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第一章 その体に白を宿して
第十一色 黒の沼
しおりを挟む「何か、体に違和感…いや、体に変化は?」
「…幼少期の記憶が、強い印象を持っているものを除いて洗い流される、いや、消えました。」
消えた。そこに何かの記憶があったはずなのに思い出せない。
「そうか。他に異常は?」
他?他…
「体に纏わりつくような視線が消えた…?」
今になってわかった。今までは確実に何かに見られていた。なぜ今の今まで気づかなかったのか不思議なくらい違和感があったのに。
「…なるほど。とりあえず考えたいことも出来たから勝手で申し訳ないけど今日はここまでにしてもいいかな。」
「いいですけど…」
「悪いね。帰りはあっちだ。僕の『色』で町中に出るようになってる。」
「何から何までありがとうございます。」
「いやいいさ。それより、ここに入ること、考えておいてくれよ。」
「はい。では。」
話せば話すほど何か不気味な気配が纏わりつく感じがしたので僕はすぐに帰ることにした。言われた通りの扉を開けると一面の『黒』。あまりの濃い『黒』に踏み込むのを一瞬ためらうが、安全だと信じて踏み込む。すると、一瞬世界の全てが『黒』に染まる。まるで自分自身も『黒』になってしまったかのような。自分の中からも『黒』が湧き出ている気がする。溜まった『黒』の沼に引きずり込まれる?底がない。『黒』が自分の中にも侵食してくる。『黒』そのものになっていくような。『黒』になっていく。『黒』が心地良い。『黒』。あぁ『黒』。『黒』に身を任せて…『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』『黒』
『白洗』
目が覚める。自分が『黒』そのものになったような気がしたが、いつの間にか街に立っている。それよりも、先程までのことを何も思い出せない。さっきまで会っていたのが誰だったのか、何を言われていたのか…
「なんだこれ」
服になにか挟まっている。封筒?中には手紙。軽く読んでみるが、どうやらさっきまで会っていたであろう人が話していた内容をまとめてくれていたらしい。こうなることを見越していたのだろうか。そうだとすると底が知れないな…そう思いながらバルトまでの帰路を歩く。
「そこの君!ジューク君だろ!」
「は、はい。そうですけど…」
学校に着くなりそんなことを言われた。今日は部屋で手紙の内容を考えるつもりだったんだが…
「私と決闘をしないか!」
「!」
決闘。依頼ではないもう一つのポイントを稼ぐ方法。とりあえず上に上がりたいしここは…
「いいでしょう。受けて立ちます。」
「うむ!じゃあ学生証を出してもらえるか?」
「はいどう…」
2つの学生証を重ねた瞬間、その上に光が浮き出る。
「日付に希望は?」
「じゃあ明日にでもしましょうよ。」
ここにきて試験以外で初めての対人戦だ。少し高揚している。
「ハハッ。元気だな。元気なのはいいことだ!」
「そのとおりですね。」
そんな話をしている間に浮き出た光の文字に従い慣れた手付きで操作していく。
「これで手続きは終わりだ。では明日の13時に、闘技場で会おうか。」
「そうですね。また明日。」
「おっと。一つ言い忘れていた。」
「私の名前はグラド・ウォルだ。よろしく。」
「じゃあこっちも改めて。」
「僕はジューク・アイルです。よろしくお願いします。」
どこかで見たと思ったら試験の時にカイルとやり合っていた人か。色は『土』。その名の通り『土』の壁や柱で攻撃してくる。どう対処するか。
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