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第一章 与えられし異能

1ー1 プロローグ

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 俺は、秦山はたやま英一郎えいいちろう
 英一郎という少々古めかしい名前の所為せいで、時折、「お前、政治家にでもなるンか?」と友人に揶揄からかわれたりもするが、俺は何となく自分の名が気に入っている。

 今現在は15歳で、F市の東斗高校一年生だぜ。
 入学式の頃には、可愛いガールフレンドでも作って、楽しい学園生活をって、思っていたんだけれど・・・。

 バラ色の学園生活を夢見て入学した学校は、県下でも有数の名門高校だったんだが、見ると聞くとでは大違い。
 確かに秀才もいるのだろうが、人格的には問題の多い奴らが学内にはびこっていた。

 今日も今日とて、複数の生徒が寄ってたかって同級生のちょっと可愛い女の子をいじめているのを見かけ、見かねて注意をしたら矛先ほこさきが俺に向かってきた。
 女の子に対しては精々指で突っつく程度の扱いだったが、俺に対してはいきなり平手打ちから始まり、グーパンになり、キックを噛ますなど段々とエスカレートしてきた。

 昼休みの教室で、ほとんど無抵抗の俺をボコしてきたのは、同学年の男四人、女三人の都合7人だ。
 殴る蹴るの暴行が繰り広げられても周りの奴らは誰も動かない。

 と言うより、見て見ぬふりで逃げて行く。
 下手に動くと自分に矛先が向くとわかっているから、皆、暴行現場から離れて、遠くでこっそりと様子をうかがっている。

 俺はと言えば、昔から暴力は好きじゃなかったし、喧嘩などしたこともないから、ほとんど亀の甲羅こうらみたいに床に丸まって必死に耐えているんだが、そのうちに意識が遠のいた。
 それからふと目覚めると、殴る蹴るの暴行が途切れているので、ちょっと様子見に顔を恐る恐る上げてみると、目の前に白いあごひげのお爺さんが俺をのぞき込んでいるのがわかった。

 周りはと言えば、妙に白っぽい上に、俺が正座しているのは地面の上だろうけれど、その地面も空も何と言うか、境界が無いな。
 室内ならば壁や天井があるだろうし、屋外なら建物?田んぼや畑?水平線か地平線?若しくは山並みとかが見えるのが普通の筈だが、ここにはなぁーんにも無い。

 形あるもので見えるのは目の前の爺さん一人で、その爺さんの衣装も随分とっている。
 俺は文学少年じゃないからうまく表現できないが、白っぽい着物を着ている。

 和服?いや、どっちかと言うと中華に近いかも、・・・。
 何ていうか、仙人・・・なのかなぁ?

 ドラゴン◆ールに出てくる現代風いまふうの仙人じゃないぜ。
 総髪で、イメージ的にはマンガ三◆志に出てくる諸◆孔明の衣装に近いかもな?

 ほとんど装飾の無い二重ふたえの合わせ衣装だが、・・・。
 あれ?

 これって、ひょっとして神様?
 もしかして、俺、死んだ?

 そう思った瞬間、叱られた。

『馬鹿者、何を下らんことを考えておる。』

 あ、音声じゃない・・・。
 念話?みたい。

 俺の頭に直接響いてくる。

ワシは、元々はお前の遠い先祖にあたる守護霊じゃ。
 姓名をこう蓬莱ほうらいという。』

<へぇ、守護霊って、そんなの俺についていたんだぁ。
 でも何か中国っぽい名だね?>

『おう、確かに、儂が生きておったのは今から二千五百年ほども前の中国、時は春秋時代の末じゃな。
 お前の先祖は、その昔大陸からやって来た渡来人じゃて。
 帰化して倭人わじんとなったが、お前には漢族かんぞく胡族こぞく朝鮮族ちょうせんぞくの血も混じっておる。
 但し、百を超える世代交代の間に、混血を繰り返した結果、今ではそれら異国人の血は薄れてほとんど痕跡程度にしか無いがのぉ。
 お前は、それでも儂の直系の子孫じゃ。
 じゃによって、お前が生まれてすぐに儂が守護霊となっておる。』

<おじいさんが守護霊ってのはわかったけど、ここって霊界?
 もしかして俺死んだ?>

『放置すれば、お前は死ぬやも知れぬのぉ。
 が、お前はまだ死んではおらぬわい。
 じゃから、お前に力を渡しておく。
 二つの【R】じゃ。
 ReactionリアクションResistanceレジスタンスじゃ。
 横文字なのが、現代風いまふうで良かろう?
 それを使って、身を護れ。
 儂が守っても良いのじゃが、儂の居場所からはちと手加減が難しいでな。
 場合によってじゃが、力加減が過ぎると死人しびとが出るやも知れぬ
 それ故、面倒事が起きても人に頼らず自分でやりなされよ。』

<あ、なんだかんだと言って、この爺さん、守護霊の仕事を放棄しやがった。>

『ほう、放棄などと思うなら、本当にお前を廃棄するかの?
 先祖であり、守護霊である儂をさげすむなど、それこそ天罰に値するぞ。』

 うん、物凄い殺気を感じて瞬時にビビりました。

<御免、ほんの冗談です。
 悪気はありません。
 勘弁してください。>

 それにしても『Reaction』に『Resistance』か・・・。
 中学二年の理科にも出て来たような単語の気がするんだけど、本来の英語の意味からすると「抵抗」とそれに「反応」?「反発」?

〔Reaction: 反応、対応、反響、化学反応、反抗、対抗、反発、反作用、副作用、反動等〕
〔Resistance: 抵抗、反抗、反感、抵抗感、抵抗力、耐性、免疫力等〕

 どう解釈をしたら良いのかな?
 それに力と言ったよね?

 どんな力になるんだ。
 爺さんがにやりと笑った。

『開けゴマと念じてみよ。』

 えぇっ、ここ日本だよね?
 極東じゃなくって、中東なの?

 アリババの世界なのかな?
 でも、黄お爺さんの仰せに従って、「開けゴマ」って念じてみる。

 そう念じた時は、何となく恥ずかしくって、多分、俺の顔が赤くなっていたと思う。
 俺が念じてすぐに、俺の目の前に半透明なホログラムが忽然と出現したよ。

 なにこれ?
 ラノベのステータス?

名前 :秦山英一郎
種族 :ヒト族
年齢 :15歳
性別 :男
職業 :なし

覚醒レベル    :1
STR(筋力) :9
DEX(器用さ) :6
VIT(丈夫さ、持久力):8
INT(知性) :126
MND(精神力) :12
LUK(運)   :10
AGI(敏捷性) :8
CHA(カリスマ、魅力):5
言語理解    :1(+1)

― 何か注釈までついている・・・・。 ―

≪注釈≫
【覚醒レベル1】は、が覚醒した場合の初期値。
 因みに未覚醒者は、レベル0。

 十代半ばであればINT以外の数値は概ね一桁で、それも5~8の場合が多い。
 従って、全般的にみて数値的にはMNDとLUKを除いて至って平凡である。

 MNDとLUKも二桁に達しているが、さほど大きな数値ではないので普通よりやや上という程度。
 言語理解の(+?)は五段階で+5に至ると次の数値に上がる。

 因みに言語理解のMax値は「5」である。

【スキル】
鑑定術 :LV0
隠蔽術 :LV0
偽装術 :LV0
剣術 :LV0
槍術 :LV0
棒術 :LV0
弓術 :LV0
格闘術 :LV0
射撃術 :LV0

≪注釈≫
 スキルにおける各項目の「LV0」は、才能が無いという意味ではない。
 むしろ今後上昇する可能性のあるものを表示している。

 適性や才能の無い項目はそもそも表示されないが、稀に途中から適性が生じることもある。

【その他スキル】
調剤 :LV0
料理 :LV0
裁縫 ;LV0
採掘 :LV0
鍛冶 :LV0
闘気 :LV0

≪注釈≫
 その他スキルにおける各項目の「LV0」は、スキルと同じく才能が無いという意味ではなく、むしろ今後上昇する可能性のあるものを表示している。
 スキルと異なり、その他スキルは努力と訓練によって適性が生じることもある。
 スキルとの違いは「術」と付くかどうかであり、効果の大小とは無関係であり、ステータスの性質上「スキル」と「その他スキル」は自動で振り分けられる。

【ユニークスキル】
Reaction :LV1
Resistance :LV1


【属性―1】
燃焼 :LV0(反応速度による違い)
分子運動 :LV0(気体、液体、個体)
組成 :LV0

≪注釈≫
 【属性―1】とは、Reactionに関わる素因の属性

【属性―2】
光 :LV0
風 :LV0
聖 :LV0
熱 :LV0
音 :LV0
空間 :LV0
重力 :LV0
ベクトル :LV0
 
≪注釈≫
 【属性―2】とは、Resistanceに関わる要因の属性

【守護霊】
 もと仙術師 黄蓬莱

【称号】
 いじめられしレジスタンスの戦士


 俺のステータスをながめているうちに、白い異次元世界から元の世界に戻ったようだ。
 俺は盛んにキックを受けている最中だ。
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