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6月
2話 晴れ間。
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昨日の雨が嘘のように今日はあっけらかんと晴れた。傘立てには梅雨に備えて持ってきた傘がカラフルに立てかけられていた。
廊下側の席の碧は授業も聞かず、筆箱がパンパンになるくらい詰め込んだいろいろなペンでその傘を描いていた。昨日の雨が乾ききらないその傘たちは突然の晴れ間に照らされて嬉しそうにきらめいていた。
「碧さん!」
突然さされた碧はびっくりして飛び上がった。ペンは何本も床に転がって、クラスメイトはくすくすと笑った。茜はあちゃーと手を顔に当て、萌黄は心配そうに口元を隠していた。
「また絵ですか?しっかり授業を聞いてください。」
ヒステリックに叫ぶ先生。すいません、と言いながら床に転がったペンを急いで拾う。起き上がりがけに頭を机にぶつけてうずくまる。教室はまたくすくす笑いに包まれた。
「碧、今日は一段とぼーっとしてない?」
購買部の列に並びながら、茜が心配そうに碧を覗いた。
「さっきは絵を描いてただけ。傘が綺麗だったから。」
碧はそう言って目を逸らしたが、あながち間違ってもいなかった。夢中で絵を描いているときは何も聞こえないし、何者にも邪魔されないはずだった。あの傘はとても綺麗でかなり熱中して描いていた。しかし、心のどこかでカナタと目が合う。カナタの声がする。振りほどこうとしてもふとした瞬間に無意識に思い出す。
「碧、カナタってやつ知ってる?」
胸が痛いほどにどきっとした。先生に突然さされたときもたしかに飛び上がるほどびっくりした。しかしなんだろう。同じところが痛いはずなのにカナタのことになると少し嬉しい。
「昨日、会った。」
「変なやつだよなあ。あいつ、萌黄狙ってるんじゃない?昨日一緒に帰ってるとこ見たけど、いい雰囲気だったよ。」
ゴシップ好きの茜は赤メガネをキラキラさせながらにやけた。碧はまた恥ずかしくなった。そしてまた、カナタのことを無意識に考える自分がバカらしくなった。
「知らない。」
カツサンドを手に走り去った碧の背に茜はますますにやけた。
「おもしろくなってきたな。」
廊下側の席の碧は授業も聞かず、筆箱がパンパンになるくらい詰め込んだいろいろなペンでその傘を描いていた。昨日の雨が乾ききらないその傘たちは突然の晴れ間に照らされて嬉しそうにきらめいていた。
「碧さん!」
突然さされた碧はびっくりして飛び上がった。ペンは何本も床に転がって、クラスメイトはくすくすと笑った。茜はあちゃーと手を顔に当て、萌黄は心配そうに口元を隠していた。
「また絵ですか?しっかり授業を聞いてください。」
ヒステリックに叫ぶ先生。すいません、と言いながら床に転がったペンを急いで拾う。起き上がりがけに頭を机にぶつけてうずくまる。教室はまたくすくす笑いに包まれた。
「碧、今日は一段とぼーっとしてない?」
購買部の列に並びながら、茜が心配そうに碧を覗いた。
「さっきは絵を描いてただけ。傘が綺麗だったから。」
碧はそう言って目を逸らしたが、あながち間違ってもいなかった。夢中で絵を描いているときは何も聞こえないし、何者にも邪魔されないはずだった。あの傘はとても綺麗でかなり熱中して描いていた。しかし、心のどこかでカナタと目が合う。カナタの声がする。振りほどこうとしてもふとした瞬間に無意識に思い出す。
「碧、カナタってやつ知ってる?」
胸が痛いほどにどきっとした。先生に突然さされたときもたしかに飛び上がるほどびっくりした。しかしなんだろう。同じところが痛いはずなのにカナタのことになると少し嬉しい。
「昨日、会った。」
「変なやつだよなあ。あいつ、萌黄狙ってるんじゃない?昨日一緒に帰ってるとこ見たけど、いい雰囲気だったよ。」
ゴシップ好きの茜は赤メガネをキラキラさせながらにやけた。碧はまた恥ずかしくなった。そしてまた、カナタのことを無意識に考える自分がバカらしくなった。
「知らない。」
カツサンドを手に走り去った碧の背に茜はますますにやけた。
「おもしろくなってきたな。」
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