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第一章 その体に白を宿して
第五色 白い洗浄
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「『白洗』!!!!!」
その瞬間、体の中を『白』が駆け巡った。なぜかそう確信せざるを得ないなにかがあった。そして『白』が通ったところから『灰』による重さと『紫』による痺れが取れていく。体を『白』が通った一瞬のうちに僕の体を不調にさせていた『色』が全て消え去り、疲労以外なくなった。それを確認するとすぐに立ち、近づいてきていたサダの方を向き、構えを取る。
「な、なぜ動ける!『灰』の重さは続いているはず…!しかも『紫』の毒を大量に吸っている!なぜ、なぜ動けるんだァァァァァァ!!」
サダが理解できないと言う風に叫んでいるが、それに合わせるように周りに『紫』の霧が濃くなっていく。だが、それの対処法はもう知っている。イメージは両手の双剣に纏わせる感じ。
「『白斬』」
双剣の周りに白い膜ができる。その膜に触れた霧が膜に吸われていく。そして、一回戦で相手がしていた技、『緑突』を思い浮かべる。あれは槍を突くことでその方向に風を飛ばしていた。そのイメージがあるなら、僕にもできるはずだ。剣を振った方向に『白』の斬撃が飛び、全てを洗い流すように!
「『白斬・飛』」
「なっ、なぜ僕の霧が消える!お前は『色』を使えないんじゃなかったのか!?」
今の斬撃で霧を払った道を駆ける。向かう途中で再度剣に『白斬』を纏わせる。そして両サイドから両剣をサダに向けて切り払う。思ったよりサダが軽かったのもありサダがかなり吹き飛ぶ。再度距離を詰める途中で霧が晴れる。多少視界が良くなるが、そのまま勝負を終わらせる勢いで走る。だが、冷静さを取り戻したサダが短剣を構える。
「『色』を使われたものは仕方ない。なら、その能力で消せないほどの濃度の毒を食らわせるまでだ!」
両手から毒が集まり、紫の球体が作られる。
「『毒包』!これをくらえば終わりだよ!」
「上等!」
右手に『毒包』を持ったまま、サダは迎撃体制を取る。それに対して僕は…
「『白斬・飛』!」
予め纏わせておいた『白斬』を『毒包』に向けて放つ。しかしそれをギリギリで躱したサダは、体勢が整っていない僕に投げつけてくる。
「この距離なら避けられないな!」
『毒包』が間近に迫る。当たれば間違いなく負ける。明らかに今までの『紫』の霧とは濃さが違う。だが、ここで僕はカイルとの模擬戦を思い出す。出発数日前の模擬戦でカイルは、体に炎を纏うことで炎を体のどこからでも出せるようにしていた。だが、結局は炎なのですぐに解除されていたが…
僕なら体への影響はおそらく無い。なら、カイルのように体に纏い、防ぐ!
「『白鎧』!」
その瞬間、体が『白』の鎧に包まれる。そして、『毒包』が届く。が、『白鎧』に触れたところから白くなり、最終的に霧散する。そして『白鎧』が解除される。それを気にすることなくサダとの距離を詰める。
「負け、か。」
剣を振る瞬間、サダのその声が聞こえた。
「試合終了!勝者、ジューク・アイル!」
こうして僕は無事、目標であった実技試験を全勝で終える事ができた。
「やったな!ジューク!」
「うん!」
全試験を終えた僕たちは、明日の合否発表に備えて宿に帰っていた。『緑』の槍使いは、「バルトでまた会おう」とだけ言い残してどこかに行った。
「それよりほんとに『色』が使えるようになるとはねぇ」
「僕が一番驚いてるよ。まだわからないことも多いしね。」
特にわからないのは『白洗』だ。あれを使った時、体の中の『灰』、『紫』が取り除かれるだけでなく、それ以外の大切ななにかまで取り除かれる感覚があった。それもあって、『白洗』を積極的に使う気にはならない。
「そういえば、カイル達はどうだったの?実技試験。」
「俺はもちろん全勝!」
「私は3勝2敗ね。大体、全勝するあなた達がおかしいのよ。」
カイルは予想通りだったとして、ルミアは2敗して受かるのか…と一瞬心配してから、ルミアは頭がとてもいいということを思い出し、安心する。
「ジュークと初戦にやってた槍使い、あのあと戦ったけど、あいつは強いな。結構ヒヤヒヤしたぜ。」
「確かにあいつは凄く強かったな…」
今思い返してもあいつは強かった。槍の突きが異常に速く、あそこで避けられなければ間違いなく負けていた。
「ところでジューク。お前の『白』、まだ分かってないことばっかなんだろ?」
「あぁ、そうだね。」
「じゃあ、せっかくだし一回戦わないか?」
そう言って指さしたのは受験生の宿にこの期間だけ開放されている訓練場。今も数人が鍛錬や模擬戦をしている。
「あんた達、こんな試験した後に戦うとか正気?」
「今だからこそだろ。あの『色』を使えた感覚を忘れないようにだな…」
「そうだね。やろうか。」
軽く承諾した僕は、貸出用武器の中から剣を二本取り出す
「そうこなくっちゃなぁ!」
「この戦闘狂共は…」
カイルも剣を一本取り、対面に立つ。
「ルミア!開始の合図してくれ!」
「わかったわよ。ここまで来たなら付き合ってあげる。」
その言葉で、僕たちは構えを取る。
「試合、開始!」
その言葉で、僕たちは地面を蹴る。
その瞬間、体の中を『白』が駆け巡った。なぜかそう確信せざるを得ないなにかがあった。そして『白』が通ったところから『灰』による重さと『紫』による痺れが取れていく。体を『白』が通った一瞬のうちに僕の体を不調にさせていた『色』が全て消え去り、疲労以外なくなった。それを確認するとすぐに立ち、近づいてきていたサダの方を向き、構えを取る。
「な、なぜ動ける!『灰』の重さは続いているはず…!しかも『紫』の毒を大量に吸っている!なぜ、なぜ動けるんだァァァァァァ!!」
サダが理解できないと言う風に叫んでいるが、それに合わせるように周りに『紫』の霧が濃くなっていく。だが、それの対処法はもう知っている。イメージは両手の双剣に纏わせる感じ。
「『白斬』」
双剣の周りに白い膜ができる。その膜に触れた霧が膜に吸われていく。そして、一回戦で相手がしていた技、『緑突』を思い浮かべる。あれは槍を突くことでその方向に風を飛ばしていた。そのイメージがあるなら、僕にもできるはずだ。剣を振った方向に『白』の斬撃が飛び、全てを洗い流すように!
「『白斬・飛』」
「なっ、なぜ僕の霧が消える!お前は『色』を使えないんじゃなかったのか!?」
今の斬撃で霧を払った道を駆ける。向かう途中で再度剣に『白斬』を纏わせる。そして両サイドから両剣をサダに向けて切り払う。思ったよりサダが軽かったのもありサダがかなり吹き飛ぶ。再度距離を詰める途中で霧が晴れる。多少視界が良くなるが、そのまま勝負を終わらせる勢いで走る。だが、冷静さを取り戻したサダが短剣を構える。
「『色』を使われたものは仕方ない。なら、その能力で消せないほどの濃度の毒を食らわせるまでだ!」
両手から毒が集まり、紫の球体が作られる。
「『毒包』!これをくらえば終わりだよ!」
「上等!」
右手に『毒包』を持ったまま、サダは迎撃体制を取る。それに対して僕は…
「『白斬・飛』!」
予め纏わせておいた『白斬』を『毒包』に向けて放つ。しかしそれをギリギリで躱したサダは、体勢が整っていない僕に投げつけてくる。
「この距離なら避けられないな!」
『毒包』が間近に迫る。当たれば間違いなく負ける。明らかに今までの『紫』の霧とは濃さが違う。だが、ここで僕はカイルとの模擬戦を思い出す。出発数日前の模擬戦でカイルは、体に炎を纏うことで炎を体のどこからでも出せるようにしていた。だが、結局は炎なのですぐに解除されていたが…
僕なら体への影響はおそらく無い。なら、カイルのように体に纏い、防ぐ!
「『白鎧』!」
その瞬間、体が『白』の鎧に包まれる。そして、『毒包』が届く。が、『白鎧』に触れたところから白くなり、最終的に霧散する。そして『白鎧』が解除される。それを気にすることなくサダとの距離を詰める。
「負け、か。」
剣を振る瞬間、サダのその声が聞こえた。
「試合終了!勝者、ジューク・アイル!」
こうして僕は無事、目標であった実技試験を全勝で終える事ができた。
「やったな!ジューク!」
「うん!」
全試験を終えた僕たちは、明日の合否発表に備えて宿に帰っていた。『緑』の槍使いは、「バルトでまた会おう」とだけ言い残してどこかに行った。
「それよりほんとに『色』が使えるようになるとはねぇ」
「僕が一番驚いてるよ。まだわからないことも多いしね。」
特にわからないのは『白洗』だ。あれを使った時、体の中の『灰』、『紫』が取り除かれるだけでなく、それ以外の大切ななにかまで取り除かれる感覚があった。それもあって、『白洗』を積極的に使う気にはならない。
「そういえば、カイル達はどうだったの?実技試験。」
「俺はもちろん全勝!」
「私は3勝2敗ね。大体、全勝するあなた達がおかしいのよ。」
カイルは予想通りだったとして、ルミアは2敗して受かるのか…と一瞬心配してから、ルミアは頭がとてもいいということを思い出し、安心する。
「ジュークと初戦にやってた槍使い、あのあと戦ったけど、あいつは強いな。結構ヒヤヒヤしたぜ。」
「確かにあいつは凄く強かったな…」
今思い返してもあいつは強かった。槍の突きが異常に速く、あそこで避けられなければ間違いなく負けていた。
「ところでジューク。お前の『白』、まだ分かってないことばっかなんだろ?」
「あぁ、そうだね。」
「じゃあ、せっかくだし一回戦わないか?」
そう言って指さしたのは受験生の宿にこの期間だけ開放されている訓練場。今も数人が鍛錬や模擬戦をしている。
「あんた達、こんな試験した後に戦うとか正気?」
「今だからこそだろ。あの『色』を使えた感覚を忘れないようにだな…」
「そうだね。やろうか。」
軽く承諾した僕は、貸出用武器の中から剣を二本取り出す
「そうこなくっちゃなぁ!」
「この戦闘狂共は…」
カイルも剣を一本取り、対面に立つ。
「ルミア!開始の合図してくれ!」
「わかったわよ。ここまで来たなら付き合ってあげる。」
その言葉で、僕たちは構えを取る。
「試合、開始!」
その言葉で、僕たちは地面を蹴る。
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