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王宮主催のものはジュスト様と。それ以外はグラシアン様とパーティなどに参加した。
二股と陰口を言われた。

二年生になるとレミ様が積極的に学園でもパーティなどでも話しかけてくるので、陰口ばかりになった。

しかもフレデリク殿下との仲も疑う人もいて、王子二人と公爵と美男子令息の計四人を天秤にかける女として悪女呼ばわりだ。

キャシリー様は令息達に遊ばれるだけで真剣交際に至る者が現れず、私とはクラスも違いレミ様と婚約していないというのに時々接触してくる。

「カークファルドさん、本命は誰なんですか?
フレデリク殿下? ジュスト殿下? レイノルズさん? それともシオーヌ公爵?」

「貴女に関係ないでしょう」

「怖~い。 私はカークファルドさんに話しかけているのに」

「学園生活や勉強に全く関係のない内容で話があるなら貴族のルールが適用されますわよ」

「っ!」

いつもイザベラが追い払ってくれる。

「ありがとうイザベラ」

「身の程を知って自分を磨けばいいのに。
一応顔は可愛いんだから。

でも、身持ちが悪いから貴族や裕福な商家は相手にされないわね。せいぜい愛人止まりだわね」


「セリーナ」

「レイノルズさん。“カークファルドさん” と呼んでください」

「カークファルドさん、今度の休みに一緒に出かけないか」

「仕事がありますので」

「シオーヌ公爵とは出かける時間があるのだろう」

「シオーヌ公爵と比べるのはおかしいです。比べるのであれば 今後はお声かけも遠慮願います」

「何故?」

「ここで言ってもよろしいのですか?」

「…私は君と過ごす時間をもらいたいだけなんだ」

「レイノルズさん。お気持ちは分かりましたが そろそろ諦めてくださいませんか。
新たな出会いを求めた方が伯爵家に有益ですわ」

「君に気持ちが向いている以上は無理だよ」

そんなはずがない。愛するキャシリー様を本邸に住まわせながら嫌いな私を孕ませるために月に一度足を運んだくせに。

私のこと嫌いだったでしょ?
婚約が決まって顔合わせをした時から感じていたもの。

「レイノルズさんの好みではないと思うのですが、私に拘って何度も求婚する理由が全く分かりません。
私の外見も好きではないでしょう?

ほら、ゴーダーさんのような可愛らしい容姿の方がお好みでは?」

「……あんな女は私の好みではない」

え? あんなに愛していたキャシリー様を??

「そうですか」

「何故そう思ったんだ?」

「え… 勘です」

「君の髪の色も 瞳の色も 美しく思う。
その素っ気ないところも好ましいし、兄君と事業を頑張っている姿も好きだ。」

何で学園の廊下で言ってしまうの…

「あ、授業が始まりますわ。
とにかく私はレイノルズさんとは婚約しません。失礼します」

午後の授業の予鈴で助かった。




だけど授業が終わり馬車乗り場へ行くと……

「カークファルドさん。お話がありますの」

「分かりましたわ」

「私も行くわ」

「シオーヌさんにお声掛けはしておりませんわ」

「五人も同時にセリーナに呼び出し?
心配で放って置けないわ。拒否するなら学園長に、」

「シオーヌさんもどうぞ」


そして裏庭へ連れてこられた。

「カークファルドさん。目に余りますわ」

「何がでしょうか」

「貴女は夜会などをシオーヌ公爵をパートナーにして付き添わせ、王宮主催ではジュスト殿下をパートナーにして付き添わせ、フレデリク殿下にまで媚を売って、挙句 レミ様を誘惑して。
節操が無さ過ぎではありませんこと?」

「シオーヌ公爵とは友人として交流をしております。シオーヌ公爵にも私にも婚約者も配偶者もおりませんから問題ありません。

ジュスト殿下は私の従兄です。

フレデリク殿下は友人…もしくは親友らしいです。
フレデリク殿下にも婚約者はおりませんから、問題ありません。

レイノルズさんは私から話しかけたこともございませんし仲良くした覚えもありません」

「シオーヌさん、貴女の兄が弄ばれているのによろしいのですか」

「私がセリーナに紹介したのだもの。よろしいに決まっているわ。

それにフレデリク殿下の幼馴染として保証するけど、フレデリク殿下に恋愛感情は無いの」

「レミ様にあんな事を言わせて、」

イザベラが一歩前に出て令嬢を威圧しだした。

「ラバルノ侯爵家のダリア様。今日の昼休みにレイノルズさんがセリーナに愛を告げた事を言っているの?
それと貴女と何の関係があるのかしら。

あ、もしかしてレイノルズさんと婚約したの!?」

「っ!…いえ」

「え? じゃあ恋人?」

「……違います」

「何の権利があって態々五人で呼び出して あれこれ言ってくるのかしら」

「っ!」

「ああ。貴女、レイノルズさんに一方的に好意を寄せていて、相手にされないからセリーナが妬ましいのね」

「妬ましいだなんて! 風紀が乱れるから注意をしているだけですわ!」

「それは先生方がすべき事で貴女ではないわ。
もちろんこの後 ジュスト殿下やフレデリク殿下やレイノルズさんにも注意しに行くのよね?」

「は?」

「だっておかしいでしょう。セリーナはほとんど話しかけられている側なのに呼び出されて注意を受けるなんて。
話しかけているフレデリク殿下達に注意しないと」

「だ、騙されているから殿下達に申し上げても効果はありませんわ。元を断てば済むではありませんか」

「一度でもフレデリク殿下達に注意したことがあってそう言うの?」

「……」

「嫌ねぇ。単に嫉妬による虐めじゃないの」

「違うと言って、」

「違う? なら明日の放課後にフレデリク殿下達を呼ぶから注意なさいな」

「フレデリク殿下もジュスト殿下も王族ですのよ!そんな事は言えませんわ」

「だったら伯爵家の息子の私には言えるんだな?」

横を向くとそこにはレミ様がいた。

「レ、レミ様っ」

「どういうことなんだ?」

「これは……違うのです」

「ラバルノさんだっけ。私が何だって?」

「ラバルノさんが仰るには、セリーナが四股かけて風紀を乱しているから注意なさっているらしいの」

「四股?」

「一人は貴方よ、レイノルズさん。
セリーナが私の兄とジュスト殿下とフレデリク殿下とレイノルズさんに声を掛けられるのが癪に触るらしいの。

ラバルノさんが言うには、貴方達はセリーナに騙されて惑わされているらしいわ。
この方は悪女を成敗する聖女のつもりなのよ。

だけど男性側には注意しないんですって」

「それは…」

「ラバルノさん。私は貴女に“レミ”と呼んでいいなどと言っていない。学園にレイノルズはひとりだけ。だからレイノルズさんと呼ぶべきだ。
学園外でも家名で呼んで欲しい。

私がカークファルドさんに求婚を断られても諦められないだけだ。矛先を彼女に向けるのは間違っている。風紀を乱してるとも思えないが、何が気に入らないのか聞こう」








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