94 / 100
監視付き療養
しおりを挟む
「え? 明日帰国なさるのですか?」
「ジェルメーヌ王女はリヴィアと王都で買い物をしたかったって涙目だったわ。私が王女なら号泣しているわね」
コーネリア様は私の部屋にお見舞いに来てくださった。メイドにお茶と菓子を持って来させてシュヴァールの客人について教えてくれていた。
「このお菓子、美味しいです」
「良かったわ。
もう一つ、報告があるの」
「はい」
何だろう、改まって。
「ハンナが自害したの」
「え?」
「放火よ。一般牢は燃え広がらない仕組みだから燃えたのはハンナの牢だけ。煙害は避けられなかったから拘留者が軽傷を負ったわ」
「そんな。どうやって放火なんて」
「牢番がランタンを置き忘れたのよ。
他の拘留者の証言では笑いながら火を付けていたって。正気じゃなかったのよ」
「私の…せい?」
「違うわ。リヴィアは被害者だし、ある意味兄様も被害者よ。ハンナは兄様を愛していたわけではないの。次期公爵夫人の座が欲しくて私に近寄って友人になって兄様を狙っていたの。ずっと屋敷に招待しろって煩かったもの。全然隠せていなかったわ。
3年生になって昼食のメンバーにしたのは、リヴィアを知ってもらって、ハンナでは無理だと悟って欲しかったの。
もしかしたら私のせいだわ」
「王太子妃殿下のせいではございません」
「他の人がいないときはコーネリアって呼んで。お願い。信じられる親友はリヴィアだけなの」
「コーネリア様」
「兄様は仕方なく婚姻したけど、彼女と婚姻した理由はハンナが条件をのんだからなの。
兄様ははっきり告げたそうよ。自分は愛している女性がいるからハンナを含めて他の女は愛せないって。だから契約婚として迎え入れるけどそれだけだって。
それでも婚姻したいとハンナが望んだの。なのにリヴィアに嫉妬するなんておかしいでしょう?
彼女は次期公爵夫人の座を手に入れたのによ?」
「ハンナ様が…」
「妻にはしたけど閨事も無いし手さえ握ったことも無い。誓いのキスはフリだったみたい」
「……」
「ハンナは全て自分で選んできたのに欲を張りすぎたのよ。放火なんて身勝手よね。燃え広がらない仕組みだなんて知らなかったはずだから、巻き添えになって他の人達が焼け死んでも構わないと思ったんじゃないかしら。
そんな人のために私達が気に病む必要は無いの」
ハンナの話を終えて別件の話を切り出した。
「あの、明日 お見送りをしたいのですが」
「ヘンリー様が許してくれなさそうだものね。私からもお願いしておくわ」
ヘンリー王太子殿下は自室に戻るなら見張りを付けると言って、私が部屋から出ないようにするためだけに廊下に兵士を立たせた。
殿下と私の主張の間を取って、見張りの兵士には 椅子と小さなテーブルを用意して本を用意したり時々お茶を出したり食事は中に入ってもらって一緒に食べてもらった。お陰で…
“今、ネルハデス卿の見張り…じゃなくて警護が一番人気の職場です。食事も美味しいですし、本も興味に合わせて用意してもらえますし。座っていていいだなんてありがたいです。
お見舞いに来る方は恐い…じゃなくて偉い方ばかりで緊張しますけど、ずっとこの部屋の前の配属でいたいです”
と喜んでいる。
だから、
「ちゃんと休んでいるか?」
「大人しくしています。外の兵士が叱られてしまいますから」
私の様子見と 見張りの兵士の様子を見にカルフォン卿が毎日確認をしに来る。
「また明日、適当な時間に来るからな」
「ヘンリー王太子殿下に叱られませんか?」
「殿下公認だし、報告もしているから叱られないよ。欲しいものはあるか?」
「ありがとうございます、ありません」
「あまりおやつを食べていると太るぞ」
「だって…」
みんなが持ってくるのに…
「……」
カルフォン卿は私の頭を撫でようとしたけど、怪我のことを思い出したのか鼻を指で軽く押した。
「ふっ」
「笑った!酷い!」
「ハハッ」
カルフォン卿が戻ると、
「すごいですね。カルフォン卿、めちゃくちゃ恐いのに」
「私のことなんて怒る気にもなりませんよ。例えて言うなら子猫に叱っても意味がないと思いませんか?せめて危ないぞと言うか、ちゃんと食べろと言うくらいしかありません」
「そうですかねぇ」
「そうですよ」
【 新人近衞騎士 ソラルの視点 】
ヘンリー王太子殿下に呼び出され、コーネリア王太子妃殿下と上司のカルフォン卿まで同席していた。
俺、早速なんかやった?
へ『ソラル卿。座ってくれ』
俺『失礼いたします』
へ『君に大事な任務を頼みたい。最重要案件だ』
俺『私は新人ですが…よろしいのですか』
コ『だからいいのよ。相手の同情を引きたいの』
俺『はい…』
何のことだ?
へ『特務室所属のネルハデス室長補佐に、シュヴァールの王族がいる間だけ近衛の仕事をさせたのだが、公務中に負傷した。
軽傷ではあるが華奢な令嬢で、訓練の類は一切受けていない非力な女性だ。引き倒されて転倒し体を傷めている。
医務室での療養を嫌がって城内の自室に移ったが、安静にしなさそうで心配だ。
だから朝食後から夕食を食べ終えるまで警護という名目で部屋の外で見張って欲しい』
カ『あの子は有名人だから見舞いも高貴な方々ばかりのはずだ。そして報告もして欲しい』
コ『リヴィアの言うことは何でも聞いてちょうだいね。だけど部屋の外に出したりさせては駄目よ』
へ『やれるかな?』
俺『お任せください』
早速、ヘンリー王太子殿下とカルフォン卿に連れて来られた。さすが特務室の人だ。部屋が俺達と違う。
ネルハデス卿は面接の時にいた人だと思う。変装していたけど目が同じだ。
へ『リヴィア、少しは良くなった?』
ネ『今朝聞いたばかりじゃないですか』
へ『後で母上とコーネリアが来るからね』
母上って王妃様!?
ネ『大した怪我じゃないのに昨日は陛下まで来てくださって申し訳ないです』
うわっ…思っていた以上じゃないか。
カ『彼は新人兵士のソラルだ。初任務にリヴィアの警護をさせることにした』
ネ『カルフォン卿。まさか見張りですか』
即バレた。
カ『まさか。見張るなら俺が見張るよ。油断ならないからな』
ネ『ちゃんと大人しくしています』
カ『リヴィアが部屋を出て彷徨くようなことがあればソラルがクビになるからな』
は!?
ネ『どうしても?』
へ『どうしてもだ。ソラルは平民出身で弟妹も多い。クビになったら大変だろうな』
俺、兄貴しかいないっすよ?
ネ『分かりました!ソラル卿、よろしくお願いしますね』
ソ『はい!こちらこそよろしくお願いします!』
可愛い!
へ『じゃあ、ソラル卿を残して行くからね』
すれ違い様に殿下に小声で威圧された。
『(リヴィアに手を出さないように)』
カルフォン卿にも、
『(リヴィアをシスターだと思え。下品な話はするなよ)』
こっわ!!
『警護じゃなくて見張りでしょう?警戒するのは敵じゃなくて私ですよね?
私が走るのとソラル卿の早歩きは同じ速さだと思います。座っていても良さそうですよね?』
廊下に椅子と小さなテーブルが置かれた。
『時々彼に飲み物を出してあげて』
お茶か果実水が出されるようになった。
『暇ですよね?何の本を読みますか?』
メイドに図書室から本を取って来させた。
『一緒に食べませんか?』
彼女が来客と一緒に食事をしなければ 俺と昼食も夕食も一緒に食べてくれる。来客と一緒に食べるなら俺はその間 食堂へ行ける。
昼食無しの任務だと思っていたけど、ネルハデス室長補佐と食べる食事は豪華だ。多分 王太子殿下が王族用の食事を彼女にも作らせて届けさせているのだろう。
この異例の待遇や人脈は何なんだ!?
3日目はコーネリア王太子妃と一緒にフレンデェ公爵令息が見舞いに来た。何の話をしているのかは分からなかった。貴族の中でも雲の上の存在で、氷のような冷たさを感じる。
なのに退室の時の彼の表情は普段の公子と同じ人間とは思えないほど優しかった。
『リヴィア、治ったら会おう』
名前呼びするほど仲がいい。
そして見舞いの品やカードが届く。
「なあ、任務交代しないか」
「王太子殿下からの指名ですから無理ですよ」
先輩騎士が肩を組んで、できないことを言ってきた。
「何でソラルなんだ?」
「可哀想な若い新人が条件でした」
先輩達は鏡を見ながら、若く見えないかと髪をいじり出した。
そりゃ、廊下で椅子に座ってお茶を飲みながら本を読んでいたら 任務代わりたいって思うだろうな。
のんびりとした任務は、翌日 血に染まることになるとは想像もしていなかった。
「ジェルメーヌ王女はリヴィアと王都で買い物をしたかったって涙目だったわ。私が王女なら号泣しているわね」
コーネリア様は私の部屋にお見舞いに来てくださった。メイドにお茶と菓子を持って来させてシュヴァールの客人について教えてくれていた。
「このお菓子、美味しいです」
「良かったわ。
もう一つ、報告があるの」
「はい」
何だろう、改まって。
「ハンナが自害したの」
「え?」
「放火よ。一般牢は燃え広がらない仕組みだから燃えたのはハンナの牢だけ。煙害は避けられなかったから拘留者が軽傷を負ったわ」
「そんな。どうやって放火なんて」
「牢番がランタンを置き忘れたのよ。
他の拘留者の証言では笑いながら火を付けていたって。正気じゃなかったのよ」
「私の…せい?」
「違うわ。リヴィアは被害者だし、ある意味兄様も被害者よ。ハンナは兄様を愛していたわけではないの。次期公爵夫人の座が欲しくて私に近寄って友人になって兄様を狙っていたの。ずっと屋敷に招待しろって煩かったもの。全然隠せていなかったわ。
3年生になって昼食のメンバーにしたのは、リヴィアを知ってもらって、ハンナでは無理だと悟って欲しかったの。
もしかしたら私のせいだわ」
「王太子妃殿下のせいではございません」
「他の人がいないときはコーネリアって呼んで。お願い。信じられる親友はリヴィアだけなの」
「コーネリア様」
「兄様は仕方なく婚姻したけど、彼女と婚姻した理由はハンナが条件をのんだからなの。
兄様ははっきり告げたそうよ。自分は愛している女性がいるからハンナを含めて他の女は愛せないって。だから契約婚として迎え入れるけどそれだけだって。
それでも婚姻したいとハンナが望んだの。なのにリヴィアに嫉妬するなんておかしいでしょう?
彼女は次期公爵夫人の座を手に入れたのによ?」
「ハンナ様が…」
「妻にはしたけど閨事も無いし手さえ握ったことも無い。誓いのキスはフリだったみたい」
「……」
「ハンナは全て自分で選んできたのに欲を張りすぎたのよ。放火なんて身勝手よね。燃え広がらない仕組みだなんて知らなかったはずだから、巻き添えになって他の人達が焼け死んでも構わないと思ったんじゃないかしら。
そんな人のために私達が気に病む必要は無いの」
ハンナの話を終えて別件の話を切り出した。
「あの、明日 お見送りをしたいのですが」
「ヘンリー様が許してくれなさそうだものね。私からもお願いしておくわ」
ヘンリー王太子殿下は自室に戻るなら見張りを付けると言って、私が部屋から出ないようにするためだけに廊下に兵士を立たせた。
殿下と私の主張の間を取って、見張りの兵士には 椅子と小さなテーブルを用意して本を用意したり時々お茶を出したり食事は中に入ってもらって一緒に食べてもらった。お陰で…
“今、ネルハデス卿の見張り…じゃなくて警護が一番人気の職場です。食事も美味しいですし、本も興味に合わせて用意してもらえますし。座っていていいだなんてありがたいです。
お見舞いに来る方は恐い…じゃなくて偉い方ばかりで緊張しますけど、ずっとこの部屋の前の配属でいたいです”
と喜んでいる。
だから、
「ちゃんと休んでいるか?」
「大人しくしています。外の兵士が叱られてしまいますから」
私の様子見と 見張りの兵士の様子を見にカルフォン卿が毎日確認をしに来る。
「また明日、適当な時間に来るからな」
「ヘンリー王太子殿下に叱られませんか?」
「殿下公認だし、報告もしているから叱られないよ。欲しいものはあるか?」
「ありがとうございます、ありません」
「あまりおやつを食べていると太るぞ」
「だって…」
みんなが持ってくるのに…
「……」
カルフォン卿は私の頭を撫でようとしたけど、怪我のことを思い出したのか鼻を指で軽く押した。
「ふっ」
「笑った!酷い!」
「ハハッ」
カルフォン卿が戻ると、
「すごいですね。カルフォン卿、めちゃくちゃ恐いのに」
「私のことなんて怒る気にもなりませんよ。例えて言うなら子猫に叱っても意味がないと思いませんか?せめて危ないぞと言うか、ちゃんと食べろと言うくらいしかありません」
「そうですかねぇ」
「そうですよ」
【 新人近衞騎士 ソラルの視点 】
ヘンリー王太子殿下に呼び出され、コーネリア王太子妃殿下と上司のカルフォン卿まで同席していた。
俺、早速なんかやった?
へ『ソラル卿。座ってくれ』
俺『失礼いたします』
へ『君に大事な任務を頼みたい。最重要案件だ』
俺『私は新人ですが…よろしいのですか』
コ『だからいいのよ。相手の同情を引きたいの』
俺『はい…』
何のことだ?
へ『特務室所属のネルハデス室長補佐に、シュヴァールの王族がいる間だけ近衛の仕事をさせたのだが、公務中に負傷した。
軽傷ではあるが華奢な令嬢で、訓練の類は一切受けていない非力な女性だ。引き倒されて転倒し体を傷めている。
医務室での療養を嫌がって城内の自室に移ったが、安静にしなさそうで心配だ。
だから朝食後から夕食を食べ終えるまで警護という名目で部屋の外で見張って欲しい』
カ『あの子は有名人だから見舞いも高貴な方々ばかりのはずだ。そして報告もして欲しい』
コ『リヴィアの言うことは何でも聞いてちょうだいね。だけど部屋の外に出したりさせては駄目よ』
へ『やれるかな?』
俺『お任せください』
早速、ヘンリー王太子殿下とカルフォン卿に連れて来られた。さすが特務室の人だ。部屋が俺達と違う。
ネルハデス卿は面接の時にいた人だと思う。変装していたけど目が同じだ。
へ『リヴィア、少しは良くなった?』
ネ『今朝聞いたばかりじゃないですか』
へ『後で母上とコーネリアが来るからね』
母上って王妃様!?
ネ『大した怪我じゃないのに昨日は陛下まで来てくださって申し訳ないです』
うわっ…思っていた以上じゃないか。
カ『彼は新人兵士のソラルだ。初任務にリヴィアの警護をさせることにした』
ネ『カルフォン卿。まさか見張りですか』
即バレた。
カ『まさか。見張るなら俺が見張るよ。油断ならないからな』
ネ『ちゃんと大人しくしています』
カ『リヴィアが部屋を出て彷徨くようなことがあればソラルがクビになるからな』
は!?
ネ『どうしても?』
へ『どうしてもだ。ソラルは平民出身で弟妹も多い。クビになったら大変だろうな』
俺、兄貴しかいないっすよ?
ネ『分かりました!ソラル卿、よろしくお願いしますね』
ソ『はい!こちらこそよろしくお願いします!』
可愛い!
へ『じゃあ、ソラル卿を残して行くからね』
すれ違い様に殿下に小声で威圧された。
『(リヴィアに手を出さないように)』
カルフォン卿にも、
『(リヴィアをシスターだと思え。下品な話はするなよ)』
こっわ!!
『警護じゃなくて見張りでしょう?警戒するのは敵じゃなくて私ですよね?
私が走るのとソラル卿の早歩きは同じ速さだと思います。座っていても良さそうですよね?』
廊下に椅子と小さなテーブルが置かれた。
『時々彼に飲み物を出してあげて』
お茶か果実水が出されるようになった。
『暇ですよね?何の本を読みますか?』
メイドに図書室から本を取って来させた。
『一緒に食べませんか?』
彼女が来客と一緒に食事をしなければ 俺と昼食も夕食も一緒に食べてくれる。来客と一緒に食べるなら俺はその間 食堂へ行ける。
昼食無しの任務だと思っていたけど、ネルハデス室長補佐と食べる食事は豪華だ。多分 王太子殿下が王族用の食事を彼女にも作らせて届けさせているのだろう。
この異例の待遇や人脈は何なんだ!?
3日目はコーネリア王太子妃と一緒にフレンデェ公爵令息が見舞いに来た。何の話をしているのかは分からなかった。貴族の中でも雲の上の存在で、氷のような冷たさを感じる。
なのに退室の時の彼の表情は普段の公子と同じ人間とは思えないほど優しかった。
『リヴィア、治ったら会おう』
名前呼びするほど仲がいい。
そして見舞いの品やカードが届く。
「なあ、任務交代しないか」
「王太子殿下からの指名ですから無理ですよ」
先輩騎士が肩を組んで、できないことを言ってきた。
「何でソラルなんだ?」
「可哀想な若い新人が条件でした」
先輩達は鏡を見ながら、若く見えないかと髪をいじり出した。
そりゃ、廊下で椅子に座ってお茶を飲みながら本を読んでいたら 任務代わりたいって思うだろうな。
のんびりとした任務は、翌日 血に染まることになるとは想像もしていなかった。
1,477
お気に入りに追加
1,978
あなたにおすすめの小説
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる