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悪魔の溜息
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アルベリク第二王子殿下とジェルメーヌ王女殿下がシュヴァールに帰国することになり 見送りに出た。
最後に、馬車に乗り込むお手伝いと挨拶のために近寄った。
「大丈夫か」
「痛いだろうに会いに来てくれたのね」
「アルベリク王子殿下、ジェルメーヌ王女殿下。いつか会える日を楽しみにしております」
「そうだな」
「絶対に会いましょう」
ジェルメーヌ王女を先に乗せ、次はアルベリク王子殿下が乗車するために背を向けたとき、硝子に写ったシュヴァール兵の瞳孔が歪んでいた。
「駄目!!」
咄嗟にアルベリク殿下の前に立つと同時に胃のあたりから斜め上に向かって剣が身体を突き抜けた。
「邪魔だ!」
男は私から剣を抜いてもう一度アルベリク殿下を狙うつもりなのが分かったから、貫かれたまま剣を抱え込むように倒れた。そして、
ドサッ
私を刺した兵士の体が力無く地面に崩れ落ちるように倒れ込み 頭が転がっていた。
「リヴィア!!」
「リヴィアを運べ!!」
「退避!!」
「ネルハデス卿!ネルハデス卿!」
「アルベリク殿下も負傷してるぞ!!」
多くの声が聞こえる。でももうはっきり聞こえない。
真っ暗だ。
裂けた地面から光が漏れる。
そして……
《はぁ…》
悪魔に溜息を吐かれた。
《ごきげんよう》
《ごきげんようなどと言われたのは初めてだ》
《そろそろ名前を教えてもらえます?》
《悪魔が教えられるわけがないだろう》
《どうしてですか?》
《長くなるから省く》
《え~》
《早く戻さないと葬儀が始まってしまうからな》
《あ、そうだわ。また刺されてしまったのよね。
ラザールさん。もしかしてまた蘇らせてくださるのですか?》
《…まだ寿命じゃないと何度言えば分かるんだ》
《何で寿命にこだわるのですか?》
《生き返らせて寿命を全うさせろという願いだったからだ》
《そういえば、願いを叶えてくれるって言っていたのを覚えていますか?》
《寿命で会う時だ》
《それじゃ叶えてくれたかわからないので今回叶えてください》
《望みは》
《ルネ・カシャの魂を奪うのは止めてください》
《それはできない》
《どうしてですか?》
《契約不履行であの時に死んだ者が全員死んでしまう。お前もな》
つまりヘンリー様も死ぬということだ。
《……では、アルベリク第二王子殿下の護衛騎士クレマンの傷を治してください》
《ふむ。…アレを治すと大騒ぎになるぞ》
《私が生き返ったり刺し傷が消えてなくなっているのも同じですよね?》
《分かった。もう死ぬなよ。結構疲れるのだぞ》
《ありがとう!ラザールさん》
《悪魔に名付けをして感謝をするな。目を瞑れ》
目を開けるとものすごく豪華な部屋にいた。
「「リヴィア!!」」
コーネリア様が私の手を握っていた。モロー室長は心配そうに覗き込んでる。
「ただいま戻りました」
「お帰り」
「もう!!何で刺客の前に立ちはだかるの!!」
「ご、ごめんなさい…つい」
モロー室長は生き返るのを知っていたのか冷静だけど、コーネリア様は涙を流しながら私を叱った。
「あの、どうなりましたか」
「アルベリク第二王子殿下は、リヴィアを貫いた剣先が背中をかすめた。浅いからすぐに治る」
「犯人は、」
「クレマン卿が首を刎ねた」
「どうして急に歪んだのでしょう以前は歪んでいませんでした」
「手紙だ。小さな手紙が男の元に届いた。“息子を生かしたければ王子を殺せ”と書いてあった。
王女の留学が無くなったという一報を送り、その返事が返ってきた時に封筒が2通あった。
王子宛と護衛の責任者宛だった。刺客に変わってしまったのは隊長だ。普段はクレマン卿が側にいてチャンスがなかったが、リヴィアが近寄ったことでクレマンが離れた。そこを狙ったようだ。それを逃せばクレマンは王子から離れたりしないらしい」
「私が隙を作ってしまったのですね。
黒幕は誰なのでしょうか」
「分からないな」
コーネリア様が顔を洗いに退室した隙にモロー室長に尋ねた。
「私、また無傷ですか?」
「剣を抜いた途端に傷が消えた」
「みんなには」
「奇跡的に脇腹と腕の間を剣が通り、少し切ったということにした。貫かれたのを知っているのは、アルベリク王子と私とクレマン卿、王太子殿下と陛下だ。
リヴィアが剣を抱えて蹲ったことと、王子と刺客の間にいたことで良く見えなかった。馬車のドアもあったしな。
見たとしても見間違いということになるはずだ」
「そうですか」
「王子とクレマン卿が会いたがっているがどうする?王子がこっちに来るそうだ」
「実際は私は無傷で怪我人はアルベリク王子殿下ですので来てもらうのは…」
「尾骶骨はどうした」
「引っ掻き傷も打ち身も一緒に治してもらえたみたいです」
「なら仕方ない」
「 ? 」
翌日。
「(恥ずかしいです)」
「仕方ないだろう。リヴィアは立て続けに怪我を負っているのだから。アルベリク王子を歩かせたくないのだろう?」
「……」
モロー室長は私を抱き上げて移動することにした。
「(車椅子という手が)」
「尾骶骨は?」
「……」
ソラル卿は目を泳がせながら付いてきた。
アルベリク王子殿下の貴賓室前は警備が厳重になっていた。私の姿を見て目を見開き、正面を向き直した。
絶対噂になるわね。
室内に入り、モロー室長が私を降ろした。
「クレマン卿以外 全員外に出て、少し離れてくれ」
「かしこまりました」
室内はアルベリク王子とクレマン卿とモロー室長と私だけになった。彼はクレマン卿の手を借りて立ち上がった。
ア「リヴィア。また命を助けられた。心より感謝する」
私「もしかしたらクレマン卿の邪魔をしたかもしれないと思っていたのですが」
ク「間に合わなかった可能性が高かったと思います。何とお礼を申し上げたらよいのか」
私「馬車の窓に写った顔を見て咄嗟に動いただけですので」
ア「確かに君は貫かれた」
私「……」
ア「それも特別な能力なのだろうか。
クレマン卿。ヘルメットも覆面もとってくれ」
クレマン卿が指示に従うと、瘢痕が消えて綺麗な顔が現れた。
ア「クレマン卿は火事の時に私を助けに入って大火傷を負った。髪も眉も生えず顔や首や左肩の大半の皮膚が引き攣っていた。片目の視力はほぼ無いに等しかった。そして痛みはずっと消えないままだった。
リヴィアが刺された後、痛みが突然消えたそうだ。
私の治療後に鏡を見ると全て元に戻っていた。
大火傷のせいで彼は居場所を失くして、ずっと私の側にいた。私のせいだと自責の念に囚われた。
だがもう彼は、覆面をしなくてもいいし、この美貌だからモテるだろう。おかげで少し心か軽くなった。ありがとう」
ク「この恩をどう返せばいいのか分かりません」
私「クレマン卿だって、晩餐会のときに助けてくれたではありませんか。以前のようにお話ください」
ク「釣り合いが取れていません」
私「だとしたら、余計に私の願いを聞いてくださってもよろしいのではありませんか?」
ク「ありがとう、リヴィア」
私「どういたしまして」
アルベリク王子のお見舞いの後、次から次へと叱られた。
最後に、馬車に乗り込むお手伝いと挨拶のために近寄った。
「大丈夫か」
「痛いだろうに会いに来てくれたのね」
「アルベリク王子殿下、ジェルメーヌ王女殿下。いつか会える日を楽しみにしております」
「そうだな」
「絶対に会いましょう」
ジェルメーヌ王女を先に乗せ、次はアルベリク王子殿下が乗車するために背を向けたとき、硝子に写ったシュヴァール兵の瞳孔が歪んでいた。
「駄目!!」
咄嗟にアルベリク殿下の前に立つと同時に胃のあたりから斜め上に向かって剣が身体を突き抜けた。
「邪魔だ!」
男は私から剣を抜いてもう一度アルベリク殿下を狙うつもりなのが分かったから、貫かれたまま剣を抱え込むように倒れた。そして、
ドサッ
私を刺した兵士の体が力無く地面に崩れ落ちるように倒れ込み 頭が転がっていた。
「リヴィア!!」
「リヴィアを運べ!!」
「退避!!」
「ネルハデス卿!ネルハデス卿!」
「アルベリク殿下も負傷してるぞ!!」
多くの声が聞こえる。でももうはっきり聞こえない。
真っ暗だ。
裂けた地面から光が漏れる。
そして……
《はぁ…》
悪魔に溜息を吐かれた。
《ごきげんよう》
《ごきげんようなどと言われたのは初めてだ》
《そろそろ名前を教えてもらえます?》
《悪魔が教えられるわけがないだろう》
《どうしてですか?》
《長くなるから省く》
《え~》
《早く戻さないと葬儀が始まってしまうからな》
《あ、そうだわ。また刺されてしまったのよね。
ラザールさん。もしかしてまた蘇らせてくださるのですか?》
《…まだ寿命じゃないと何度言えば分かるんだ》
《何で寿命にこだわるのですか?》
《生き返らせて寿命を全うさせろという願いだったからだ》
《そういえば、願いを叶えてくれるって言っていたのを覚えていますか?》
《寿命で会う時だ》
《それじゃ叶えてくれたかわからないので今回叶えてください》
《望みは》
《ルネ・カシャの魂を奪うのは止めてください》
《それはできない》
《どうしてですか?》
《契約不履行であの時に死んだ者が全員死んでしまう。お前もな》
つまりヘンリー様も死ぬということだ。
《……では、アルベリク第二王子殿下の護衛騎士クレマンの傷を治してください》
《ふむ。…アレを治すと大騒ぎになるぞ》
《私が生き返ったり刺し傷が消えてなくなっているのも同じですよね?》
《分かった。もう死ぬなよ。結構疲れるのだぞ》
《ありがとう!ラザールさん》
《悪魔に名付けをして感謝をするな。目を瞑れ》
目を開けるとものすごく豪華な部屋にいた。
「「リヴィア!!」」
コーネリア様が私の手を握っていた。モロー室長は心配そうに覗き込んでる。
「ただいま戻りました」
「お帰り」
「もう!!何で刺客の前に立ちはだかるの!!」
「ご、ごめんなさい…つい」
モロー室長は生き返るのを知っていたのか冷静だけど、コーネリア様は涙を流しながら私を叱った。
「あの、どうなりましたか」
「アルベリク第二王子殿下は、リヴィアを貫いた剣先が背中をかすめた。浅いからすぐに治る」
「犯人は、」
「クレマン卿が首を刎ねた」
「どうして急に歪んだのでしょう以前は歪んでいませんでした」
「手紙だ。小さな手紙が男の元に届いた。“息子を生かしたければ王子を殺せ”と書いてあった。
王女の留学が無くなったという一報を送り、その返事が返ってきた時に封筒が2通あった。
王子宛と護衛の責任者宛だった。刺客に変わってしまったのは隊長だ。普段はクレマン卿が側にいてチャンスがなかったが、リヴィアが近寄ったことでクレマンが離れた。そこを狙ったようだ。それを逃せばクレマンは王子から離れたりしないらしい」
「私が隙を作ってしまったのですね。
黒幕は誰なのでしょうか」
「分からないな」
コーネリア様が顔を洗いに退室した隙にモロー室長に尋ねた。
「私、また無傷ですか?」
「剣を抜いた途端に傷が消えた」
「みんなには」
「奇跡的に脇腹と腕の間を剣が通り、少し切ったということにした。貫かれたのを知っているのは、アルベリク王子と私とクレマン卿、王太子殿下と陛下だ。
リヴィアが剣を抱えて蹲ったことと、王子と刺客の間にいたことで良く見えなかった。馬車のドアもあったしな。
見たとしても見間違いということになるはずだ」
「そうですか」
「王子とクレマン卿が会いたがっているがどうする?王子がこっちに来るそうだ」
「実際は私は無傷で怪我人はアルベリク王子殿下ですので来てもらうのは…」
「尾骶骨はどうした」
「引っ掻き傷も打ち身も一緒に治してもらえたみたいです」
「なら仕方ない」
「 ? 」
翌日。
「(恥ずかしいです)」
「仕方ないだろう。リヴィアは立て続けに怪我を負っているのだから。アルベリク王子を歩かせたくないのだろう?」
「……」
モロー室長は私を抱き上げて移動することにした。
「(車椅子という手が)」
「尾骶骨は?」
「……」
ソラル卿は目を泳がせながら付いてきた。
アルベリク王子殿下の貴賓室前は警備が厳重になっていた。私の姿を見て目を見開き、正面を向き直した。
絶対噂になるわね。
室内に入り、モロー室長が私を降ろした。
「クレマン卿以外 全員外に出て、少し離れてくれ」
「かしこまりました」
室内はアルベリク王子とクレマン卿とモロー室長と私だけになった。彼はクレマン卿の手を借りて立ち上がった。
ア「リヴィア。また命を助けられた。心より感謝する」
私「もしかしたらクレマン卿の邪魔をしたかもしれないと思っていたのですが」
ク「間に合わなかった可能性が高かったと思います。何とお礼を申し上げたらよいのか」
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ア「確かに君は貫かれた」
私「……」
ア「それも特別な能力なのだろうか。
クレマン卿。ヘルメットも覆面もとってくれ」
クレマン卿が指示に従うと、瘢痕が消えて綺麗な顔が現れた。
ア「クレマン卿は火事の時に私を助けに入って大火傷を負った。髪も眉も生えず顔や首や左肩の大半の皮膚が引き攣っていた。片目の視力はほぼ無いに等しかった。そして痛みはずっと消えないままだった。
リヴィアが刺された後、痛みが突然消えたそうだ。
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大火傷のせいで彼は居場所を失くして、ずっと私の側にいた。私のせいだと自責の念に囚われた。
だがもう彼は、覆面をしなくてもいいし、この美貌だからモテるだろう。おかげで少し心か軽くなった。ありがとう」
ク「この恩をどう返せばいいのか分かりません」
私「クレマン卿だって、晩餐会のときに助けてくれたではありませんか。以前のようにお話ください」
ク「釣り合いが取れていません」
私「だとしたら、余計に私の願いを聞いてくださってもよろしいのではありませんか?」
ク「ありがとう、リヴィア」
私「どういたしまして」
アルベリク王子のお見舞いの後、次から次へと叱られた。
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