【完結】悪魔に祈るとき

ユユ

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助けが来ていれば

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このことを知っていたら私は……

公「すまなかった」

ル「……」

私はモロー隊長に目で合図を送り、巻き戻りのことを話すことにした。

私「私も悪魔に力を借りました」

ル「え?」

私「死んだ後、ルネ様の契約した悪魔が現れたのです。まだ寿命ではないし、巻き戻すから抗えと。
運命を変えるべく、王子妃の打診を断りました。モロー隊長と知り合う機会を得て巻き戻りの話をしました。

私は悪魔から、魔女の魅了を解除する術を与えられました。私の血です。飲ませれば魅了にかかりません。かかっていた人は正気に戻ります。
サラ・セグウェルは人選していたので、陛下や要職の皆様、学園の教職員や警備兵、要人のご子息には血を混ぜたジュースを飲んでいただきました。

ですが最近、彼女は的を絞るのを止めたのです。
一気に大勢の魅了を解くために、学食のジュースに混ぜました。当然彼女も飲みました。結果的に彼女は魅了を使えなくなりました。
ガニアン公爵家が知りたかった答えは私です」

ル「リヴィ…巻き戻り前の記憶があったのか」

私「ありました。しかも私は貴方の作戦なんて知らなかったから、犯されはするけど優しい貴方に心を奪われていた。貴方は私のことが好きなのかもしれないという希望を持ってしまった。
だけどコーネリア様との婚約の話を聞いて、身重の私は絶望しました。どこかで貴方を信じていたから。
襲われそうになったとき、お腹の子がお腹を蹴った。この子の為にせめて死んで守ろうと飛び降りました」

ル「守れなくてごめん…リヴィ…」

私「ううっ…」

あの時に流したかった涙が今更溢れて止まらない。


公「悪魔の召喚方法をどう知ったのだ」

ル「母が嫁ぐときに持ってきた書物の中にガニアンの魔女退治の歴史が綴られていて、悪魔の召喚に関する記述もありました」

公「呼ぶための記述ではなく、検証のために召喚方法を記したのだろう」

へ「私の側近の話を断ったのは魅了にかかった私のせいか」

ル「召喚前に私が殿下を殺したからです。サラも刺しましたが、サラは本当に死んだのか分かりません。
私が言いたいのは、一番に殿下のために動けないということです。次はリヴィアを守るために躊躇わないと決めたからです」

へ「そうか」

呼吸を整え、疑問を解消することにした。

私「ガニアン公爵家は何故私に求婚したのですか」

公「本来なら魔女を倒す力を持つ者はガニアンから産まれていた。だが同じオーラを発する令嬢を見つけたと魔女の監視で定期的に訪れていた部下が報告をあげたので急いで求婚をした」

私「私は魔女の退治の仕方までは知りませんでした。何故求婚相手が魔女と同じ国にいるのに放置したのですか」

ル「リヴィアのオーラが本物か知りたくてガニアン家は実験をしたんだ。
巻き戻り前は魔女が国を乗っ取ったから動いたが、今回は介入するレベルにないと判断したことと、リヴィアの力が知りたかったからだ。
突然魔女の気配が消えたので慌てて来国した。

そうですよね、ガニアン公爵」

公「魔女狩りの血筋を保つためだった」

私「ガニアン公爵、エルヴェ公子。
縁談を改めてお断りいたします」

エ「だけど、」

私「言いましたよね。私は悪魔の力を授かったと」

公「承知した。すまなかった」


話が終わるとガニアン公爵はサラに会いたがった。

陛下とモロー隊長は、どうせ処刑する予定だから、魔女用の処刑をしたいから手伝って欲しいと依頼した。


晩餐会を終え、翌日、サラは処刑された。

彼女は全身黒い鱗の痣に覆われていて、脚には無数の引っ掻き傷、腕は深い噛み跡だらけだったらしい。
歯形は本人のものだが、脚の引っ掻き傷は本人のはずなのに傷と爪の形状が合わないのと、爪の中に血がほぼ付着していなかったことが謎のままになった。

ガニアン公爵達は早々に帰路についた。



魔女は葬ったけど、私の能力は消えていなかった。
私に良からぬ感情のある人は瞳孔が歪んでいた。




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