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46レミーの想い③

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「そういえば、まだ言ってなかったけど、私、このゲームを結構やりこんでいたんだ。
他の乙女ゲームと何か違うというか・・・とっても爽やかだったんだよ。」

「妹もそう言っていたよ。」

「妹さん? そっか。さっき私の中に入ってきたのは、あなたの妹さんだったのね。」

「ああ。」

「妹さんにきついこと言われちゃった。
『あなたなんかヒロインじゃない!』って。」

「・・・」

「私、もちろん自分がヒロインに転生したことに気づいていた。だから、それまでの記憶がなくても、何とかゲームの知識で生活できたんだけど・・・食べ物の好みや友人関係とか、全然ゲームでえがかれていなかったから、本当に困ったの。転生もののヒロインって、よくすぐに異世界に適応できたなって思ったわ。」

「環境に適応する天才なのかもな。」
某マンガのセリフを言ってみた。

「何それ。
でも、確かにそうかもね。

そして、私は天才じゃなかった。

環境に適応しようとしないで、小さな自分の居場所を守ろうとしたせいで周りの反感を買って・・・嘘で言っていたはずの『居心地の悪い』学校生活にしてしまった。

ものを隠されたり、汚されたり・・・
いじめられたのは本当なんだ。もちろん、今思えば自分のせいなんだけど。

それで、ライリー様達が犯人を探し始めて・・・フィーナ様がやったんだって言い出したの。証言してくれた令嬢がいるってね。」

「正直に言うと、私もそうなのかなって思ってた。だって、フィーナ様はゲームの悪役令嬢だから、ある意味、それが『普通』だと思ったの。」

まあ、確かにこの世界をゲームとして捉えるなら、それが普通なのかもしれない。

ただ、この世界はゲームかもしれないが、現実でもあるのだ。


「だから、シナリオがフィーナ様にとって悪いものになっていくことは仕方ないと思っていた。だって、私がヒロインで、フィーナ様は悪役令嬢なのだから。」
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