二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた

サクラ近衛将監

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第一章 与えられし異能

1ー6 色々とやってみる

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 天気予報によると、明日は曇りのち晴れになるんだけれど、明日の山登りの予定は取りやめにした。
 今日は、小雨ではあるけれど、朝からずっと雨が降っているからね。

 明日までに雨が上がるにしても、舗装されていない泥の山道を歩くのは大変そうだ。

 そんなわけで翌日(5月1日)は、体力訓練を兼ねて市内のボーリング場、バッティング・センター、ゴルフ練習場を回ることにした。
 ボーリング場では床面レーンに鑑定を掛けて、ボールの投げる角度と速度を調整する練習を行った。

 二ゲームやって、一ゲーム目は126点、二ゲーム目は修正というか補正というか何かが効いて152点、三回目は187点をたたき出した。
 今日を除くと、これまでボーリングは五、六回やってるけれど、最高は120点クラスだったから、驚異的なアップだよね。

 特に三ゲーム目はストライクとスペアが結構続いた。
 流石に7ピンと10ピンのスプリットは、取れなかったけれどね。

 バッティング・センターでは、同じくボールが機械を離れてから手前にくるまでのコースの見分け方を練習したよ。
 反射神経の問題なのか、コースを先読みしても、そのコースにバットが上手く振れないんだ。

 それでも25球で300円を6セット、全部で150球で色々検証した。
 最初の50球は中々コースが読めないのと反応が遅れて、8割が空振りだった。

 次の50球は、概ねコースが読めて、おもいっきりのスイングじゃなくって、バットをボールのコースに持って行くだけの感じ?
 そうして三回目の50球では、特に最後の25球分は間違いなくバットに当ててフルスイングができていた。

 まぁ、芯に当てていたのはそのうち3割ぐらいかもしれないが、それにしても長足の進歩だぜ。
 150球分もやったけれど、手にまめはできていない。

 まぁ、それだけ大部分は力を入れてはいなかったということでもある。
 でも最後の25球分はしっかり力を入れて振っていたからな。

 ゴルフの打ちっぱなしでは、クラブの振り方、インパクトの瞬間の力の入れ方を重点的に確認し、鑑定を掛けつつ練習した。
 以前おやじに連れられて一度だけ行ったことのある打ちっぱなしの練習場なんだが、端まで165ヤードの距離があって、前面に人工芝が広がっている。

 100ヤードと140ヤード付近には天然芝らしきグリーンがあるけれど、最初から俺がそんなところを狙えるほど上手なはずがない。
 ジュニア料金は安いので助かるよね。

 クラブはおやじの古い5番と9番を使った。
 以前、おやじが捨てようとしていたのをみて、捨てるぐらいなら俺にくれと言って、ドライバー1本と、3番、5番、7番、9番のアイアン4本、合計5本を貰ったんだ。

 結構汚れていたり、傷もついていたりするけれど、初心者の俺が使う分には全く問題がない。
 そうして自転車で運ぶのに沢山のクラブは無理だから、運びやすい5番と9番にした。

 これなら自転車のフレームにくくり付けられる。
 ゴルフの打ちっぱなしの練習場は一階席と二階席がある。

 どちらもティーショット用にボールが自動で出てくるフルオート・セッターなので手間要らずだ。
 90分無制限コースで、ジュニアは消費税込み1200円だ。

 最初は軽く打ってもまっすぐ飛ばすのが難しかったけれど、鑑定を掛けながら、スィングを修正していったら、制限時間の終わりごろにはほぼ狙った方向とポイントにボールを運べるようになっていた。
 別にプロゴルファーになるつもりはないけれど、おやじの様子を見ていると結構付き合いでゴルフをせざるを得ない場合もあるみたいだから、いずれ他のクラブでも試しておいた方が良いのかもしれない。

 この結果、5月1日は、ボーリングでは靴のレンタルとゲーム3セットで2450円、バッティング・センターでは1800円、ゴルフの打ちっぱなしで90分1200円、飲み物代で500円弱、合計5900円ほどが一日で飛んだ。
 俺の場合は、これまでに結構なお小遣いをもらっていたし、どちらかというと使わずに貯め込んでいた方だったから、左程痛手にはなっていないんだよ。

 いずれにしろ、5月1日の一日で、STR(筋力)、DEX(器用さ)、VIT(丈夫さ、持久力)、AGI(敏捷性)が軒並み上がったし、鑑定も上がった。
 ついでに空間、ベクトル、重力も上がったな。

 思い返せば、ほとんど無意識ながら、ボーリングでは、空間把握とベクトル制御をやっていたようだし、バットやゴルフクラブのスィングをするにも空間把握とベクトル制御それに重力制御をしていたようだ。
 俺の通っている高校では所謂ゲームセンターが有害指定されているんで、遊びには行けないんだが、ボーリングやバッティング・センターは特に問題が無いことを確認している。

 本当のところはゲーセンでシューティング・ゲームをやってみるのも一つの手かなと思っていたんだけれど、生徒手帳の「心得」の中にゲーセン禁止が明記されているんで止めておいた。
 その代わり、家でインターネット・ゲームのシューティング・ゲームをやってみたが、こいつでは射撃のLv値が上がらないということが確認できたのであっさりと諦めた。

 射撃については、玩具のピストルの方がLv値を上げられたよ。
 手製の小さな弓を作って的に狙い撃ちしたら、それでも弓術がLv1に上がった。

 弓術を本格的にやるなら、比較的手軽なところではアーチェリーなんだが、4年ほど前から道具の入手にも許可申請が必要になったから、今のところは取り敢えず様子見にして、もし必要になったら改めてまた考えることにしよう。

◇◇◇◇

 5月2日は、普通に授業があるから朝から学校だ。
 連休ボケなのか、みんな勉強に熱が入らないようだ。

 そんな中でも俺の斜め前に居る小林梓は、真剣さが違うみたいだ。
 きりりとした表情がとってもグーだぜ。

 一時限目と二時限目の休み時間にその小林梓が、座席に座っている俺に近づいてきた。

「秦山君、明後日の四日は何か予定が入ってる?」

「ン?
 いや、とくには無いけれど、何かあったか?」

「ううん、特には、・・・。
 ただ、先日私をかばってくれた時のお礼がしたくって・・・。
 秦山君さえ良ければ一緒に映画を見に行かない?」

「俺なんかに、そんな気を使う必要はないぞ。
 小林さんこそ、明後日は連休の中日だし予定があったんじゃないのか?」

「三日と五日には家族と一緒に動く予定があるけれど、四日は空いているの。
 だから、もう前売り券も買っているし、行こうよぉ。
 ダメかなぁ。」

 クソッ、上目遣いが、めっちゃ可愛いな。
 れちゃいそうだ。

「ダメってことは無いよ。
 判った。
 じゃぁ、行こう。
 何処の映画館?」

「□町の**シネマズ。
 映画は恋愛ものなんだけど・・・いいかなぁ?」

「ウーン、前売り券なんだろ?
 良いも悪いも無いよ。
 いつ、どこで落ち合う?」

「映画は10時20分から始まるから、午前10時に、映画館の入り口付近のロビーでどうかな?」

「おう、それでいいよ。」

「制服じゃなくって私服で来てね。」

「わかったけど、俺ラフな奴しか持ってないぞ。」

 俺の私服は、ほとんどがユ◇クロ製だな。
 但し、祖父母と母の影響で、和服なら数着あるんだぜ。

 羽織・袴もあるんだが、流石に映画身に行くのに和服の正装は無いよな。
 従って、ジーパンにTシャツどまりだぜ。

「うん、ラフで上等。
 但し、生徒証だけは持ってきてね。
 学割の前売り券なんだ。」

「前売り券に学割なんてあったか?」

「この映画だけ特別なの。
 ストーリが学園モノだから、高校生限定で学割の前売り券があるんだ。」

 そんなこんなで、俺は小林梓と初デートすることになった。
 女子の方から粉掛けこなかけされる男子って、ちょっとまずいかなぁ。

 男の矜持きょうじ沽券こけんなんてものは、そもそも持ってないけどさぁ。

 ◇◇◇◇

 5月3日は、またまたコンビニで買った弁当持参で山登り(登山というよりは、ヒルクライムぐらいだな)で、人目につかないところで訓練だ。
 例によって、頂上から北の方に続く尾根の道の途中にある開けた場所に行く。

 尾根からやや下っている場所だし、木陰になっているので、誰かが尾根の道を通っても見えない場所だ。
 尤も、幅が5m程度、奥行きが精々7m利度と狭いけれどね。

 走ったり跳んだりしなければ、少なくとも俺の部屋よりは十分に広い。
 今日は、『剣術』と『棒術』それに『採掘』をやってみようかと思い、杖代わりのモップの柄と小さな折り畳みスコップ、それにバールを持ってきた。

 本当はツルハシでもあれば良かったんだが、生憎と我が家にはツルハシなんぞは置いていない。
 最初に『剣術』と『棒術』だな。

 家でもできないわけじゃないんだが、我が家の私的な庭は祖父の盆栽が所狭しと置いてあるから、棒なんぞは中々振り回せないんだ。
 お弟子さんたちが使っているエリアには結構広い庭があるんだけれど、こっちは目立つから流石に棒きれを振り回したりはできん。

 無理に強行すれば、間違いなく、お袋さんから盛大なお小言が来る。
 この野外なら誰にも迷惑が掛からないから、いくら振り回しても大丈夫だろう。

 この為に、昨夜はネット動画で『剣術』と『棒術』の稽古場面を繰り返し見たよ。
 『剣術』なんぞ、見ただけで上達するとはとても思えないが、これまでのところ、なにがしかやっていると相応にLvが上がっているようなので、それに期待しているんだ。

 早速に素振りから始める。
 本当は木刀が良いのだろうけれど生憎とウチに木刀は無かったし、スポーツショップ辺りで買うとなればかなり高い物につくんだ。

 それで、物置の隅にあったモップので代用する。
 別に『剣術』やら『棒術』を馬鹿にしているわけじゃないぜ。

 できる範囲で訓練をしようとしているだけの話だ。
 もっとLv値が上がってからなら人目に付くところでやっても良いかもしれないとは思っているが、その際は流石にモップの柄じゃまずいよなぁ。

 必要であれば、木刀や杖術用の杖か金剛棒の購入でも考えてみよう。
 振る方向を色々と変えつつ、50回ほど素振りの練習をしてから型の練習に移った。

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