二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた

サクラ近衛将監

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第一章 与えられし異能

1ー9 新たな検証?

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 時間はちょうどお昼時、念のため上映中の洋画を確認し、一旦はシアターの外に出た。
 二人で相談して、同じビルの中にフードコートがあるので、そこで軽食を食べることにした。

 ハンバーガーやホットドッグ、ラーメン屋、パスタ、焼きそば、お好み焼き、オムライス、カレー、ソフトクリーム、クレープ、ケーキ喫茶等々セルフサービスながら色々なものをワンホールで楽しめる場所だ。
 一つのテーブルに二人で色々なものを持ち寄り、分け合って食べた。

 ここでは分け合えるようにプラスチック製の小さめの深皿が用意してあり、一枚10円でレンタルできるんだ。
 二人で頼んだのは、パスタ(小)に、オムライス(小)それにホットドッグと飲み物だ。

 さっき見た映画の感想を二人で駄弁だべりながら、ゆっくりと昼食を食べる。
 うん、まぁ、かわいい子の顔を眺めながら食事をするというのは至福の時だよね。

 俺、こんなに幸せでいいのかな?
 そうして、食事の後のことについて相談をした。

「もし、梓ちゃんが良ければ、今上映中の洋画の「デンジャラス・エンカウント」を見たいんだけど。
どうかなぁ。}

 そう、誘ったら興味を示して乗ってきた。

「いいよ。
 今日は映画三昧だね。」

 そう言ってにっこりとほほ笑んだ。
 うん、その笑顔が可愛すぎる。

 で、上映時間を確認すると午後1時10分から4時5分までだったので、早速チケットを買って二人で入った。
 勿論、チケット代は俺持ちだよ。

 だって、午前中の映画の前売り券は梓ちゃんがネットで購入していたからね。
 今度は、俺持ちが当然だろう。

 高校生は、学割がくんで助かる。
 午前中と同じ予告編が始まり、前回よりも英語の理解度が深まったような気がしたよ。

 次いで、本番。
 米国のそこそこ有名な俳優さんがぞろぞろ出て来る映画だけれど、話のスジや演技よりも俺は言語の聞き取りに傾注した。

 1時間40分ほどの上映時間の中で、終わりの20分ほどは会話がほとんど理解できていたぜ。
 勿論そこに至るまでは字幕の力が非常に大きいのだが、終わりころには逆に字幕に出ていない微妙な表現まで理解できるようになっていた。

 本当にこいつはチートだぜ。
 中学で三年間(ん?小学校も入れるともう少し長いか?)もそれなりに英語の勉強はしてきたけれど、映画で俳優さんがしゃべる早口の英語が判るまでのレベルでは絶対になかった筈だ。

 であれば、これは俺の守護霊が与えてくれたチート能力の一つに違いない。
 しかし、こんなに劇的なモノとは思ってもみなかったぜ。

 自分のことながら半分呆れている俺だった。
 未成年が暗くなるまでデートするのはまずいだろうから、俺は梓ちゃんを家まで送って行くことにした。

 お宅にお邪魔したりすると迷惑になるから、家の玄関が見える辺りまで送り届ける。
 それが俺の役割だ。

 小林家の門が見える辺りで、別れを告げた。

「今日は楽しかった。
 誘ってくれてありがとう。
 そして、機会が有ったら、また二人でどこかへ行きたいね。」

「うん、私も楽しかった。
 今度、都合がつけばまた休みにでも一緒にどこかに行きましょう。
 秦山さんから誘いが来るのを待ってるから・・・。」

 そう言って別れた。
 何気に、次は俺が誘わねばならない義理ができたようだ。

 ◇◇◇◇

 翌日、日中は山上りで訓練と検証。
 夜は、X-Ne◇tでひたすら字幕洋画を観て言語の勉強をした。

 筋はともかく、字幕付きの映画を選んだから、お陰様で連休の終わりには、英語、ロシア語、イタリア語、フランス語の会話がほぼできるようになったのじゃないかと思うよ。
 残りは、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語辺(あた)りの映画を日替わりで探してみる予定だ。

 東南アジアのベトナム語、タイ語、インドネシア語、マレー語辺りもできれば覚えておきたいね。
 特にF市内は、ベトナム人の在住者が結構多いみたいだから、ベトナム語を知っておくと何かの役に立つかもしれない。

 連休が終わった段階で、俺のステータスは、以下の通りになっていた。

名前 : 秦山英一郎
種族 : ヒト族
年齢 : 15歳
性別 : 男
職業 : なし

覚醒レベル   : 2(+2)
STR(筋力)  : 23
DEX(器用さ) : 15
VIT(丈夫さ、持久力): 25
INT(知性)  : 135
MND(精神力) : 18
LUK(運)   : 11(+0)
AGI(敏捷性) : 13
CHA(カリスマ、魅力): 5(+4)
言語理解    : 3(+3)

【スキル】
 鑑定 : 5
 隠蔽 : 2
 偽装 : 1
 剣術 : 3
 槍術 : 2
 棒術 : 3
 弓術 : 1
 格闘術: 2
 射撃術: 2

【その他スキル】
 調剤 : 0
 料理 : 1
 裁縫 : 1
 採掘 : 3
 鍛冶 : 2
 闘気 : 4

【ユニークスキル】
 Reaction : 2(+1)
 Resistance: 2(+4)

【属性―1】
 燃焼  : 2
 分子運動: 3
 組成  : 4

【属性―2】
 光  : 2
 風  : 1
 聖  : 0
 熱  : 3
 音  : 2
 空間 : 6
 重力 : 5
 ベクトル:5

【守護霊】
 元仙術師 黄蓬莱

【称号】
 虐められし、レジスタンスの戦士

 色々と数値が上がっているのだけれど、注目度が高いのは「言語理解」と「鑑定」が急激に上がったこと、『Resistance』と『Reaction』の二つが共にLv2になったこと、Reactionに関わる素因である<属性2>の『光』、『風』、『熱』、『音』は、それぞれ伝搬を妨げ、加速し、若しくは曲げたり、反射したりすることができるようになった。
 但し、もっぱら他力本願であって、既に在るモノを利用するだけで、新たに生み出す力は燃焼の際の発火を除くとほとんど無い。

 何となくラノベに出てくる付与魔法に近いのかもしれないと思っている。
 それと、俺の能力が及ぶ範囲が少し広がったようだ。

 時折、プラスチックの破片を使って能力の及ぶ範囲を確認し、検証しているんだが、現状で18m前後までは俺の能力が届く。
 従って、俺を中心に半径約18mの球内では俺の力が及ぼせるということだ。

 ◇◇◇◇

 連休明けの5月6日(金)と、土日を挟んで週明けの9日(月)は、またまた学校だ。
 俺の家からは東斗高校まで4キロ近くある。

 雨の日なんか流石に困るんで、バスの回数券も購入しているけれど、普通はチャリンコでの通学だ。
 因みに梓ちゃんはバス通学をしているって聞いている。

 梓ちゃんの場合、近くのバス停が始発なので、毎朝座ることのできるのが利点なのだそうだ。
 但し、帰りは途中から乗るのでそうもいかないらしいけどな。

 俺は、いつもの時間に学校に着き、俺のクラスに顔を出し、居合わせた奴に朝の挨拶を送る。
 何気ない朝の一コマだが、挨拶は「礼」と「仁」をはぐくむもんだと思ってる。

 例のおかしな7人組が消えたことで、クラスの雰囲気が随分と良くなっている。
 見て見ぬふりをしていた奴らだが、彼らが積極的に悪さをしたわけじゃないので、俺は気にしていない。

 梓ちゃんもにこやかに挨拶をしてくれ、いつもの日常が始まった。
 9日、授業で体育があった。

 6月半ばに恒例の体育祭がF市内にある県営の屋内競技場マヌア・ドゥ・シャトーで開催されるので、そこで披露されるマスゲームに近い組体操?いやダンスかも知れない。
 音楽に合わせて色々な体操をしながら踊る感じ?

 昔、組体操の人間ピラミッドとかで色々怪我をした事例もあって、県内ではそうした怪我をする恐れのある組体操は禁止されている。
 そこで5年前から導入されたのが、集団ダンスに近い体操なんだ。

 オリンピックの開会式で見られるような「見せるマスゲーム」だから、色々と動きながらポーズを決めることになる。
 但し、これが10分間もあって色々バリエーションがあるから、全体を覚えるのに結構な時間がかかる。

 このために、連休明けから体育の時間にはこの練習が入るわけだ。
 男女ともに同じ動きをするから、基本危険性は何もない。

 まぁ、準備運動を怠って筋違いとか起きる場合も無きにしも非ずだけれど。
 全員がジャージ姿でやる体操だ。

 東斗高校は学年でジャージの色が違う。
 今年の場合、一年は薄い緑、二年は薄いえんじ色、三年は薄い青で統一され、それがマスゲームでは入り乱れることになるのでその色合いが面白いらしい。

 なんだかんだと言いながら、体育館のスクリーンに映っているビデオ画像を見ながら小一時間動き回っていると結構な運動量になる筈なんだが、俺の場合、ステータスが伸びた所為せいなのか全然疲れない。
 ありゃぁ、これは、注意しないと面倒なことになるかもしれないぞと俺はそう思ったよ。

 そもそも、ステータスの『筋力』とか『持久力』が当初の三倍以上になっているから、体力が上がっているし、『敏捷性』も1.6倍に上がっているので、徒競走なんかでものすごく速くなっている可能性があるのかな?
 別に俺は目立ちたいわけじゃないから、他の男子を見ながらできるだけレベルを合わせないといけないなと思ったよ。

 一方で、この際だから、自前で体力測定をしておく必要もあるかもしれない。
 中学の時に3キロ走をやって、確か11分28秒だった記憶がある。

 だから、この際、河川敷コースで3キロを測り、そこを走ってみようと思った。
 歩いて歩幅で距離を測る様な簡易な奴だけど、大まかな距離が判ればそれでいい。

 東斗高校のグランドは100m四方ぐらいあって隅っこを走れば概ね400mぐらいにはなるけれど、それよりはY川の河川敷の土手の方が距離を確認しやすいはずだ。
 ネットで調べたらY側の東側河川敷に広がる自転車と歩行者専用レーンが、河口近くのS橋からK橋までで地図上では、概ね1.66キロだった。

 ここを往復すれば約3.3キロ、3,000mじゃないけれど、アバウトのタイムは測れるはず。
 ついでに100m、200m、400mのタイムもアバウトでいいから測っておこう。

 俺のデジタル時計は、ストップウオッチ機能もついているんだ。
 そんなことで、今度の土曜日の予定は俺の体力測定日になった。
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