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第二章 青の氷の悲しみを
第20色 都市の情報屋
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「よう〈情報屋〉。久しぶり。」
なんの迷いのない足取りで路地裏を突き進んだワイドについていくと少し開けた場所に出た。
そこには古ぼけた椅子とそれに足を組んで座り煙草を咥える男がいた。
「おっ。ラフレの末裔じゃん。久しぶり。いや…いまは逃亡者の方がいいか?」
こいつも僕らのことを知っているのか…そう思い軽く戦闘態勢を取ろうとするとすぐにあっちが否定してきた。
「おうおうそんな警戒しないでくれよ。こっちは無力非力な一般人なんだ。そんな物騒なもん出されたら怖くて話もできやしない。」
そう言いながらも〈情報屋〉はヘラヘラと笑いながらどこか余裕そうに語っている。正直僕が戦闘態勢を取っていてもこのままヘラヘラと話し続けているような気がしなくもない。ただワイドが一切戦闘態勢はおろか警戒すらしていないのを見て渋々ながら警戒を解く。
「へえ?その割には人が気にしてるところを的確についてくるくらいには余裕そうだな?」
「ま、それが俺の取り柄のもんで。」
なんだろう。どうにも信用できないこの感じ。すごい薄っぺらいというか胡散臭いというか…
「信用された無いねえ。ま、こんなやつのことは信用しないほうがあってるね。ただ〈情報屋〉なんでね。金さえ払ってくれれば情報は渡す。その情報については信用してもらっていい。金を貰ってるんだ。その金分の仕事はするさ。」
なるほど。こういうタイプの人か。なんとなく人柄が少しはわかった気がする。少しは。
「ところで、今日はなんの情報を聞きたいんだ?」
「なんでそうなったかは省くが、〈怪鳥〉を討伐しないといけなくなった。だからそいつの詳細な情報がほしい。」
「〈怪鳥〉ね。いいよ。渡してやる。久しぶりに来たんだ。今回はタダにしといてやる。」
やけにあっさりと渡してくれるんだな…こちらとしてはありがたいがそのせいであちらの印象がより掴みづらくもなった。
「勘違いすんな。コレに対する質問とか他の情報に関してはキッチリ金を請求するからな。」
前言撤回。やっぱコイツは金の亡者だな。
「で、〈怪鳥〉だったか?こいつは基本的にこの街を出て少し行ったところの平原にいる。そしてかなり体長がデカい。軽く3、4mはある…と思う。そしてこいつが〈怪鳥〉…いや、〈械鳥〉と呼ばれる所以だが、こいつの羽にある。コイツの羽は鉄で出来ている。境目は無理やり繋げたような歪な形になっているが、移動には何も影響はないらしい。」
話を聞くだけでも嫌になるな。何より嫌なのは僕の『色』が恐らく一切通用しないということ。
僕の『色』は対『色』に特化したようなものだ。だから、『色』以外のものに対しては完全に自分のみの力で戦うことになる。(『赤』はまだあまり使いこなせていない。)そうなるとワイドとレブに頼り切りになる。改めて思うが、『白』だけじゃなく早く『赤』も使いこなせるようにならないとな…
「戦闘方法とかはわかったりするか?」
「いや、俺の『色』でもその場面が見れなかった。なによりそいつは行商人とかを襲っていることが多い。そして討伐隊に関しては討伐隊が来る時のみ他の場所に逃亡している。だからこの〈械鳥〉が戦っている場所を禄に見れてないんだよ。」
「なるほど…」
戦闘方法がわからない…なら近接主体のことを祈ってカウンター気味に戦うのがいいか?
「ありがとう。また来るよ。」
「ああ。次からは金とるけどな。」
そう言ってワイドは質問分の金を差し出し、僕たちとともに路地から外に出た。
「そろそろ行ったかな。」
ワイドたちが路地裏からでた事を視界拡張の『色』で確認すると、会話中常にポケットに入れていた手を引き抜き、空に向けてなにかのサインを送る。数秒後、その場所に一瞬にして光に包まれた女が現れる。
「いやあ、悪かったね。君にこんな事を頼んで。〈長〉は聞いてみたけど大分あいつらに対して敵対的だったからさ。完全に中立な君の意見を聞いてみたくて。あ、ちなみに私はあいつら側だよ。」
「へぇ!君があいつらについたのか。あんたはずっと中立だと思ってた。」
「あいつらなら、このイカれた仕組みを、根本から変えてくれるような気がしてね。偶には賭けてみるのも有りなんじゃないかと思ったしね。」
「なるほど?で、僕の意見だっけ?まあ、とりあえず〈械鳥〉次第じゃない?それ見てみない限りは何もわかんないだろうし。」
南の都市サーシュ〈情報屋〉、『青』、その能力、『他の場所の状況を覗き見ることができる』
「ラフレの末裔は、どんな感じになったのかね?」
なんの迷いのない足取りで路地裏を突き進んだワイドについていくと少し開けた場所に出た。
そこには古ぼけた椅子とそれに足を組んで座り煙草を咥える男がいた。
「おっ。ラフレの末裔じゃん。久しぶり。いや…いまは逃亡者の方がいいか?」
こいつも僕らのことを知っているのか…そう思い軽く戦闘態勢を取ろうとするとすぐにあっちが否定してきた。
「おうおうそんな警戒しないでくれよ。こっちは無力非力な一般人なんだ。そんな物騒なもん出されたら怖くて話もできやしない。」
そう言いながらも〈情報屋〉はヘラヘラと笑いながらどこか余裕そうに語っている。正直僕が戦闘態勢を取っていてもこのままヘラヘラと話し続けているような気がしなくもない。ただワイドが一切戦闘態勢はおろか警戒すらしていないのを見て渋々ながら警戒を解く。
「へえ?その割には人が気にしてるところを的確についてくるくらいには余裕そうだな?」
「ま、それが俺の取り柄のもんで。」
なんだろう。どうにも信用できないこの感じ。すごい薄っぺらいというか胡散臭いというか…
「信用された無いねえ。ま、こんなやつのことは信用しないほうがあってるね。ただ〈情報屋〉なんでね。金さえ払ってくれれば情報は渡す。その情報については信用してもらっていい。金を貰ってるんだ。その金分の仕事はするさ。」
なるほど。こういうタイプの人か。なんとなく人柄が少しはわかった気がする。少しは。
「ところで、今日はなんの情報を聞きたいんだ?」
「なんでそうなったかは省くが、〈怪鳥〉を討伐しないといけなくなった。だからそいつの詳細な情報がほしい。」
「〈怪鳥〉ね。いいよ。渡してやる。久しぶりに来たんだ。今回はタダにしといてやる。」
やけにあっさりと渡してくれるんだな…こちらとしてはありがたいがそのせいであちらの印象がより掴みづらくもなった。
「勘違いすんな。コレに対する質問とか他の情報に関してはキッチリ金を請求するからな。」
前言撤回。やっぱコイツは金の亡者だな。
「で、〈怪鳥〉だったか?こいつは基本的にこの街を出て少し行ったところの平原にいる。そしてかなり体長がデカい。軽く3、4mはある…と思う。そしてこいつが〈怪鳥〉…いや、〈械鳥〉と呼ばれる所以だが、こいつの羽にある。コイツの羽は鉄で出来ている。境目は無理やり繋げたような歪な形になっているが、移動には何も影響はないらしい。」
話を聞くだけでも嫌になるな。何より嫌なのは僕の『色』が恐らく一切通用しないということ。
僕の『色』は対『色』に特化したようなものだ。だから、『色』以外のものに対しては完全に自分のみの力で戦うことになる。(『赤』はまだあまり使いこなせていない。)そうなるとワイドとレブに頼り切りになる。改めて思うが、『白』だけじゃなく早く『赤』も使いこなせるようにならないとな…
「戦闘方法とかはわかったりするか?」
「いや、俺の『色』でもその場面が見れなかった。なによりそいつは行商人とかを襲っていることが多い。そして討伐隊に関しては討伐隊が来る時のみ他の場所に逃亡している。だからこの〈械鳥〉が戦っている場所を禄に見れてないんだよ。」
「なるほど…」
戦闘方法がわからない…なら近接主体のことを祈ってカウンター気味に戦うのがいいか?
「ありがとう。また来るよ。」
「ああ。次からは金とるけどな。」
そう言ってワイドは質問分の金を差し出し、僕たちとともに路地から外に出た。
「そろそろ行ったかな。」
ワイドたちが路地裏からでた事を視界拡張の『色』で確認すると、会話中常にポケットに入れていた手を引き抜き、空に向けてなにかのサインを送る。数秒後、その場所に一瞬にして光に包まれた女が現れる。
「いやあ、悪かったね。君にこんな事を頼んで。〈長〉は聞いてみたけど大分あいつらに対して敵対的だったからさ。完全に中立な君の意見を聞いてみたくて。あ、ちなみに私はあいつら側だよ。」
「へぇ!君があいつらについたのか。あんたはずっと中立だと思ってた。」
「あいつらなら、このイカれた仕組みを、根本から変えてくれるような気がしてね。偶には賭けてみるのも有りなんじゃないかと思ったしね。」
「なるほど?で、僕の意見だっけ?まあ、とりあえず〈械鳥〉次第じゃない?それ見てみない限りは何もわかんないだろうし。」
南の都市サーシュ〈情報屋〉、『青』、その能力、『他の場所の状況を覗き見ることができる』
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