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第八章 新型宇宙船
8-5 デンサルへの着陸は?
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シンビック号は既に連続遷移を終えて、主星デンサルの系内に入り込んでいた。
管制センターのモニターで見る限り、シンビック号は、空間構造震の補正装置を作動させている。
そこからデンサルの軌道衛星までは精々4時間の距離である。
私は定刻の5時半になると管制センターの当直体制を敷いて、他の職員を引き上げさせた。
当直は3名一組の4時間交代で行うことになっている。
その日は9人の職員と警備職員が泊まりになった。
通常ならば、夜間勤務の警備員を残して社屋は無人になるのだが、シンビック号が稼働している間は特別配置となるのである。
その間工廠の作業は一時中断している。
私は、後は当直に任せて家路に着いた。
我が家でも高次空間通信を通じてモニターでシンビック号の動静は確認出来るからである。
メィビスの時間では午後9時には軌道衛星周辺に到達していたシンビック号ではあるが、軌道管制に掴まって中々地上へ降ろしてもらえない状況に陥っていた。
如何に説明しようと管制官は僅かに10時間ほどでメィビスから到達した宇宙船であることを認めようとはしなかった。
シンビック号が管制圏内のセンサーに捉えられたのは僅かに数光分前のことであり、そこから異様な減速をしてきたことがわかっていても、ワームホールから出て来た宇宙船ではあり得ないので、メィビスから来たことを簡単には認めようとしないのである。
ワームホールは、恒星の黄道面から精々±20度までの範囲にしかないのが普通である。
しかしながらシンビック号は天頂方向から進入しているのでワームホールから入って来たものとは考えられていないのである。
無論ワームホール近くにある監視ステーションでもシンビック号の出入りが確認はされていない筈である。
その確認は往復で少なくとも80時間ほども待たなければならないことになる。
止むを得ず、シンビック号はそこで12時間ほど待機することにした。
理由は簡単である。
シンビック号がメィビスで登録されたばかりのクルーザーであり、デンサルのデータベースには載っていない船だったからである。
止むを得ず入星管理局の臨時の立入調査を認め、所持しているIDカードの確認を求めたのである。
乗員全員がメィビスの住人として登録されているからそのデータベースは中央政庁でも数年前から保存されている。
それと照合して間違いが無ければシャトル基地への着陸も認められそうだったからである。
そのためには入星管理局職員が各搭乗員のIDカードを確認の上、当該データを地上局に送って地上局データセンターからの返事を待つしかないのである。
その時間が凡そ12時間である。
乗員は朝早くから準備作業を行っており、既に15時間以上も働きづめである。
シンビック号は軌道衛星の周辺に浮遊しながら休息に入った。
データセンターからの回答は14時間後に来たものの、デンサルへの着陸許可は更に引き伸ばされた。
確かにメィビスからデンサルに来たのが間違いないことでは有ったものの、メィビスからの連絡が来るまでは鵜呑みにできないと中央安全保障会議が待ったをかけてしまったのである。
メィビスからの通報が来るまでにはどうやっても36時間以上もかかるのである。
そうしてメィビスでは未だ出発翌日の正午にはなっておらず、仮にメィビスの軌道衛星管理局が出発直後にデンサルに通報を送ったとしてもさらに24時間以上経たないとデンサルへは届かないのである。
メィビスの報道機関はメィビス発の速報としてデンサルにも流していたがその第一報が届くまでこの疑いは晴れないであろう。
シンビック号は衛星軌道に留まらざるを得なかった。
そんな折、メィビスにいる私の元へ一本のビデオフォンが入った。
昨日会ったばかりのメィビス首長マービン氏であった。
「やぁ、昨日はわざわざご足労頂いて本当にご苦労様でした。
報道を見る限り、どうやらシンビック号はデンサルには着いたものの、当局の了承が得られずに衛星軌道に留まっているようですね。
私の方は専門知識を有する者を当てて何とか通信装置を政庁舎内のネットにはつなげることができました。
今は更にメィビス所在の各官庁とのネットをつなぐように作業を進めているところなのです。
これで、シンビック号がデンサルに降り立って、デンサルの中央政庁に通信装置を渡し、向こうが通信装置を設定してくれれば私も久しぶりに首席代表と親しく話すことができるのだが・・・。
これでは、難しいようですな。
で、そこで相談なのだが、シンビック号に乗船中の御主人と私の間ではこの通信装置を使って話はできましょうか。
もしそれが可能ならば、御主人にメィビスからの外交クーリェ通信を代行してほしいのですよ。
我々も溜まっている外交文書を一掃できるし、外交クーリェでシンビック号がメィビス時間で昨日11時にメィビスを出発したことを公式に証明できると思うのです。
通常の手法で送っていたならば丸々二日掛けて届くことになるし、通信費用も馬鹿にはならない。
星系外通信はバースト通信でも非常に高額だからねぇ。
どうでしょうかな?」
「はい、首長閣下、勿論シンビック号との通信は可能です。
担当者にお知らせください。
お渡ししたマニュアルの中にも記載が有るのですが、シンビック号は外線102で登録されております。
外線101は我が社ですし、外線103は留守宅になっております。
因みにメィビス政庁にお渡しした機器は外線001、デンサルの中央政庁にお渡しする予定の通信機器は外線002になっています。
ですから恐れ入りますが担当者に言って、外線102とパラ接続の設定をするようにしてください。
シンビック号とつながります。
そこから先は通常のネット接続と余り変わりません。
大量のデータも送信可能です。」
「わかりました。
では外線102のパラ接続とやらを試してみましょう。」
その15分後、メィビス政庁とシンビック号がつながり、メィビス政庁から緊急用のバーストクーリェ通信がシンビック号に託された。
そのクーリェ通信がデンサルの中央政庁に向けてシンビック号から発信されるに及び、すぐにデンサルの公用シャトル基地への着陸が認められたのである。
事前に定められた暗号キーが付されたメィビス首長の電子署名のあるクーリェ通信を疑う官僚は居なかった。
通常のシャトルと同様高速で大気圏へ突入し、外殻を高熱で滅菌してから着陸態勢に入ったが、シャトルと異なるのは異様に早い速度でしかも垂直に降下することであった。
着陸許可がおりてから僅かに30分でシンビック号は、公用シャトル基地に着陸していた。
外殻が冷めるまで更におよそ30分の時間を要し、それから入星管理局の職員と共に中央政庁の幹部数人が船内に入ってきた。
管制センターのモニターで見る限り、シンビック号は、空間構造震の補正装置を作動させている。
そこからデンサルの軌道衛星までは精々4時間の距離である。
私は定刻の5時半になると管制センターの当直体制を敷いて、他の職員を引き上げさせた。
当直は3名一組の4時間交代で行うことになっている。
その日は9人の職員と警備職員が泊まりになった。
通常ならば、夜間勤務の警備員を残して社屋は無人になるのだが、シンビック号が稼働している間は特別配置となるのである。
その間工廠の作業は一時中断している。
私は、後は当直に任せて家路に着いた。
我が家でも高次空間通信を通じてモニターでシンビック号の動静は確認出来るからである。
メィビスの時間では午後9時には軌道衛星周辺に到達していたシンビック号ではあるが、軌道管制に掴まって中々地上へ降ろしてもらえない状況に陥っていた。
如何に説明しようと管制官は僅かに10時間ほどでメィビスから到達した宇宙船であることを認めようとはしなかった。
シンビック号が管制圏内のセンサーに捉えられたのは僅かに数光分前のことであり、そこから異様な減速をしてきたことがわかっていても、ワームホールから出て来た宇宙船ではあり得ないので、メィビスから来たことを簡単には認めようとしないのである。
ワームホールは、恒星の黄道面から精々±20度までの範囲にしかないのが普通である。
しかしながらシンビック号は天頂方向から進入しているのでワームホールから入って来たものとは考えられていないのである。
無論ワームホール近くにある監視ステーションでもシンビック号の出入りが確認はされていない筈である。
その確認は往復で少なくとも80時間ほども待たなければならないことになる。
止むを得ず、シンビック号はそこで12時間ほど待機することにした。
理由は簡単である。
シンビック号がメィビスで登録されたばかりのクルーザーであり、デンサルのデータベースには載っていない船だったからである。
止むを得ず入星管理局の臨時の立入調査を認め、所持しているIDカードの確認を求めたのである。
乗員全員がメィビスの住人として登録されているからそのデータベースは中央政庁でも数年前から保存されている。
それと照合して間違いが無ければシャトル基地への着陸も認められそうだったからである。
そのためには入星管理局職員が各搭乗員のIDカードを確認の上、当該データを地上局に送って地上局データセンターからの返事を待つしかないのである。
その時間が凡そ12時間である。
乗員は朝早くから準備作業を行っており、既に15時間以上も働きづめである。
シンビック号は軌道衛星の周辺に浮遊しながら休息に入った。
データセンターからの回答は14時間後に来たものの、デンサルへの着陸許可は更に引き伸ばされた。
確かにメィビスからデンサルに来たのが間違いないことでは有ったものの、メィビスからの連絡が来るまでは鵜呑みにできないと中央安全保障会議が待ったをかけてしまったのである。
メィビスからの通報が来るまでにはどうやっても36時間以上もかかるのである。
そうしてメィビスでは未だ出発翌日の正午にはなっておらず、仮にメィビスの軌道衛星管理局が出発直後にデンサルに通報を送ったとしてもさらに24時間以上経たないとデンサルへは届かないのである。
メィビスの報道機関はメィビス発の速報としてデンサルにも流していたがその第一報が届くまでこの疑いは晴れないであろう。
シンビック号は衛星軌道に留まらざるを得なかった。
そんな折、メィビスにいる私の元へ一本のビデオフォンが入った。
昨日会ったばかりのメィビス首長マービン氏であった。
「やぁ、昨日はわざわざご足労頂いて本当にご苦労様でした。
報道を見る限り、どうやらシンビック号はデンサルには着いたものの、当局の了承が得られずに衛星軌道に留まっているようですね。
私の方は専門知識を有する者を当てて何とか通信装置を政庁舎内のネットにはつなげることができました。
今は更にメィビス所在の各官庁とのネットをつなぐように作業を進めているところなのです。
これで、シンビック号がデンサルに降り立って、デンサルの中央政庁に通信装置を渡し、向こうが通信装置を設定してくれれば私も久しぶりに首席代表と親しく話すことができるのだが・・・。
これでは、難しいようですな。
で、そこで相談なのだが、シンビック号に乗船中の御主人と私の間ではこの通信装置を使って話はできましょうか。
もしそれが可能ならば、御主人にメィビスからの外交クーリェ通信を代行してほしいのですよ。
我々も溜まっている外交文書を一掃できるし、外交クーリェでシンビック号がメィビス時間で昨日11時にメィビスを出発したことを公式に証明できると思うのです。
通常の手法で送っていたならば丸々二日掛けて届くことになるし、通信費用も馬鹿にはならない。
星系外通信はバースト通信でも非常に高額だからねぇ。
どうでしょうかな?」
「はい、首長閣下、勿論シンビック号との通信は可能です。
担当者にお知らせください。
お渡ししたマニュアルの中にも記載が有るのですが、シンビック号は外線102で登録されております。
外線101は我が社ですし、外線103は留守宅になっております。
因みにメィビス政庁にお渡しした機器は外線001、デンサルの中央政庁にお渡しする予定の通信機器は外線002になっています。
ですから恐れ入りますが担当者に言って、外線102とパラ接続の設定をするようにしてください。
シンビック号とつながります。
そこから先は通常のネット接続と余り変わりません。
大量のデータも送信可能です。」
「わかりました。
では外線102のパラ接続とやらを試してみましょう。」
その15分後、メィビス政庁とシンビック号がつながり、メィビス政庁から緊急用のバーストクーリェ通信がシンビック号に託された。
そのクーリェ通信がデンサルの中央政庁に向けてシンビック号から発信されるに及び、すぐにデンサルの公用シャトル基地への着陸が認められたのである。
事前に定められた暗号キーが付されたメィビス首長の電子署名のあるクーリェ通信を疑う官僚は居なかった。
通常のシャトルと同様高速で大気圏へ突入し、外殻を高熱で滅菌してから着陸態勢に入ったが、シャトルと異なるのは異様に早い速度でしかも垂直に降下することであった。
着陸許可がおりてから僅かに30分でシンビック号は、公用シャトル基地に着陸していた。
外殻が冷めるまで更におよそ30分の時間を要し、それから入星管理局の職員と共に中央政庁の幹部数人が船内に入ってきた。
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