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サクラ近衛将監

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第一章 転生と神との出会い

1ー2 一歳の教会詣出

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 生後1年経ったら無事に生まれて育ったお祝いの意味合いを込めて、神様へ報告するために教会へお参りするのがこの世界の慣例のようです。
 そこで告げられた驚愕きょうがく託宣たくせんは、私を大いに驚かせました。

 見せていただいた私のステータスには地球の神々の加護がずらっと並んでいました。
 なんかもう端が見えないほどに神様の名前でいっぱいです。

 とても覚えきれないので少し割愛させてもらっています。
 日本の神々に習って「八百万やおよろずの神々」と私は勝手に呼んでいます。
 
 実際にはそんなに多くはありませんよ
 日本の神様の有名どころで36柱ぐらいかなぁ?

 外国の神様は名前も知らなかった神様もたくさんいるのですが、それぞれの時代やお国柄で12とか16ぐらいが多いみたいですけれどね。
 但し、その子や孫なんかもいる場合があるので、全部一緒くたで、まぁ、百から二百前後、それが百以上あるので、あるいは二万を超えているかも知れません。

 そのうち必要になったら数えてみることにしますけれど、今のところは八百万の神々でご免してください。
 このほかに、私の生まれ代わった世界セリヴェルの神様たちの加護も付いています。

 創生神であり全能の神様であるヴェルエル様、
 知恵の神であり、工芸の神様であるワイヤル様、

 軍神であり、武神でもあるマレス様、
 水神・海神であるパルギウス様、

 地母神であり、農業神でもあるアグレス様、
 火神であり、鍛冶の神様でもあるグニフェル様、

 天候の神様であり、雷神であるサイゼス様、
 風神であるシュデーム様、

 植物及び樹木の神様であるドルディア様、
 光の神様であるライゼン様、

 闇の神様であるフラギストン様、
 運命神様であるジャンバル様、

 時空を司る神様であるティメル様、

 創生神のヴェルエル様を入れると全部で十三柱の神様ですけれど、多くの宗派の教会に知られている神様は十柱なんです。
 教会にもあまり知られていないのは、闇の神様であるフラギストン様、運命神様であるジャンバル様、それに時空を司る神様であるティメル様なのです。

 この三柱の神々は、原則として地上の人々に加護を与えない神様なのでその存在をほとんど知られていないのです。
 また、創生神ヴェルエル様も同様に加護を与えないはずなのですが、主神として教会の創生神話に出てくるために人々にもその名が良く知られています。

 いずれにせよ、ヴェルエル様の加護は勿論のこと、よく知られている九柱の神々の加護、それに知られていない三柱の神様の加護まで全てを受けた者は、ヒト族、亜人族、獣人族、それに魔族を加えた四族の中にはこれまで誰もいませんでした。
 ル・アレフ教の教会に連れて行かれ、未だぎこちない動きながら母様と父様のかたわらでひざまづき、小さな両手を合わせて一生懸命お祈りを捧げていたら、私の意識だけが教会ではない別の場所に居たのです。

 私の目の前には立派な白髭を蓄えたお爺様とその左右に12人の老若男女がたたずんでいました。
 声なき声で、目の前のお爺様がこれまでの経緯を分かりやすく説明してくれました。

 お爺様は創生神のヴェルエル様、その左右に居並ぶ方々はいずれもセリヴェル世界の神々でした。
 一人一人自己紹介をされたので名前とお顔は覚えましたよ。

 私、昔から物覚えはとても良かったのです。
 そうして前世で病気になって身体が不自由になってからは、特に記憶力の修練に励みました。

 ですから一度聞いたモノや見たモノは決して忘れません。
 ヴェルエル様のお話では、前世である地球での私の生き様に地球に居わす神々全てが感銘を受け、私が短い寿命を全うした後に、神々の総意で別世界への転生をお決めになったとか。

 私自身は懸命に生きようとしただけなので、褒められるようなことをしたわけでは無いと思うのですけれど・・・。
 いずれにせよ、転生の行き先としてこのセリヴェル世界が選ばれ、地球世界の神々から受け入れの打診があった際に、このセリヴェル世界の神々も総意で受け入れを決めたそうなのです。

 そうして、このセリヴェル世界では極めて異例なことに十三柱の神々の加護をたまわったのだとか。
 地球世界から送り出された時点で、地球世界の神々の加護も受けていましたから、私は物凄い数の神々の加護を受けていることになります。

 このセリヴェル世界においても、神様の加護は通常一つだけ、稀に複数の加護を得る方もいるようですが、どんなに多くてもこれまでは三つまでだったようです。
 ですからヴェルエル様からは神々の加護があることはできるだけ隠匿いんとくしておきなさいと言われました。

 そのためのスキルとして、隠匿ラテーブラ偽装イミタテオを使いなさいと教えてくれました。
 私って、たくさんの神々の加護のお陰でそれこそ無数のスキルを保持しているんです。

 でも今までその存在を知らなかったから、使ったことはありませんでした。
 その場で試しに使ってごらんと言われ、そのスキルのあり場所を探すのにまごまごしていると、知恵の神であり、工芸の神様でもあるワイヤル様が「ルテナ」というノータ使い魔の存在を教えてくれました。

 ノータは、妖精の様でもあり、従魔の様でもある存在ですが、他人の目には見えません。
 何時でも私の意識の中にあって、呼び出せば私の質問に答えてくれますし、大枠の指示に従って最適なスキルを見つけたり選んでくれたりもする存在です。

 パソコンの中のヘルプ機能に近いかもしれません。
 私の成長に伴って、ルテナも成長するそうです。

 色々と教えてもらってから私は地上界へと戻りました。
 随分と長い間天上界に行っていたような気がしましたが、実際には一瞬のことだったようで、お父様とお母様も未だ跪いてお祈りをしている最中でした。

 お二人が立ちあがったので、私も床に手をついて一生懸命に立ち上がりました。
 だって、ようやく立って少し歩ける程度になっただけなんです。

 跪くのだってお母様の手助けがあったからできたようなものです。
 一人で何とか立ちあがった私をほめてください。

 うん、ボディビルダーのようにムチムチの身体になる必要はないと思いますけれど、筋肉をもう少し鍛えなければなりませんね。
 身体強化という無属性の魔法もあるようなんですが、ルテナ曰く、本来の筋肉の成長を伸ばした上で身体強化を図る方が効率は良いそうです。

 確かに幼児の筋肉に身体強化をかけて使っていると、そのまま筋肉が成長せずに済んでしまうので、後で困りそうですよね。
 おうちに戻ってから、私はできるだけ筋肉を使うように運動を始めました。

 勿論、ルテナの監視の元で行いますし、無理な運動はしません。
 それに人知れず、いろいろな魔法も試しています。

 魔法の練習は、大体、人が寝静まった夜間が多いですね。
 魔法の発現が周囲に知られないようにするために、最初に覚えたのは、空間魔法で結界を展開することでした。

 結界の中であれば、魔法が発現しても外部には知られないからです。
 子供のお仕事は寝て育つことですから、体力増強の訓練が延べで1時間、魔法の訓練も延べで一時間に限定しています。

 ルテナの助言により、訓練の終わりには必ず神様からいただいた魔石に魔力を込めることで魔力の開放を行っています。
 こうすることで魔力の保有量が増えるんだそうです。

 加護やスキルは鑑定で見えますけれど、生憎と魔力の保有量は数値では見えません。
 でも、ルテナには分かっているようで、毎朝、保有量の増加を教えてもらっていますけれどそれによると現段階では概ね0.5%の増加があるようです。

 日々の増加は微々たるものですが、複利計算で増大しますので、30日(セリヴェル世界の一月です)で1.15倍、2か月で1.3倍程度になります。
 120日間(セリヴェル世界の一季節、春夏秋冬があります。)で約1.8倍になり、1年間480日では、10倍程度になるんだそうです。

 但し、年齢が上がるごとに成長率が下がり、二年目では前年の値の7.5倍、三年目で前年の6.5倍程度、10年目では前年の2.08倍程度、14年目では前年の1.03倍となってほぼ打ち止めです。
 つまりは14歳ころまでは訓練をすれば魔力は上昇しますが、それ以降はほとんど上昇しないということです。

 それも早い時期に訓練を行えば行うほど上昇率は高いのですけれど、歳を経るごとに上昇率は下がるので、できるだけ早めに訓練をした方が良いということなんだそうです。
 私は、満一歳になってから訓練を始めましたので、その分遅くなってはしまいましたけれど、上昇率は1年で10倍程度が維持され、14歳になるころ前年の1.1倍程度で打ち止めの様です。

 トータルで言うと、毎日続けると14歳になるまでに現在の800万倍近くの魔力になるそうです。
 因みに現状(満一歳)で私の魔力は、現在の王宮魔術師で魔力が一番低い方程度はあるそうですので、びっくりですよね。

 そんなにたくさんの魔力をどうするのっていう話ですけれど、私の場合、魔力はいくらあってもデメリットは無いそうなので是非に増やすべきだとルテナがのたもうています。
 何でも、人によっては魔力を発現するための経絡が閉塞していたりすると、魔力過多という病気を引き起こす人も稀にいるそうですが、私の身体はそのようなことの無いように神々に調整していただいているので何も問題はないそうです。

 まだ乳飲み子を脱したばかりなのにこれだけの魔力を持っているって、やっぱり、これって安奈先生の言っていたチートなんでしょうね。
 私って、将来魔術師になるのかしら?

 まぁ、時間は十分にありますから、じっくりと将来何になるべきかを考えましょう。
 そのことが私の行く末を見守ってくださっている神々への感謝にもつながると思うのです。

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