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第七章 二つの異世界の者の予期せざる会合

7-10 マルス ~迎撃と殲滅

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 やがてディラ号の見張りが水平線上に南下してくる大艦隊を発見した。
 徐々に近づく大艦隊は正しく雲霞の如くマストが林立していた。

 情報通り200隻を超える艦隊であるがそのうち半数以上は輸送船の筈である。
 前方を行くエドモン艦隊が更に速力を上げ、まっしぐらに敵艦隊のど真ん中に向かって行く。

 半刻も経たないうちに正面からぶつかることになる。
 ディラ号の艦首に立つリカルド将軍のはるか前方でエドモン艦隊が横一線に広がり、それから間もなく耳に砲声が聞こえた。

 その砲声を合図に、エドモン艦隊の艦首部から一斉に砲煙があがった。
 音は暫くしてからリカルド将軍の元へ達したが、その砲声は間断なく連続していた。

 如何様にしているかわからないが、エドモン艦隊は僅かな時間で連続的に大砲を放っているのである。
 おどろくべきことには、その命中率の高さと被害の大きさである。

 ロンド帝国軍の軍船が次々に火災を起こしているのが見える。
 僅かの間に50隻以上もの軍船が炎を噴き上げているのがリカルド将軍の目にも見えた。

 その間も間断なく続く砲声で、ロンド帝国艦隊は次々に破壊されて行った。
 半刻過ぎた時点で無傷で残っている船は皆無となっていた。

 ディラ号が戦場海域に到着した時点では船腹を破られ横転しているものや、船体中に広がった火災で猛烈な黒煙を噴き上げているものなど軍船と輸送船が無残な姿をさらしていた。
 気づくとエドモン艦隊の砲声は既に止んでいた。

 その内の一隻がディラ号に近づいてきた。
 乗員の一人が弓を構えていた。

 放たれた矢はディラ号のマストに突き刺さった。
 矢には結び文がつけられていた。

『エドモン艦隊はこれより二手に分かれ、10隻はカバレロへ、10隻はサバナス方面への支援に向かう。
 貴艦はここに留まり、遅れて到着する同盟国の軍船と共に翌朝より生存者の救助を行ってもらいたい。
 くれぐれも漂流中の将兵に注意あれ。
 気を許せば、貴艦が奪取される可能性もある。
 エドモン皇国国王デニス・エルフ・ブレディ』

 エドモン艦隊は既に二手に分かれ、一隊は北へ、更に一隊は西へ向けて航走を開始していた。
 リカルド将軍は目の前で起きたことながら未だに信じられなかった。

 僅かに1時かからずに2百数十隻もの大艦隊を打ち破ったエドモン艦隊である。
 これが仮にダーバンドの敵に回っていたらダーバンドの軍船など歯牙にもかけずに破壊されていただろう。

 リカルド将軍は思わず身震いをしていた。
 ここからカバレロまではエドモン艦隊の速力ならば1日ほどの距離、明日の朝にはカバレロの王都カバナス面前の泊地に到着するだろう。

 一方のサバナスまではエドモン艦隊の速力をもってしても三日はかかるであろうから、間に合うかどうか微妙な所である。
 その三日後、サバナス沖合に布陣する連合艦隊の斥候船が接近する大艦隊を発見、狼煙を上げた。

 その狼煙の方向へ向かって一斉に連合艦隊が動き出した。
 バルディアス艦隊60隻が先行し、その後をバハン侯国艦隊20隻とメザン王国艦隊6隻が追随する形になった。

 同日正午過ぎには互いの艦隊が視認できるようになった。
 バルディアス艦隊は60隻がまとまって動いていたが、そこから単縦陣形二つに分かれ、一方は大艦隊の西端へ、もう一方は東端へと針路を変えた。

 ロンド帝国艦隊は輸送艦を中心に置いた密集体型のまま南下してくる。
 それに向き合うようにバハン侯国艦隊とメザン王国艦隊はゆっくりと北上していた。

 東方向の単縦陣形の先頭船が4レグルまで近づいてから、発砲した。
 火炎弾は見事に命中し、ロンド帝国軍艦一隻が火だるまになった。

 それを皮切りに西方向の単縦陣形の艦隊も砲撃を始めたのである。
 たちまちのうちに軍船が次々に砲撃を受けて動けなくなっている。

 そうした船を避けるのに後続のロンド艦隊は右往左往し、中には衝突をしている船も数隻あった。
 ロンド帝国の先頭がバハン、メザン連合艦隊の前面6レグルに達した時、26隻の軍船は一斉に回頭し横一線の単縦陣として停止した。

 ロンド帝国艦隊はこれに向かって突っ込む形になる。
 距離4レグルで26隻の外舷から一斉に砲煙が上がった。

 先頭を走るロンド帝国軍艦は一斉に火を噴いた。
 その脇をすり抜けるように出て来た軍船も一斉砲火を浴びて、正しく粉砕された。

 後続部隊はこれを見て回頭を始めたが、前後が閊えて思うように回答できないでいる処を狙い撃ちにされた。
 後方に居たロンド艦隊は何とか回頭して一斉に逃走を図ったが、生憎と彼らの軍船の船足は遅かった。

 砲台を据え付けるために船底に大石などの重しを乗せたため、喫水が下がり、速度は左程あげられない船だったのである。
 そうして災危は北からもやって来た。

 横一線に広がった真っ赤な船体の艦隊10隻が砲煙を上げながらその進路を塞いだのである。
 ロンド帝国艦隊は次々と砲火によって破壊され、あるいは猛火に襲われていた。

 ロンド帝国艦隊からも数十発の砲弾が発射されたが、いずれも連合艦隊には届かなかった。
 ロンド帝国の砲弾は単なる鉄の塊であり、仮に当たっても連合軍の大砲のように火炎弾とはならないものである。

 ロンド帝国艦隊はなす術もなく、右往左往している間に全滅していた。
 その一日前、カバレロの王都カバナスも大いなる災危に見舞われていた。

 陽が沈んで1時余り経った頃、突如カバナス前面の泊地に停泊する輸送船10隻余りが轟音と共に火を噴きだし、次いで駐留軍が宿舎にしていた王宮が海上からの猛攻にさらされたのである。
 カバナスにいた奴婢の者達は事前に攻撃を知らされており、輸送船が火を噴くと同時に一斉にカバナスから避難して山間部へ逃れていたのである。

 駐留軍にとっては悪夢のような砲撃であった。
 空中で破裂した砲弾が小さな破片となって降り注ぎ、その一つ一つが爆発を起こすのだからたまらない。

 地上にいた者はその直撃で一瞬の内にバラバラの肉片と化したし、屋内にいた者は崩れた木材や石材の下敷きになって圧死していた。
 15万もの駐屯軍は一夜明けてみると僅かに千人に満たない人数にまで減っていた。

 その生き残った駐屯軍将兵も無傷の者はほとんどおらず、なおかつ追い打ちのように一旦は山間部に逃れた2万の住民に追い立てられて、次第に殲滅されて行ったのである。
 エドモン公国軍艦10隻はなおも北上し、途中で出会った補給船6隻余りを壊滅させ、ロンド帝国の補給廠となっていたオーガスト港を急襲、停泊していた輸送船を全て焼き払い、なおかつ陸上倉庫に保管していた補給物資を全て焼き払ったのである。

 さらにそこから東進して、ロンド帝国帝都であるロンダニアに海上から砲撃を加えた。
 この砲撃で、ロンダニアで華麗を誇ったロンダニア王宮は灰燼に帰し、皇帝一家の主なものはそのほとんどが砲撃で死亡した。

 ロンダニアは海岸から10レグルも離れており、まさかそこが砲撃されるとは夢にも思わなかったのである。
 ロンド帝国皇帝一家の内、災危を免れたのはたまたま王都を離れていた次男のサイボス王子と三女のローナ姫だけになってしまった。

 この二人と皇帝の縁戚である有力貴族達が、帝国の覇権を巡って種々の陰謀が一斉に動きだし、ロンド帝国はこの後四分五裂の内戦に入り、やがて帝国自体が崩壊することになる。
 いずれにせよエルモ大陸の災危は連合軍の一兵も失うことなく未然に防がれた。

 その功績の第一はバルディアス王国海軍とエドモン公国海軍、更にはバハン侯国海軍とメザン王国海軍の働きによるものであった。
 戦闘と後始末を終えて、マルビスに凱旋したバルディアス海軍は、国王と親衛隊の出迎えを受けた。

 戦勝の報告と凱旋の日を予め通知しておいたために、国王自らがマルビスへ出向いてきたのである。
 海軍提督であるサディス公爵には、王国では尤も価値のある大十字褒章が授与され、各艦長には大樹勲章が授与された。

 さらには、クレイン子爵とマルスには護国卿という新たな職が授与された。
 護国卿は必要に応じて、将軍よりも上位の階級として陸海軍を統率できる身分になる。

 戦などに際して王命が下った場合にのみ護国卿としての地位を活用できるに過ぎず、勝手に陸海軍を指揮することはできないが、王命が下った時には全ての軍を統括指揮できる立場になる。
 国王は、クレインとマルスがバルディアス海軍の再建と新装備の開発に多大な尽力が有ったことを知っていたのである。

 またマルスには男爵の爵位が授与された。
 未だ19歳にも満たない貴族の子息で男爵の爵位を与えられた者はいない。

 通常は20歳になって親の爵位に見合った爵位を与えられるのが普通であり、公爵の場合は子爵、侯爵又は伯爵の場合は男爵なのである。
 但し公爵の子息の場合は、王家の縁戚と言うことで例外的に扱われ、クレインは18歳で子爵になっている。

 マルスはカルベック領を引き継ぐことになるからいずれは伯爵となることがわかっている。
 子爵や男爵の子息の場合は、傭爵という特別の見習い爵位を与えられる。

 特に護国卿に任ずるという抜擢に際しては王宮貴族から多数の反対意見もあったものの、国王の鶴の一声で決せられた。

「彼の二人おらずば、如何にサディス公爵とて打つ手が無かったはずじゃ。
 誰が新型の軍船を設計し、誰が作ったのじゃ。
 また大砲は、誰が発案し、誰が作ったのじゃ。
 クレインとマルスの二人がいなければ、今頃は王都にロンド帝国の大軍が押し寄せていたのかもしれぬのだぞ。
 その功に報いるのは国王としての務めじゃ。」

 その年の秋口、アンリは18歳となり、マルスも19歳となって、二人は国王の許可を得て婚礼の日を迎えた。
 婚礼の式典は無論カルベック領で行われたのであるが、その前日には馬車を連ねて、エドモン公国国王夫妻もカルベック領を訪れていた。

 その親族一同は実に100名を超える大所帯であり、その従者を入れると実に300名を超える人たちがカルベックの街を占拠した。
 無論、サディス公爵を始めとするアンリの親戚筋も多数訪れ、さながら王都が引っ越して来たような賑わいを見せたものである。

 ノーマン・カルベックもレア・カルベックも健在であった。
 そうして二人が生きている間にマルスが嫁を迎えてくれたことを非常に喜んでいた。

 残る望みは孫の顔を見てからあの世に旅立つことだけであった。
 15年前に現れたマルスは実はエドモン公国国王の実の息子と聞いて驚き、マルスをお返ししなければならないと考えていたのであるが、マルスからその必要は無く、マルスはカルベックを継ぐつもりであるし、エドモン公国国王夫妻もそれを了承している旨を聞かされ本当に安堵したものだった。

 カルベックの館でエドモン公国国王夫妻とサディス公爵夫妻とも親しく語らって、その懸念も完全に拭い去ることができた。
 ロザリンはこの婚礼には参加できなかった。

 ロザリンはクレインの長男を二週間前に産んだばかりであったのである。
 その代わりにテレパスで二人にお祝いを伝えて来ていた。

 この後もサディス公爵家の跡取り夫妻とカルベック伯爵家の跡取り夫妻は遠く離れているにもかかわらず頻繁に交流をしていた。
 カルベックは金山のみならず様々な工芸品を生み出す産地としてエルモ大陸中に知られる地域となり、ノーマン伯爵が8年後60歳で没し、マルスが28歳で伯爵を継いだ時には、マルビスに並ぶ二大都市として知られるような隆盛を極めていた。

 マルスとアンリの間には二男三女の子が有り、カルベック領の前途は揚々としていた。
 またマルスが鍛えたカルベック騎士団は、バルディアス随一の精鋭部隊として知られる存在になっていた。

 彼らは剣や弓矢の鍛錬も怠ってはいないが、その精鋭部隊は砲術部隊と銃騎兵から構成されており、いかなる王国の軍隊であっても撃ち破ることができたのである。

 ********************************
 
 これで「マルス」の物語は一応の終了です。
 次回以降、「アリス」の物語をお楽しみください。
   
   By サクラ近衛将監
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