白の双剣士

ultimate!!

文字の大きさ
上 下
22 / 43
第二章 青の氷の悲しみを

第20色 都市の情報屋

しおりを挟む
 「よう〈情報屋〉。久しぶり。」



 なんの迷いのない足取りで路地裏を突き進んだワイドについていくと少し開けた場所に出た。

 そこには古ぼけた椅子とそれに足を組んで座り煙草を咥える男がいた。



 「おっ。ラフレの末裔じゃん。久しぶり。いや…いまは逃亡者の方がいいか?」



 こいつも僕らのことを知っているのか…そう思い軽く戦闘態勢を取ろうとするとすぐにあっちが否定してきた。



 「おうおうそんな警戒しないでくれよ。こっちは無力非力な一般人なんだ。そんな物騒なもん出されたら怖くて話もできやしない。」

 

 そう言いながらも〈情報屋〉はヘラヘラと笑いながらどこか余裕そうに語っている。正直僕が戦闘態勢を取っていてもこのままヘラヘラと話し続けているような気がしなくもない。ただワイドが一切戦闘態勢はおろか警戒すらしていないのを見て渋々ながら警戒を解く。



 「へえ?その割には人が気にしてるところを的確についてくるくらいには余裕そうだな?」

 「ま、それが俺の取り柄のもんで。」



 なんだろう。どうにも信用できないこの感じ。すごい薄っぺらいというか胡散臭いというか…



 「信用された無いねえ。ま、こんなやつのことは信用しないほうがあってるね。ただ〈情報屋〉なんでね。金さえ払ってくれれば情報は渡す。その情報については信用してもらっていい。金を貰ってるんだ。その金分の仕事はするさ。」



 なるほど。こういうタイプの人か。なんとなく人柄が少しはわかった気がする。少しは。



 「ところで、今日はなんの情報を聞きたいんだ?」

 「なんでそうなったかは省くが、〈怪鳥〉を討伐しないといけなくなった。だからそいつの詳細な情報がほしい。」

 「〈怪鳥〉ね。いいよ。渡してやる。久しぶりに来たんだ。今回はタダにしといてやる。」



 やけにあっさりと渡してくれるんだな…こちらとしてはありがたいがそのせいであちらの印象がより掴みづらくもなった。



 「勘違いすんな。コレに対する質問とか他の情報に関してはキッチリ金を請求するからな。」



 前言撤回。やっぱコイツは金の亡者だな。



 「で、〈怪鳥〉だったか?こいつは基本的にこの街を出て少し行ったところの平原にいる。そしてかなり体長がデカい。軽く3、4mはある…と思う。そしてこいつが〈怪鳥〉…いや、〈械鳥〉と呼ばれる所以だが、こいつの羽にある。コイツの羽は鉄で出来ている。境目は無理やり繋げたような歪な形になっているが、移動には何も影響はないらしい。」



 話を聞くだけでも嫌になるな。何より嫌なのは僕の『色』が恐らく一切通用しないということ。

 僕の『色』は対『色』に特化したようなものだ。だから、『色』以外のものに対しては完全に自分のみの力で戦うことになる。(『赤』はまだあまり使いこなせていない。)そうなるとワイドとレブに頼り切りになる。改めて思うが、『白』だけじゃなく早く『赤』も使いこなせるようにならないとな…



 「戦闘方法とかはわかったりするか?」

 「いや、俺の『色』でもその場面が見れなかった。なによりそいつは行商人とかを襲っていることが多い。そして討伐隊に関しては討伐隊が来る時のみ他の場所に逃亡している。だからこの〈械鳥〉が戦っている場所を禄に見れてないんだよ。」

 「なるほど…」



 戦闘方法がわからない…なら近接主体のことを祈ってカウンター気味に戦うのがいいか?



 「ありがとう。また来るよ。」

 「ああ。次からは金とるけどな。」



 そう言ってワイドは質問分の金を差し出し、僕たちとともに路地から外に出た。































 「そろそろ行ったかな。」



 ワイドたちが路地裏からでた事を視界拡張の『色』で確認すると、会話中常にポケットに入れていた手を引き抜き、空に向けてなにかのサインを送る。数秒後、その場所に一瞬にして光に包まれた女が現れる。



 「いやあ、悪かったね。君にこんな事を頼んで。〈長〉は聞いてみたけど大分あいつらに対して敵対的だったからさ。完全に中立な君の意見を聞いてみたくて。あ、ちなみに私はあいつら側だよ。」

 「へぇ!君があいつらについたのか。あんたはずっと中立だと思ってた。」

 「あいつらなら、このイカれた仕組みを、根本から変えてくれるような気がしてね。偶には賭けてみるのも有りなんじゃないかと思ったしね。」

 「なるほど?で、僕の意見だっけ?まあ、とりあえず〈械鳥〉次第じゃない?それ見てみない限りは何もわかんないだろうし。」



 南の都市サーシュ〈情報屋〉、『青』、その能力、『他の場所の状況を覗き見ることができる』



 「ラフレの末裔は、どんな感じになったのかね?」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...