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腕を絡めてお断りします
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学生食堂の4人用のテーブル席に着いた。
レオナルド兄様とロランと兄様の学友の公爵令息と私で注目を浴びながらトレイを置いた。
レ「彼はユリス・ブロシェンというんだ。家名は知っているだろう?」
ユ「よろしくね、ロランくん シャルロットちゃん」
ロ「ロランです、よろしくお願いします」
私「シャルロットです、よろしくお願いします」
ユ「しかし、3人ともそっくりだよね。従兄妹でここまで似るとは。
レオが入学を1年ずらすと知った姉が落胆していたよ。レオが予定通り入学していれば3年生と1年生だけど 1年間同じ学園に通えたのだから。
逆に同じ学年になれた令嬢達は大喜びだった。
今年は男女共に大騒ぎだね。
でも令息達は戸惑っているよ。キャロン伯爵家が怖くて従兄妹のシャルロット・ウィルソンに安易に近寄れない。だけどシャルロットちゃんは婚約者も恋人もいない美少女だ。今の婚約者と解消して乗り換えたい令息が何十人いることか。
シャルロットちゃんが茶会やパーティに現れていたら、早くから争奪戦が繰り広げられていたはずだし 私も参戦していたはずだ。レオと似過ぎていても可愛がっただろうな」
レ「私に似ていると悪いのか?シャルは天使だぞ」
ユ「無自覚に自分を天使だと言っていることに気付いてないな……」
ロ「シャルを口説かないでください。公子は婚約者がいらっしゃいますよね」
ユ「残念ながらね。セドリック殿下は幼い頃に会っていたから頑なに婚約を拒否していたんだね。そういうの狡いよね。私だって幼い時に会っていたら他の子と婚約なんかしなかったよ」
ロ「口説かないでください」
ユ「しかし、殿下はすごいよね。ずっと避けられ続けてもめげないし、おおっぴらに求婚してはフラれて。それでもほら、こっち見て様子を伺って隙あらば求婚しようとしているんだから。王族の太い神経を侮っちゃいけないね」
ハハハッと笑いながらサラッと不敬なことを言うユリス公子とレオ兄様が並ぶと、私と1学年違いとは思えないほど大人に見える。
ユリス公子は微笑むと腕を伸ばして私の頬に触れた。
私「え?」
セ「俺のシャルロットに触れるなー!!」
ユ「ククッ」
殿下が私達のテーブルに来てギャンギャンと公子に絡み始めた。
レ「おもちゃにしてるな」
ロ「煩くて迷惑ですよ」
私「兄様、帰ったらギュッてして?」
レ「喜んで」
セ「ちょっと待て。なんだその可愛いお強請りは」
レ「私の特権です」
セ「シャルロット、俺と結婚しよう。君の可愛いお強請りを叶えてみせよう」
私はスッと立ち上がり、殿下の腕に絡み付いた。
私「セドリック殿下」
セ「っ! な、何だっ」
私「お強請りしていいですか?」
セ「クッ!可愛いっ!何でも買ってやるぞ」
私「私に求婚しないでください。
遠くからお互いの健勝を祈りましょう?」
ニッコリ微笑んで、絡めた腕を放した。
セ「……え?」
ユ「ハハッ」
ロ「シャル、昼休みが終わっちゃうよ」
私「もうこんな時間なのね」
立ち尽くす殿下を無視して食事の続きをした。
ユ「う~ん、ちょっと可哀想?」
レ「気のせいだ。午後の授業が始まったらシャルに触れられた腕の匂いを嗅ごうと必死に腕を鼻に近付けているだろう」
ロ「ニタニタしてそうですね」
私「止めてよ」
ユ「しかし この3人くらいだよね、あのセドリック殿下を軽くあしらったり おもちゃにしたりできるのは。
セドリック殿下は3人とは違うタイプの美男子だし、背も高くて程良く筋肉もついていて、文武両道で学年1位だよ?王子様だし。
何故か君達にかかると殿下が不出来な子みたいに見えちゃうけど、レオと同じくらい人気があるんだ。
王子妃を狙っている家門は婚約者を決めていない。
王子妃を排出できるかもしれないほどの家門と繋がりたいと思っている令息持ちの家門も婚約者を決めていない。殿下が婚約した後もかなり荒れるだろうね」
何で私を見るの?
レ「勝手に荒れておけばいい」
ユ「レオは婚約しないの?」
レ「シャルが決まってから決めるつもりだ」
ユ「何で?」
レ「今はまだシャルを愛でていたいからな」
私「兄様 大好き」
ロ「シャル、片付けるよ」
私「自分で持って行くから大丈夫よ」
ロ「いいから」
ロランが私のトレイも持って返却口に置きに行ってくれた。
ユ「ロランくんは健気だねぇ」
え?
レ「ユリス」
ユ「はいはい、わかりました。
そうだ、シャルロットちゃん。今度ブロシェンの茶会に来ない?」
レ「駄目だ」
ユ「うちの茶会だぞ?」
レ「男がいるだろう」
ユ「あまりいないよ。心配だったらレオも来てくれたらいいじゃないか」
レ「父を説得出来たら検討する」
ユ「一応 招待状を出してみるよ」
授業が終わってキャロン邸に戻りアレクサンドル伯父様に話を聞いてみた。
「セドリック殿下の婚約者はまだ決まらないのですか?」
「3人に絞ったのは聞いている」
「それは良かったです」
「全く惹かれないのか?」
「はい、全く。悪い人ではないのは分かりますが、窮屈な人生を強いられることを一生我慢する気にはなれません。
王子妃になりたいとか、セドリック殿下が好きとかそういう気持ちはありませんから」
「そうか。
レオナルド達はどうだ?しっかりシャルロットの面倒をみているか?」
「はい。ロランが同じクラスで嬉しいです」
「そうか、何かあったら直ぐに言うように」
「ありがとうございます、伯父様」
レオナルド兄様とロランと兄様の学友の公爵令息と私で注目を浴びながらトレイを置いた。
レ「彼はユリス・ブロシェンというんだ。家名は知っているだろう?」
ユ「よろしくね、ロランくん シャルロットちゃん」
ロ「ロランです、よろしくお願いします」
私「シャルロットです、よろしくお願いします」
ユ「しかし、3人ともそっくりだよね。従兄妹でここまで似るとは。
レオが入学を1年ずらすと知った姉が落胆していたよ。レオが予定通り入学していれば3年生と1年生だけど 1年間同じ学園に通えたのだから。
逆に同じ学年になれた令嬢達は大喜びだった。
今年は男女共に大騒ぎだね。
でも令息達は戸惑っているよ。キャロン伯爵家が怖くて従兄妹のシャルロット・ウィルソンに安易に近寄れない。だけどシャルロットちゃんは婚約者も恋人もいない美少女だ。今の婚約者と解消して乗り換えたい令息が何十人いることか。
シャルロットちゃんが茶会やパーティに現れていたら、早くから争奪戦が繰り広げられていたはずだし 私も参戦していたはずだ。レオと似過ぎていても可愛がっただろうな」
レ「私に似ていると悪いのか?シャルは天使だぞ」
ユ「無自覚に自分を天使だと言っていることに気付いてないな……」
ロ「シャルを口説かないでください。公子は婚約者がいらっしゃいますよね」
ユ「残念ながらね。セドリック殿下は幼い頃に会っていたから頑なに婚約を拒否していたんだね。そういうの狡いよね。私だって幼い時に会っていたら他の子と婚約なんかしなかったよ」
ロ「口説かないでください」
ユ「しかし、殿下はすごいよね。ずっと避けられ続けてもめげないし、おおっぴらに求婚してはフラれて。それでもほら、こっち見て様子を伺って隙あらば求婚しようとしているんだから。王族の太い神経を侮っちゃいけないね」
ハハハッと笑いながらサラッと不敬なことを言うユリス公子とレオ兄様が並ぶと、私と1学年違いとは思えないほど大人に見える。
ユリス公子は微笑むと腕を伸ばして私の頬に触れた。
私「え?」
セ「俺のシャルロットに触れるなー!!」
ユ「ククッ」
殿下が私達のテーブルに来てギャンギャンと公子に絡み始めた。
レ「おもちゃにしてるな」
ロ「煩くて迷惑ですよ」
私「兄様、帰ったらギュッてして?」
レ「喜んで」
セ「ちょっと待て。なんだその可愛いお強請りは」
レ「私の特権です」
セ「シャルロット、俺と結婚しよう。君の可愛いお強請りを叶えてみせよう」
私はスッと立ち上がり、殿下の腕に絡み付いた。
私「セドリック殿下」
セ「っ! な、何だっ」
私「お強請りしていいですか?」
セ「クッ!可愛いっ!何でも買ってやるぞ」
私「私に求婚しないでください。
遠くからお互いの健勝を祈りましょう?」
ニッコリ微笑んで、絡めた腕を放した。
セ「……え?」
ユ「ハハッ」
ロ「シャル、昼休みが終わっちゃうよ」
私「もうこんな時間なのね」
立ち尽くす殿下を無視して食事の続きをした。
ユ「う~ん、ちょっと可哀想?」
レ「気のせいだ。午後の授業が始まったらシャルに触れられた腕の匂いを嗅ごうと必死に腕を鼻に近付けているだろう」
ロ「ニタニタしてそうですね」
私「止めてよ」
ユ「しかし この3人くらいだよね、あのセドリック殿下を軽くあしらったり おもちゃにしたりできるのは。
セドリック殿下は3人とは違うタイプの美男子だし、背も高くて程良く筋肉もついていて、文武両道で学年1位だよ?王子様だし。
何故か君達にかかると殿下が不出来な子みたいに見えちゃうけど、レオと同じくらい人気があるんだ。
王子妃を狙っている家門は婚約者を決めていない。
王子妃を排出できるかもしれないほどの家門と繋がりたいと思っている令息持ちの家門も婚約者を決めていない。殿下が婚約した後もかなり荒れるだろうね」
何で私を見るの?
レ「勝手に荒れておけばいい」
ユ「レオは婚約しないの?」
レ「シャルが決まってから決めるつもりだ」
ユ「何で?」
レ「今はまだシャルを愛でていたいからな」
私「兄様 大好き」
ロ「シャル、片付けるよ」
私「自分で持って行くから大丈夫よ」
ロ「いいから」
ロランが私のトレイも持って返却口に置きに行ってくれた。
ユ「ロランくんは健気だねぇ」
え?
レ「ユリス」
ユ「はいはい、わかりました。
そうだ、シャルロットちゃん。今度ブロシェンの茶会に来ない?」
レ「駄目だ」
ユ「うちの茶会だぞ?」
レ「男がいるだろう」
ユ「あまりいないよ。心配だったらレオも来てくれたらいいじゃないか」
レ「父を説得出来たら検討する」
ユ「一応 招待状を出してみるよ」
授業が終わってキャロン邸に戻りアレクサンドル伯父様に話を聞いてみた。
「セドリック殿下の婚約者はまだ決まらないのですか?」
「3人に絞ったのは聞いている」
「それは良かったです」
「全く惹かれないのか?」
「はい、全く。悪い人ではないのは分かりますが、窮屈な人生を強いられることを一生我慢する気にはなれません。
王子妃になりたいとか、セドリック殿下が好きとかそういう気持ちはありませんから」
「そうか。
レオナルド達はどうだ?しっかりシャルロットの面倒をみているか?」
「はい。ロランが同じクラスで嬉しいです」
「そうか、何かあったら直ぐに言うように」
「ありがとうございます、伯父様」
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