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第七章 変革のために
7-15 帰省 その五
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ハ~イ、シルヴィで~す。
私は今日も元気なんですが、私の幼馴染と侯爵の子息を治療したことの余波が続いています。
もう明日には、バンデルを発たねばならないんですけれど、我が家の前には大勢の人が私に面会を申し込んできています。
単に会うだけならば良いのですけれどね。
要は病人を診てくれというお願いなんです。
中には病人を荷車に載せてきている人までいるので困ってしまいます。
私が家に居れば絶対に我が家にも迷惑を掛けますから、門番代わりの人を雇って我が家の前で用件を聞き、私を訪ねて来た人については不在を伝え、父や母に用事のある方については通してもらっています。
治療を受けたい或いは受けさせたいという申し入れについては、治癒師ギルド本部を通じて魔晶石ギルド本部に申請し、それが承認されたものだけは診察する場合があると伝えてもらっています。
居留守ではなくって、本当に私は家にいません。
家を出て、隣町のホーランズに逃げて来ています。
山裾に面した人口一万ぐらいの小さな町ですが、山中の滝とボーラ峡谷が有名なのです。
単に風光明媚なだけで滝とボーラ峡谷に特産物があるわけではありませんよ。
但し、魔境ほどではありませんが、この周辺には魔物が出ますので一般の人は近づかない場所なのです。
ここにはハンターギルドに所属する人がオーク、ボア、マッドブルといった魔物食材や魔石を求めて入り込む場所になっているようです。
成人前に知り合いのハンターさんから教えてもらった場所なのです。
危険な場所かって?
一般の人にとっては非常に危険ですね。
でも私が威圧の意味でオーラを纏うと途端に魔物たちは私を避けて絶対に近づいてきません。
人よりも魔物の方が余程危険に敏感なんです。
彼らは危険とわかっていればやむを得ない場合以外は逃げるんです。
しかしながら、子供を抱えているような場合は、子供を護るために必要な自衛活動をします。
今、私は峡谷を覗ける台地の緩やかな斜面に居て、敷物の上で手弁当を広げてピクニック状態なんですが、実は、近くにマッドブルの親子が居ました。
普通なら逃げようとする筈なのに逃げません。
何か理由があるのでしょうね。
私も向こうからつっかってこない限りは何もしません。
だってここは彼らのテリトリーであって、私が余所者だからです。
マッドブルも私の姿が見えるわけじゃないんですよ。
マッドブルは、私の背丈の倍以上もある葦の群生地に潜んでいて、私からも向こうからもお互いの姿は見えないんです。
でも気配はお互いに知っている状態というわけです。
そこへ無粋なハンター二人が現れました。
大柄な体格で、二人ともに身長は多分1.25尋以上は間違いなくありそうです。
十二神将と比べるとやや劣りますけれど中々のキン肉マンですよ。
二人とも槍を携え、腰には剣を佩いています。
頭には革製のヘルム、一部金属で補強された革製の胴着や具足なんかを身に着けていますので典型的なハンターの格好と言えますが、実は山賊でも似たような格好ですよ。
山賊ならば街道や宿場に近い場所にいるでしょうからこんな人気のない場所には来ないはずです。
私の姿を見るとちょっと驚き、それから二人で顔を見やって、にたりと笑いました。
あ、これは悪い料簡を持っていますね。
何でこんな奴らと出会うのか不思議でなりませんが、私はトラブル体質なんでしょうかねぇ。
男の一人が話しかけて来ました。
「よう、姉ちゃん、こんなところで一人で何しているんだ。
そもそも、どうやってここまでやって来たんだ。」
「ピクニックですよ。
ホーランズから歩いてきましたよ。」
「おいおい、歩いてって・・・。
ここは魔物が結構いる危険な場所なんだぜ。
見たところ武器も持っていねぇからハンターじゃねぇんだろう?」
「ハンターじゃありませんけれど、魔晶石採掘師をしてますので、大丈夫ですよ。」
魔晶石採掘師の名を出した途端、瞬時に表情が変わって警戒感を露わにしました。
百年ほど前の百人切りの話は寓話になって伝えられていて、魔晶石採掘師は恐怖の象徴なのです。
それでもおどおどしながら聞いてきました。
「魔晶石採掘師がなんでこんなところにいるんだ?」
「あぁ、休暇を貰って久しぶりに田舎に帰ってきたところです。
それが何か?」
「武器を持たずにか?」
「普通の魔晶石採掘師は、武器が無くても魔物ぐらい簡単に倒せますよ。
それより何か用ですか?」
「いや、特に用事は無ぇよ。
娘っ子がこんなところにいるから気になっただけだ。」
「そうですか。
ご心配ありがとうございます。
安全とわかったでしょうからどうぞお仕事に戻ってください。」
「お、おう・・・。
じゃぁ、気をつけてな。」
色々と邪な考えを持っていたようですけれど、流石に武器を持たずとも魔物を倒せると聞いて完全に怖気づいたようです。
男たちはそのままその場を立ち去って行きました。
私も少し場所を移動することにします。
マッドブルの親子を脅し続けていては可哀そうですからね。
峡谷の反対側に転移して、今度は平たい岩場でお昼寝です。
周囲に居た魔物は私が姿を現した途端に蜘蛛の子を散らす様に逃げて行きました。
今度は親子連れも居ないようです。
十二神将のうちの二人を呼び出して一応警戒に当たってもらってからお昼寝をしました。
お昼寝の最中に、何をとち狂ったかレッサー・ワイバーン二匹が襲撃してきましたけれど、警戒していたアンテラとインダラがそれを許すはずもありません。
アンテラは宝鎚で、インダラは鉾で、それぞれレーザービームに似た長射程の武器で一閃すると二匹とも空中で両断され、遺骸は峡谷の中に落ち込んで行きました。
夕刻まではここでぶらぶらして家に戻る予定でいます。
街灯の普及していないバンデルでは、日没後は暗くなってしまうので余り出歩かないものなんです。
日没後半時もすれば、我が家の前に集まっていた人は居なくなっていました。
それを確認して家に戻りましたけれど、明日は朝一番の便でバンデルを発たねばなりません。
実はバンデルに来て親孝行をするつもりがあんまりできていないんですよね。
新たにお風呂場とトイレを増設して、夜は三晩ほどゆっくりとお話しできたことぐらいでしょうか。
今夜は両親とも起きて待っていてくれました。
灯りをつけるとその分光熱費が増しますから昔から両親は早寝早起きなんです。
普段なら日没から半刻も過ぎると間違いなく寝ていますね。
夕食は日没頃に食べちゃうのです。
その夕食も今夜は私を待っていてくれたみたいです。
三人で温めなおした夕食を食べながら色々とお話をしましたよ。
幾らでも話はあるものですね。
日没から一時半ほどで就寝です。
少しはこの部屋にも私の匂いが着いたかな?
昼寝をしたので余り眠くは無いんです。
一応身代わりの精霊さんを部屋に置いて、私は、転移をやってみました。
モノブルグへの転移は全く問題ありません。
モノブルグからワイオブルグへの転移も問題なくできました。
長距離転移も左程問題にはならないような気がします。
場所さえ分かっていればどこまでも行けそうな気がします。
一旦バンデルに戻り、クロマルド王国のジラベルという元集落まで跳びました。
ジラベルは流行り病の際に訪れた集落ですが、ここが私の訪れた場所ではバンデルから一番遠い場所なんです。
住民は二人の子供を除き全滅していましたよね。
バンデルからジラベルであっても難なく跳べることがわかりましたので、そのまま今度はヒラトップへ跳びました。
ヒラトップで少しお勉強がてらの実験を行い、16の時(地球時間の24時)ぐらいには我が家に戻って就寝しました。
翌朝は薄暗いうちに起きて、両親に別れの挨拶をし、辻馬車で飛行場へ、そうして朝一番の飛空艇でモノブルグへ、モノブルグで乗り継いでワイオブール行の最終便に乗りました。
ワイオブールからギルドへの通船は最終便が出た後ですので、ワイオブールで一泊ですね。
バンデルから魔晶石ギルド本部へ行くには、どうしても二日がかりなんですよね。
転移を使えば一瞬なんですけれど・・・。
うーん、これは飛行場をギルド本部へ造り場合によっては飛空艇を一機所有するか若しくはレンタルすることを考えた方が良いかもしれません。
あまり宜しくは無いのですけれど、治癒師ギルドを通じた依頼が増えそうな気がするんです。
それも上級貴族や、皇家、王家の類ですよね。
多分、この辺からの依頼だと中々にギルドとしても断りづらいかもしれません。
まぁ、依頼を受けるか否かの判断はギルド本部にしていただいて、押し寄せるであろう非難についても矢面に立ってもらいましょう。
翌朝、私はもう一度ワイオブールの飛行場に行き、飛行場に必要な広さ、それに飛行場内にある格納庫での整備状況などを確認しました。
ついでに飛空艇の構造なんかも脳内センサーでばっちり確認しました。
飛空艇って意外に簡単な構造なんですね。
気嚢と呼ばれる太目の葉巻状の袋にレイオン(良くわからないんですがヘリウムじゃないみたいなんです)と呼ばれる不活性ガスを封入して、浮力を得、更に客室船底の金属板に魔法陣を描いて魔石により更なる浮力を与えることで機体が空中に浮揚するようです。
従って上下動は魔法陣と魔石の出力コントロールでできるようになっています。
推進力は、魔石利用の魔導モーターでプロペラを回して推進する方式ですが、外部に出たままのプロペラと、空洞の中に設けた軸流ポンプのようなプロペラの二種類が採用されています。
外部に出たままのプロペラは軽く大きなものですが、壊れやすいようです。
その一方で軸流ポンプに似た内臓プロペラは硬く重いものなので万が一外に露出しているプロペラが破損した場合の予備的な推進装置のようですね。
外殻は、薄い金属と魔物の皮革のハイブリッド構造のようです。
恐らくは重量を軽くするために工夫をしているのでしょう。
ウーン、これならばもっと良いものが造れそうです。
これまでのところでは、事案があって魔晶石ギルドから派遣する場合の最小単位は10名前後です。
15名乗りを二機ほど作ればギルドで思いのままに使えるんじゃないかしら。
問題は魔境に近いから、空を飛ぶ魔物に襲われないにしなければいけないけれど、それができれば救急患者の受け入れも可能だよね。
治療や診断の依頼が来るたびに、いちいち私が現場に出向くのは時間のロスでしかないですし・・・。
これも今後の課題として検討することにしましょう。
私は今日も元気なんですが、私の幼馴染と侯爵の子息を治療したことの余波が続いています。
もう明日には、バンデルを発たねばならないんですけれど、我が家の前には大勢の人が私に面会を申し込んできています。
単に会うだけならば良いのですけれどね。
要は病人を診てくれというお願いなんです。
中には病人を荷車に載せてきている人までいるので困ってしまいます。
私が家に居れば絶対に我が家にも迷惑を掛けますから、門番代わりの人を雇って我が家の前で用件を聞き、私を訪ねて来た人については不在を伝え、父や母に用事のある方については通してもらっています。
治療を受けたい或いは受けさせたいという申し入れについては、治癒師ギルド本部を通じて魔晶石ギルド本部に申請し、それが承認されたものだけは診察する場合があると伝えてもらっています。
居留守ではなくって、本当に私は家にいません。
家を出て、隣町のホーランズに逃げて来ています。
山裾に面した人口一万ぐらいの小さな町ですが、山中の滝とボーラ峡谷が有名なのです。
単に風光明媚なだけで滝とボーラ峡谷に特産物があるわけではありませんよ。
但し、魔境ほどではありませんが、この周辺には魔物が出ますので一般の人は近づかない場所なのです。
ここにはハンターギルドに所属する人がオーク、ボア、マッドブルといった魔物食材や魔石を求めて入り込む場所になっているようです。
成人前に知り合いのハンターさんから教えてもらった場所なのです。
危険な場所かって?
一般の人にとっては非常に危険ですね。
でも私が威圧の意味でオーラを纏うと途端に魔物たちは私を避けて絶対に近づいてきません。
人よりも魔物の方が余程危険に敏感なんです。
彼らは危険とわかっていればやむを得ない場合以外は逃げるんです。
しかしながら、子供を抱えているような場合は、子供を護るために必要な自衛活動をします。
今、私は峡谷を覗ける台地の緩やかな斜面に居て、敷物の上で手弁当を広げてピクニック状態なんですが、実は、近くにマッドブルの親子が居ました。
普通なら逃げようとする筈なのに逃げません。
何か理由があるのでしょうね。
私も向こうからつっかってこない限りは何もしません。
だってここは彼らのテリトリーであって、私が余所者だからです。
マッドブルも私の姿が見えるわけじゃないんですよ。
マッドブルは、私の背丈の倍以上もある葦の群生地に潜んでいて、私からも向こうからもお互いの姿は見えないんです。
でも気配はお互いに知っている状態というわけです。
そこへ無粋なハンター二人が現れました。
大柄な体格で、二人ともに身長は多分1.25尋以上は間違いなくありそうです。
十二神将と比べるとやや劣りますけれど中々のキン肉マンですよ。
二人とも槍を携え、腰には剣を佩いています。
頭には革製のヘルム、一部金属で補強された革製の胴着や具足なんかを身に着けていますので典型的なハンターの格好と言えますが、実は山賊でも似たような格好ですよ。
山賊ならば街道や宿場に近い場所にいるでしょうからこんな人気のない場所には来ないはずです。
私の姿を見るとちょっと驚き、それから二人で顔を見やって、にたりと笑いました。
あ、これは悪い料簡を持っていますね。
何でこんな奴らと出会うのか不思議でなりませんが、私はトラブル体質なんでしょうかねぇ。
男の一人が話しかけて来ました。
「よう、姉ちゃん、こんなところで一人で何しているんだ。
そもそも、どうやってここまでやって来たんだ。」
「ピクニックですよ。
ホーランズから歩いてきましたよ。」
「おいおい、歩いてって・・・。
ここは魔物が結構いる危険な場所なんだぜ。
見たところ武器も持っていねぇからハンターじゃねぇんだろう?」
「ハンターじゃありませんけれど、魔晶石採掘師をしてますので、大丈夫ですよ。」
魔晶石採掘師の名を出した途端、瞬時に表情が変わって警戒感を露わにしました。
百年ほど前の百人切りの話は寓話になって伝えられていて、魔晶石採掘師は恐怖の象徴なのです。
それでもおどおどしながら聞いてきました。
「魔晶石採掘師がなんでこんなところにいるんだ?」
「あぁ、休暇を貰って久しぶりに田舎に帰ってきたところです。
それが何か?」
「武器を持たずにか?」
「普通の魔晶石採掘師は、武器が無くても魔物ぐらい簡単に倒せますよ。
それより何か用ですか?」
「いや、特に用事は無ぇよ。
娘っ子がこんなところにいるから気になっただけだ。」
「そうですか。
ご心配ありがとうございます。
安全とわかったでしょうからどうぞお仕事に戻ってください。」
「お、おう・・・。
じゃぁ、気をつけてな。」
色々と邪な考えを持っていたようですけれど、流石に武器を持たずとも魔物を倒せると聞いて完全に怖気づいたようです。
男たちはそのままその場を立ち去って行きました。
私も少し場所を移動することにします。
マッドブルの親子を脅し続けていては可哀そうですからね。
峡谷の反対側に転移して、今度は平たい岩場でお昼寝です。
周囲に居た魔物は私が姿を現した途端に蜘蛛の子を散らす様に逃げて行きました。
今度は親子連れも居ないようです。
十二神将のうちの二人を呼び出して一応警戒に当たってもらってからお昼寝をしました。
お昼寝の最中に、何をとち狂ったかレッサー・ワイバーン二匹が襲撃してきましたけれど、警戒していたアンテラとインダラがそれを許すはずもありません。
アンテラは宝鎚で、インダラは鉾で、それぞれレーザービームに似た長射程の武器で一閃すると二匹とも空中で両断され、遺骸は峡谷の中に落ち込んで行きました。
夕刻まではここでぶらぶらして家に戻る予定でいます。
街灯の普及していないバンデルでは、日没後は暗くなってしまうので余り出歩かないものなんです。
日没後半時もすれば、我が家の前に集まっていた人は居なくなっていました。
それを確認して家に戻りましたけれど、明日は朝一番の便でバンデルを発たねばなりません。
実はバンデルに来て親孝行をするつもりがあんまりできていないんですよね。
新たにお風呂場とトイレを増設して、夜は三晩ほどゆっくりとお話しできたことぐらいでしょうか。
今夜は両親とも起きて待っていてくれました。
灯りをつけるとその分光熱費が増しますから昔から両親は早寝早起きなんです。
普段なら日没から半刻も過ぎると間違いなく寝ていますね。
夕食は日没頃に食べちゃうのです。
その夕食も今夜は私を待っていてくれたみたいです。
三人で温めなおした夕食を食べながら色々とお話をしましたよ。
幾らでも話はあるものですね。
日没から一時半ほどで就寝です。
少しはこの部屋にも私の匂いが着いたかな?
昼寝をしたので余り眠くは無いんです。
一応身代わりの精霊さんを部屋に置いて、私は、転移をやってみました。
モノブルグへの転移は全く問題ありません。
モノブルグからワイオブルグへの転移も問題なくできました。
長距離転移も左程問題にはならないような気がします。
場所さえ分かっていればどこまでも行けそうな気がします。
一旦バンデルに戻り、クロマルド王国のジラベルという元集落まで跳びました。
ジラベルは流行り病の際に訪れた集落ですが、ここが私の訪れた場所ではバンデルから一番遠い場所なんです。
住民は二人の子供を除き全滅していましたよね。
バンデルからジラベルであっても難なく跳べることがわかりましたので、そのまま今度はヒラトップへ跳びました。
ヒラトップで少しお勉強がてらの実験を行い、16の時(地球時間の24時)ぐらいには我が家に戻って就寝しました。
翌朝は薄暗いうちに起きて、両親に別れの挨拶をし、辻馬車で飛行場へ、そうして朝一番の飛空艇でモノブルグへ、モノブルグで乗り継いでワイオブール行の最終便に乗りました。
ワイオブールからギルドへの通船は最終便が出た後ですので、ワイオブールで一泊ですね。
バンデルから魔晶石ギルド本部へ行くには、どうしても二日がかりなんですよね。
転移を使えば一瞬なんですけれど・・・。
うーん、これは飛行場をギルド本部へ造り場合によっては飛空艇を一機所有するか若しくはレンタルすることを考えた方が良いかもしれません。
あまり宜しくは無いのですけれど、治癒師ギルドを通じた依頼が増えそうな気がするんです。
それも上級貴族や、皇家、王家の類ですよね。
多分、この辺からの依頼だと中々にギルドとしても断りづらいかもしれません。
まぁ、依頼を受けるか否かの判断はギルド本部にしていただいて、押し寄せるであろう非難についても矢面に立ってもらいましょう。
翌朝、私はもう一度ワイオブールの飛行場に行き、飛行場に必要な広さ、それに飛行場内にある格納庫での整備状況などを確認しました。
ついでに飛空艇の構造なんかも脳内センサーでばっちり確認しました。
飛空艇って意外に簡単な構造なんですね。
気嚢と呼ばれる太目の葉巻状の袋にレイオン(良くわからないんですがヘリウムじゃないみたいなんです)と呼ばれる不活性ガスを封入して、浮力を得、更に客室船底の金属板に魔法陣を描いて魔石により更なる浮力を与えることで機体が空中に浮揚するようです。
従って上下動は魔法陣と魔石の出力コントロールでできるようになっています。
推進力は、魔石利用の魔導モーターでプロペラを回して推進する方式ですが、外部に出たままのプロペラと、空洞の中に設けた軸流ポンプのようなプロペラの二種類が採用されています。
外部に出たままのプロペラは軽く大きなものですが、壊れやすいようです。
その一方で軸流ポンプに似た内臓プロペラは硬く重いものなので万が一外に露出しているプロペラが破損した場合の予備的な推進装置のようですね。
外殻は、薄い金属と魔物の皮革のハイブリッド構造のようです。
恐らくは重量を軽くするために工夫をしているのでしょう。
ウーン、これならばもっと良いものが造れそうです。
これまでのところでは、事案があって魔晶石ギルドから派遣する場合の最小単位は10名前後です。
15名乗りを二機ほど作ればギルドで思いのままに使えるんじゃないかしら。
問題は魔境に近いから、空を飛ぶ魔物に襲われないにしなければいけないけれど、それができれば救急患者の受け入れも可能だよね。
治療や診断の依頼が来るたびに、いちいち私が現場に出向くのは時間のロスでしかないですし・・・。
これも今後の課題として検討することにしましょう。
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