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2度目
最後の機会
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ポツッ ポツッ
「お嬢様、雨です!」
バルコニーに出ると頬に雨が当たった。
「雨だわ!」
「終わったのか」
「多分終わりのお告げです。ありがとうございます、ウェス卿」
「セリーナが頑張り抜いたんだ。お疲れ様」
数日後、ウェス卿は3年振りにグリーンデサントに帰った。
リッツ家からの派遣兵士は旱魃が始まった時に入れ替えている。
彼らは後一年残ってくれるらしい。
長雨の時よりも賊が活動しやすいからだ。
大きな借りを作ってしまった。
馬車事業のみんなと相談した結果、シオーヌ家とレイノルズ家に高級馬車を贈った。
天災が始まって四年半後、私と母はリッツ家の派遣してくれた兵士20名、カークファルドの護衛と一緒にグリーンデサントに来た。
国境ではジュスト様が待っていた。
「叔母上、セリーナ!」
ギュウギュウに抱きしめられた後、王城へ向かった。
到着すると国王陛下にお礼を述べた。
「ご支援をいただき感謝申し上げます」
国王陛下は慌てて母の元へ寄り、跪いた母を立たせた。
「止めてください 姉上。貴女が与えてくださったものを考えたら微々たるものです!」
「無事に乗り切れましたわ」
「リッツ家は本当によくやってくれた。
サルベナ隊長、姉と姪達を守ってくれて心より感謝する」
「大したことはしておりません。時々現れる侵入者は子供のように弱くウォーミングアップにもなりませんでしたがいい経験になりました。
防衛の実践ができましたし、天災を乗り切る方法をカークファルドで学べて光栄に思います。
あの対策をセリーナ姫が学園に入る前から始めたと思うと尊敬の念に堪えません」
「備えがなければ三年の天災など乗り切れるものではない。その後も土地を再生させて収穫ができるようになるまで終わらない。餓死者や強奪で多くの死者を出すところだった」
「はい。隣接した領地はそのようになりました」
「サルベナ隊長の指導の元、カークファルドの私兵を鍛えていただきました。
今後は逆恨みから領地を守りますわ」
一泊してリッツ邸を訪問した。
「リッツ公爵、公爵夫人。
カークファルドを助けていただき感謝いたします」
「善意を返したまでのこと」
「そうですわ」
「ウェス公子とリッツ家の兵士の皆様に守られて、領地で大きな被害を出すことなく、心強かったですわ」
「ウェス達には良い経験になりました。
上の子達と一緒に領地を視察して見直しを始めましたのよ。
こちらこそ感謝しますわ」
「あの、お礼に馬車を納めさせてください」
「まあ、セリーナ姫、本当ですか?」
「持って参りました」
「見に行こう」
公爵夫妻は外に出て、持ってきた馬車に乗って騒いでいた。
前金を返して受注済みの注文のキャンセルを申し出たが、そのまま作って欲しいと言われた。
食事をご馳走になり城へ戻った。
今回の滞在は短い。
「セリーナ」
あの日から、ジュスト様は悲しそうな顔をする。
「どうなさいましたか」
「……」
ソファに座る私の足元に座り込み、頭を膝の上に乗せた。
「嫌いにならないでくれ」
4年も前のことを謝っていた。
「同意はありませんでした」
「俺はセリーナがいないと駄目なんだ」
「困りましたね」
「だけどウェスが尽力したことも知っている。
俺が脅さなければセリーナはウェスを選んでいたんだろう?」
「少し違いますが…そうですね」
「ウェスが好きなのか」
「もちろん好きです」
「そうか」
「助けてくださった方をカークファルド一同がお慕いしております」
「異性としてではないということか」
「恋愛感情ではありません。天災の間、ウェス卿は口説くなどしませんでしたし、その前に求婚を断っていますから」
「最後に一度だけセリーナに逃げる機会を与える」
「脅しておいて?」
「そうだ」
「もしかして、早速心変わりですか」
「そうじゃない。
セリーナの心が手に入っていないまま体を繋げたが、それが別の苦しみを生んだ」
「どこまで勝手なのですか? 純潔を奪っておきながら」
「その通りだ。
セリーナ。全力で尽くすから嫌わないで欲しい。
出来れば愛して欲しい」
「愛は努力で芽生えるものではありません」
「俺次第だよな。
愛してもらえるように大事にする。
結婚して側にいて欲しい」
「今度は脅しではなく頼むのですね?」
「セリーナ」
「カークファルドはリッツ家に借りができました」
「分かってる。一緒に借りを返していこう」
「結婚します。王妃の役割に自信はありませんが」
「それも俺がなんとかする」
「シモン兄様を傷付けたら、いくらジュスト様でも許しませんよ」
「シモン従兄上には一生敵う気がしない」
「当然です。お兄様は最高ですから」
「シモン従兄上がセリーナと兄妹で本当に良かった」
「お兄様と兄妹でなければ、私は絶対にお兄様と結婚しましたから」
「くっ…兄妹と分かっていても妬ける」
「お嬢様、雨です!」
バルコニーに出ると頬に雨が当たった。
「雨だわ!」
「終わったのか」
「多分終わりのお告げです。ありがとうございます、ウェス卿」
「セリーナが頑張り抜いたんだ。お疲れ様」
数日後、ウェス卿は3年振りにグリーンデサントに帰った。
リッツ家からの派遣兵士は旱魃が始まった時に入れ替えている。
彼らは後一年残ってくれるらしい。
長雨の時よりも賊が活動しやすいからだ。
大きな借りを作ってしまった。
馬車事業のみんなと相談した結果、シオーヌ家とレイノルズ家に高級馬車を贈った。
天災が始まって四年半後、私と母はリッツ家の派遣してくれた兵士20名、カークファルドの護衛と一緒にグリーンデサントに来た。
国境ではジュスト様が待っていた。
「叔母上、セリーナ!」
ギュウギュウに抱きしめられた後、王城へ向かった。
到着すると国王陛下にお礼を述べた。
「ご支援をいただき感謝申し上げます」
国王陛下は慌てて母の元へ寄り、跪いた母を立たせた。
「止めてください 姉上。貴女が与えてくださったものを考えたら微々たるものです!」
「無事に乗り切れましたわ」
「リッツ家は本当によくやってくれた。
サルベナ隊長、姉と姪達を守ってくれて心より感謝する」
「大したことはしておりません。時々現れる侵入者は子供のように弱くウォーミングアップにもなりませんでしたがいい経験になりました。
防衛の実践ができましたし、天災を乗り切る方法をカークファルドで学べて光栄に思います。
あの対策をセリーナ姫が学園に入る前から始めたと思うと尊敬の念に堪えません」
「備えがなければ三年の天災など乗り切れるものではない。その後も土地を再生させて収穫ができるようになるまで終わらない。餓死者や強奪で多くの死者を出すところだった」
「はい。隣接した領地はそのようになりました」
「サルベナ隊長の指導の元、カークファルドの私兵を鍛えていただきました。
今後は逆恨みから領地を守りますわ」
一泊してリッツ邸を訪問した。
「リッツ公爵、公爵夫人。
カークファルドを助けていただき感謝いたします」
「善意を返したまでのこと」
「そうですわ」
「ウェス公子とリッツ家の兵士の皆様に守られて、領地で大きな被害を出すことなく、心強かったですわ」
「ウェス達には良い経験になりました。
上の子達と一緒に領地を視察して見直しを始めましたのよ。
こちらこそ感謝しますわ」
「あの、お礼に馬車を納めさせてください」
「まあ、セリーナ姫、本当ですか?」
「持って参りました」
「見に行こう」
公爵夫妻は外に出て、持ってきた馬車に乗って騒いでいた。
前金を返して受注済みの注文のキャンセルを申し出たが、そのまま作って欲しいと言われた。
食事をご馳走になり城へ戻った。
今回の滞在は短い。
「セリーナ」
あの日から、ジュスト様は悲しそうな顔をする。
「どうなさいましたか」
「……」
ソファに座る私の足元に座り込み、頭を膝の上に乗せた。
「嫌いにならないでくれ」
4年も前のことを謝っていた。
「同意はありませんでした」
「俺はセリーナがいないと駄目なんだ」
「困りましたね」
「だけどウェスが尽力したことも知っている。
俺が脅さなければセリーナはウェスを選んでいたんだろう?」
「少し違いますが…そうですね」
「ウェスが好きなのか」
「もちろん好きです」
「そうか」
「助けてくださった方をカークファルド一同がお慕いしております」
「異性としてではないということか」
「恋愛感情ではありません。天災の間、ウェス卿は口説くなどしませんでしたし、その前に求婚を断っていますから」
「最後に一度だけセリーナに逃げる機会を与える」
「脅しておいて?」
「そうだ」
「もしかして、早速心変わりですか」
「そうじゃない。
セリーナの心が手に入っていないまま体を繋げたが、それが別の苦しみを生んだ」
「どこまで勝手なのですか? 純潔を奪っておきながら」
「その通りだ。
セリーナ。全力で尽くすから嫌わないで欲しい。
出来れば愛して欲しい」
「愛は努力で芽生えるものではありません」
「俺次第だよな。
愛してもらえるように大事にする。
結婚して側にいて欲しい」
「今度は脅しではなく頼むのですね?」
「セリーナ」
「カークファルドはリッツ家に借りができました」
「分かってる。一緒に借りを返していこう」
「結婚します。王妃の役割に自信はありませんが」
「それも俺がなんとかする」
「シモン兄様を傷付けたら、いくらジュスト様でも許しませんよ」
「シモン従兄上には一生敵う気がしない」
「当然です。お兄様は最高ですから」
「シモン従兄上がセリーナと兄妹で本当に良かった」
「お兄様と兄妹でなければ、私は絶対にお兄様と結婚しましたから」
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