから、割合に簡単に許可が下りたんだと思うヨ。
決して詐欺なんかじゃありませんから。
場所は、千葉県君津郡金谷村の山間部で地元の猟師からは「キラセ」と呼ばれる地域を西の起点とする山林原野だが、そこに至る連絡路用地も同時に確保している。
材木を切り出しても運搬手段が碌に無いから、資産価値はほとんど無いに等しい場所でもある。
但し、最寄に国鉄房総線の駅があり、そこに至る道路を造ってしまえば首都圏からの交通も僻地の割に比較的便利なところではある。
こんな場所を選んだのも列強諸国の諜報網にできるだけひっかかりにくくするためだ。
いずれは所在地も知られることになるだろうけれど、当面、会社の事業が軌道に乗るまでは邪魔をされたくはない。
取り敢えず、キラセから金谷村の尋常小学校の裏山に至る隧道を建設、その出口付近には百坪程度の平地を作り、そこにあばら家を作って会社登記、いずれ社屋を工場敷地に建てたらそちらに移転する予定だが、それまでの間は書類上の根拠地となる。
また、キラセ側のトンネル入り口付近には、従業員用の寮を造った。
男女別にそれぞれ100名が収容できる寮を二棟造ったのだが、従業員が増えればその都度寮又は宿舎を増やすつもりでいる。
ここまでの建設工事で業者は一切使っていない。
全部私の錬金術で生み出したものだ。
トンネル造りは、地下資源を採取しながらトンネルの内壁を形成しつつ、不要物をインベントリに放り込んで行く方法だ。
私のインベントリはものすごくデカい。
試したことは無いんだが、一辺が1キロの立方体ほどの体積であってもおそらくは簡単に収納できるんじゃないかと思っている。
シャルンとして生きていた頃に収納した一番のデカ物は、全長が500mほども有る龍の死骸だったが、それはまぁ、余計な話だな。
キラセの宿舎とトンネルが出来上がると、次に、東京市内で人集めを始め、主として徴兵制度に引っかからない40歳越えの男性と身体に障害を持つ男性(傷痍軍人も可、但しやる気のある人物に限る)と女性だけを採用することにした。
重要産業に就いている者は本来徴兵から免除されて外されるはずなのだが、国家が危うくなるとそんなことには無関係に戸籍からランダムに徴兵されて行く。
私が造る航空機の製作は、結構な技量と知識を必要とするから、安易に引き抜かれては困るのだ。
従って、そもそも徴兵に掛かりそうに無い者を選び抜いたわけである。
当然に、人物を見て選んだ者達だヨ。
1936年(昭和11年)の年末までに100人ほどかき集めて、山の中の寮に収容した。
賄い婦も雇っているから、従業員は寝食付きの寮で取り敢えず生活できるようになった。
中には家族持ちも居たのだが、当面は出稼ぎのように単身赴任をしてもらうことにした。
浜金谷側のトンネル入り口は、車道には遮断機が降りている一方で、歩道には鉄製格子戸の付いたドアがあり、三交代制の守衛が常時見張っているので従業員以外はトンネル内部に入ったり、内部を見ることはできないようにしている。
2キロ弱程度の長さのトンネルであって、若干の上がり下がりはあるけれど、歩いて行けない距離ではない。
但し、工場と浜金谷駅の間には定期的にバスを運行して従業員の足として使えるようにもしている。
またあばら家でありながらも金谷尋常小学校近くの仮事務所には車庫があり、乗用車も二台用意してあるので必要に応じて君津や千葉辺りまで買い出しに行けるようにもしているのだ。
この乗用車も私が一から作りだしたもので、いずれも変性リチウム電池を使った電気自動車にしている。
変性リチウムとは、異界産の微量のアクロニウムを含有するリチウムイオン電池であり、高電圧高容量が特徴だ。
アクロニウムは、恐らくこちらの世界にはない元素だから他の者には同じ性能の電池は製造することができないと思う。
シャルンがインベントリに保管していた大量のアダマンタイト鉱石の中から抽出できるのがアクロニウムであり、当該鉱石からしか抽出できないから、大量生産は難しいが、当座数十台分の車を動かせる量なら確保しているので、必要に応じてリチウム電池の増産も可能だが、どのみち限度はある。
まぁ、アルゼンチン当たりのリチウムが大量に採取できるようになれば別途同等程度の電池が造れるように研究するつもりではいる。
アルゼンチンは現状では手が届きにくいところだし、産地は確か富士山並みの高地だったと記憶しているから、簡単には採掘もできないよね。
今のところリチウムは海水から抽出したものを使うことを考えている。
キラセの寮については、従業員の住むところだから錬金術をふんだんに使って立派なモノを作ったよ。
一人の従業員に対して、六畳二間に台所、バストイレ付の寮は贅沢過ぎるかもしれないが、私の頭では、単身赴任者の寮とはこうあるべきだというものを念頭に置いて造った。
尤も、この寮も木造であって耐久性には乏しいから、いずれはもっと立派なRC造りの寮と宿舎を建てるつもりでいる。
前述したように、ここでも建設業者は一切使っていない。
秘密保全の兼ね合いもあるので、全て私の錬金術で作り出したのだ。
東京には連絡事務所が必要なので、東京丸の内のビルに貸事務所を借りた。
たまさか1930年からの大不況のあおりが残っていて、東京駅前のビルから撤退した企業があったので、私の会社がそこに入居できたのは幸いだった。
この東京事務所の従業員は、精々10名程度を想定しているから、事務所の広さは200平米もあれば十分だろう。
東京事務所の職員も決めて、こっちには数人分の会社の寮(貸家)を決めておくだけで、自宅がある人はそこから通ってもらうことにした。
私の家は、国鉄浜松町駅近くの一軒家を借りて、仮住まいとした。
いずれは、もっと広い家を購入するか新築するつもりでいる。
最初になすべきこととして、私がこのまま瀬戸物屋を続けていては何もできないので、広島の店を甥っ子に譲ることから始めることにした。
吉崎家から浅岡家に嫁いで行った姉の次男坊である浅岡忠芳が、数えで21歳になるんだが、私の見たところでは、中々商才に長けている。
ウチの番頭の伊平と組ませれば、きっとうまくやって行けるだろうと思ったのだ。
私には姉以外の家族はいない。
両親は早くに亡くなっているし、私には一時期妻も居たんだが、子を為せないまま7年前に病で亡くなった。
以来、後添えも迎えず、独り暮らしをしていたのだ。
身の回りを世話する女中は居たけどね。
彼女は良い人だが、彼女とは男女の関係は無い。
だから、広島を離れること自体はとても簡単だ。
色々な人と交友はあったから、それらすべてを断ち切ってと言うわけには行かないけれど、関東地方と中国地方で距離的に離れてしまうから、自然と疎遠になるだろうとは思っている。
甥っ子に店を譲るのに概ね三か月を掛けて、私は1936年(昭和11年)7月に上京した。
取り敢えず、東京市内の下町に借家で居を構えた。
上京して最初に手掛けようと思ったのは、資金の調達だ。
前世から記憶と共に受け継いだシャルンの異空間収納庫には色々なものが入っているんだが、宝石やら純金の地金もある。
但し、宝石などは、ある日突然出所のわからないものが出てきても、買い叩かれることは目に見えているし、純金の流通量というのは一応政府が監視しているから、勝手に売り買いするわけにも行かないんだ。
というわけで、考えた末にやって来たのは山梨県だった。
山梨県南巨摩郡身延町湯之奥にある旧中山金山、ここは17世紀末には事実上閉山している。
閉山していようが、いまいが、かつて金山がそこにあったという事実が私には大事だったのだ。
例え、金が採取しにくいであろう屑鉱石であっても、私ならば左程手間を掛けずにそこから金を抽出できるし、やろうと思えば海中に微量に混在している金ですら抽出ができる。
でも、問題はそうではなく、金が採れるかもしれない場所を確保し、その上で異空間収納庫に保管してある純金を徐々にでも世の中に上手く流せるような環境が整えられればそれだけで良いのだ。
因みにかつて有名だったほとんどの金鉱山は、大手企業により鉱山権が取得されているのだが、旧中山鉱山があった地域の鉱山権は、負債の相続問題で権利が放棄されたまま宙に浮いていて、既に鉱山権も取り消されていたので選んだ場所なのだ。
私の試算では、航空機製造のために造る会社の設立には、左程の現ナマは要らないと思っており、取り敢えず10万円ほどもあれば十分ではないだろうかと思っている。
純金の重量にすると、恐らくは50キロから100キロほどもあれば良いはずだ。
私の預金の一部を使って、金採掘のための鉱山会社を設立し、旧中山金山に鉱区を設定して有限会社吉崎鉱山を登録、この会社を隠れ蓑にして純金のインゴットを日銀支店、又は、甲府市内若しくは長野市内の貴金属店で売っぱらって、資金を得るつもりだ。
その金を元手に別の法人を設立、航空機を作る会社を作ることになる。
正直なところ、航空機を造る場所はどこでも良いのだが、できるだけ人目につかない田舎でありながら、交通の便利が良いところが望ましいし、どうしても中央との折衝も出て来るから、関東圏が望ましいだろうと思っていた。
そんなわけで山梨県南巨摩郡身延町湯之奥の山中の掘立小屋において、私は1936年(昭和11年)10月までに純金のインゴットを相当量生成した。
その大部分は、私が前世から引き継いだ金のインゴットを改鋳したものであるけれど、一部は鉱山近くのボタ山の廃鉱石から試しに錬金術で金を抽出したものであり、その一部を某貴金属店に売っぱらって、軍資金約12万円(1Kgのインゴット60枚分の代価)を得た。
次いで、金鉱山の方は一時休業したまま(従業員は実質私一人だけだから、私が働かなければ事実上休業、鉱山自体は放置しておいても盗られて困るようなものは一切無い)、内務省にお邪魔して官有地の払い下げをお願いした。
私の記憶にあるシャルン君は、結構人誑しの才能が有って、とってもうまぁく人を誑し込むんだ。
今回も闇魔法を行使しつつ、内務省の役人を色々と巻き込んで、あっという間に官有地の払い下げに成功した。
1936年(昭和11年)11月には、120万坪近い山林を、僅かに二万円で払い下げてもらっていた。
まぁね、いろいろなところから推薦状を貰った上で、お国に役立つものを作りますってアピールしたから、割合に簡単に許可が下りたんだと思うヨ。
決して詐欺なんかじゃありませんから。
場所は、千葉県君津郡金谷村の山間部で地元の猟師からは「キラセ」と呼ばれる地域を西の起点とする山林原野だが、そこに至る連絡路用地も同時に確保している。
材木を切り出しても運搬手段が碌に無いから、資産価値はほとんど無いに等しい場所でもある。
但し、最寄に国鉄房総線の駅があり、そこに至る道路を造ってしまえば首都圏からの交通も僻地の割に比較的便利なところではある。
こんな場所を選んだのも列強諸国の諜報網にできるだけひっかかりにくくするためだ。
いずれは所在地も知られることになるだろうけれど、当面、会社の事業が軌道に乗るまでは邪魔をされたくはない。
取り敢えず、キラセから金谷村の尋常小学校の裏山に至る隧道を建設、その出口付近には百坪程度の平地を作り、そこにあばら家を作って会社登記、いずれ社屋を工場敷地に建てたらそちらに移転する予定だが、それまでの間は書類上の根拠地となる。
また、キラセ側のトンネル入り口付近には、従業員用の寮を造った。
男女別にそれぞれ100名が収容できる寮を二棟造ったのだが、従業員が増えればその都度寮又は宿舎を増やすつもりでいる。
ここまでの建設工事で業者は一切使っていない。
全部私の錬金術で生み出したものだ。
トンネル造りは、地下資源を採取しながらトンネルの内壁を形成しつつ、不要物をインベントリに放り込んで行く方法だ。
私のインベントリはものすごくデカい。
試したことは無いんだが、一辺が1キロの立方体ほどの体積であってもおそらくは簡単に収納できるんじゃないかと思っている。
シャルンとして生きていた頃に収納した一番のデカ物は、全長が500mほども有る龍の死骸だったが、それはまぁ、余計な話だな。
キラセの宿舎とトンネルが出来上がると、次に、東京市内で人集めを始め、主として徴兵制度に引っかからない40歳越えの男性と身体に障害を持つ男性(傷痍軍人も可、但しやる気のある人物に限る)と女性だけを採用することにした。
重要産業に就いている者は本来徴兵から免除されて外されるはずなのだが、国家が危うくなるとそんなことには無関係に戸籍からランダムに徴兵されて行く。
私が造る航空機の製作は、結構な技量と知識を必要とするから、安易に引き抜かれては困るのだ。
従って、そもそも徴兵に掛かりそうに無い者を選び抜いたわけである。
当然に、人物を見て選んだ者達だヨ。
1936年(昭和11年)の年末までに100人ほどかき集めて、山の中の寮に収容した。
賄い婦も雇っているから、従業員は寝食付きの寮で取り敢えず生活できるようになった。
中には家族持ちも居たのだが、当面は出稼ぎのように単身赴任をしてもらうことにした。
浜金谷側のトンネル入り口は、車道には遮断機が降りている一方で、歩道には鉄製格子戸の付いたドアがあり、三交代制の守衛が常時見張っているので従業員以外はトンネル内部に入ったり、内部を見ることはできないようにしている。
2キロ弱程度の長さのトンネルであって、若干の上がり下がりはあるけれど、歩いて行けない距離ではない。
但し、工場と浜金谷駅の間には定期的にバスを運行して従業員の足として使えるようにもしている。
またあばら家でありながらも金谷尋常小学校近くの仮事務所には車庫があり、乗用車も二台用意してあるので必要に応じて君津や千葉辺りまで買い出しに行けるようにもしているのだ。
この乗用車も私が一から作りだしたもので、いずれも変性リチウム電池を使った電気自動車にしている。
変性リチウムとは、異界産の微量のアクロニウムを含有するリチウムイオン電池であり、高電圧高容量が特徴だ。
アクロニウムは、恐らくこちらの世界にはない元素だから他の者には同じ性能の電池は製造することができないと思う。
シャルンがインベントリに保管していた大量のアダマンタイト鉱石の中から抽出できるのがアクロニウムであり、当該鉱石からしか抽出できないから、大量生産は難しいが、当座数十台分の車を動かせる量なら確保しているので、必要に応じてリチウム電池の増産も可能だが、どのみち限度はある。
まぁ、アルゼンチン当たりのリチウムが大量に採取できるようになれば別途同等程度の電池が造れるように研究するつもりではいる。
アルゼンチンは現状では手が届きにくいところだし、産地は確か富士山並みの高地だったと記憶しているから、簡単には採掘もできないよね。
今のところリチウムは海水から抽出したものを使うことを考えている。
キラセの寮については、従業員の住むところだから錬金術をふんだんに使って立派なモノを作ったよ。
一人の従業員に対して、六畳二間に台所、バストイレ付の寮は贅沢過ぎるかもしれないが、私の頭では、単身赴任者の寮とはこうあるべきだというものを念頭に置いて造った。
尤も、この寮も木造であって耐久性には乏しいから、いずれはもっと立派なRC造りの寮と宿舎を建てるつもりでいる。
前述したように、ここでも建設業者は一切使っていない。
秘密保全の兼ね合いもあるので、全て私の錬金術で作り出したのだ。
東京には連絡事務所が必要なので、東京丸の内のビルに貸事務所を借りた。
たまさか1930年からの大不況のあおりが残っていて、東京駅前のビルから撤退した企業があったので、私の会社がそこに入居できたのは幸いだった。
この東京事務所の従業員は、精々10名程度を想定しているから、事務所の広さは200平米もあれば十分だろう。
東京事務所の職員も決めて、こっちには数人分の会社の寮(貸家)を決めておくだけで、自宅がある人はそこから通ってもらうことにした。
私の家は、国鉄浜松町駅近くの一軒家を借りて、仮住まいとした。
いずれは、もっと広い家を購入するか新築するつもりでいる。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる