転生したら遅刻女子のくわえるパンだった。

俺の巻

2話 遅刻2

彼女はやっぱり再び俺の前に現れて、俺を突き飛ばした。

ポーーーン！

「はっ！！！ま、またやってしもた…。ごめんなさい！！！あの、こないだの…ほんとごめんなさい…」

「大丈夫ですよ。会社この辺りなんですか？」

俺は彼女の資料を集めながらそれとなく聞いた。

「あ、はい。あまりに遅刻が過ぎるので、会社の近くに住むことにしたんです。そしたらね、余裕ができた分余計に寝坊しちゃって。」

あははと笑う彼女はまるで天使のようだった。

俺はわざとゆっくり資料を集めていた。

「そうなんだ。俺もこの辺に勤めてるのでご近所さんですね。」

「あの…また突き飛ばしちゃうかもしれません。」

彼女は顔を赤くしながら恥ずかしそうに言った。

「大歓迎です。」

しまった。これでは俺がまるで変態のようだ。
そういう癖なんてないのに。しまった。
引かれたかもしれない…。


「あはは。じゃあ遠慮なく突き飛ばしますね！あっ、遅刻しそうなんやった。じゃあまた！」

彼女はケラケラと笑ってヒールを鳴らして走っていった。俺はぶつかった右肩の痛みを愛おしく感じながら小さくなっていく彼女をずっと見ていた。