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コーネリア 家族
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【 コーネリアの視点 】
カチャカチャ
私「リヴィア様、お口に合いますか」
リ「とても美味しいです」
兄「リヴィア、コレ好きだろう」
兄様はそう言うと、リヴィア様のお皿を取り上げて、自身分の料理を半分リヴィア様のお皿に移し、カットした。逆にリヴィア様のお皿から付け合わせの1つを取り除き、自身の皿に移した。
全「……」
兄「こっちは苦手だろうから私に任せなさい」
皿を戻し、リヴィア様が食べ始めると 兄様は機嫌良く食事を再開した。
本来のセッティングを兄様が変えて、自分の隣にリヴィア様を座らせた。しかも椅子を移動させて距離まで縮めた。
…いいのよ。リヴィア様。もう兄様のことを“パパ”と呼んでも。きっと目だけ唖然としているお父様もお母様も弟も納得なさるわ。
更に驚いたのは、自分の使っていたカトラリーで切り分けて渡したこと。兄様は当然のように振る舞うし、リヴィア様はちょっと戸惑っていたけど、受け入れた。
リヴィア様と会ってからの兄様は別人のようだ。
母「リヴィア様はお魚がお好きなの?」
リ「はい。流石フレンデェ公爵家、新鮮なお魚を使っておられて とても美味しいです」
母「それは良かったわ」
兄「貝類も大丈夫なのか?」
リ「はい。大好きです」
兄「フレンデェの領地は海を持っている。綺麗だし魚も貝もよく獲れる。次の長期休暇はフレンデェ領に行こう」
私「兄様!?」
父「オードリック。リヴィア嬢は殿下の婚約者候補だぞ」
兄「妃はコーネリアですから安心してください」
父「だからといって、」
兄「候補が他領へ観光に行ってはならないなんて決まりは無いと思います。そうだろう?コーネリア」
私「そうですけど」
リ「公子もお忙しいでしょうから私は、」
兄「オードリックと呼べと言っただろう。
余計なことを考えずに旅支度をしておけばいい。
来週日程を考えよう。途中、泊まりたい宿があれば良い部屋をおさえてやるからな」
私「リヴィア様はお仕事もありますから」
兄「長期休暇の全部とは言っていないだろう。
リヴィア、勉強は領地で教えてやるから安心しろ」
私「リヴィア様は優秀ですから」
母「確かクラスは…」
兄「わざと下のクラスになるように調整したんだよな?来年もそうしなさい。カシャ公子のこともあるから、下から二番目のクラスを狙ったらどうだ?」
父「何故その様なことを?」
兄「王子殿下を避けるためですよ」
母「まあ、では本当にその気がないのね?」
リ「は、はい」
父「なのに残ってしまったのか。それは可哀想だな」
兄「そうですよ 父上。王家は何を考えているのだか。
リヴィア、今夜は泊まっていくか?」
リ「ま、まさか。帰りますっ」
兄「遠慮しなくていいんだぞ」
リヴィア様の滞在中、兄様はずっとリヴィア様の世話をして、髪や頬に触れたりしていた。
顔付きは優しく瞳には彼女への好意が滲み出ていた。
結局 帰りも兄様が馬車に同乗して屋敷に送って行った。
残された私達4人は緊急会議を開いた。
弟「びっくりしました。僕の兄様は頭を打ったのですか」
私「ある意味そうね」
母「どんな令嬢にも見向きもせず冷たくしていたのに。よりにもよって王子妃候補に想いを寄せるだなんて」
父「コーネリア。本当にリヴィア嬢はライバルではないのだな?」
私「王家との約束で詳しくはお伝えできませんが、今の段階ではその通りです。ただ、王子殿下のお気持ちはリヴィア様にあると思います」
父「つまり、殿下の片思いだが、リヴィア嬢は同じクラスになるのを避けるほど嫌がっているということだな?」
私「嫌いというわけではないと思います。ですが避けているのは間違いありません」
母「デビューの時の装飾品からすると殿下のお気持ちは間違いないようね。だけど陛下はリヴィア様を王子妃には考えていないのね。
フレンデェ家の娘を無駄に競争させる訳がないもの」
父「内々にネルハデス伯爵に申し込むか」
私「卒業まで、それは難しいようです。
王家が絡んでいますので、カシャ公爵家にもアルシュのガニアン公爵家にも お断りをしたと聞きました」
父「アルシュのガニアン!?」
私「断られても、交流をしてから断って欲しいと招待されたそうです」
父「なんでまた…普通は断れないぞ」
私「それがネルハデス伯爵夫妻とリヴィア様の関係ですわ。リヴィア様が望まぬ縁談は受けないそうです」
母「カシャ公爵家もだなんて…確かにリヴィア様は作法も王族の様に素晴らしかったわ。あそこまで仕上げるのに誰を雇ったのか聞きたいくらいよ。
彼女が本気で王子妃を狙っていたら危なかったわ」
父「だからこそオードリックがその気なら婚約を進めたいのだがな」
母「そうね。一番はリヴィア様の気持ちをオードリックが手に入れられると良いのだけど」
父「全てが初めてのことだろうからな。どうなるのか分からないが、思いが通じ合ったら膝の上に乗せてティータイムを過ごしそうだな」
母「ふふっ」
お父様とお母様と こんな砕けた会話が出来るなんて思ってもいなかった。
リヴィア様がフレンデェに暖かくて柔らかな風を簡単に吹き込んだのね。
カチャカチャ
私「リヴィア様、お口に合いますか」
リ「とても美味しいです」
兄「リヴィア、コレ好きだろう」
兄様はそう言うと、リヴィア様のお皿を取り上げて、自身分の料理を半分リヴィア様のお皿に移し、カットした。逆にリヴィア様のお皿から付け合わせの1つを取り除き、自身の皿に移した。
全「……」
兄「こっちは苦手だろうから私に任せなさい」
皿を戻し、リヴィア様が食べ始めると 兄様は機嫌良く食事を再開した。
本来のセッティングを兄様が変えて、自分の隣にリヴィア様を座らせた。しかも椅子を移動させて距離まで縮めた。
…いいのよ。リヴィア様。もう兄様のことを“パパ”と呼んでも。きっと目だけ唖然としているお父様もお母様も弟も納得なさるわ。
更に驚いたのは、自分の使っていたカトラリーで切り分けて渡したこと。兄様は当然のように振る舞うし、リヴィア様はちょっと戸惑っていたけど、受け入れた。
リヴィア様と会ってからの兄様は別人のようだ。
母「リヴィア様はお魚がお好きなの?」
リ「はい。流石フレンデェ公爵家、新鮮なお魚を使っておられて とても美味しいです」
母「それは良かったわ」
兄「貝類も大丈夫なのか?」
リ「はい。大好きです」
兄「フレンデェの領地は海を持っている。綺麗だし魚も貝もよく獲れる。次の長期休暇はフレンデェ領に行こう」
私「兄様!?」
父「オードリック。リヴィア嬢は殿下の婚約者候補だぞ」
兄「妃はコーネリアですから安心してください」
父「だからといって、」
兄「候補が他領へ観光に行ってはならないなんて決まりは無いと思います。そうだろう?コーネリア」
私「そうですけど」
リ「公子もお忙しいでしょうから私は、」
兄「オードリックと呼べと言っただろう。
余計なことを考えずに旅支度をしておけばいい。
来週日程を考えよう。途中、泊まりたい宿があれば良い部屋をおさえてやるからな」
私「リヴィア様はお仕事もありますから」
兄「長期休暇の全部とは言っていないだろう。
リヴィア、勉強は領地で教えてやるから安心しろ」
私「リヴィア様は優秀ですから」
母「確かクラスは…」
兄「わざと下のクラスになるように調整したんだよな?来年もそうしなさい。カシャ公子のこともあるから、下から二番目のクラスを狙ったらどうだ?」
父「何故その様なことを?」
兄「王子殿下を避けるためですよ」
母「まあ、では本当にその気がないのね?」
リ「は、はい」
父「なのに残ってしまったのか。それは可哀想だな」
兄「そうですよ 父上。王家は何を考えているのだか。
リヴィア、今夜は泊まっていくか?」
リ「ま、まさか。帰りますっ」
兄「遠慮しなくていいんだぞ」
リヴィア様の滞在中、兄様はずっとリヴィア様の世話をして、髪や頬に触れたりしていた。
顔付きは優しく瞳には彼女への好意が滲み出ていた。
結局 帰りも兄様が馬車に同乗して屋敷に送って行った。
残された私達4人は緊急会議を開いた。
弟「びっくりしました。僕の兄様は頭を打ったのですか」
私「ある意味そうね」
母「どんな令嬢にも見向きもせず冷たくしていたのに。よりにもよって王子妃候補に想いを寄せるだなんて」
父「コーネリア。本当にリヴィア嬢はライバルではないのだな?」
私「王家との約束で詳しくはお伝えできませんが、今の段階ではその通りです。ただ、王子殿下のお気持ちはリヴィア様にあると思います」
父「つまり、殿下の片思いだが、リヴィア嬢は同じクラスになるのを避けるほど嫌がっているということだな?」
私「嫌いというわけではないと思います。ですが避けているのは間違いありません」
母「デビューの時の装飾品からすると殿下のお気持ちは間違いないようね。だけど陛下はリヴィア様を王子妃には考えていないのね。
フレンデェ家の娘を無駄に競争させる訳がないもの」
父「内々にネルハデス伯爵に申し込むか」
私「卒業まで、それは難しいようです。
王家が絡んでいますので、カシャ公爵家にもアルシュのガニアン公爵家にも お断りをしたと聞きました」
父「アルシュのガニアン!?」
私「断られても、交流をしてから断って欲しいと招待されたそうです」
父「なんでまた…普通は断れないぞ」
私「それがネルハデス伯爵夫妻とリヴィア様の関係ですわ。リヴィア様が望まぬ縁談は受けないそうです」
母「カシャ公爵家もだなんて…確かにリヴィア様は作法も王族の様に素晴らしかったわ。あそこまで仕上げるのに誰を雇ったのか聞きたいくらいよ。
彼女が本気で王子妃を狙っていたら危なかったわ」
父「だからこそオードリックがその気なら婚約を進めたいのだがな」
母「そうね。一番はリヴィア様の気持ちをオードリックが手に入れられると良いのだけど」
父「全てが初めてのことだろうからな。どうなるのか分からないが、思いが通じ合ったら膝の上に乗せてティータイムを過ごしそうだな」
母「ふふっ」
お父様とお母様と こんな砕けた会話が出来るなんて思ってもいなかった。
リヴィア様がフレンデェに暖かくて柔らかな風を簡単に吹き込んだのね。
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