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2度目

拙いキス

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 三泊四日のジクトリクス伯爵邸滞在を終えて王城へ戻るとレニー・ピビッチから面会希望の手紙が届いていた。

それを持って来たのはジュストだった。

ジュストは今回 フィリシアとセリーナ付きのメイドや護衛に会話など逐一報告するように命じていた。

そして手紙は先にジュストへ。来客予定も報告させていた。

「レニーが会いたいみたいです。
滞在中出来る限り時間を取って欲しいと書いてあります」

「見せて」

ジュストは手紙を受け取ると 読んで溜息を吐いた。

「セリーナ。彼には下心がある。だから会って欲しくない」

「考え過ぎです」

「ライバルだと分かるんだ」

「……」

「母上のパーティの招待状を回すから私的に会うのではなく公で会って欲しい」

「……」

「セリーナ、お願いだ」

「わかりました」

「我儘を聞いてくれてありがとう」

ジュストはセリーナの手を取り 手の甲に唇を付けた。

そんな願いは聞き入れなくてもいいはずなのだが、ジュストが泣きそうな表情かおをしていたことと、最近 ジュストの献身的な看護について詳細を聞いたばかりなので希望を受け入れることにしたのだ。


「セリーナ、旱魃に強い穀物や野菜の種や苗木を探させていたが、滞在中に届くはずだ。
雨季にも強い作物も探させている。
あと、壁などに塗ると湿気などの調節をしてくれる土が手に入る。気に入れば作り方を聞き出そう。材料がセントフィールドやグリーンデサントに無ければ調達できるようにしよう」

「本当ですか!?
ありがとうございます!」

おもわずジュスト様に抱き付いてしまったわ。

「あ、ごめんなさい」

離れようとしたセリーナだが、抱きしめ返すジュストが嬉しそうに微笑んでいたので 微笑み返した。

「シモン兄上もこんな気持ちだったのだろうな。

セリーナに抱き付かれて笑顔で見上げられて、可愛くて可愛くて堪らなかったんだろうな」

「ふふっ 確かにお兄様はいつも“可愛いセリーナ”と言って甘やかしてくれました」

「だが俺は異性として愛してるから…キスがしたい」

「愛していなくても できるのでは?」

「人によるんじゃないか?
俺はセリーナが初めてだし セリーナとしかしたことがないし 他の女としたいと思ったことがない。俺はセリーナ以外と出来そうにない」

ジュストの瞳が近付き唇が触れたので セリーナが瞼を閉じた。徐々に熱のこもったキスになっていく。
そして舌が差し入れられるとセリーナの身体が強張った。

だけどグラシアンとは違う拙いキスに セリーナはジュストの胸に手を添えて受け入れた。



夕食時、ルシアン以外の王族はとても静かだ。
チラッと二人を見ては手元に視線を戻す。

ル「どうしちゃったんですか?」

エ「(いいから大人しく食べろ)」

ア「(大事な時期なのよ)」

ル「変なの。

あれ?ジュスト兄様のおくちが赤い」

エ「(バカ!止めろ)」

王妃「(ルシアン!)」

ア「(シッ!)」

ル「ジュスト兄様、お顔 真っ赤!」

ジュ「っ!」

陛「ルシアン、ジュストのことは放っておきなさい」

祖母「そうよ。そっとしておきなさい」
 
ア「ルシアン、場の空気を読めるようになりなさいよ」

ル「空気を読む? アストリ姉様 空気に文字が書いてあるの?」

エ「ルシアン。早く大きくなれ」

ル「エメリー兄様くらい?」

王妃「ルシアン、食事に集中なさい」

ル「は~い」






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