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決断
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「陛下」
「アネット、襲撃の理由は私的だが勤務中の出来事で、この手の治療は一般病院では荷が重い。
傷の完治までここで治療をすること。
リハビリは一般病院でもゲラン邸でもかまわない。
他の望みは?」
「婚約の解消と退職です」
「仕事は続けられないか」
「後遺症が残るのは確定のようですから」
「分かった。婚約解消と退職は任せなさい。
ゆっくり休み治療をするように。
ヒューゼル達を付けたければ付けなさい」
「ありがとうございます。一人で大丈夫ですわ」
「分かった。ヒューゼル、バトラーズ、ゲラン夫妻は一緒にきてもらおう」
バーンズ卿とエスだけ残り、退室していった。
「バーンズ卿、私の荷物を全て運んでもらっていいですか」
「すぐ戻る」
エスと二人きりになり、話しかけた。
「エス様、もう私は第四の護衛対象ではなくなりました。通常の任務に戻ってください。
アール様には申し訳ございませんとお伝えください。後でアール様宛に手紙を書きます。
くれぐれもアール様の完治まで私同様に治療と休息を与えてください。お願いします」
「アールの件は分かったが、任務に関してはアネットの指示は受けない」
「そうですね。ステファニーか国王陛下にお願いすることにします。ありがとうございました」
「どうするつもりだ」
「できる範囲で働いて生きていきます。王都は離れます」
「男爵のところに行くのか」
「……さあ、分かりません。頼るつもりはありませんでしたが、就職先が見つからなければ聞いてみるかもしれません。
ただ怪我の後遺症がどの程度か分からない今は何もできません」
「何も心配しなくていい」
「どういうことですか」
「そのままの意味だ。気にするな」
そう言いながら優しく頭を撫でてくれた。
完治まで過酷だった。とにかく痛い。
じっとしてても、ちょっと動かしても。
そして治療の時は心が折れる。あまりの酷い傷に女としての人生は終わったのだと言われているようだったから。
私は誰も付き添いを頼まなかった。
医務室の人達のお世話にだけなった。
テオの面会は拒否した。悲しくなるだけだから。
ヒューゼル隊長とバーンズ卿は交代で様子を見に来てくれている。
エスは不定期に来る。
両親とステファニーは週に一回。
そしてどうしてもと言うので今から一度だけレヴィン様に会うことになった。
「アネット、私のせいで申し訳なかった」
「私が屈辱を与えすぎたせいもあります」
「どうしても嫌なのか」
「はい。
傷も酷いものです。ドレスによっては見えてしまいます。
動きも元のようにはできません。
それに心の醜い人達に狙われるのはもう懲り懲りです。耐えられません」
「では、婚約解消の書類に署名するよ」
「ありがとうございます」
「……愛してるよ、アネット。さようなら」
「さようなら」
この日に正式に婚約は解消された。
そして事件から三ヶ月後、両親と私は国王陛下に呼ばれ、先ずは私だけ部屋に入った。。
「アネット、退院おめでとう」
「ありがとうございます。今日までお世話になりました」
「皆には挨拶を済ませたのか」
「はい。ステファニーにも、騎士団にも、調理室にも挨拶を済ませました」
「寂しくなるな」
「もしそうだとしてもすぐに通常に戻りますわ」
「サルト領に移り住むということであってあるか?」
「はい。予定では」
「そうか。困った事があればすぐに知らせてくれ。遠慮は要らないぞ」
「ありがとうございます」
「さて。アネットを襲ったコーネル侯爵令嬢は身分剥奪の上、頬に特級罪人の焼き印を刻み、喉を焼き、王都から馬車で3日移動した地に流した。
侯爵家の財産を没収して慰謝料に当てた。
バトラーズ家は辞退したのでアネットに全て支払うことになった。
バトラーズ家からも慰謝料の支払い希望が出ていたので了承した。
質問はあるかな」
「一時金として五千万ヘストを頂きましたが、総額はいくらになるのですか」
「三十一億二千万ヘストだ。アネットが望んだアールへの慰労金を差し引いてだが。
アールが被った量はアネットの1割にも満たない。動かして引き攣ることもないし、目立つ場所でもない。問題はない。
薬品を調達した侍女は酸を浴びせて放置するという処刑を行った。
以上だ」
「ありがとうございます」
「いつ立つんだ」
「明日です、陛下」
「君の名はアネット・フィンネル。領地や貴族の義務を負わない一代限りの準子爵だ。
今回特別に用意した。
あくまでもアネットを守るためのものだ。ゲランの籍から抜けたが平民では権力者の好きにされてしまうからな。
サルト領の銀行に口座を作って振り込んである。支店長には私から手紙を出したから丁重に扱われるだろう。
これはアネットと連絡を取りたがっている者のリストだ。名前と住所が書いてある。
今のところ、アネットの新しい住まいは私と宰相とサルト男爵しか知らない。
いいと思う者に手紙を書いてはどうかな」
「そうします」
「幸運を」
「感謝いたします」
続いて両親を部屋に入れた。
「ゲラン伯爵、夫人。もうアネットは戸籍上、其方達の娘ではなくなった。
アネットが心のままに生きていけるよう祈ってやってくれ」
「努力いたします」
「アネット、襲撃の理由は私的だが勤務中の出来事で、この手の治療は一般病院では荷が重い。
傷の完治までここで治療をすること。
リハビリは一般病院でもゲラン邸でもかまわない。
他の望みは?」
「婚約の解消と退職です」
「仕事は続けられないか」
「後遺症が残るのは確定のようですから」
「分かった。婚約解消と退職は任せなさい。
ゆっくり休み治療をするように。
ヒューゼル達を付けたければ付けなさい」
「ありがとうございます。一人で大丈夫ですわ」
「分かった。ヒューゼル、バトラーズ、ゲラン夫妻は一緒にきてもらおう」
バーンズ卿とエスだけ残り、退室していった。
「バーンズ卿、私の荷物を全て運んでもらっていいですか」
「すぐ戻る」
エスと二人きりになり、話しかけた。
「エス様、もう私は第四の護衛対象ではなくなりました。通常の任務に戻ってください。
アール様には申し訳ございませんとお伝えください。後でアール様宛に手紙を書きます。
くれぐれもアール様の完治まで私同様に治療と休息を与えてください。お願いします」
「アールの件は分かったが、任務に関してはアネットの指示は受けない」
「そうですね。ステファニーか国王陛下にお願いすることにします。ありがとうございました」
「どうするつもりだ」
「できる範囲で働いて生きていきます。王都は離れます」
「男爵のところに行くのか」
「……さあ、分かりません。頼るつもりはありませんでしたが、就職先が見つからなければ聞いてみるかもしれません。
ただ怪我の後遺症がどの程度か分からない今は何もできません」
「何も心配しなくていい」
「どういうことですか」
「そのままの意味だ。気にするな」
そう言いながら優しく頭を撫でてくれた。
完治まで過酷だった。とにかく痛い。
じっとしてても、ちょっと動かしても。
そして治療の時は心が折れる。あまりの酷い傷に女としての人生は終わったのだと言われているようだったから。
私は誰も付き添いを頼まなかった。
医務室の人達のお世話にだけなった。
テオの面会は拒否した。悲しくなるだけだから。
ヒューゼル隊長とバーンズ卿は交代で様子を見に来てくれている。
エスは不定期に来る。
両親とステファニーは週に一回。
そしてどうしてもと言うので今から一度だけレヴィン様に会うことになった。
「アネット、私のせいで申し訳なかった」
「私が屈辱を与えすぎたせいもあります」
「どうしても嫌なのか」
「はい。
傷も酷いものです。ドレスによっては見えてしまいます。
動きも元のようにはできません。
それに心の醜い人達に狙われるのはもう懲り懲りです。耐えられません」
「では、婚約解消の書類に署名するよ」
「ありがとうございます」
「……愛してるよ、アネット。さようなら」
「さようなら」
この日に正式に婚約は解消された。
そして事件から三ヶ月後、両親と私は国王陛下に呼ばれ、先ずは私だけ部屋に入った。。
「アネット、退院おめでとう」
「ありがとうございます。今日までお世話になりました」
「皆には挨拶を済ませたのか」
「はい。ステファニーにも、騎士団にも、調理室にも挨拶を済ませました」
「寂しくなるな」
「もしそうだとしてもすぐに通常に戻りますわ」
「サルト領に移り住むということであってあるか?」
「はい。予定では」
「そうか。困った事があればすぐに知らせてくれ。遠慮は要らないぞ」
「ありがとうございます」
「さて。アネットを襲ったコーネル侯爵令嬢は身分剥奪の上、頬に特級罪人の焼き印を刻み、喉を焼き、王都から馬車で3日移動した地に流した。
侯爵家の財産を没収して慰謝料に当てた。
バトラーズ家は辞退したのでアネットに全て支払うことになった。
バトラーズ家からも慰謝料の支払い希望が出ていたので了承した。
質問はあるかな」
「一時金として五千万ヘストを頂きましたが、総額はいくらになるのですか」
「三十一億二千万ヘストだ。アネットが望んだアールへの慰労金を差し引いてだが。
アールが被った量はアネットの1割にも満たない。動かして引き攣ることもないし、目立つ場所でもない。問題はない。
薬品を調達した侍女は酸を浴びせて放置するという処刑を行った。
以上だ」
「ありがとうございます」
「いつ立つんだ」
「明日です、陛下」
「君の名はアネット・フィンネル。領地や貴族の義務を負わない一代限りの準子爵だ。
今回特別に用意した。
あくまでもアネットを守るためのものだ。ゲランの籍から抜けたが平民では権力者の好きにされてしまうからな。
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これはアネットと連絡を取りたがっている者のリストだ。名前と住所が書いてある。
今のところ、アネットの新しい住まいは私と宰相とサルト男爵しか知らない。
いいと思う者に手紙を書いてはどうかな」
「そうします」
「幸運を」
「感謝いたします」
続いて両親を部屋に入れた。
「ゲラン伯爵、夫人。もうアネットは戸籍上、其方達の娘ではなくなった。
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「努力いたします」
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