笑顔で冷遇する婚約者に疲れてしまいました

ユユ

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大公の謝罪

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エンブレーズ大公女に水をかけられてから12日後、王都内の店にいたときだった。私兵が追いかけてきた。

「お嬢様!」

「アミル…どうしたの?」

「王宮から迎えがっ」

「えっ!?」

「戻り次第来て欲しいと」

「迎えてって馬車が?」

「はい。ひとまず待つと仰って」

「今すぐ帰るわ、アミルは先に戻って私が戻ることを伝えてちょうだい。身支度の準備をさせて」

「かしこまりました」


急いで屋敷に帰るとテモス卿が待っていた。

「テ、テモス卿」

「急に申し訳ございません。セルヴィー伯爵令嬢にご挨拶を申し上げます」

「ごきげんよう、テモス卿。
私、また何かやってしまいましたか?
覚えが無いのですけど」

「実は、エンブレーズ大公様が昨夜王宮に到着なさいました」

「まさかご立腹で引き渡せと要求なさっているのですか!?」

「違います。謝罪をしたいとのことです。ウィロウ侯爵令嬢も別の者が迎えに行っております」

「急いで支度をします」

「お待ちしております」

ドレスに着替え最低限の身支度をして迎えの馬車に乗り込んだ。


王宮に到着して待合室に行くとエルザと何故かヒューゴ様が座っていた。

「さあ、参りましょう」

私の到着待ちだったみたい。


またあの広い応接間に通されると、国王陛下と大公女と知らないおじ様がいた。
お父様より歳上で身分が高そうだった。そしてとても美形だ。
大公様…だと思うのだけど、大公女と全然似ていない気がするわ。本当に大公様?

「紹介しよう。こちらはエンブレーズ大公だ」

「オスカー・エンブレーズと申します。
この度は愚女が大変申し訳ないことをしました」

「ヒューゴ・ジオです。
ようこそお越しくださいました」

「ウィロウ侯爵家 次女エルザと申します。
お会いできて光栄に存じます」

「お初にお目にかかります。
セルヴィー伯爵家の長女クリスティーナと申します」

「全員着席してくれ。
エンブレーズ大公から君達に話があるそうだ」

「ヴェアトリスがセルヴィー嬢の婚約者をパートナーにしたいと我儘を言って非常に困らせた挙句に水をかけるなど、とんでもないことをしました。
心よりお詫び申し上げます」

大公様が深々と頭を下げた。



【 ヴェアトリスの視点 】

遡ること3時間前、昨夜のうちにお父様が王宮ここに到着していることを知らされた。

『お父様が!?どうして昨日のうちに教えてくれなかったの!』

『大公様は国王陛下と面会をなさった後、旅疲れのためにお休みになりました。大公様から大公女に知らせるのは大公女が朝食をとってからでいいと指示を受けました』

『っ!』

『本日、大公様のご希望でウィロウ家とセルヴィー家のご令嬢方との面会がございます。大公女もご同席せよとのご命令でございます』

『分かったわ』

お父様があの娘達を罰してくれるのね。
そうしたらシャルル様のこともお願いできるわ。

婚約破棄を告げられたあの女は涙ながらにシャルル様にしがみつくの。シャルル様は不快そうな顔をして振り払うの。そして私の前に跪いて求婚するの。
そのままヘインズ邸に移り住んで、シャルル様が我慢できないと言って私を抱いて離さないの。
この魅惑的な身体に骨抜きになって2人で学園を何日も休んでずっと…

そう思って 今か今かとその時を待ったのに。

あのときの応接間に通されてお父様に抱き付こうとしたら頬を叩かれた。

え!?

「国王陛下にご挨拶をしなさい。幼子でもやることだ」

い、今、お父様が私を叩いた!?

「ヴェアトリス!」

陛下に挨拶をしてお父様の隣に座らされた。
黙って座っていろと言われた。

少し経つとあの三人か入室した。

お父様の反応は想像していたものと全く違うものだった。

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