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3章.無神格と魔女の血
29『歪に傾いた帝国』
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南花達の目の前に、地下遊演地の支配人だったコルネッティの娘、【パネトーネ・バール】が立ち塞がる…
そのパネトーネの両側には、同じ士官学校の女生徒が数人、取り巻きとしている。
「久しぶりね…パネトーネさん、私に何か用かしら?」
アリサの言葉遣いは冷静だが、声色と瞳には警戒心が宿っている。
「(この人が…アリサを苛めていた人なの…)」
南花はアリサとパネトーネの双方に視線を向ける。
「そうよ、色々と聞きたいことがあるんだよね…でも、ここではなくて話しづらいから付いて来てくれる?」
パネトーネは、右手に持つ魔術書の背表紙を、左手にポンポンっと当てながら指示する。
「そう、分かったわ…皆は先に帰っていてくれるかしら…」
「アリサだけじゃなくて、そこの下女と首輪付き達のぜ・ん・い・ん・ねぇ!」
神妙な面持ちで応じるアリサに対して、パネトーネが語気を強め、言葉を訂正する。
「そう…私達にも関係あるんだ…付いていくよ。」
「(あの女の人が持っている魔術書…あたし達、地下道化師のチョーカーの権限が記載されている本だよね…)」
生死に関わる弱味を握られている以上、サクラ、アオイ、コマチも同行する他ない…
「分かった…付いていく。」
状況を察した南花も同意せざるを得ない。
「よし、じゃあついてきてね!」
パネトーネはわざとらしく手を軽く叩き、先頭を歩く…
その後ろを南花達5人が続き、最後尾にパネトーネの取り巻き達が並び、連行する標的を監視する。
ーーー
日中までは晴れていた空に、雲が立ち込めた事で、帝国東圏側の夕暮れが早まっていくなかカラスが鳴きながら飛んでいる…
街のガス灯がポツリ、ポツリと点灯していく坂道を、パネトーネと南花一行が登る。
「(どこに連れていくつもりなの?)」
坂道を登る南花の歩みは、幾分重たくなる。
すると、一人の女性の叫び声が聞こえてくる…
一行は声の発生源である、坂道の先に視線を向ける。
その先には、2つ持っている買い物袋の内、一つを落とした若い女性があたふたしている。
そして、買い物袋の中から複数個の柘榴が、南花達のいる方へ転がり下ってくる…
それを無視するパネトーネとは違い、南花とアリサが拾おうとするが…
「勝手に動かないでよね?」
パネトーネが魔術書をちらつかせて、その行動を抑止する。
その代わりに取り巻きの2人に拾うように指示を出す。
2人の内の1人は、脇道に逸れた柘榴を追いかける為に、パネトーネの視界から一瞬、姿を消し…そして、柘榴を拾い戻ってくる。
「ごめんなさい、助かりました。」
「全く…気を付けなさいよ」
礼を言った女性に対して、自ら動いていないパネトーネが言葉を吐き捨てる。
「あぁ、ご迷惑おかけしました…良ければ落としていない方の柘榴を差し上げますよ?」
「ふん、要らないわ!私、柘榴きらいだし~」
パネトーネは女性からの謝意を無下にするが…
「そうですか…では、有り難く頂戴しますね!」
アリサが微笑み、その善意を受ける。
「ちょ!ちょっと!勝手なことしないでよ!」
パネトーネが焦りながら注意を飛ばす。
「学生気分で仲良く遊びに興じるのも結構ですが…これから雨が降る予報みたいですし早めに帰ってくださいね。」
そう告げた女性は、坂道を登っていき、南花達の視線から消える。
「なんなの、あれ?…まぁ、いいから付いて来てよ」
パネトーネは首を傾げたあと、歩みを急ぐ。
ーーー
夕日が完全に沈む直前に、目的地である古びたレンガ倉庫に到着する。
「さぁ、入りなさい。」
パネトーネに促された南花達は、従う他ない。
そして、全員が倉庫内に入ると、最後尾の取り巻きが…
ガチャンっと重たい鉄製の扉を閉じる。
「それで…話って何かしら?」
重たい空間の中、アリサが再び問う。
「ア…あんた達のせい…なんだから」
先ほどの覇気のある様子と打って変わって、パネトーネは俯きながらアリサに近付くと…
「っカハァ!」
アリサが士官学校を去った事で首席の座を得た、パネトーネからくり出された鋭い蹴りを、不意に脇腹に食らったアリサは、その場にうずくまる。
アリサが手にしていた複数の柘榴が、周囲に散らばる…
「アリサ!ちょっと!いきなり、何なのよ!?」
唐突に向けられた暴力に南花が声を荒らげる。
「ふ…あはは…いきなり?」
俯いていたパネトーネは、敵意の視線を南花へ向け応える。
「あんた達が、いきなりアタシのパパを殺した癖に、何をほざいているのよ!」
殺人の冤罪を掛けられた南花とサクラ、コマチ、アオイの目が点になる。
「そ、そんな…あれは、私達じゃないの!信じて!」
サクラが慌てて弁解するが、命を奪われたコルネッティの娘の耳には届いておらず…
「うるさい!勝手に口答えしないでよ!」
パネトーネの激しい口調に呼応するかの様に、手にしている魔術書が光り出すと…
「いや…やめて…うぅ!」
魔術書の契約に基づき、サクラの首に巻き付く蛇の締め付けが強くなる。
そして、サクラは苦しみから、膝を付き倒れ込んでしまう。
「ほ、本当に違うから!サクラを解放してあげてよ!お願い!」
アオイが涙目になりながら懇願するが…
「動かないでって言ったよね?」
魔術書が更に点滅する。
「い、イヤァ!頭が…」
アオイの首にいた蛇は、頭へスルスルと移動し、こめかみ辺りを締め付け出す。
「お願いだ!止めてくれ!」
隣で倒れたアオイに、コマチが手を差しのべるが…
「パパを殺した、罰を受けなさいよ!」
パネトーネは涙を浮かべながら、コマチにも制裁を与える。
「だ、だから…違うと…かはぁ!」
コマチの蛇は腹部を締め付ける為に移動する。
「お願い…落ち着いて聞いてね?私達はコルネッティさんが殺害された時は、【暁の迷宮杯】に参加していたっていうアリバイがあるから無理なのよ。」
苦しむ友人達の姿に動揺を隠せない南花は、半ば自分自身に言い聞かせる様に伝える。
「うるさい!あんた達が完全勝利を達成したせいで、賭けに負けた観客の一人に殺されたんじゃないか?って憲兵の人から聞かされたのよ!」
取り出した回転式拳銃を南花に向けながら、パネトーネは言い放つ。
「つまり、それって…あんた達が殺したのと同じじゃない!」
更に強くなったパネトーネの言葉に応じて、魔術書の光りが強まると…
「うぅ!おえぇ…」
胃の締め付けが、更に強くなったコマチが嘔吐する。
「うっ!…うえぇ…」
コマチの嘔吐が、最後の一押しとなり…殺人者呼ばわりされ…
目の前で苦しむ友人達の姿に耐えきれず、南花も嘔吐する。
「ふっ…いいざまね…それでも、滅茶苦茶にされた私の人生は返って来ないのよ!」
「どういうことなの?」
パネトーネの嘆きに、蹴りの痛みから立ち上がった、アリサが疑問を浮かべる。
銃口をアリサに向け直したパネトーネが変わってしまった現実を語る。
「パパが死んでしまったことで…別の資産家が、あの地下遊演地を運営することになったのよ…そして、その資産家は…」
新たな支配人との初対面の時の記憶を思い出した、パネトーネの体が震え出す。
「自分自身への服従の証として、アタシに…乱暴したの…その上で5人目の妻になるように命じてきたの…」
パネトーネは、年頃の少女として涙を流す。
「この苦しみは、あなた達が生み出したのよ!」
言葉の暴力を向けられた南花は…
口を押さえた際に付着した、僅かに原形を残した休日の昼食を見ている。
「なによ…この歪に傾いた帝国…」
南花はパネトーネの言葉を無視し、苦笑し出す。
「なに、無視しているのよ!ねぇ!」
感情の高ぶりが最高潮に達した、パネトーネが握る回転式拳銃の引き金に手を掛ける。
そして、一発の銃声が、古びたレンガ倉庫内に響き渡る…
そのパネトーネの両側には、同じ士官学校の女生徒が数人、取り巻きとしている。
「久しぶりね…パネトーネさん、私に何か用かしら?」
アリサの言葉遣いは冷静だが、声色と瞳には警戒心が宿っている。
「(この人が…アリサを苛めていた人なの…)」
南花はアリサとパネトーネの双方に視線を向ける。
「そうよ、色々と聞きたいことがあるんだよね…でも、ここではなくて話しづらいから付いて来てくれる?」
パネトーネは、右手に持つ魔術書の背表紙を、左手にポンポンっと当てながら指示する。
「そう、分かったわ…皆は先に帰っていてくれるかしら…」
「アリサだけじゃなくて、そこの下女と首輪付き達のぜ・ん・い・ん・ねぇ!」
神妙な面持ちで応じるアリサに対して、パネトーネが語気を強め、言葉を訂正する。
「そう…私達にも関係あるんだ…付いていくよ。」
「(あの女の人が持っている魔術書…あたし達、地下道化師のチョーカーの権限が記載されている本だよね…)」
生死に関わる弱味を握られている以上、サクラ、アオイ、コマチも同行する他ない…
「分かった…付いていく。」
状況を察した南花も同意せざるを得ない。
「よし、じゃあついてきてね!」
パネトーネはわざとらしく手を軽く叩き、先頭を歩く…
その後ろを南花達5人が続き、最後尾にパネトーネの取り巻き達が並び、連行する標的を監視する。
ーーー
日中までは晴れていた空に、雲が立ち込めた事で、帝国東圏側の夕暮れが早まっていくなかカラスが鳴きながら飛んでいる…
街のガス灯がポツリ、ポツリと点灯していく坂道を、パネトーネと南花一行が登る。
「(どこに連れていくつもりなの?)」
坂道を登る南花の歩みは、幾分重たくなる。
すると、一人の女性の叫び声が聞こえてくる…
一行は声の発生源である、坂道の先に視線を向ける。
その先には、2つ持っている買い物袋の内、一つを落とした若い女性があたふたしている。
そして、買い物袋の中から複数個の柘榴が、南花達のいる方へ転がり下ってくる…
それを無視するパネトーネとは違い、南花とアリサが拾おうとするが…
「勝手に動かないでよね?」
パネトーネが魔術書をちらつかせて、その行動を抑止する。
その代わりに取り巻きの2人に拾うように指示を出す。
2人の内の1人は、脇道に逸れた柘榴を追いかける為に、パネトーネの視界から一瞬、姿を消し…そして、柘榴を拾い戻ってくる。
「ごめんなさい、助かりました。」
「全く…気を付けなさいよ」
礼を言った女性に対して、自ら動いていないパネトーネが言葉を吐き捨てる。
「あぁ、ご迷惑おかけしました…良ければ落としていない方の柘榴を差し上げますよ?」
「ふん、要らないわ!私、柘榴きらいだし~」
パネトーネは女性からの謝意を無下にするが…
「そうですか…では、有り難く頂戴しますね!」
アリサが微笑み、その善意を受ける。
「ちょ!ちょっと!勝手なことしないでよ!」
パネトーネが焦りながら注意を飛ばす。
「学生気分で仲良く遊びに興じるのも結構ですが…これから雨が降る予報みたいですし早めに帰ってくださいね。」
そう告げた女性は、坂道を登っていき、南花達の視線から消える。
「なんなの、あれ?…まぁ、いいから付いて来てよ」
パネトーネは首を傾げたあと、歩みを急ぐ。
ーーー
夕日が完全に沈む直前に、目的地である古びたレンガ倉庫に到着する。
「さぁ、入りなさい。」
パネトーネに促された南花達は、従う他ない。
そして、全員が倉庫内に入ると、最後尾の取り巻きが…
ガチャンっと重たい鉄製の扉を閉じる。
「それで…話って何かしら?」
重たい空間の中、アリサが再び問う。
「ア…あんた達のせい…なんだから」
先ほどの覇気のある様子と打って変わって、パネトーネは俯きながらアリサに近付くと…
「っカハァ!」
アリサが士官学校を去った事で首席の座を得た、パネトーネからくり出された鋭い蹴りを、不意に脇腹に食らったアリサは、その場にうずくまる。
アリサが手にしていた複数の柘榴が、周囲に散らばる…
「アリサ!ちょっと!いきなり、何なのよ!?」
唐突に向けられた暴力に南花が声を荒らげる。
「ふ…あはは…いきなり?」
俯いていたパネトーネは、敵意の視線を南花へ向け応える。
「あんた達が、いきなりアタシのパパを殺した癖に、何をほざいているのよ!」
殺人の冤罪を掛けられた南花とサクラ、コマチ、アオイの目が点になる。
「そ、そんな…あれは、私達じゃないの!信じて!」
サクラが慌てて弁解するが、命を奪われたコルネッティの娘の耳には届いておらず…
「うるさい!勝手に口答えしないでよ!」
パネトーネの激しい口調に呼応するかの様に、手にしている魔術書が光り出すと…
「いや…やめて…うぅ!」
魔術書の契約に基づき、サクラの首に巻き付く蛇の締め付けが強くなる。
そして、サクラは苦しみから、膝を付き倒れ込んでしまう。
「ほ、本当に違うから!サクラを解放してあげてよ!お願い!」
アオイが涙目になりながら懇願するが…
「動かないでって言ったよね?」
魔術書が更に点滅する。
「い、イヤァ!頭が…」
アオイの首にいた蛇は、頭へスルスルと移動し、こめかみ辺りを締め付け出す。
「お願いだ!止めてくれ!」
隣で倒れたアオイに、コマチが手を差しのべるが…
「パパを殺した、罰を受けなさいよ!」
パネトーネは涙を浮かべながら、コマチにも制裁を与える。
「だ、だから…違うと…かはぁ!」
コマチの蛇は腹部を締め付ける為に移動する。
「お願い…落ち着いて聞いてね?私達はコルネッティさんが殺害された時は、【暁の迷宮杯】に参加していたっていうアリバイがあるから無理なのよ。」
苦しむ友人達の姿に動揺を隠せない南花は、半ば自分自身に言い聞かせる様に伝える。
「うるさい!あんた達が完全勝利を達成したせいで、賭けに負けた観客の一人に殺されたんじゃないか?って憲兵の人から聞かされたのよ!」
取り出した回転式拳銃を南花に向けながら、パネトーネは言い放つ。
「つまり、それって…あんた達が殺したのと同じじゃない!」
更に強くなったパネトーネの言葉に応じて、魔術書の光りが強まると…
「うぅ!おえぇ…」
胃の締め付けが、更に強くなったコマチが嘔吐する。
「うっ!…うえぇ…」
コマチの嘔吐が、最後の一押しとなり…殺人者呼ばわりされ…
目の前で苦しむ友人達の姿に耐えきれず、南花も嘔吐する。
「ふっ…いいざまね…それでも、滅茶苦茶にされた私の人生は返って来ないのよ!」
「どういうことなの?」
パネトーネの嘆きに、蹴りの痛みから立ち上がった、アリサが疑問を浮かべる。
銃口をアリサに向け直したパネトーネが変わってしまった現実を語る。
「パパが死んでしまったことで…別の資産家が、あの地下遊演地を運営することになったのよ…そして、その資産家は…」
新たな支配人との初対面の時の記憶を思い出した、パネトーネの体が震え出す。
「自分自身への服従の証として、アタシに…乱暴したの…その上で5人目の妻になるように命じてきたの…」
パネトーネは、年頃の少女として涙を流す。
「この苦しみは、あなた達が生み出したのよ!」
言葉の暴力を向けられた南花は…
口を押さえた際に付着した、僅かに原形を残した休日の昼食を見ている。
「なによ…この歪に傾いた帝国…」
南花はパネトーネの言葉を無視し、苦笑し出す。
「なに、無視しているのよ!ねぇ!」
感情の高ぶりが最高潮に達した、パネトーネが握る回転式拳銃の引き金に手を掛ける。
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