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第一章 その体に白を宿して
第4色 紫の毒霧
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「試合、開始ッ!」
相手の武器は短剣。普段の僕なら対処はできるかもしれないが、この足・枷・とそれによる疲労のせいでとても普段通りの動きができるとは思えない。その状態で短剣の攻撃はキツイ。どう対処するか…
「『紫毒』」
開始早々『色』を使ってきた?だが、どこにも変化は…
「体が、痺れッ!?」
「流石に疲れているからか効きがいいねぇ。」
そういうことか!こいつの『色』は名前の通り「毒」!時間が経てば立つほど体が痺れ不利になっていく!なら、ダメージを受けること覚悟でこのまま…!
「オォォォォォ!!!」
「おぉ、怖いなぁ。もっと落ち着きなよ。」
そう言うと奴…サダは右手を上に挙げ
ズンッ!!!!
「グガァッ!」
「うんうん。あいつも仕事してくれたみたいだね。」
足・枷・による重さが更に増した!?この重さは足枷どころじゃない!だがこれ程の重さを使えるのなら『灰』の試合の時に使わなかったんだ?だが何にせよ今はこれの対処を
「お前今、何で急に重さが増したか考えてたんだろ。」
「ッ!」
考えていることを読まれた僕はそのまま立ち向かおうとするが、『灰』のあまりの重さに膝をついてしまう。そして奴がこちらに歩いて近づきながら話を続ける。
「流石の体力と根性だったが…『色』無しだとそれが限界、か。」
「ま、だ、!」
剣を支えにして足に力を入れようとするが、奴が近づいてきた事により『紫毒』の効果が濃くなり、体の痺れが強くなり、思ったように力が入らない。
「『灰』…ビクシスの『色』は重さ。一定距離内の物や生き物に「重さ」を上乗せする。この重さには上限があり、そこからいろんな物に割り振っている。ビクはそう言っていたね。」
体がもうまともに動かせなくなってきている僕は素直に話を聞く。
「さっきの話でなんとな~く察したかもしれないけど、僕はビクに頼んで、ビクの対戦相手に『灰』を付けてもらう。僕は対戦相手に『紫』を吸わせる。僕のは霧のようなものだからね。」
今の話が本当だとするなら…
「つまり、『灰』の能力を今、僕にすべて集約したということか?」
「そう!!いやぁ、話が早くて助かるね。ちなみにビクは5戦終わってそこの観客席で見てるよ。3勝2敗。負けたのは君と君の友達の『赤』の人だね。君たちちょっと強すぎない?『灰』が付いても動き回ってるの君たちだけだったよ?他の人は付けられて動きが鈍くなったところを叩かせてもらったけどね。」
どうやらカイルは勝ったらしい。
「なr」
もうまともに呂律も回らない。近づくとともに痺れが強くなるせいでもう体がほとんど動かせなくなってきている。
「あれ?もう限界?まぁ、流石に『紫毒』の霧をそこまで吸えばねぇ。少しでも動いてるのでもう僕はびっくりなんだけど。」
どうやら僕は相当に強い方らしい。そう認識したところで腕が限界を迎え、とうとう体が横に倒れる。
「ま、そこまで耐えたのも奇跡のようなもんなんだけどさぁ!」
「グフッ!」
脇腹を蹴られる。だが、せめてもの意地で、剣だけは地面に刺して離さない。
「へぇ…まだ離さないんだ。その無駄な意地も捨ててさっさと諦めなよ!」
そう言ってまた蹴られる。そして地面に刺していた剣が抜け、地面を転がる。
「なんだかかわいそうになってきたね。ま、『色』も使えないのにここまで頑張れたんだ。最後くらい負けてくれよ。」
毒が疲労とダメージと合わさって声も聞こえづらくなっている。だが、なにを言っているかはわかる。どうやら決めに来るらしい。流石に終わりか…というその時だった。
「『色』を使え!」
その声に首を向けると、一回戦で戦った『緑』の槍使いが、観客席で見ていた。今の問答が聞こえていなかったとしても、今までの僕の行動で流石に『色』が使えないということはわかっていると思うが。
「ハァ?こいつ、『色』使えないんだって。わかんねぇの?」
「使えないということは知っている!だが、私に勝ったんだ、お前は!これは理屈じゃないが、私に勝ったお前が、使えない、いや、使わないことは許さん!そいつに勝ちたいなら、今ここで使ってみせろ!」
すごい言葉だ。理論も理屈もない。ただ、今の僕にはその言葉がありがたかった。
「俺からも言わせてもらうぜ、ジューク!俺より剣の扱いがうまいお前が何で『色』を使えないか、疑問に思ってたんだ!親友として言わせてもらうが、お前の『色』を早く見たいんだよ!そして何より、ここの入学は俺達にとって第一歩なんだろ!なら、ここで『色』を使って、そいつに勝ってみろ!ジューク!」
その隣からはカイルが声を掛けてくれていた。そしてその二人が見ているのは…
「わ、私も!? …私もそいつムカつくから、『色』でもなんでもいいから、勝ちなさい!」
親友二人と対戦相手…いや、ライバルからここまで勇気付けられたのなら、使うしかない。
「さて、と。お友達の話はこれで終わりかな?ま、その程度で『色』が使えたら苦労してないのは、お前が一番分かってんだろ?」
今は理屈の話じゃない。前カイルに『色』のコツを聞くと、「その色のイメージをすること!俺ならその色といえば何か!思いつかないなら、その色がどんな働きをするかをイメージすりゃいいんじゃねーの?」と言っていた。ならその言葉に従うまでだ。白といえばはまだ分からないが、どんな働きをするかなら今は明確にイメージできる。
「ま、さっさと終わらせちまうぜ。」
体の中の不純物を白く洗い流す。洗濯みたいに、洗い流すと元の色の戻るように!そこまで思い浮かんだなら、後は名前を叫ぶのみ!
「『白洗』!!!!!」
相手の武器は短剣。普段の僕なら対処はできるかもしれないが、この足・枷・とそれによる疲労のせいでとても普段通りの動きができるとは思えない。その状態で短剣の攻撃はキツイ。どう対処するか…
「『紫毒』」
開始早々『色』を使ってきた?だが、どこにも変化は…
「体が、痺れッ!?」
「流石に疲れているからか効きがいいねぇ。」
そういうことか!こいつの『色』は名前の通り「毒」!時間が経てば立つほど体が痺れ不利になっていく!なら、ダメージを受けること覚悟でこのまま…!
「オォォォォォ!!!」
「おぉ、怖いなぁ。もっと落ち着きなよ。」
そう言うと奴…サダは右手を上に挙げ
ズンッ!!!!
「グガァッ!」
「うんうん。あいつも仕事してくれたみたいだね。」
足・枷・による重さが更に増した!?この重さは足枷どころじゃない!だがこれ程の重さを使えるのなら『灰』の試合の時に使わなかったんだ?だが何にせよ今はこれの対処を
「お前今、何で急に重さが増したか考えてたんだろ。」
「ッ!」
考えていることを読まれた僕はそのまま立ち向かおうとするが、『灰』のあまりの重さに膝をついてしまう。そして奴がこちらに歩いて近づきながら話を続ける。
「流石の体力と根性だったが…『色』無しだとそれが限界、か。」
「ま、だ、!」
剣を支えにして足に力を入れようとするが、奴が近づいてきた事により『紫毒』の効果が濃くなり、体の痺れが強くなり、思ったように力が入らない。
「『灰』…ビクシスの『色』は重さ。一定距離内の物や生き物に「重さ」を上乗せする。この重さには上限があり、そこからいろんな物に割り振っている。ビクはそう言っていたね。」
体がもうまともに動かせなくなってきている僕は素直に話を聞く。
「さっきの話でなんとな~く察したかもしれないけど、僕はビクに頼んで、ビクの対戦相手に『灰』を付けてもらう。僕は対戦相手に『紫』を吸わせる。僕のは霧のようなものだからね。」
今の話が本当だとするなら…
「つまり、『灰』の能力を今、僕にすべて集約したということか?」
「そう!!いやぁ、話が早くて助かるね。ちなみにビクは5戦終わってそこの観客席で見てるよ。3勝2敗。負けたのは君と君の友達の『赤』の人だね。君たちちょっと強すぎない?『灰』が付いても動き回ってるの君たちだけだったよ?他の人は付けられて動きが鈍くなったところを叩かせてもらったけどね。」
どうやらカイルは勝ったらしい。
「なr」
もうまともに呂律も回らない。近づくとともに痺れが強くなるせいでもう体がほとんど動かせなくなってきている。
「あれ?もう限界?まぁ、流石に『紫毒』の霧をそこまで吸えばねぇ。少しでも動いてるのでもう僕はびっくりなんだけど。」
どうやら僕は相当に強い方らしい。そう認識したところで腕が限界を迎え、とうとう体が横に倒れる。
「ま、そこまで耐えたのも奇跡のようなもんなんだけどさぁ!」
「グフッ!」
脇腹を蹴られる。だが、せめてもの意地で、剣だけは地面に刺して離さない。
「へぇ…まだ離さないんだ。その無駄な意地も捨ててさっさと諦めなよ!」
そう言ってまた蹴られる。そして地面に刺していた剣が抜け、地面を転がる。
「なんだかかわいそうになってきたね。ま、『色』も使えないのにここまで頑張れたんだ。最後くらい負けてくれよ。」
毒が疲労とダメージと合わさって声も聞こえづらくなっている。だが、なにを言っているかはわかる。どうやら決めに来るらしい。流石に終わりか…というその時だった。
「『色』を使え!」
その声に首を向けると、一回戦で戦った『緑』の槍使いが、観客席で見ていた。今の問答が聞こえていなかったとしても、今までの僕の行動で流石に『色』が使えないということはわかっていると思うが。
「ハァ?こいつ、『色』使えないんだって。わかんねぇの?」
「使えないということは知っている!だが、私に勝ったんだ、お前は!これは理屈じゃないが、私に勝ったお前が、使えない、いや、使わないことは許さん!そいつに勝ちたいなら、今ここで使ってみせろ!」
すごい言葉だ。理論も理屈もない。ただ、今の僕にはその言葉がありがたかった。
「俺からも言わせてもらうぜ、ジューク!俺より剣の扱いがうまいお前が何で『色』を使えないか、疑問に思ってたんだ!親友として言わせてもらうが、お前の『色』を早く見たいんだよ!そして何より、ここの入学は俺達にとって第一歩なんだろ!なら、ここで『色』を使って、そいつに勝ってみろ!ジューク!」
その隣からはカイルが声を掛けてくれていた。そしてその二人が見ているのは…
「わ、私も!? …私もそいつムカつくから、『色』でもなんでもいいから、勝ちなさい!」
親友二人と対戦相手…いや、ライバルからここまで勇気付けられたのなら、使うしかない。
「さて、と。お友達の話はこれで終わりかな?ま、その程度で『色』が使えたら苦労してないのは、お前が一番分かってんだろ?」
今は理屈の話じゃない。前カイルに『色』のコツを聞くと、「その色のイメージをすること!俺ならその色といえば何か!思いつかないなら、その色がどんな働きをするかをイメージすりゃいいんじゃねーの?」と言っていた。ならその言葉に従うまでだ。白といえばはまだ分からないが、どんな働きをするかなら今は明確にイメージできる。
「ま、さっさと終わらせちまうぜ。」
体の中の不純物を白く洗い流す。洗濯みたいに、洗い流すと元の色の戻るように!そこまで思い浮かんだなら、後は名前を叫ぶのみ!
「『白洗』!!!!!」
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