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3章
0.1
しおりを挟む「あ――――――――遅刻しちゃう」
バタバタと走る。
『寮では走るなよ』
摩利ちゃんに言われたことを守るように、寮までを猛ダッシュした。
「あはははは」
笑い声が聞こえる。
「今年から予科生かい?」
「はい。南條さくらです」
あー君が2番の子か。
「2番?」
名前張り出してあったろ?
「頑張ってな」
言うと、スッと入ってきた車の助手席にさっと乗り込むと車は走り去った。
寮の入り口に名前がある。
桜華が手を出す。
「2番とかすごいじゃん」
【入学式】
只今より入学式を始めます。
本科生歓迎の辞を、信条 円
「春の日差しのあたたかなこの良き日に、新しくこの宝塚音楽学校へ入学された予科生の皆様、おめでとうございます。
本科生信条 円です。
私達は清く、正しく、美しくをモットーに日々邁進努力していかねばなりません。
きついと思うその気持ちは、私達にとって最も不要な感情であると、今から認識してください。
毎日のように積み重なる塵1つないお教室は、これからの夢を売る私達の糧となることでしょう。
苦しい時こそ、わたくしたちは笑っていくのです」
新入生答辞、――総代桜華あんず。
「桜の咲くこの良き日に、この宝塚音楽学校の門をくぐることができました事を、新入生代表とし先ずは感謝の意を述べさせていただきます。
僅か2年の短い期間しかありません。この期間で私達はタカラジェンヌとして恥ずかしくない行いができるよう、日々生きてまいります。本科生の諸先輩方、並びに先生方、まだまだ右左もわからないひよこではございますが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
予科生代表桜華あんず」
令和2年4月20日
ーーーーー総勢40名 入学式を無事迎えた。
「明日から授業よな」
「えーもう?」
すみれが大きな声で騒いでいると
「そこ、廊下では騒がない!名前は?」
「下北すみれです」
「あーあなたが、そんなことだから最下位になるのよ」
「そんなに大きくはなかったと思いますが……それに順位は関係ない」
さくらが本科生に食って掛かる。
「やばいって、やめなよ」
桜華はさくらを止める。
「あなた名前は!」
「南條さくら、順位がそんなに大切ですか?」
「あなた何なの、本科生にその態度。ああ桜華さんあなたはいいわ。下北さんも気をつけなさい」
ぺこりと頭を下げて2人はすみれ寮に戻っていった。
「あなたね、本科生に口答えは……」
「口答えしたつもりはありません。私も失礼します」
「ちょっと……」
やっちゃった感満載かも……。
「ねーまずいって」
「謝ってきた方が良くない?」
えー?と思いながら、あまりにもサツキたちにも言われるので仕方がなしに廊下に出ようとした瞬間
勢いよく扉が開いた。
「南條さくらさん廊下に出なさい」
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