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第四章 魔晶石採掘師シルヴィ
4-6 ② 小さな爆弾案件を会議へ投入
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晩秋月25日、今日の午前中は魔晶石利用計画会議です。
例によって、「黒」なのでトップレベルが集まっています。
但し事務部長は未だ選任されておらず、副部長のカールセン・ワーディングスさんが代理出席ですが、多分、年次から言うとこの方がそのまま事務部長になるのではという噂です。
あ、情報を取ってきたのはエアリアですよ。
風の妖精ですからね、いろんなところに聞き耳を立てているようで、斥候としても、スパイとしてもとても有能なのです。
いずれにしろ幹部一同が居並ぶ場で、会議は黙とうから始まりました。
352ゲール(凡そ176㎏?)の重量はこれまで私がA136区で採掘してきた黒の魔晶石の中で最大の物よりも40ゲール程大きいのです。
取り敢えず本体の顔見世が終わって目の前からモノが片づけられ、カールセン副部長さんの概要説明により、既に掘り尽くされたと見做されていたB121区から黒が出たことに出席者は大きな衝撃を受けていたようでした。
その上で出てきたのは具体的な採掘場所ではなく、どのようにして発見できたのか教えてもらえまいかという質問でした。
まぁ、そんな質問もあり得るかなとは思っていましたので、かねて用意していた答えをいいました。
「私のスキルで鉱床の存在がわかるとだけ申し上げておきましょう。
そのスキル自体は私の固有の能力ですので人に教えることはできません。」
すると、別の方が言いました。
「君の能力(スキル)で他の鉱区でも鉱床が見つけることは可能なのか?」
「可能かもしれませんが、意味はないでしょうね。
私が採掘できる量には限度がございますから・・・。」
「例えば、君が発見した鉱床を他の採掘師に掘らせるというのは?」
「失礼ながら、鉱区指定は何のためになされているのですか?
他の採掘師に指定されているものを無視して、別の採掘師が入ることをギルドが許すのですか?
そうなれば、いずれ鉱区内での争いが起きますよ。
それに、また、一方で共同又は複数の採掘師による採掘は過去において試した結果、不本意な結果に終わり、研修期間の実技以外では放棄されたのではないのですか?」
「いや、・・・。
それはそうなのだが・・・。
探査だけ行って、採掘は別な者が請け負う方式は成り立たないのかね。」
「ギルドが全ての採掘師を管理する方式にするというおつもりなら勝手にどうぞ。
場合により、採掘師がギルドから脱退することもあり得るとお考えになった方がよろしいかもしれませんが・・・。
彼らは極度に管理されることを嫌うようですし、私も、いまだ若輩者ながら、他の採掘師のプライドを傷つけるようなあからさまなやり方には賛同できません。」
「いや、しかしだねぇ。
ギルドの収益を考えるならば効率的な方法を採用すべきでは無いのかね?」
「ですから、仮にそうであるべきとお考えならば、優秀な一級採掘師を探査師にでも仕立てて、なされればいいことでしょう。
私自身は、そのような方式には関わりたくありません。
そもそもギルド憲章では、会員がギルドに貢献する内容としては、採掘師は採掘に、加工師には加工にと明確な職責が決められているはずです。
採掘もしない採掘師などありえません。」
「いや、採掘は採掘でやってもらい、空いている時間で探査をしてもらうというのはどうかね?」
「そのような暇はありませんし、仮に探査の結果「ありませんでした」と嘘の報告がなされた場合、どなたがそれを確認できるのでしょうか?
そうして一定のノルマー制度なんかを創設するようなお考えでしたらおやめになった方がよろしいですよ。
少なくとも136年前にそのようなシステムを導入したものの、1年で撤回せざるを得ない事態に陥った歴史があるようですから。」
「うん?そんな事実が?
どこで知ったのかね。」
「図書室には膨大な記録と資料がございます。
お忙しいでしょうけれど、幹部の方も一度は目を通されてはいかがでしょうか。」
誰とは言いませんが幹部の中にはよからぬことを色々と企む方が昔からいたようです。
少なくとも同じミスを繰り返さないでほしいですよね。
その件は、若干のストレスを抱えながらも一段落した上で、販売部の思惑通りの方向に利用計画が承認されました。
その上で、私が第一弾の小型爆弾を投げ込みました。
「今回発見した鉱床には非常に巨大な黒の魔晶石ブロックがございます。
以前、いまだ私が研修生であった際に、幸いにも深緑色の大きな魔晶石を採掘できましたが、今回はそれよりも更に大きく、最大レベルで切り出すとマジックバックでも収容できません。
従って、私としては切り出し時点でマジックバックに入る程度の大きさに小分けしようと考えていますが、それでよろしいのかどうかについて、関係者各位の御意見をお聞かせ願いたいと存じます。」
「マジックバックに入らない大きさというと1.5尋弱程度の大きさか・・・。
現場で掘り出した時点で、作業員を出して運ぶというのはどうかな?」
「鉱床の場所を余人に知られたくございませんから、その案は却下ですね。
これまでそのような事例は一度としてなかったはずですし、作業員は支援部の方ですか?
それとも採掘師ですか?
採掘師ならば、血の雨が降ることも想定された方が良いですよね。
それに長さが約3.3尋、最大径が2尋ほどある黒の魔晶石ですが、そのままで販路がございますか?」
「正直なところ、それほどの大きさの黒の魔晶石の存在などこれまでは想定されていなかった。
従って、現時点で思いつくものは無いが、長さ2尋を超えるものがあれば、あるいは国レベルの結界ができるやもしれぬとの話が魔法師ギルドであったように記憶しているが、実物がないのでこれまで試したこともないはずだ。
ましてや、その倍近い大きさの魔晶石など誰も考えてはいまい。
一応、研究開発部で検討をしてみるので3か月ほど時間をもらえないだろうか。
搬出方法についても魔法師ギルドには大きな容量のマジックバックが保管されているとの噂があるので、確認してみる。
長さが3.3尋程度で間違いないのだな。」
「長さはその通りですが、重量もかなりありますのでぎりぎりの大きさでは収納しづらいかと思いますので、できればもう少し余裕を見ていただいた方がよろしいかと思います。」
「わかった。
飽くまで大きいままで切り出す場合の手段としてなので、そもそも販路がないものにそのような手間はかけない。
その場合は、マジックバックに入る程度の小分けにしてもらうことになるだろう。
それにしても、現時点での埋蔵量はいくらぐらいになるのだ?」
おそらく巨大ブロック一つで57ゲレット(約28.5トン)ほどになる。
採掘可能な中小の魔晶石を合わせるとその1.5倍の85ゲレットを超えることになるだろう。
「詳細な数値は出せませんが、おそらく80ゲレット前後になるかと推測しています。」
会議場がどっと沸いた。
まぁ、そりゃぁ、そうだよね。
だって、黒の魔晶石が数ゲレット単位で出てくるのさえこれまでなかったのに、一気に百ゲレット近い嘘のような話が飛び出たんだもの。
まぁ、いずれにしろ、巨大な魔晶石の話は三か月の猶予期間が設けられました。
私はその間に周辺の中小ブロックを片付けることにしましょう。
仮に30ゲレットを採掘するとしても、掘り出すだけで間違いなく30日程度(1ゲレット≒500Kg/日)はかかりますからね。
昼食をとって午後からは、いつものように図書室に出向き、数冊の書籍を頭に入れました。
その後、「寮でゴロゴロ」の振りをして、ヒラトップでツアイス症候群の調査研究です。
魔物図鑑で再度確認すると、類人猿に近い小型の魔物であるヒポブランがこのホープランドにもいるようです。
地球で言うゴリラに近いかもしれませんが、さほど大きくはありません。
体高は1.3尋程度ですので1.1尋ほどある私の身長から見ると、30センチぐらい大きいのかな?
この大きさは魔物の中では極々可愛いほうです。
他の地域には居るであろうゴブリンやオークなんて魔物は、ホープランドには居ません。
弱肉強食で弱い種は淘汰されてしまっているんです。
ヒポブランは横幅が大きくて体重が重いんです。
体高1.5尋なのに体重が600ゲール(約300kg)ですからね。
まぁ、おデブさんと言えるでしょうね。
でも、動きはかなり敏捷であり、腕の力が強いのと、崖のぼりが得意なので、ホープランドでも生き残っているようです。
ヒポブランの餌はバナナなんかじゃありません。
肉食なんです、
因みに、私の出逢ったことのある大白猿は、どうも類人猿の系統から結構離れた別の種類になるようです。
で、このヒポブランは、ビットからだと北西方向にある沼湖群の近辺に棲んでいるようですから、暇な折に探しに行ってみましょう。
距離的には大分遠く、採掘師が出張っている最前線の近くに当たります。
この辺は一級採掘師でないとそもそも鉱区指定ができません。
ですから行くにしても、ギルドその他には内緒で行くことになるのでしょうね。
事務部で確認したところでは、最も遠方の鉱区は、ビットからの距離が凡そ50ガーシュほどであり、行き来に支障が出るほど遠い場所です。
パデルの移動距離は、通常一日で約100から120ガーシュ程度です。
ですから、日の出とともに急いで現地に向かい、帰りもかなり急いで戻らないと日没までに間に合わない可能性さえあるのです。
非常に効率が悪いのですが、それが現状のようです。
従ってそれ以遠の地域については鉱区指定さえ満足にはできていません。
現状で採掘師が入れるエリアは概ねホープランドの3割程度で、残り7割は今のところ手付かずの状態なのです。
過去に何度か、より北方若しくは西方域の領域に支部及びビットを建設してはどうかとの意見もあったようですが、補給の問題や建設費の問題等により断念されています。
確かに別の場所に支部を造るとすれば補給面から考えてホープランドの外縁部になります。
そこまでの取り付け道路の建設が問題になりますし、北域及び南西域では水の確保が難しいと言われているのです。
私なら転移で簡単に行き来できますけれど、それは例外的な存在みたいなので、私を基準にモノを考えるのはまずいですよね。
仮に将来支部を造るとしたなら、地下鉄なんかを造って支部を建設する方法がいいかもしれません。
但し、建設中にも多くの魔物の襲来があるでしょうし、現在のビットほど安全ではない可能性が高いのも問題です。
魔物の大規模な討伐が先に行ってそれから支部の建設でしょうかねぇ。
一旦地下鉄を造ってしまえば、現状の本部からでも行き来は簡単ですし、補給も目途がつきます。
高低差で水も水道で遅れるかもしれません。
============================
この話は、「4-7 小さな第二弾」の前に入るべき話でしたので9月28日に正規の順番に戻しました。
大変申し訳ございません。 *_ _)ペコリ♡ 悪しからずご了承ください。
By サクラ近衛将監
例によって、「黒」なのでトップレベルが集まっています。
但し事務部長は未だ選任されておらず、副部長のカールセン・ワーディングスさんが代理出席ですが、多分、年次から言うとこの方がそのまま事務部長になるのではという噂です。
あ、情報を取ってきたのはエアリアですよ。
風の妖精ですからね、いろんなところに聞き耳を立てているようで、斥候としても、スパイとしてもとても有能なのです。
いずれにしろ幹部一同が居並ぶ場で、会議は黙とうから始まりました。
352ゲール(凡そ176㎏?)の重量はこれまで私がA136区で採掘してきた黒の魔晶石の中で最大の物よりも40ゲール程大きいのです。
取り敢えず本体の顔見世が終わって目の前からモノが片づけられ、カールセン副部長さんの概要説明により、既に掘り尽くされたと見做されていたB121区から黒が出たことに出席者は大きな衝撃を受けていたようでした。
その上で出てきたのは具体的な採掘場所ではなく、どのようにして発見できたのか教えてもらえまいかという質問でした。
まぁ、そんな質問もあり得るかなとは思っていましたので、かねて用意していた答えをいいました。
「私のスキルで鉱床の存在がわかるとだけ申し上げておきましょう。
そのスキル自体は私の固有の能力ですので人に教えることはできません。」
すると、別の方が言いました。
「君の能力(スキル)で他の鉱区でも鉱床が見つけることは可能なのか?」
「可能かもしれませんが、意味はないでしょうね。
私が採掘できる量には限度がございますから・・・。」
「例えば、君が発見した鉱床を他の採掘師に掘らせるというのは?」
「失礼ながら、鉱区指定は何のためになされているのですか?
他の採掘師に指定されているものを無視して、別の採掘師が入ることをギルドが許すのですか?
そうなれば、いずれ鉱区内での争いが起きますよ。
それに、また、一方で共同又は複数の採掘師による採掘は過去において試した結果、不本意な結果に終わり、研修期間の実技以外では放棄されたのではないのですか?」
「いや、・・・。
それはそうなのだが・・・。
探査だけ行って、採掘は別な者が請け負う方式は成り立たないのかね。」
「ギルドが全ての採掘師を管理する方式にするというおつもりなら勝手にどうぞ。
場合により、採掘師がギルドから脱退することもあり得るとお考えになった方がよろしいかもしれませんが・・・。
彼らは極度に管理されることを嫌うようですし、私も、いまだ若輩者ながら、他の採掘師のプライドを傷つけるようなあからさまなやり方には賛同できません。」
「いや、しかしだねぇ。
ギルドの収益を考えるならば効率的な方法を採用すべきでは無いのかね?」
「ですから、仮にそうであるべきとお考えならば、優秀な一級採掘師を探査師にでも仕立てて、なされればいいことでしょう。
私自身は、そのような方式には関わりたくありません。
そもそもギルド憲章では、会員がギルドに貢献する内容としては、採掘師は採掘に、加工師には加工にと明確な職責が決められているはずです。
採掘もしない採掘師などありえません。」
「いや、採掘は採掘でやってもらい、空いている時間で探査をしてもらうというのはどうかね?」
「そのような暇はありませんし、仮に探査の結果「ありませんでした」と嘘の報告がなされた場合、どなたがそれを確認できるのでしょうか?
そうして一定のノルマー制度なんかを創設するようなお考えでしたらおやめになった方がよろしいですよ。
少なくとも136年前にそのようなシステムを導入したものの、1年で撤回せざるを得ない事態に陥った歴史があるようですから。」
「うん?そんな事実が?
どこで知ったのかね。」
「図書室には膨大な記録と資料がございます。
お忙しいでしょうけれど、幹部の方も一度は目を通されてはいかがでしょうか。」
誰とは言いませんが幹部の中にはよからぬことを色々と企む方が昔からいたようです。
少なくとも同じミスを繰り返さないでほしいですよね。
その件は、若干のストレスを抱えながらも一段落した上で、販売部の思惑通りの方向に利用計画が承認されました。
その上で、私が第一弾の小型爆弾を投げ込みました。
「今回発見した鉱床には非常に巨大な黒の魔晶石ブロックがございます。
以前、いまだ私が研修生であった際に、幸いにも深緑色の大きな魔晶石を採掘できましたが、今回はそれよりも更に大きく、最大レベルで切り出すとマジックバックでも収容できません。
従って、私としては切り出し時点でマジックバックに入る程度の大きさに小分けしようと考えていますが、それでよろしいのかどうかについて、関係者各位の御意見をお聞かせ願いたいと存じます。」
「マジックバックに入らない大きさというと1.5尋弱程度の大きさか・・・。
現場で掘り出した時点で、作業員を出して運ぶというのはどうかな?」
「鉱床の場所を余人に知られたくございませんから、その案は却下ですね。
これまでそのような事例は一度としてなかったはずですし、作業員は支援部の方ですか?
それとも採掘師ですか?
採掘師ならば、血の雨が降ることも想定された方が良いですよね。
それに長さが約3.3尋、最大径が2尋ほどある黒の魔晶石ですが、そのままで販路がございますか?」
「正直なところ、それほどの大きさの黒の魔晶石の存在などこれまでは想定されていなかった。
従って、現時点で思いつくものは無いが、長さ2尋を超えるものがあれば、あるいは国レベルの結界ができるやもしれぬとの話が魔法師ギルドであったように記憶しているが、実物がないのでこれまで試したこともないはずだ。
ましてや、その倍近い大きさの魔晶石など誰も考えてはいまい。
一応、研究開発部で検討をしてみるので3か月ほど時間をもらえないだろうか。
搬出方法についても魔法師ギルドには大きな容量のマジックバックが保管されているとの噂があるので、確認してみる。
長さが3.3尋程度で間違いないのだな。」
「長さはその通りですが、重量もかなりありますのでぎりぎりの大きさでは収納しづらいかと思いますので、できればもう少し余裕を見ていただいた方がよろしいかと思います。」
「わかった。
飽くまで大きいままで切り出す場合の手段としてなので、そもそも販路がないものにそのような手間はかけない。
その場合は、マジックバックに入る程度の小分けにしてもらうことになるだろう。
それにしても、現時点での埋蔵量はいくらぐらいになるのだ?」
おそらく巨大ブロック一つで57ゲレット(約28.5トン)ほどになる。
採掘可能な中小の魔晶石を合わせるとその1.5倍の85ゲレットを超えることになるだろう。
「詳細な数値は出せませんが、おそらく80ゲレット前後になるかと推測しています。」
会議場がどっと沸いた。
まぁ、そりゃぁ、そうだよね。
だって、黒の魔晶石が数ゲレット単位で出てくるのさえこれまでなかったのに、一気に百ゲレット近い嘘のような話が飛び出たんだもの。
まぁ、いずれにしろ、巨大な魔晶石の話は三か月の猶予期間が設けられました。
私はその間に周辺の中小ブロックを片付けることにしましょう。
仮に30ゲレットを採掘するとしても、掘り出すだけで間違いなく30日程度(1ゲレット≒500Kg/日)はかかりますからね。
昼食をとって午後からは、いつものように図書室に出向き、数冊の書籍を頭に入れました。
その後、「寮でゴロゴロ」の振りをして、ヒラトップでツアイス症候群の調査研究です。
魔物図鑑で再度確認すると、類人猿に近い小型の魔物であるヒポブランがこのホープランドにもいるようです。
地球で言うゴリラに近いかもしれませんが、さほど大きくはありません。
体高は1.3尋程度ですので1.1尋ほどある私の身長から見ると、30センチぐらい大きいのかな?
この大きさは魔物の中では極々可愛いほうです。
他の地域には居るであろうゴブリンやオークなんて魔物は、ホープランドには居ません。
弱肉強食で弱い種は淘汰されてしまっているんです。
ヒポブランは横幅が大きくて体重が重いんです。
体高1.5尋なのに体重が600ゲール(約300kg)ですからね。
まぁ、おデブさんと言えるでしょうね。
でも、動きはかなり敏捷であり、腕の力が強いのと、崖のぼりが得意なので、ホープランドでも生き残っているようです。
ヒポブランの餌はバナナなんかじゃありません。
肉食なんです、
因みに、私の出逢ったことのある大白猿は、どうも類人猿の系統から結構離れた別の種類になるようです。
で、このヒポブランは、ビットからだと北西方向にある沼湖群の近辺に棲んでいるようですから、暇な折に探しに行ってみましょう。
距離的には大分遠く、採掘師が出張っている最前線の近くに当たります。
この辺は一級採掘師でないとそもそも鉱区指定ができません。
ですから行くにしても、ギルドその他には内緒で行くことになるのでしょうね。
事務部で確認したところでは、最も遠方の鉱区は、ビットからの距離が凡そ50ガーシュほどであり、行き来に支障が出るほど遠い場所です。
パデルの移動距離は、通常一日で約100から120ガーシュ程度です。
ですから、日の出とともに急いで現地に向かい、帰りもかなり急いで戻らないと日没までに間に合わない可能性さえあるのです。
非常に効率が悪いのですが、それが現状のようです。
従ってそれ以遠の地域については鉱区指定さえ満足にはできていません。
現状で採掘師が入れるエリアは概ねホープランドの3割程度で、残り7割は今のところ手付かずの状態なのです。
過去に何度か、より北方若しくは西方域の領域に支部及びビットを建設してはどうかとの意見もあったようですが、補給の問題や建設費の問題等により断念されています。
確かに別の場所に支部を造るとすれば補給面から考えてホープランドの外縁部になります。
そこまでの取り付け道路の建設が問題になりますし、北域及び南西域では水の確保が難しいと言われているのです。
私なら転移で簡単に行き来できますけれど、それは例外的な存在みたいなので、私を基準にモノを考えるのはまずいですよね。
仮に将来支部を造るとしたなら、地下鉄なんかを造って支部を建設する方法がいいかもしれません。
但し、建設中にも多くの魔物の襲来があるでしょうし、現在のビットほど安全ではない可能性が高いのも問題です。
魔物の大規模な討伐が先に行ってそれから支部の建設でしょうかねぇ。
一旦地下鉄を造ってしまえば、現状の本部からでも行き来は簡単ですし、補給も目途がつきます。
高低差で水も水道で遅れるかもしれません。
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この話は、「4-7 小さな第二弾」の前に入るべき話でしたので9月28日に正規の順番に戻しました。
大変申し訳ございません。 *_ _)ペコリ♡ 悪しからずご了承ください。
By サクラ近衛将監
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