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1章.地下遊演地

14『暁の迷宮杯・中編』

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 ビショップの門から僅かに見える道には、両サイドに壁が建っており、それに沿うように蝋燭灯の明かりが点在している。
そして、不規則に扉が複数個並んでいる。

地下道化師トネリコ3人の隊列は、銃身が短い水平二連式散弾銃ソードオフショットガンを持つコマチが先頭に立ち…

中間に立つ支援重視のコマチは、クロスボウを片手にバックパックを背負っており、そのバックパックにはポケットが多くあり、弾丸等の補給品や支援品が入っている。

後方から2人をサポートするサクラは、中折れ式の回転式拳銃リボルバーを手にしている。

「私達がビショップの門から先行するね。」
サクラが、南花とアリサの2人へ指示を出す。
「うん、私とアリサはルークの門から探索していくから。」
南花の提案にアリサは頷き同意する。

「それじゃあ、お先に行くぞ!」
「コマチ、あまり先走らないでよね。」
先頭に立つコマチが歩み出すのを見かねて、コマチがその後を追い…
南花とアリサへ気をつけてねっと言ったサクラは先行する2人の背中を追う。

「私達も与えられた仕事をこなさないとね。」
アリサは30口径の強力なライフル弾が撃てる、特殊な中折れ式の単発式拳銃シングル・ピストルに1発の鉛弾を装填する。

うんっと短く応えた南花も自作の愛銃リボルバーを右手で構え、ビショップの門とは違い片手で開く、ルークの門のドアノブを左手で回しゆっくりと開いていく。

ルークのドアノブを開けた南花の視線は、まず薄暗い小部屋全体を捉える…

次に微かな照明、射撃を行う際の遮蔽物として幾つか積み上げられている木箱。
そして、小部屋の置くに佇む、見覚えのある柘榴の木を視認する。

柘榴の木に扮した人型食虫植物ペルセフォネの弱点である、頭部の外皮に対して
南花の愛銃リボルバーでは有効打を与えられなかった事を、南花が思い出し一瞬、躊躇っていると…

「あの時の仕返しね…」
アリサが代わりに、単発式拳銃シングル・ピストルで狙いを付け発砲する。

すると、外皮を貫通し頭部へ致命的なダメージを負った人型食虫植物ペルセフォネ
苦痛から僅かに変形しながら倒れて、完全に沈黙する。

そして、すかさずアリサは、単発式拳銃シングル・ピストル銃身バレルを開放し、空薬莢を排出し次弾を装填する。
「うわぁ、装填早いね…」
アリサの無駄のない動作に、南花の口から称賛が溢れる。

「ありがとう。これでも、士官学校の首席だったから…それよりも、この部屋には木像は無いみたいね。」
小部屋内を改めて見渡したアリサが応える。

「次は、どっちに進む?」
南花は、今いる小部屋から更に枝分かれを示す、2つの扉を見る。

「そうね、直進してみましょう。」
アリサの提案に迎合した南花は、お互いの死角をカバーし合うように進む。

次の小部屋に先に踏み込んだ、南花の口角が僅かに上がる。
「アリサ、林檎の木像あったよ!」
錆び付いたドラム缶の上にある、林檎の木像の元に南花は警戒しつつ歩み寄る。

「えぇ、一歩前進ね…作戦通りに、残りの木像と杯の両方を同時に探しましょう。」
アリサは、シルクで編まれたショルダーバッグに、回収した木像を入れる。

更なる分岐を示す扉のうちの一つを警戒しながら、南花は新たなドアノブに手をかける。

ーーー

ビショップの門から続く道を、迷宮全体の中心部まで、直進し続けた地下道化師トネリコの3人…
異変に気付いたサクラが、最初に口を開く。
「可笑しい…今のところ、ビショップの道にある各小部屋へ通じる扉の数と配置が、前回と同じみたい…」

「そうなのか…気付かなかったな…」
完全勝利パーフェクトゲームを達成する為に、敢えて発動させた感圧式人型術式ゴーレムを、水平二連式散弾銃ソードオフショットガンを2発食らわし沈黙させたコマチは首を傾げる。

「やっぱり、そうだったんだ…」
アオイは、バックパックから取り出した発炎筒フレアを投げ、先の視界を確保する。

「取り敢えず、警戒しつつビショップの道を突き当たりまで進もう。」
2人に指示を出したサクラは振り返り、背後からジリジリと迫っていた人型食虫植物ペルセフォネに、回転式拳銃リボルバーの弾丸を数発撃ち込み沈黙させる。

ーーー

また、新たな小部屋に入ったアリサと南花。
「南花、一つ目の杯あったわよ。」
アリサはショルダーバッグから、林檎の木像を取り出し、レンガ造りの台座の上にある杯に設置する。

次の瞬間、木像の重みが加わった台座が若干、沈む。
すると、設置されていた蝋燭灯が、感圧式人型兵器ゴーレムに変形し…
近くにいた南花に拳を振りかざす。

「こんなパターンもあるの!?」
僅かに驚いた南花は、その拳を回避し、愛銃リボルバーの引き金を数回引き…
襲ってきた感圧式人型兵器ゴーレムは機能を停止する。

「アリサ、これを見て!」
南花の驚嘆の声に、アリサは、停止し崩壊したことで出来た感圧式人型兵器ゴーレムの瓦礫に目を向けると…
その瓦礫の中から、葡萄の木像が見える。

「本来なら、こんなパターンは、気付きにくいんじゃないかしら…」
「確かに、運が付いていたね。」
南花は嬉々としながら手に入れた葡萄の木像を、アリサに近付き、ショルダーバッグに入れる。

「スコアの現状を確認しないと…」
そう呟いたアリサは、迷宮がある舞台よりも、ワンフロア上の壁面に設置されたスコア表を見上げる。

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