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イザベラの婚約

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パーティの翌日は午前中はベッドでゴロゴロ過ごして、午後から仕事だ。4件の来客を終えるとグラシアン様とロータルが夕食を一緒に取りにやってきた。

兄「ロータルならうちの弟に迎えたいな」

私「すっごく可愛い」

ロ「恥ずかしいです、姉様」

もうロータルは、兄様やグラシアン様のことを兄様、私とイザベラのことを姉様と呼ぶようになった。

私とイザベラはとにかくロータルを愛でる。

頭を撫でたり、抱きしめたり、ときには頬や頭にキスをする。クッキーを食べさせたり口元を拭いたり。

私「あまり早く大人にならなくていいのよ」

ロ「どうしてですか」

私「反抗期を迎えたりして姉様達が鬱陶しくなって“うるさい 触るな あっち行け” なんて言われたら立ち直れないもの」

ロ「そんなこと言うわけないじゃないですか」

私「本当?」

ロ「誓います」

私「じゃあ、そこそこに大きくなるのよ。
食事はたくさん食べないと駄目よ」

兄「セリーナ、無茶なことを言っているぞ」

ロ「姉様が喜ぶなら よく食べて 神様に成長をゆっくりにしてくださいと祈ります」

私「ロータル、大好きよ」

ロ「僕も姉様が大好きです」

仕方ないでしょ? 見た目も中身もこんなに可愛いんだもの。

兄「大きくなったら令嬢を泣かせますね」

グ「片鱗がしっかり見えますね」


食事が終わると、お茶を飲みながらグラシアン様がロータルに改めて申し込んだ。

グ「ロータル。私はぜひ君を弟に迎えたい。
将来は私の補佐をしてもいいし、好きな職業に就いていい。婿に行くならちゃんと後ろ盾になる。
どうだろうか」

ロ「僕のせいで母やルシールの行いがシオーヌ家に影を落としませんか」

グ「ちゃんと縁切りするから大丈夫」

ロ「よろしくお願いします、兄様」

あ~ うちに来てくれたら良かったのに…。

ロ「姉様、お願いがあります」

私「どうしたの」

ロ「名付けて下さい」

私「え?愛称ってこと?」

ロ「改名したいのです」

私「でも、それならシオーヌ家で、」

グ「私もそうして欲しい」

私「が、頑張るわ」





【 グラシアンの視点 】


くっ… 可愛いな。

セリーナは、自分の弟にしたかったのが分かる。

少しガッカリしたような、ホッとしたような。


まだ 精通を迎えていない子だから許しているが、セリーナが泊まるときは、セリーナとイザベラに挟まれてロータルは眠る。

朝はニコニコと“天国でした” と言っている。

もちろん、イザベラとセリーナが、恥ずかしがるロータルをノーとは言えないようにして一緒に寝るのだけど。

“姉様が嫌い?”

“姉様が怖い夢を見たら可哀想でしょ?”

“姉様が寒くてもいいの?”

“ロータルの寝顔が見たいの”


セリーナが子煩悩なのが分かった。
子が産まれたら幸せ過ぎる家族となるだろう。

巻き戻り前のセリーナは10年不妊だったと聞いた。
だが閨は月に一度。それも問題なのではと思う。

ロータルを迎えたことで養子という選択肢に抵抗も薄れただろう。


カークファルド邸に行く前に今日はイザベラと王城へ出向いた。

官「では、双方の要望を聞きましょう」

フ「王家は特に無い」

イ「私からは希望がいくつかございます」

官「どうぞ」

イ「先ず、跡継ぎ問題ですが、私が男児を産めない場合は離縁を望みます。新しいお妃様をお迎えください。
また、フレデリク殿下に寵愛する女性が現れた場合も離縁を望みます。

仮に王太子妃や王妃になっても里帰りはします。
来客も家族は自由にさせてください。

また、男児もしくは女児が三人以上産まれたときに第三子を、男児が一人以上産まれたときに女児が二人以上産まれたら次女を対象に、シオーヌ家に跡継ぎが誕生日していなければ養子に出すことをお許しください」

官「養子はちょっと…」

イ「政略結婚に使いたいからですか?」

官「……」

イ「では、破談ということで」

フ「条件を飲もう」

官「殿下」

フ「シオーヌ家に預けると思えばいい。
だが、面会権は付けて欲しい」

イ「そのときは やたらと面会させます」

官「???」

フ「他には?」

イ「公務休暇をちゃんとください」

フ「分かった」

イ「フレデリクも取るのですよ」

フ「難しいかな」

イ「人を増やして下さい」

フ「やるだけやってみるが、叶わなくても許してくれ」

イ「仕方ないですね。私からは以上です」

こうして婚約は交わされた。







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