46 / 90
2度目
イザベラの婚約
しおりを挟む
パーティの翌日は午前中はベッドでゴロゴロ過ごして、午後から仕事だ。4件の来客を終えるとグラシアン様とロータルが夕食を一緒に取りにやってきた。
兄「ロータルならうちの弟に迎えたいな」
私「すっごく可愛い」
ロ「恥ずかしいです、姉様」
もうロータルは、兄様やグラシアン様のことを兄様、私とイザベラのことを姉様と呼ぶようになった。
私とイザベラはとにかくロータルを愛でる。
頭を撫でたり、抱きしめたり、ときには頬や頭にキスをする。クッキーを食べさせたり口元を拭いたり。
私「あまり早く大人にならなくていいのよ」
ロ「どうしてですか」
私「反抗期を迎えたりして姉様達が鬱陶しくなって“うるさい 触るな あっち行け” なんて言われたら立ち直れないもの」
ロ「そんなこと言うわけないじゃないですか」
私「本当?」
ロ「誓います」
私「じゃあ、そこそこに大きくなるのよ。
食事はたくさん食べないと駄目よ」
兄「セリーナ、無茶なことを言っているぞ」
ロ「姉様が喜ぶなら よく食べて 神様に成長をゆっくりにしてくださいと祈ります」
私「ロータル、大好きよ」
ロ「僕も姉様が大好きです」
仕方ないでしょ? 見た目も中身もこんなに可愛いんだもの。
兄「大きくなったら令嬢を泣かせますね」
グ「片鱗がしっかり見えますね」
食事が終わると、お茶を飲みながらグラシアン様がロータルに改めて申し込んだ。
グ「ロータル。私はぜひ君を弟に迎えたい。
将来は私の補佐をしてもいいし、好きな職業に就いていい。婿に行くならちゃんと後ろ盾になる。
どうだろうか」
ロ「僕のせいで母やルシールの行いがシオーヌ家に影を落としませんか」
グ「ちゃんと縁切りするから大丈夫」
ロ「よろしくお願いします、兄様」
あ~ うちに来てくれたら良かったのに…。
ロ「姉様、お願いがあります」
私「どうしたの」
ロ「名付けて下さい」
私「え?愛称ってこと?」
ロ「改名したいのです」
私「でも、それならシオーヌ家で、」
グ「私もそうして欲しい」
私「が、頑張るわ」
【 グラシアンの視点 】
くっ… 可愛いな。
セリーナは、自分の弟にしたかったのが分かる。
少しガッカリしたような、ホッとしたような。
まだ 精通を迎えていない子だから許しているが、セリーナが泊まるときは、セリーナとイザベラに挟まれてロータルは眠る。
朝はニコニコと“天国でした” と言っている。
もちろん、イザベラとセリーナが、恥ずかしがるロータルをノーとは言えないようにして一緒に寝るのだけど。
“姉様が嫌い?”
“姉様が怖い夢を見たら可哀想でしょ?”
“姉様が寒くてもいいの?”
“ロータルの寝顔が見たいの”
セリーナが子煩悩なのが分かった。
子が産まれたら幸せ過ぎる家族となるだろう。
巻き戻り前のセリーナは10年不妊だったと聞いた。
だが閨は月に一度。それも問題なのではと思う。
ロータルを迎えたことで養子という選択肢に抵抗も薄れただろう。
カークファルド邸に行く前に今日はイザベラと王城へ出向いた。
官「では、双方の要望を聞きましょう」
フ「王家は特に無い」
イ「私からは希望がいくつかございます」
官「どうぞ」
イ「先ず、跡継ぎ問題ですが、私が男児を産めない場合は離縁を望みます。新しいお妃様をお迎えください。
また、フレデリク殿下に寵愛する女性が現れた場合も離縁を望みます。
仮に王太子妃や王妃になっても里帰りはします。
来客も家族は自由にさせてください。
また、男児もしくは女児が三人以上産まれたときに第三子を、男児が一人以上産まれたときに女児が二人以上産まれたら次女を対象に、シオーヌ家に跡継ぎが誕生日していなければ養子に出すことをお許しください」
官「養子はちょっと…」
イ「政略結婚に使いたいからですか?」
官「……」
イ「では、破談ということで」
フ「条件を飲もう」
官「殿下」
フ「シオーヌ家に預けると思えばいい。
だが、面会権は付けて欲しい」
イ「そのときは やたらと面会させます」
官「???」
フ「他には?」
イ「公務休暇をちゃんとください」
フ「分かった」
イ「フレデリクも取るのですよ」
フ「難しいかな」
イ「人を増やして下さい」
フ「やるだけやってみるが、叶わなくても許してくれ」
イ「仕方ないですね。私からは以上です」
こうして婚約は交わされた。
兄「ロータルならうちの弟に迎えたいな」
私「すっごく可愛い」
ロ「恥ずかしいです、姉様」
もうロータルは、兄様やグラシアン様のことを兄様、私とイザベラのことを姉様と呼ぶようになった。
私とイザベラはとにかくロータルを愛でる。
頭を撫でたり、抱きしめたり、ときには頬や頭にキスをする。クッキーを食べさせたり口元を拭いたり。
私「あまり早く大人にならなくていいのよ」
ロ「どうしてですか」
私「反抗期を迎えたりして姉様達が鬱陶しくなって“うるさい 触るな あっち行け” なんて言われたら立ち直れないもの」
ロ「そんなこと言うわけないじゃないですか」
私「本当?」
ロ「誓います」
私「じゃあ、そこそこに大きくなるのよ。
食事はたくさん食べないと駄目よ」
兄「セリーナ、無茶なことを言っているぞ」
ロ「姉様が喜ぶなら よく食べて 神様に成長をゆっくりにしてくださいと祈ります」
私「ロータル、大好きよ」
ロ「僕も姉様が大好きです」
仕方ないでしょ? 見た目も中身もこんなに可愛いんだもの。
兄「大きくなったら令嬢を泣かせますね」
グ「片鱗がしっかり見えますね」
食事が終わると、お茶を飲みながらグラシアン様がロータルに改めて申し込んだ。
グ「ロータル。私はぜひ君を弟に迎えたい。
将来は私の補佐をしてもいいし、好きな職業に就いていい。婿に行くならちゃんと後ろ盾になる。
どうだろうか」
ロ「僕のせいで母やルシールの行いがシオーヌ家に影を落としませんか」
グ「ちゃんと縁切りするから大丈夫」
ロ「よろしくお願いします、兄様」
あ~ うちに来てくれたら良かったのに…。
ロ「姉様、お願いがあります」
私「どうしたの」
ロ「名付けて下さい」
私「え?愛称ってこと?」
ロ「改名したいのです」
私「でも、それならシオーヌ家で、」
グ「私もそうして欲しい」
私「が、頑張るわ」
【 グラシアンの視点 】
くっ… 可愛いな。
セリーナは、自分の弟にしたかったのが分かる。
少しガッカリしたような、ホッとしたような。
まだ 精通を迎えていない子だから許しているが、セリーナが泊まるときは、セリーナとイザベラに挟まれてロータルは眠る。
朝はニコニコと“天国でした” と言っている。
もちろん、イザベラとセリーナが、恥ずかしがるロータルをノーとは言えないようにして一緒に寝るのだけど。
“姉様が嫌い?”
“姉様が怖い夢を見たら可哀想でしょ?”
“姉様が寒くてもいいの?”
“ロータルの寝顔が見たいの”
セリーナが子煩悩なのが分かった。
子が産まれたら幸せ過ぎる家族となるだろう。
巻き戻り前のセリーナは10年不妊だったと聞いた。
だが閨は月に一度。それも問題なのではと思う。
ロータルを迎えたことで養子という選択肢に抵抗も薄れただろう。
カークファルド邸に行く前に今日はイザベラと王城へ出向いた。
官「では、双方の要望を聞きましょう」
フ「王家は特に無い」
イ「私からは希望がいくつかございます」
官「どうぞ」
イ「先ず、跡継ぎ問題ですが、私が男児を産めない場合は離縁を望みます。新しいお妃様をお迎えください。
また、フレデリク殿下に寵愛する女性が現れた場合も離縁を望みます。
仮に王太子妃や王妃になっても里帰りはします。
来客も家族は自由にさせてください。
また、男児もしくは女児が三人以上産まれたときに第三子を、男児が一人以上産まれたときに女児が二人以上産まれたら次女を対象に、シオーヌ家に跡継ぎが誕生日していなければ養子に出すことをお許しください」
官「養子はちょっと…」
イ「政略結婚に使いたいからですか?」
官「……」
イ「では、破談ということで」
フ「条件を飲もう」
官「殿下」
フ「シオーヌ家に預けると思えばいい。
だが、面会権は付けて欲しい」
イ「そのときは やたらと面会させます」
官「???」
フ「他には?」
イ「公務休暇をちゃんとください」
フ「分かった」
イ「フレデリクも取るのですよ」
フ「難しいかな」
イ「人を増やして下さい」
フ「やるだけやってみるが、叶わなくても許してくれ」
イ「仕方ないですね。私からは以上です」
こうして婚約は交わされた。
317
お気に入りに追加
4,843
あなたにおすすめの小説
どうぞ、(誰にも真似できない)その愛を貫いてくださいませ(笑)
mios
恋愛
公爵令嬢の婚約者を捨て、男爵令嬢と大恋愛の末に結婚した第一王子。公爵家の後ろ盾がなくなって、王太子の地位を降ろされた第一王子。
念願の子に恵まれて、産まれた直後に齎された幼い王子様の訃報。
国中が悲しみに包まれた時、侯爵家に一報が。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?
【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中
【完結】政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。
ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」
ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。
「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」
一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。
だって。
──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる