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【 メアリー・カドウィックの視点 】
あのお茶会から10日後、領地にいたお父様とお兄様が突然帰って来た。休むこともなく執事とメイド長とお母様の侍女を書斎に呼び付けた十数分後、お母様と私を居間に呼んだ。
そして、
バチーン!!
「ギャアっ!」
いきなりお父様はお母様の頬を打ち、お母様は床に倒れた。
「あ、あなた…」
「お前にメアリーとタウンハウスを任せたのは間違いだった」
「な、何を」
「子育てに失敗し尻拭いも出来なかったことは痛恨の失敗だが、私はお前達だけ王都で生活させる前に何と言った」
「な、何かあれば報告をと」
「何故ブロシェン公爵領家の茶会の件を報告してこなかった!」
「あ、あれはっ、はとこなのにおかしいではありませんか!ソルソーノ伯爵夫人もビドー伯爵夫人も恩を仇で返すなんて!カドウィック侯爵家を無視するのですよ!?」
「お前の実家はどういう教育をお前にしたんだ。
はぁ…とにかくキャロン家に面会を申し込む」
「ちょっとジュースをかけられたくらいで」
「は? 今 何と言った」
「私はレオナルド・キャロンに髪を掴まれてブロシェン邸から引き摺り出されたのです!お父様!侯爵家の娘が、」
「答えろ。ジュースが何だ」
「葡萄ジュースを令嬢にかけてしまって」
「態とか」
「そんな大袈裟なことでは」
「そうよ。たかが侯爵令嬢のドレスにジュースがかかったくらいで」
「私にその場でドレスを脱げと言ったのです!さっさと帰ればいいものを!」
「くだらなくも態とジュースをかけたのだな?
頭の足りない女がやりそうな事だ。
キャロン家の長男が動いたということは、まさか相手はシャルロット・ウィルソンではあるまいな」
「っ!」
「なるほど」
その後の記憶はない。
目が覚めるとと顔や頭が痛かった。
包帯?包帯が巻かれているの?
「痛っ」
「お目覚めですか」
「メイド長?」
「左様です」
「何が?」
「旦那様の叱責を受けて気を失われました」
「コレは…どうして?」
「旦那様が顔中に拳を振り下ろしました。鼻の骨も折れています。当面はこの部屋で安静になさってください」
「お父様が?…まさか」
手鏡を渡された。
「ひっ!」
包帯が巻かれていない部分から見えた肌は赤紫色に変色し、顔全体が腫れ上がっていた。
「私の顔が……セドリック殿下の婚約者になる夢が」
「鎮痛薬です。どうぞ」
泣いていると、メイド長と入れ替わりにシオナ姉様が入室して私を殴った。
「止めて!お姉様っ!」
「あんたのせいで!ポル家との式が保留になったじゃない!!」
「え?」
「ポル家で花嫁授業をしていたら、荷物を纏めて一度実家に帰れと言われたわ!私の婚家であるポル家の本家はウィルソン侯爵家だって知っていたでしょう!
修復出来なければ婚姻は白紙だと言われたのよ!」
「わ、私は」
「どう考えたってシャルロット様とあんたじゃ雲泥の差じゃないの!ウィルソン侯爵夫人はキャロン家出身で、シャルロット様はキャロン家から守られているじゃない!容姿も後ろ盾も敵わないのに1人前に恋敵面して!
お母様も馬鹿よ!ソルソーノ伯爵夫人とビドー伯爵夫人はその場で謝罪をしてお許しいただけたのに!
シャルロット様はあまり表に出ないし多少のことでは気にも留めない方なのよ!?
身分を鼻にかけることもなく、誰にでも優しく接してくださる方なの。…何故かセドリック殿下以外。
その彼女を怒らせたらキャロン家は絶対に引かないわ!既に貴族や王都の商人達から距離を置かれているじゃないの!
良く聞きなさい。セドリック殿下はシャルロット様しか見ていないの!セドリック殿下の婚約者が不在なのは殿下が強い意志を持ってシャルロット様を求めているからなの!どう勘違いしたら寵愛を得た絶世の美人に敵うと思えるのよ!」
その後、お母様が私に経過を話してくれた。
お父様はあの女に謝罪行ったらしい。
「アルフレッドを連れて、ウィルソン侯爵令嬢と保護者のキャロン伯爵に会えたらしいのだけど、お茶会での貴女達の振る舞いを怒っていて許してはもらえなかったの。
貴女の汚したドレスのシミを、布を傷めずに完全に取ったら許すと言われたの。
そのドレスをあちこちに持ち込んだけど、外国産の希少な絹織物で作られていて、染料のような葡萄ジュースのシミを傷めずに取ることは不可能だと断られたわ。
同じものを作って欲しいと依頼してみても、その希少な絹織物は毎年生産できるわけではなく、出来る量も少なくて各国からの予約で詰まっていて、今からだと20年以上は待つことになるらしいのよ」
「お、王族なら持っているのかも」
「王族から横取りしろというのか?」
お母様との会話に割って入ったのは、跡継ぎのアルフレッド兄様だった。
「横取りなんて…融通よ」
「母上。もうメアリーを庇うのは止めてください。
メアリー。例え王家が腐るほど在庫を持っていたとしても絶対にうちに融通してくれない。
何故 私と父上が王都に来たと思う?王太子殿下から手紙が届いたんだ。“カドウィック領では流行病が大変と聞いた。一家でゆっくり療養するように”と書いてあった。つまり、カドウィック家は戴冠式に来なくていいということだ!
そしてポル家からシオナの婚姻の保留の手紙が届いたからだ!“夫人とメアリー嬢に聞いて欲しい”と書いてあった!
お前は 私が継ぐカドウィック侯爵家の価値を著しく落としたんだ!
母上も貴族でしょう!キャロン家とウィルソン家とは敵対しないようにするのは貴族の常識ではありませんか!
どう責任を取ってくれるのですか!妻の実家からも説明をしてくれと言ってきているのですよ!」
「忘れていたのよ」
「信じられない!話になりませんよ!」
その後 アレクサンドル・キャロン伯爵について説明を聞いた。その妹があの女の母親だとも。
私とお母様は領地に移され、お母様は屋敷の離れに生涯軟禁、お父様は侯爵位を兄に継がせ引退した。
私は…
「メアリー様、今日からジョフロワ・ジェコフ様の御妾としてジョフロワ様に尽くしていただきます。
既に書類上の手続きは済んでおります。メアリー様のご事情により、式や宴などはございません。このまま契りを交わすことになります」
「契り?」
「初夜です」
「さっき到着したばかりよ!?」
「先程、健康だと伺いました」
「でも、」
「このままカドウィック家に返してもいいのですよ?その代わり結納金の返金と違約金が発生します。新しいカドウィック侯爵は、次は何処に売ろうとするでしょうね。ジョフロワ様はこういった縁談の中ではお優しい方ですよ。世の中には痛め付ける趣向をお持ちの方もいます。それに貴女のような表に出せない曰く付きは娼館だって有り得るのですよ?
お好きな道を今すぐお選びください。カドウィック家の馬車はまだおりますわ」
「…よろしくお願いします」
引退した60歳超えの元男爵の妾となった。夫人は40歳代で後妻だとか。
子を成すためではなく、夜伽のために引き取られたのだと知った。
湯に浸かりながらお兄様の言葉を思い出す。
“これで済ませてもらえるなんてマシな方だと父上達の世代の貴族に言われたよ。だが、カドウィックの名はガタ落ちだ。もう元侯爵令嬢だなんて口に出すなよ”
「ううっ…」
あのお茶会から10日後、領地にいたお父様とお兄様が突然帰って来た。休むこともなく執事とメイド長とお母様の侍女を書斎に呼び付けた十数分後、お母様と私を居間に呼んだ。
そして、
バチーン!!
「ギャアっ!」
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「何故ブロシェン公爵領家の茶会の件を報告してこなかった!」
「あ、あれはっ、はとこなのにおかしいではありませんか!ソルソーノ伯爵夫人もビドー伯爵夫人も恩を仇で返すなんて!カドウィック侯爵家を無視するのですよ!?」
「お前の実家はどういう教育をお前にしたんだ。
はぁ…とにかくキャロン家に面会を申し込む」
「ちょっとジュースをかけられたくらいで」
「は? 今 何と言った」
「私はレオナルド・キャロンに髪を掴まれてブロシェン邸から引き摺り出されたのです!お父様!侯爵家の娘が、」
「答えろ。ジュースが何だ」
「葡萄ジュースを令嬢にかけてしまって」
「態とか」
「そんな大袈裟なことでは」
「そうよ。たかが侯爵令嬢のドレスにジュースがかかったくらいで」
「私にその場でドレスを脱げと言ったのです!さっさと帰ればいいものを!」
「くだらなくも態とジュースをかけたのだな?
頭の足りない女がやりそうな事だ。
キャロン家の長男が動いたということは、まさか相手はシャルロット・ウィルソンではあるまいな」
「っ!」
「なるほど」
その後の記憶はない。
目が覚めるとと顔や頭が痛かった。
包帯?包帯が巻かれているの?
「痛っ」
「お目覚めですか」
「メイド長?」
「左様です」
「何が?」
「旦那様の叱責を受けて気を失われました」
「コレは…どうして?」
「旦那様が顔中に拳を振り下ろしました。鼻の骨も折れています。当面はこの部屋で安静になさってください」
「お父様が?…まさか」
手鏡を渡された。
「ひっ!」
包帯が巻かれていない部分から見えた肌は赤紫色に変色し、顔全体が腫れ上がっていた。
「私の顔が……セドリック殿下の婚約者になる夢が」
「鎮痛薬です。どうぞ」
泣いていると、メイド長と入れ替わりにシオナ姉様が入室して私を殴った。
「止めて!お姉様っ!」
「あんたのせいで!ポル家との式が保留になったじゃない!!」
「え?」
「ポル家で花嫁授業をしていたら、荷物を纏めて一度実家に帰れと言われたわ!私の婚家であるポル家の本家はウィルソン侯爵家だって知っていたでしょう!
修復出来なければ婚姻は白紙だと言われたのよ!」
「わ、私は」
「どう考えたってシャルロット様とあんたじゃ雲泥の差じゃないの!ウィルソン侯爵夫人はキャロン家出身で、シャルロット様はキャロン家から守られているじゃない!容姿も後ろ盾も敵わないのに1人前に恋敵面して!
お母様も馬鹿よ!ソルソーノ伯爵夫人とビドー伯爵夫人はその場で謝罪をしてお許しいただけたのに!
シャルロット様はあまり表に出ないし多少のことでは気にも留めない方なのよ!?
身分を鼻にかけることもなく、誰にでも優しく接してくださる方なの。…何故かセドリック殿下以外。
その彼女を怒らせたらキャロン家は絶対に引かないわ!既に貴族や王都の商人達から距離を置かれているじゃないの!
良く聞きなさい。セドリック殿下はシャルロット様しか見ていないの!セドリック殿下の婚約者が不在なのは殿下が強い意志を持ってシャルロット様を求めているからなの!どう勘違いしたら寵愛を得た絶世の美人に敵うと思えるのよ!」
その後、お母様が私に経過を話してくれた。
お父様はあの女に謝罪行ったらしい。
「アルフレッドを連れて、ウィルソン侯爵令嬢と保護者のキャロン伯爵に会えたらしいのだけど、お茶会での貴女達の振る舞いを怒っていて許してはもらえなかったの。
貴女の汚したドレスのシミを、布を傷めずに完全に取ったら許すと言われたの。
そのドレスをあちこちに持ち込んだけど、外国産の希少な絹織物で作られていて、染料のような葡萄ジュースのシミを傷めずに取ることは不可能だと断られたわ。
同じものを作って欲しいと依頼してみても、その希少な絹織物は毎年生産できるわけではなく、出来る量も少なくて各国からの予約で詰まっていて、今からだと20年以上は待つことになるらしいのよ」
「お、王族なら持っているのかも」
「王族から横取りしろというのか?」
お母様との会話に割って入ったのは、跡継ぎのアルフレッド兄様だった。
「横取りなんて…融通よ」
「母上。もうメアリーを庇うのは止めてください。
メアリー。例え王家が腐るほど在庫を持っていたとしても絶対にうちに融通してくれない。
何故 私と父上が王都に来たと思う?王太子殿下から手紙が届いたんだ。“カドウィック領では流行病が大変と聞いた。一家でゆっくり療養するように”と書いてあった。つまり、カドウィック家は戴冠式に来なくていいということだ!
そしてポル家からシオナの婚姻の保留の手紙が届いたからだ!“夫人とメアリー嬢に聞いて欲しい”と書いてあった!
お前は 私が継ぐカドウィック侯爵家の価値を著しく落としたんだ!
母上も貴族でしょう!キャロン家とウィルソン家とは敵対しないようにするのは貴族の常識ではありませんか!
どう責任を取ってくれるのですか!妻の実家からも説明をしてくれと言ってきているのですよ!」
「忘れていたのよ」
「信じられない!話になりませんよ!」
その後 アレクサンドル・キャロン伯爵について説明を聞いた。その妹があの女の母親だとも。
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私は…
「メアリー様、今日からジョフロワ・ジェコフ様の御妾としてジョフロワ様に尽くしていただきます。
既に書類上の手続きは済んでおります。メアリー様のご事情により、式や宴などはございません。このまま契りを交わすことになります」
「契り?」
「初夜です」
「さっき到着したばかりよ!?」
「先程、健康だと伺いました」
「でも、」
「このままカドウィック家に返してもいいのですよ?その代わり結納金の返金と違約金が発生します。新しいカドウィック侯爵は、次は何処に売ろうとするでしょうね。ジョフロワ様はこういった縁談の中ではお優しい方ですよ。世の中には痛め付ける趣向をお持ちの方もいます。それに貴女のような表に出せない曰く付きは娼館だって有り得るのですよ?
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湯に浸かりながらお兄様の言葉を思い出す。
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