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ミーナの意思のままに
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2日目は城内観光をして、3日目の朝に騒ぎがあった。
「今朝は部屋食となります」
結局閣下が貴賓室に来て寝泊まりすることになって、今朝も同じベッドの中にいた。
「ミーナ、庭園で朝食を食べるか」
「閣下、お話が」
閣下の護衛騎士が耳打ちをした。
「そうか、では部屋食にしよう」
閣下はチラッと私を見た後、額にキスをした。
顔を洗い服を着て朝食をとった後、席を外した。
何かあったらしい。
1時間ほどして戻って来た閣下の表情はかたいものだった。
30分もしないうちに皇帝が部屋に来て私の前に跪いた。
「えっ!?」
「ミーナ…助けて欲しい」
「何がですか?」
「息子が危険な状態なんだ」
「……」
「さっきグリフィスから、其方が頼まれて人を助けることはないと聞いた。だが、危険な状態で其方にすがるしかない。国宝でも何でも好きな物を持っていってくれ。私に出来ることなら望みを叶えよう。だから息子を…エメットを助けくれ!」
「……症状はなんですか」
「夜中から熱が上がり、早朝には反応が無くなり、痙攣を起こして今は…肌の色が変わり唇は紫に…」
「熱痙攣かな」
閣下を見ると辛そうな顔をして拳を握りしめていた。
「グリフィス様はどう思う?」
「ミーナの力はミーナのものだ。俺がどうこう言える問題ではない。使い過ぎには口を出すが、使うか使わないかは口を出さない」
「甥の命がかかっていても?」
「君の力は神の領域だ。神は気まぐれ。ならばミーナもそうであっていいと思う」
皇帝はグリフィスの言葉に驚愕していた。
「グリフィス様がそこまで言うのなら助けましょう」
「は?」
皇帝は訳が分からないと言う顔をした。
「早く案内してくださらないと間に合いませんよ」
と言いながら、恒例のワンピースドレスの裾を持った。
「ほら、走りますよ」
「分かった!」
皇帝は立ち上がり走り出した。
私も閣下も走った。
皇子の部屋に行くと危篤と言っていいほどの色をした赤ちゃんの周りに皇妃と医者達がいた。
「皆 さがってくれ。ミーナ様が診てくださる」
「ミーナ様っ!」
泣き腫らした皇妃が皇帝に掴まれて後ろに下がった。
赤ちゃんの頭と胸に手を当てて力を込める。
元気な赤ちゃんになって。病気なんか跳ね除ける免疫を持って。よく寝てよく食べる子になるのよ。
光に包まれた赤ちゃんは1分もかからないうちに機嫌の良さそうな声をだした。
「あう~」
手を離すと肌の色も唇の色もよくなり、手足を動かしてミルクの催促をしていた。
「熱もないはずです。問題無ければミルクをあげてください」
「エメット!」
「私のエメット!」
医者は挙動不審に熱をはかり“問題ございません”と答えた。
早速乳母が乳をあげると元気に飲んだ。
「ありがとうございます!ミーナ様」
「心より感謝します、ミーナ様」
「皇帝陛下、急にかしこまらなくていいですよ。
お疲れでしょう。軽食を食べて仮眠を取ってください」
「だが、」
「兄上、そうしてください。ミーナも休ませないといけませんので。では失礼」
閣下は少し疲れた私を抱き上げて貴賓室へ戻った。
その後は閣下に寝かし付けられて、午後3時まで眠っていた。
【 グリフィスの視点 】
また助けてもらったな。
ぐっすり眠るミーナをフィアに託して食堂へ向かった。遅めの昼食の席に兄夫妻が座っていた。
「ミーナは?」
「力を使うほど反動があるのです。俺のときは高熱を出して昏睡していました。
熱は無さそうでしたが怠そうにしていたので寝かし付けました」
「そうか。
聞いてはいたが、皇帝の息子でさえ助けないという選択肢が聖女にはあるのだな。さっきはグリフィスにも驚いた」
「あそこでお願いしたらきっと治しはしたでしょうが、その後は別の国へ去ってしまうはずです。
ですから、兄上が頼んだのなら俺はミーナの自由を守らなくてはならなかったのです」
「グリフィスにも見捨てられたのかと思ったよ」
「彼女は子供の頃から11年も軟禁状態で祈りだけさせられてきたのです。今頃ミーナの策略にハマって聖女を手放した彼の国は後悔していることでしょう」
「本当にありがたかった」
「今朝も申しましたが絶対に今朝のことは話題にさせないようにしてください。自分もと押しかけて来られてもミーナは対応しませんし、揉め事になるだけです。土産に持って来た鶏はミーナが餌をいじって育てた鶏です。その鶏を食べたら元の鶏肉には戻れませんよ。ミーナは基本的に治癒より植物を美味しく育つようにすることを重視しています。トマトなんかフルーツに近い味がしますよ。彼女を逃したら大公国民を敵に回しますからね」
「箝口令は出している。もしそんな話が来ても知らんと言うさ」
「何かお礼をしたいですわ」
「何がいいのかさっぱりだ。金も宝石も断られたしな。男は…既にいるしな」
「美味しいものに拘っていらっしゃるなら、珍しい食材か何かがよろしいかもしれませんわね」
「では、輸入品や献上品などを中心に見てもらって好きな物を持って帰ってもらおう。ところで、其方達はどうなっているのだ?婚約してもいないのに寝所を共にしているのだろう?」
「兄上が、逃すなと仰ったので。それにミーナが閨用のナイトドレスを着せられていて“閣下”ではなく俺の名を呼んでくれたから ついそのまま」
「まあ!まさか無理矢理!?」
「多少抵抗していましたが“嫌”というよりは“駄目”と言っていましたから大丈夫だと思いました。強引ではありましたが今では抵抗は微々たるものです」
「お前…」
「大丈夫なのですか?」
「本当に最初だけで、彼女は直ぐ快楽を拾います。ミーナと相性が良いんです」
「……で、いつ婚約するんだ」
「失敗したくないので慎重に様子を見ています」
「そうか。ところで、マリグレッタも今夜来るらしい。公爵は夫人を伴って来るだけのはずが急遽娘も連れて来ると変更を知らせる遣いが来た。きっとグリフィスの怪我が治っていると噂を聞いたのだろう」
「嫌ですわ。何故出席をお許しになったのですか」
「面白くなるに決まっているだろう。自分が手放したものが何なのか思い知るといい。それにグリフィスには愛するミーナがいるのだから 相当悔しがるだろう。余興になると思わないか?」
「確かに。あの方は美しいからと調子に乗っていらっしゃるもの。独身か否かなど関係なく色目を使って再婚を望んでいるらしいのですが、流石に弱った夫を捨てて出戻った方を娶りたいと思う殿方はおりませんわ。しかも皇族から目を付けられますし。ですから今あの方は遊び相手として振り回されているらしいのです」
「公爵夫妻は何も言わないのですか」
「とにかく嫁いで欲しくて黙認しているようですわ」
「マリグレッタももうすぐ30歳か」
「兄上、マリグレッタは28歳ですよ」
昼食から戻るとミーナはまだ寝ていた。マリグレッタが来るならミーナに出席して欲しいが、無理して起こしたくない。
だが…
「ミーナ様、起きてください。お支度をして閣下の側にいないと 閣下が女狐達に喰われちゃいますよ」
「ん~」
「ミーナ様、お口開けてください」
「むぐっ」
「軽食を食べましょうね」
フィア…何て起こし方をするんだ。
「今朝は部屋食となります」
結局閣下が貴賓室に来て寝泊まりすることになって、今朝も同じベッドの中にいた。
「ミーナ、庭園で朝食を食べるか」
「閣下、お話が」
閣下の護衛騎士が耳打ちをした。
「そうか、では部屋食にしよう」
閣下はチラッと私を見た後、額にキスをした。
顔を洗い服を着て朝食をとった後、席を外した。
何かあったらしい。
1時間ほどして戻って来た閣下の表情はかたいものだった。
30分もしないうちに皇帝が部屋に来て私の前に跪いた。
「えっ!?」
「ミーナ…助けて欲しい」
「何がですか?」
「息子が危険な状態なんだ」
「……」
「さっきグリフィスから、其方が頼まれて人を助けることはないと聞いた。だが、危険な状態で其方にすがるしかない。国宝でも何でも好きな物を持っていってくれ。私に出来ることなら望みを叶えよう。だから息子を…エメットを助けくれ!」
「……症状はなんですか」
「夜中から熱が上がり、早朝には反応が無くなり、痙攣を起こして今は…肌の色が変わり唇は紫に…」
「熱痙攣かな」
閣下を見ると辛そうな顔をして拳を握りしめていた。
「グリフィス様はどう思う?」
「ミーナの力はミーナのものだ。俺がどうこう言える問題ではない。使い過ぎには口を出すが、使うか使わないかは口を出さない」
「甥の命がかかっていても?」
「君の力は神の領域だ。神は気まぐれ。ならばミーナもそうであっていいと思う」
皇帝はグリフィスの言葉に驚愕していた。
「グリフィス様がそこまで言うのなら助けましょう」
「は?」
皇帝は訳が分からないと言う顔をした。
「早く案内してくださらないと間に合いませんよ」
と言いながら、恒例のワンピースドレスの裾を持った。
「ほら、走りますよ」
「分かった!」
皇帝は立ち上がり走り出した。
私も閣下も走った。
皇子の部屋に行くと危篤と言っていいほどの色をした赤ちゃんの周りに皇妃と医者達がいた。
「皆 さがってくれ。ミーナ様が診てくださる」
「ミーナ様っ!」
泣き腫らした皇妃が皇帝に掴まれて後ろに下がった。
赤ちゃんの頭と胸に手を当てて力を込める。
元気な赤ちゃんになって。病気なんか跳ね除ける免疫を持って。よく寝てよく食べる子になるのよ。
光に包まれた赤ちゃんは1分もかからないうちに機嫌の良さそうな声をだした。
「あう~」
手を離すと肌の色も唇の色もよくなり、手足を動かしてミルクの催促をしていた。
「熱もないはずです。問題無ければミルクをあげてください」
「エメット!」
「私のエメット!」
医者は挙動不審に熱をはかり“問題ございません”と答えた。
早速乳母が乳をあげると元気に飲んだ。
「ありがとうございます!ミーナ様」
「心より感謝します、ミーナ様」
「皇帝陛下、急にかしこまらなくていいですよ。
お疲れでしょう。軽食を食べて仮眠を取ってください」
「だが、」
「兄上、そうしてください。ミーナも休ませないといけませんので。では失礼」
閣下は少し疲れた私を抱き上げて貴賓室へ戻った。
その後は閣下に寝かし付けられて、午後3時まで眠っていた。
【 グリフィスの視点 】
また助けてもらったな。
ぐっすり眠るミーナをフィアに託して食堂へ向かった。遅めの昼食の席に兄夫妻が座っていた。
「ミーナは?」
「力を使うほど反動があるのです。俺のときは高熱を出して昏睡していました。
熱は無さそうでしたが怠そうにしていたので寝かし付けました」
「そうか。
聞いてはいたが、皇帝の息子でさえ助けないという選択肢が聖女にはあるのだな。さっきはグリフィスにも驚いた」
「あそこでお願いしたらきっと治しはしたでしょうが、その後は別の国へ去ってしまうはずです。
ですから、兄上が頼んだのなら俺はミーナの自由を守らなくてはならなかったのです」
「グリフィスにも見捨てられたのかと思ったよ」
「彼女は子供の頃から11年も軟禁状態で祈りだけさせられてきたのです。今頃ミーナの策略にハマって聖女を手放した彼の国は後悔していることでしょう」
「本当にありがたかった」
「今朝も申しましたが絶対に今朝のことは話題にさせないようにしてください。自分もと押しかけて来られてもミーナは対応しませんし、揉め事になるだけです。土産に持って来た鶏はミーナが餌をいじって育てた鶏です。その鶏を食べたら元の鶏肉には戻れませんよ。ミーナは基本的に治癒より植物を美味しく育つようにすることを重視しています。トマトなんかフルーツに近い味がしますよ。彼女を逃したら大公国民を敵に回しますからね」
「箝口令は出している。もしそんな話が来ても知らんと言うさ」
「何かお礼をしたいですわ」
「何がいいのかさっぱりだ。金も宝石も断られたしな。男は…既にいるしな」
「美味しいものに拘っていらっしゃるなら、珍しい食材か何かがよろしいかもしれませんわね」
「では、輸入品や献上品などを中心に見てもらって好きな物を持って帰ってもらおう。ところで、其方達はどうなっているのだ?婚約してもいないのに寝所を共にしているのだろう?」
「兄上が、逃すなと仰ったので。それにミーナが閨用のナイトドレスを着せられていて“閣下”ではなく俺の名を呼んでくれたから ついそのまま」
「まあ!まさか無理矢理!?」
「多少抵抗していましたが“嫌”というよりは“駄目”と言っていましたから大丈夫だと思いました。強引ではありましたが今では抵抗は微々たるものです」
「お前…」
「大丈夫なのですか?」
「本当に最初だけで、彼女は直ぐ快楽を拾います。ミーナと相性が良いんです」
「……で、いつ婚約するんだ」
「失敗したくないので慎重に様子を見ています」
「そうか。ところで、マリグレッタも今夜来るらしい。公爵は夫人を伴って来るだけのはずが急遽娘も連れて来ると変更を知らせる遣いが来た。きっとグリフィスの怪我が治っていると噂を聞いたのだろう」
「嫌ですわ。何故出席をお許しになったのですか」
「面白くなるに決まっているだろう。自分が手放したものが何なのか思い知るといい。それにグリフィスには愛するミーナがいるのだから 相当悔しがるだろう。余興になると思わないか?」
「確かに。あの方は美しいからと調子に乗っていらっしゃるもの。独身か否かなど関係なく色目を使って再婚を望んでいるらしいのですが、流石に弱った夫を捨てて出戻った方を娶りたいと思う殿方はおりませんわ。しかも皇族から目を付けられますし。ですから今あの方は遊び相手として振り回されているらしいのです」
「公爵夫妻は何も言わないのですか」
「とにかく嫁いで欲しくて黙認しているようですわ」
「マリグレッタももうすぐ30歳か」
「兄上、マリグレッタは28歳ですよ」
昼食から戻るとミーナはまだ寝ていた。マリグレッタが来るならミーナに出席して欲しいが、無理して起こしたくない。
だが…
「ミーナ様、起きてください。お支度をして閣下の側にいないと 閣下が女狐達に喰われちゃいますよ」
「ん~」
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