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二章-首都の御三家-

17『源のしずく』

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 「お久しぶりです…テフナ姉さん。」
『洋食屋乃ルフラン』の店先でテフナと再会した、長い黒髪と目元のそばかすが特徴的な女学生は知人でありながらも、よそよそしく軽く一礼する。

「うん…久しぶりだね【しずく】ちゃん。」
テフナが歯切れの悪い感じで返事をした少女の名前は、【源しずく】である。

「テフナ姉さんが首都こちらへ来られていたことは、風の噂で聞いております…そして、その理由となってしまったレイ姉さんのことも…」
しずくがレイの名前を言った際に、僅かに語気に気持ちがこもる。

「そっか…しずくちゃんも源家の人間だしね。」
「いいえ、私は半端者のしずくですよ。」
テフナは慎重に言葉を選んだはずだが、しずくの逆鱗に触れてしまう。

「立ち話もこれくらいにして…続きは私の父も交えて家でしましょう。」
そう提案したしずくは、洋食屋から出てきた…桜、小町、葵、有左たちを一瞥するも挨拶はしない…

「えっと…しずくちゃん、初めまして…私は葵、戦マキナって言ってね…」
無視された事に戸惑いながらも葵が先に、自己紹介をする。

「それくらい知ってますよ…源坂…私もベッコウ師の訓練生ですので、半端者たちが出歩くようになったことくらい…」
しずくは含みのある嫌味を吐く。

「っう!(なに、この子)…そっか、ベッコウ師の訓練生なんだ、近いうちに一緒に討伐任務に就くかもね。」
怒りを飲み込んだ葵が、何とか歩み寄る。

「ちょっと、しずくちゃん…言い方ってものが…」
テフナがフォローしようとするが…

「テフナ姉さん…私の父も赤坂村での一件に関して当事者の声を聞きたいと思うので、ついて来て下さい。」
しずくはその言葉を遮り、テフナに対して促す。

「しずくちゃん、私も付いて行っても良いかな?(コイツの親の顔を見てみたい)」
葵は、不躾な態度を見せたしずくに対して好奇心が沸く。

「…はい、構いませんよ。」
一瞬、えっ?という表情を見せながらも…しずくは渋々、了承する。
「そっか、ありがとう。」
葵は敢えて声をワントーン上げて返事をする。

「ぅう…なんか気分が悪くなってきた気がするなぁ…」
大食いの挑戦を終えた小町の顔が若干、青くなっている。
「ちょっと…小町、大丈夫?」
桜が倒れそうになる小町を支える。

「私は、小町を連れて空軍の宿舎に帰るわ…」
桜は、テフナと葵に視線を向ける。

「私も海軍の方へ帰ります…これ以上は、姉妹達と影盛様に注意されますので。」
そう答えた有左は、葵から受け取った3つのリボンの中から、赤色の物で長い銀髪を結んでいる。

「それじゃあ、ここで解散だね。」
葵が別れの挨拶を告げる。
「あまり遅くならないようにするから、桜と小町…そして、有左さんも気を付けてね。」
そう葵に続けたテフナは、軽く手を振って…しずくの後を追っていく…
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