笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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まだ低い順位

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約束もなくメルト子爵邸に押しかけたヒューゴ様が応接間に入室した。

「失礼、子爵」

「いいですよ。どうぞおかけください」

「駄目です。ヒューゴ様は立っていてください」

「え?」

セルヴィー邸うちでも許されませんが、他家なら尚更です。
あの地に向かうことになりそうですが、ヒューゴ様はお誘いしません」

「ティナ!?」

「ジオ家のご令息だとしても、の行動は問題です」

「……」

「これが、私が関わることで起こってしまっているのなら、公子との関わり方を変えねばなりません」

「クリスティーナ様、何もそこまで」

「そうよ ティナ」

「公子が可哀想じゃない」

ユーグ様やエルザ達が間に入っても、私はじっとヒューゴ様を見つめて待った。

「…メルト子爵、大変失礼しました」

ヒューゴ様は謝罪をして帰ろうとした。

「待ってください。
ジオ公子、同席してください。
彼は私が招待しました。クリスティーナ様もご令嬢をおふたり連れていらしているのでいいですよね?
ジオ公子、どうぞ客人としておかけください。
この先は、私はセルヴィー伯爵との話し合いが発生するはずです。ジオ公子にはメルト側についていただけますか」

「俺ですか?」

「はい。どう考えてもセルヴィー伯爵と若輩者の私では格差がありすぎます」

「ユーグ様、ヒューゴ様は私の、…っ!!」

私ったら…何を口走って…

「「ふふ~ん」」

でた…

「私の~?」

「あらあら~?」

エルザとジネットはニマニマして私を揶揄うし、ユーグ様はニコニコしているし、ヒューゴ様は一瞬喜びの顔を見せたけど…

「クリスティーナ、俺は今回だけメルト子爵側につこう。まあ、俺がいても存在感しか役立たないけどな」

「決まりですね。恋人をお借りしますが恨まないでくださいね、クリスティーナ様」

「ユーグ様まで揶揄うのですか?」

「いいえ、大真面目ですよ」


エルザとジネットを送ってから屋敷に戻ってきた。

「誰? ジオ家に私の予定を漏らしているのは」

そう聞いてみたけど“私です”なんて言う人はいなかった。



【 ヒューゴの視点 】

屋敷に戻って自室のソファに座り背もたれに身を預けた。

「はぁ…」

「メルト邸でお会いできましたか?」

「会えたが怒らせた」

「クリスティーナ様が?」

「何もなしに押しかけたからな」

「でも 追い返されなかったのですね?」

「子爵のおかげだ。
父親の死によって早々子爵となったが、なかなかいい男だ。下手には出ているが賢い。本当はクリスティーナだけを相手にしていればいいのに、俺に恩を売るのだからな。小さな恩だがクリスティーナ絡みなら 何処かで返さなくてはな」

「メルト子爵はヘインズ伯爵家と交流のある家門ですよね」

「本当の友人ということではない。
友人ならシャルル・ヘインズに話すはずだ。だが、個人的に会ったことを知らせていないようだ」

“ヘインズ夫人のパーティのときに騒いでいましたが、クリスティーナ様が釘を刺しましたし、シャルルが居ても邪魔にしかなりませんよ”とはっきり言っていた。

危なかった。
婚約解消した後のメルト子爵とクリスティーナの再会より、俺との出会いが先で助かった。
そうでなければ俺にチャンスは無かったかもしれない。

シャルル・ヘインズが婚約者でも 構わずヘインズ抜きで会うくらいだ。俺の存在がなかったら、子爵はクリスティーナをじわじわと口説いただろう。

「この土地に調査員を送ってくれ。あそこでセルヴィー主体でメルトが事業を起こすはずだ。
危険箇所があるなら知っておかないと」

「すぐに向かわせます」


今回、クリスティーナにとって俺の順位がまだまだ低いことを実感した。
家族、家門、親友、婚約者、そして仕事より俺は下のようだ。

卒業したら結婚の日を決めて、その日に向かって準備が進むはずだ。教会を予約しドレスを作らせ 招待状を送る。招待状を送ったら 破棄でしか結婚を止めることができないかもしれない。
破棄にする方法はいくつかあるが、クリスティーナの有責にすることは絶対に避けたい。

サブマ草の事業に関わって、しっかりとジオ家がクリスティーナの役に立つことを証明しなければ。

…関われることがあればの話だがな。
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