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第六章 それぞれの兆し

6-1 マルス ~兆しと対策

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 マルスの背丈が2レムの大台を超えて暫くして、マルスはマルビスを訪れた。
 警護の騎士団はマルスをマルビスまで送り届けるとカルベックに戻っていった。

 二度目のマルビス訪問は色々な意味で最初の訪問とは違っていた。
 マルスは大津波から復興一年目のマルビスを見ることができた。

 街並みは以前とは大きく変わっていた。
 海岸縁に立つ建物は海に関わるものばかりであり、住宅はない。

 倉庫や工人舎の工場が多少残され、魚市場がある。
 海女の工舎も元の場所に再建されたが、その全てがレンガ造りであり、三階建てになっていた。

 先頃の津波では三階でも津波には耐えられないだろう。
 だがさほどの大津波で無い場合には、あるいは耐えられるかもしれないとして海女の道具などは三階に保管してあるのである。

 サディス公爵の館から緩やかに伸びる坂道の周辺には被害に遭わなかった部分までがそのまま残ったが、それ以外は石造りの建物の商店を含めて全てが館の北側にある住宅街の目抜き通りに移ったのである。
 新しい商店街は復興の活況に支えられて繁盛しているようである。

 城壁の新たな拡張もかなり進んでいるようだった。
 硬質煉瓦を積み上げる工法であるから人手が必要であるが、一年経った今でも市民が総がかりで建設に参加しているのである。

 皆で分業して作業に出る日を決めていた。
 当番は10日に一度回ってくる。

 だが、それを誰も苦にはしていなかった。
 自分たちの生活を守るための賦役である。

 何よりも公爵一家も必ず10日に一度の賦役には参加しているからである。
 マルスもアンリと共にその賦役に参加することにしていた。

 また、マルスはアマンダに了解を得て、クレインを指導し始めていた。
 クレインはやや時間がかかったもののアンリと思念での交信ができるようになり、マルスとも交信ができるようになった。

 クレインは新たに開けた環境に驚きながらも、すぐに慣れたようだった。
 その際に、アンリからきつくクレインは縛められていた。

『お兄様、この力は人には決して知られてはなりません。
 人に知られれば命を失うことにもなりかねませんから、十分に注意してください。
 危険になるのはお兄様だけではありません。
 私やマルスもそうしてお父様やお母様にも危難が降りかかります。
 ですから女遊びになど絶対に使ってはなりませんよ。』

『おいおい、そんな風に見ていたのか。
 俺は確かに色々な女性とも付き合うが、滅多なことでは深入りはせんよ。
 本当に好きな娘が出て来ればどうなるかはわからんが、・・・。
 逆に本当に好きな娘にはなかなか手は出せんだろうな。』

『なるほど、クレイン殿も意外と純情で真面目なようですね。』

『そりゃぁ、そうだよ。
 仲間とつるんでいれば付き合いで少しは羽目を外さなければならんが、悪いことには手を出さないし、俺の性分として女を泣かしたりはしない。
 だからそうなりそうな気配が見えた時点で後ろに退くよ。』

『それが、傍目にはとっかえひっかえ女を変えているように見えるわけですね。』

『別に女をころころ変えているわけじゃないぜ。
 付き合いが深くなりそうな場合だけだ。
 女との友情があるかどうかわからんが、単に親しいだけなら続いているはずだ。
 だが、左程好きでもない女から抱いてとせがまれる様になったら、拙いからその前に逃げるだけだ。』

『その性で娘が泣いたとしても?』

『あぁ、傷物にして泣かせるよりはよほどましだろう。
 目の前で裸にでもなられた日には、さすがに抑えが利かなくなるかもしれん。
 少なくとも自分ではそうなっても抱かないで我慢できるという自信が無い。』

『お兄様、本当に好きな娘はいらっしゃらないの?』

『今のところぴんとくる娘はいないな。
 母上もお前も美人の系統だからな、ある意味で美人は見慣れてはいるものの、そこそこ見られる娘の方がいいのは確かだろうが、必ずしもそうでなくてもいいとは思っている。
 ただ、少し話して底が見えるような娘は嫌だな。』

『で、ロザリン嬢は?』

『ん?
 何でお前がその名を知っている?』

『あら、知らないのね。
 屋敷では有名な話よ。
 お兄様の寝言に出てきた女性だって・・・。』

『嘘だろう?
 俺が寝言でそう言ったのか?』

『そのようね。
 館の使用人ならば誰でも知っている噂よ。』

『ほうほう、で、何かロザリン嬢の事でわかりましたか?』

『まぁな、交易船に乗っている者から色々と情報は得られたよ。
 確かに美貌の姫様らしい。
 何でも貴族連中の中で結婚の申し入れをした者が居たようだが、4人は口頭試問で落とされたらしい。
 一人は口頭試問を何とかパスしたが、姫様と剣術の仕合をしてコテンパンにやられたようだ。
 少なくとも口頭試問をパスし、姫様との剣術試合に勝たなければ次に段階に行けぬようだ。
 宮廷女官に親戚筋の者がいる船員の情報では、姫様の剣術の腕前は王宮の剣術指南役と同等かそれ以上って話だそうだ。
 足がかり、手掛かりがない上に、そんな姫様に知恵で勝り、腕で勝るってのは、正直言って無理じゃないかって気がしているよ。』

『肖像画を含めて、勿論顔を見たことは無いでしょうね?』

『そんなもんあるわけないだろう。
 ひょっとして肖像画を持っているのか?』

『いいえ、持ってはいませんけれど、クレイン殿に見せることはできます。』

『じゃぁ、見せてくれ。
 まずは顔を拝んでから考える。』

 その途端、頭の中に綺麗な娘の顔が送り込まれた。
 美人である。

 それも極めつけの美人と言ってもいいだろう。
 クレインは思わず棒立ちになっていた。

 これほどの美人には出会ったことが無い。
 いや目の前にそれに匹敵する妹のアンリがいるのは確かであるが、アンリとは異なる美形がクレインを惹きつけた。

「凄い・・・。」

 クレインから出たのはその言葉だけで後が続かなかった。

「で、諦めますか?」

 マルスが意地悪く訊いた。

「馬鹿言え。
 顔を拝んで、はいそうですかと諦められるものか。
 とは言え・・・・。
 うーん。」

 アンリがからかうように言った。

「では、決まりですね。
 お兄様も明日の朝から武術の稽古です。
 それにお勉強の方も。
 マルス様が付いていればどちらも大丈夫です。」

「おいおい、マルスに稽古をつけてもらえば一角の武芸者になれるっていうのか。」

「はい、そうですよ。
 マルス様に適う者などいないと私は思っています。」

「それは惚れた者のひいき目と言うやつだ。」

「あら、実際に成人式の武術大会でマルス様は優勝しましたのよ。
 その折の上覧試合は私も拝見させていただきましたけれど、どなたが相手でも楽々と勝っておしまいになられました。
 傍目で見ていても子供と大人ぐらいの違いがございました。
 マルス様の動きについて行ける者はいないと言って過言ではありません。」

「成人式の武術大会など比較になるか。
 訓練を重ねたとは言ってもたかが15歳までの若造だ。」

「そう言うお兄様は武術大会で上覧試合に出られまして?」

「ん、いや、・・・その、・・・。
 あの折は調子が悪かった。」

「そうですわね。
 1日目で敗退されて、2日目には出られなかった。
 私が見る処、上覧試合に残られた方は結構な腕の持ち主でございましたよ。
 準決勝でマルス様の相手を務められたのは、王宮剣術指南役のコルム様の御長男カーライル様でした。
 王都ではそこそこ名の知られた剣士の筈です。
 お兄様もご存じではないのですか?」

「カーライルならば知っている。
 若いながらもコルム道場の小天狗と呼ばれている男だ。」

「お兄様と試合すればどちらが勝ちますか?」

「お前なぁ、兄貴をこき下ろしてどうするつもりだ。
 それよりも、マルス、何とかならんか?」

「何をでしょうか?」

「無論ロザリン嬢の話だ。」

「さて、御姫様の気持ち次第と言うところでしょうが、確かにロザリン嬢は自分よりも強く賢い殿方ならば嫁に行くと公言しております。
 クレイン殿がロザリン嬢を射止めんとするならば先ずその二つを成し遂げねば無理でしょうね。」

「マルスも冷たいな。
 他に手はないのか?」

「ありません。
 剣術の腕を磨き、知識を蓄えてからロザリン嬢に結婚を申し込まれたら宜しいでしょう。」

「あーあー、しょうがないか。
 取り敢えず俺も朝の稽古に付き合うよ。」

 マルスとアンリは顔を見合わせて微笑んだ。

 ◇◇◇◇

 マルスの滞在中にクレインの稽古と能力の育成に励んだほか、軍船の改良に取り組んだ。
 マルスは、改装なった造船所の船大工達に全く新たな発想の設計図を見せ、実際にそれを作り始めたのである。

 マルスの設計図で造られる船は、大木を必要としなかった。
 積み木のように薄板や木片を張り合わせて作る船であった。

 板目を交差することにより強度を持たせた構造材はこれまでのどの船よりも堅固にできるはずであった。
 しかも、張り合わせや組み合わせには高度の技術を必要とはしない。

 但し、部材の一つ一つの精度が要求された。
 そうした精度は船大工にとってお手の物でもあった。

 マルスの設計図は部材の一つ一つにまで及んでおり、その通り部材を作って行けば一隻の軍船が出来あがるはずであった。
 軍船は3つの帆柱を持つ大型船であるが、櫂はこれまでと同じ50本しかもたない。

 その代わりに帆桁の数が非常に多く、帆の数が非常に多いのが特徴である。
 これまでのバルディアスの軍船は帆柱が一つであり、大きな主帆と船首に張った一枚の三角帆だけである。

 だがマルスの設計した船は、角帆が7枚、三角帆が4枚も使う。
 そのために多数の綱と滑車が必要になった。

 綱と滑車についてもマルスは工人舎に発注して特別なものを造らせた。
 更に工人舎には、鋼鉄製の大砲を発注したのである。

 実際のところ鍛冶師は鋼の塊は作れなかった。
 手で打つ程度の力で造る鍛造はたかが知れている。

 だがマルスは薄い鋼板を作らせそれを何重にも重ねて砲身を造らせるように指示したのである。
 鍛冶師は試行錯誤しながら、手のひらほどのサイズの丸い鋼棒を作り、それを中心部に置いて巻きつけるように鋼板を丸めた。

 一旦形が決まると鋼棒を抜いて押し金を当てながら鋼板を溶着させた。
 実際のところは作るのは非常に難しく、当座は左程幅の無い筒状のものがうまく作れるかどうかを試しただけである。

 試行錯誤しながらなんとか三重に鋼板を巻きつけ溶着ができるようになって、マルスがカルベックに戻るころには本格的に設計図に基づいて砲身を作り始めたのである。
 上手くゆけば三月後にはマルスの考えている大砲が出来あがる目途がつけられた。

 それと並行して大砲に込める砲弾の作成も花火師に発注していた。
 真鍮製の薬きょうの中に火薬を詰め込み、火薬の力で砲弾を飛ばすことになるのだが、飛翔する砲弾にも仕掛けが施され、一定時間で破裂し、多量の火薬とジェリー状の可燃物が飛び散るように工夫がされていた。

 ジェリー状の可燃物はマルビスヤシの油を加工して作り上げたものである。
 マルスがマルビスを去る前には概ねその算段もつけられていた。

 炸薬の点火剤については別途マルスが造ることになっていた。
 マルスは撃針により発火するように特殊な点火剤を作ることにしていた。

 但し、この点火剤は扱いを間違えると危険なので、マルスが安全な作り方を検討してから工人舎に委託するつもりであった。
 当面は火薬に直接火をつけるような方法でも構わないのである。

 砲弾は当面50発を目途に試作を依頼したのである。
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