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アレックス 悪戯では済まなかった
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【 馬乗りになっていた侯爵家の次男
アレックス・エナードの視点 】
こんなはずではなかった。
いつもゴーグルをしていたから顔が見たかっただけだった。悪ふざけのつもりが知らずにエスカレートしていたことにやっと気が付いた。
長「結論から申し上げますと、退学です」
ヤ「えっ」
ア「待ってください!」
父「息子達が愚かだったのは分かりました。
ですが退学には納得がいきません。せいぜい停学でしょう。
相手は伯爵令嬢ではあっても最下位クラスの生徒なのですよね。Aクラスの息子達にあんまりではありませんか?
きちんと償いをさせます。慰謝料も支払います。
退学という判断には納得がいきません」
長「まだご理解いただけていないようですね。
普通、怪我をしたら学園の医務室で治療を受けます。ですが彼女は王宮に運ばれ、王宮の医師から治療を受けました。
そして国王陛下直属の部隊長がやってきたということは普通の令嬢ではありません」
父「といいますと?」
モ「彼女はヘンリー王子殿下の妃候補に選ばれていました。ですが彼女は断ったため、話は無くなりました。
彼女は学年でトップ争いができる実力の持ち主です。最下位クラスにいる訳は、Aクラスに王子殿下がおられるので気まずくならないよう入試で手を抜いたのです。
王子妃候補に選ばれた時に命を狙われました。だから念のために近衛騎士を最下位クラスの担任にしたのです。
侯爵。それでもまだ停学が相応しいと?
幼子のやったことなら分かります。ですが彼らは成人間近なのですよ」
先「2人がかりで力で押さえ込まれた女の子の傷は体だけではありませんよ。心も傷ができるのです。
恐怖と屈辱です。
人によっては薄暗い部屋に入れなくなったり、男性と2人きりになれなかったり、近寄ることさえ拒絶してしまう子もいるのです。
今この場で退学を逃れたとしても、犯罪者と記録に残れば強制退学です」
ア「え!?」
長「訴訟ですよ。
先生であり近衛騎士の目撃証言、王宮医の診断報告書、衣類などの証拠品、華奢な伯爵令嬢の姿を見れば、訴訟では間違いなく負けるでしょう。
特別傷害罪が適用されて確実に収監されるでしょう。それが数日でも1ヶ月でも収監は収監。
学則で退学と決まっています」
ヤ「そんな」
ア「父上」
父「伯爵は訴訟を起こすと思いますか」
モ「王子妃の打診を、娘が嫌がったからと断りを入れる父親ですよ?停学で済んだら2人も2人の親も学園も訴えられるでしょうね。
罪人となれば ご家族や親戚は影響なく過ごせるか分かりませんよ」
父「分かりました」
ア「父上!」
父「マリアンヌの嫁ぎ先は厳しい家門だ。
これから嫁になる者の弟が犯罪者となってしまっては破棄される。事業契約も消えて損失を被る」
ア「僕達はどうなるのですか」
父「来年他国に留学するか、就学しないかだ」
ア「学校に行かなければ次期侯爵は…」
父「弟を指名する」
ヤ「ち、父上」
兄上が恋愛結婚で婿入りしたから運良く手に入れた跡継ぎの座なのに弟に継がせる!?
ヤ父「なんでこんなことをしたんだ」
ヤ「いつも馬術クラスでゴーグルをしているから、顔を見たいという話になって…」
ヤ父「なら頼むか、クラスに赴くかすれば良かっただろう」
ヤ「全然分からなくて」
ヤ父「どう考えても相手に非がないし、令嬢相手では判決は令息相手よりも重くなる。
嫌がったなら普通は止めるだろう。押し倒して押さえつけて傷を負わせるなんて」
ヤ「父上、特別傷害罪とは何ですか」
ヤ父「貴族女性に対して傷をつける行為だ。特に未婚の令嬢相手だと賠償金は跳ね上がる。
傷痕が残ればもっとだし、失目などさせていたら破産だ」
ヤ「!!」
こうして退学になった。
アレックス・エナードの視点 】
こんなはずではなかった。
いつもゴーグルをしていたから顔が見たかっただけだった。悪ふざけのつもりが知らずにエスカレートしていたことにやっと気が付いた。
長「結論から申し上げますと、退学です」
ヤ「えっ」
ア「待ってください!」
父「息子達が愚かだったのは分かりました。
ですが退学には納得がいきません。せいぜい停学でしょう。
相手は伯爵令嬢ではあっても最下位クラスの生徒なのですよね。Aクラスの息子達にあんまりではありませんか?
きちんと償いをさせます。慰謝料も支払います。
退学という判断には納得がいきません」
長「まだご理解いただけていないようですね。
普通、怪我をしたら学園の医務室で治療を受けます。ですが彼女は王宮に運ばれ、王宮の医師から治療を受けました。
そして国王陛下直属の部隊長がやってきたということは普通の令嬢ではありません」
父「といいますと?」
モ「彼女はヘンリー王子殿下の妃候補に選ばれていました。ですが彼女は断ったため、話は無くなりました。
彼女は学年でトップ争いができる実力の持ち主です。最下位クラスにいる訳は、Aクラスに王子殿下がおられるので気まずくならないよう入試で手を抜いたのです。
王子妃候補に選ばれた時に命を狙われました。だから念のために近衛騎士を最下位クラスの担任にしたのです。
侯爵。それでもまだ停学が相応しいと?
幼子のやったことなら分かります。ですが彼らは成人間近なのですよ」
先「2人がかりで力で押さえ込まれた女の子の傷は体だけではありませんよ。心も傷ができるのです。
恐怖と屈辱です。
人によっては薄暗い部屋に入れなくなったり、男性と2人きりになれなかったり、近寄ることさえ拒絶してしまう子もいるのです。
今この場で退学を逃れたとしても、犯罪者と記録に残れば強制退学です」
ア「え!?」
長「訴訟ですよ。
先生であり近衛騎士の目撃証言、王宮医の診断報告書、衣類などの証拠品、華奢な伯爵令嬢の姿を見れば、訴訟では間違いなく負けるでしょう。
特別傷害罪が適用されて確実に収監されるでしょう。それが数日でも1ヶ月でも収監は収監。
学則で退学と決まっています」
ヤ「そんな」
ア「父上」
父「伯爵は訴訟を起こすと思いますか」
モ「王子妃の打診を、娘が嫌がったからと断りを入れる父親ですよ?停学で済んだら2人も2人の親も学園も訴えられるでしょうね。
罪人となれば ご家族や親戚は影響なく過ごせるか分かりませんよ」
父「分かりました」
ア「父上!」
父「マリアンヌの嫁ぎ先は厳しい家門だ。
これから嫁になる者の弟が犯罪者となってしまっては破棄される。事業契約も消えて損失を被る」
ア「僕達はどうなるのですか」
父「来年他国に留学するか、就学しないかだ」
ア「学校に行かなければ次期侯爵は…」
父「弟を指名する」
ヤ「ち、父上」
兄上が恋愛結婚で婿入りしたから運良く手に入れた跡継ぎの座なのに弟に継がせる!?
ヤ父「なんでこんなことをしたんだ」
ヤ「いつも馬術クラスでゴーグルをしているから、顔を見たいという話になって…」
ヤ父「なら頼むか、クラスに赴くかすれば良かっただろう」
ヤ「全然分からなくて」
ヤ父「どう考えても相手に非がないし、令嬢相手では判決は令息相手よりも重くなる。
嫌がったなら普通は止めるだろう。押し倒して押さえつけて傷を負わせるなんて」
ヤ「父上、特別傷害罪とは何ですか」
ヤ父「貴族女性に対して傷をつける行為だ。特に未婚の令嬢相手だと賠償金は跳ね上がる。
傷痕が残ればもっとだし、失目などさせていたら破産だ」
ヤ「!!」
こうして退学になった。
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