白の双剣士

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第二章 青の氷の悲しみを

第三十色 燃え上がれ、我が剣!

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 「『白壁』」



 〈白剣〉を直剣にした僕は右手でそれを持ち、構える。



 対してルミアは背後に『氷槍』を無数に展開する。



 その間には『白壁』。



 動かない。いや、動けない。



 その均衡を崩したのは――



 「『赤金光・陽昇サンライズ』」



 またしても、『太陽』だった。



 「『血染』『白斬』」



 すぐさま『白壁』を解き、『血染』、『白斬』を発動。

 ルミアもこちらに『氷槍』を向ける。



 ただ僕にはまだイメージできるものがある。



 先生という初めての僕以外の『白』との戦闘。



 僕は、『白』を自分自身だと考えている。だから、先生の『白星』を見た時、



 あぁ、僕には自分を『星』だと思うことは出来ない。



 そう思った。



 だがその戦いで、これならできると思ったことがあった。



 あの『光』。



 僕は常に『光』を放ち続ける『星』にはなれない。

 だが一時的になら強い光を放つことができる。

 たった一つ。



 『色』を『白』で染めるという点で。



 このたった一つの大きな自信。



 これだけで、『色』は使える。







 「『白光』!」







 『血染』によって〈白剣〉が『赤』く染まる。

 だがそれも一瞬。『白斬』によってその『血』が『白』に変わる。



 そして『白光』。これにより、『白』い『血』が『光』を放つ。



 「うッ!?」



 急に強い光を見たことでルミアが目をつぶる。その隙に『血染』、『白斬』

 いや、『白血染』を振り抜く。



 「ッ『青氷・杭』!」



 かろうじて当たる寸前でこちらを見たルミアは足から『杭』を出し、地面に差し込む。

 その『杭』は折れたが、吹き飛ぶ距離は軽くなる。



 「強いね…うん。強い。」

 「だけど、まだだよ。」

 「私には、まだ。」

 「これがある。」



 あの『太陽』が出てから夏のように上がっていた気温が一気に下る。

 辺りの『氷』だった水が氷になっていく。

 ルミアの足元から周りにどんどん氷が広がっていく。



 「『青氷・界』」



 「ッ『白壁』!」



 咄嗟に飛び、地面に触れない高さに『白壁』を出し、そこに乗る。



 その瞬間、辺りの地面、建物、飛んできた破片。

 全てが凍りつく。



 「あは。やっぱりこれだと『凍』らないよね。」



 足場の制限。恐らく地面に触れた瞬間『凍』る。

 しかもその動力は『色』。

 いくら辺りの気温が高くなろうと溶けることはないだろう。



 使える足場は『白壁』のみ。

 地面に『白染』をすることができればそこは使えるかもしれないが何より『白染』は発動に時間がかかる。

 使っている間に『凍』る。



 『白光』ならどうだ?



 「『白光』」



 一瞬光りに触れたところが溶ける。

 だが『白染』と違って『白』が濃くない。

 溶けたところがすぐさま『凍』っていく。



 「『青氷・槍』」



 構えていた『氷槍』が飛んでくる。回避は困難。迎撃。



 仕方ない。ぶっつけ本番だが。







 僕は現状『白壁』を二枚同時に貼ることは出来ない。さっき試したが僕のイメージが関係しており出来なかった。



 ただ『色』の使用中に別の『色』を使うのは慣れてきた。



 そして僕には、『赤』がある。



 レブからもらった物だから『赤』は『血』というイメージがあったが、それだと勝てない。



 固定観念を捨てろ。



 『色』は、自由だ。



 『解釈』を広げろ。







 「『赤血・多腕』!」







 背中の真ん中辺りから新たな『腕』が生える。

 そもそも『左腕』が出来ているんだから出来ないことはない。



 『背中』に〈白剣〉を。両手にレブと買ったあの『黒妖剣』を持つ。



 そしてその全てに『血染』をする。

 少し『血』が足りないのかフラッとしたが問題ない。このくらいなら。



 そして、『血』は『赤』。



 『赤』は、もっと近くに、使うやつがいた。







 「『赤血・燃』」







 三本の剣が、燃え上がる。



 「は、カイルのでしょ?私達を捨てたんじゃないの?」



 少しは思った。



 「僕は、忘れてない。」

 「どういう意味ッ!」



 確かに、ルミアからしたら意味がわからないだろう。



 原因は恐らく『白』にある。



 最近、記憶がよく『消える』。



 入学式の記憶、幼少期の記憶、人の名前、『灰』のサダと行った依頼の時の記憶。



 『白』を使えば使うほど『記憶』が『消える』。



 だから、その〈立場〉を捨てようと、『記憶』が失われていないなら、僕は使う。



 を、忘れないためにも。



 「『赤炎・飛斬』」



 三本の剣の『炎』を飛ばす。

 それを何故かルミアは避けることはしなかった。



 「。」



 『炎』がルミアに触れる。



 地面に『炎』が残る。



 そこにルミアはいなかった。
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