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追い詰められる(フィリップ)
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【 フィリップの視点 】
仕方なく母上を薬で眠らせることにした。
ケヴィンを呼んで一緒に母上を着替えさせた。
濡れた布で拭く余裕はなかったので乾いた布で拭いて寝巻きを着せた。少し臭う。
床を掃除して、服や下着、履いていた靴と掃除道具を洗った。
ケヴィンが言った。
「本当に…うちはお金が無いのですか」
「そうらしい。まだ領地で確認しないと確定ではないが」
「お母様は悪女だと、お祖母様がいつも言っていました。下女と一緒だと」
「それは違う」
「お父様が騙されたと聞きました」
「私がエステルを好きになって結婚してくれと頼んだんだ。断られてもまた頼んだ」
「育児放棄したって」
「それは違う。ケヴィンのお祖母様が離さなかったからだ。返してと揉めていたが、お祖母様を優先させた」
「お母様が、自分のことは自分でできるようになれと。
月末が過ぎればメイド達が残るか分からないと言っていました。本当ですか?」
「金を工面できなければ辞めてしまうだろう」
「では、」
「もう質問は止めてくれ!!」
「っ!」
「私も突き付けられたばかりで余裕が無い」
翌日、母の下の世話から始まり、食事の介助、歯磨きをさせた。
顔を拭くくらいは今のメイドがやってくれる。
領地のことをやりながら母の面倒をやっていたのか!?
ベンが呼んだ業者は屋敷の中の無くてもいい物に値段を付けていった。
ネグルワ家の宝石などの装飾品も集めてみた。
そのまま転売できる品は少ないらしい。
石のクオリティもいいものではなかった。
この金がどこまでもつのか。
そしてメイド斡旋所へ行かせた。
2名3ヶ月分の保証金を払って一人連れ帰ってきた。
もう一人は2日後と言われた。
「何で先王はそんな法律を作ったんだ」
一般メイドが介護をしてはならないという法律についてベンに尋ねた。
「先王が王になりたてのときに感染する病が大流行しました。
激しい嘔吐や下痢を発症し、体力のない年寄りや赤子を中心に亡くなりました。
感染した順を追っていくと、患者の吐瀉物や便などに触れた者が感染し、また別の者にうつしていたようだと結論付けて、役割を分けることにしたのです。
それに安く雇って汚物の処理や汚物で汚れた洗濯物を任せたり、着替えや移動や風呂なども任せ、メイドは疲弊していきました。更に患者からの鬱憤晴らしを受け続けたメイドが患者に何んらかの方法で手に掛けることが珍しくないと調査で分かったのです。
育児メイドや乳母には、必ず育児の知識や実習、感染性のある病がある場合の対処を学ばせ認定バッジを与えます。介護メイドも同様です。介護の知識や実習、運動機能訓練なども行えるようにして、その上で感染を防ぐ対処を学ばせ認定バッジを与えます。
介護の場合は患者が男なら介護メイドも男です。
そうでないとせっかくの女性の介護メイドが体を壊します。
専門性のある者の給金を高くするのは当たり前です。
ですが全部雇用主と認定メイドに任せてしまうと結局、未払いや勝手な給金の引き下げなどで認定メイドが辞めてしまい無意味になってしまいました。
同じ給金なら、介護ばっかりやらさせるより一般メイドの方がマシですからね。
ですから契約を斡旋所が受け持ち、保証金を先に納めさせることにしたのです。
育児メイドも介護メイドも必要な間だけの雇用になることが基本なので、一々個々で次の仕事を探させるのは難しいということもあります。
雇いたい側が斡旋所に申し込めば探す必要はありませんし、それは雇用側の探すという無駄な時間を無くすことに繋がります。
この制度はお互いのためです」
ベンの説明について、そんなことは知らないのが普通だろうと言ったら、“学園の卒業生は知っているべきことです。歴史の授業で病が流行って大変だった事と法改正のことを教えます。教科書が残っておりますので出しておきます”と言われてしまった。
仕方なく母上を薬で眠らせることにした。
ケヴィンを呼んで一緒に母上を着替えさせた。
濡れた布で拭く余裕はなかったので乾いた布で拭いて寝巻きを着せた。少し臭う。
床を掃除して、服や下着、履いていた靴と掃除道具を洗った。
ケヴィンが言った。
「本当に…うちはお金が無いのですか」
「そうらしい。まだ領地で確認しないと確定ではないが」
「お母様は悪女だと、お祖母様がいつも言っていました。下女と一緒だと」
「それは違う」
「お父様が騙されたと聞きました」
「私がエステルを好きになって結婚してくれと頼んだんだ。断られてもまた頼んだ」
「育児放棄したって」
「それは違う。ケヴィンのお祖母様が離さなかったからだ。返してと揉めていたが、お祖母様を優先させた」
「お母様が、自分のことは自分でできるようになれと。
月末が過ぎればメイド達が残るか分からないと言っていました。本当ですか?」
「金を工面できなければ辞めてしまうだろう」
「では、」
「もう質問は止めてくれ!!」
「っ!」
「私も突き付けられたばかりで余裕が無い」
翌日、母の下の世話から始まり、食事の介助、歯磨きをさせた。
顔を拭くくらいは今のメイドがやってくれる。
領地のことをやりながら母の面倒をやっていたのか!?
ベンが呼んだ業者は屋敷の中の無くてもいい物に値段を付けていった。
ネグルワ家の宝石などの装飾品も集めてみた。
そのまま転売できる品は少ないらしい。
石のクオリティもいいものではなかった。
この金がどこまでもつのか。
そしてメイド斡旋所へ行かせた。
2名3ヶ月分の保証金を払って一人連れ帰ってきた。
もう一人は2日後と言われた。
「何で先王はそんな法律を作ったんだ」
一般メイドが介護をしてはならないという法律についてベンに尋ねた。
「先王が王になりたてのときに感染する病が大流行しました。
激しい嘔吐や下痢を発症し、体力のない年寄りや赤子を中心に亡くなりました。
感染した順を追っていくと、患者の吐瀉物や便などに触れた者が感染し、また別の者にうつしていたようだと結論付けて、役割を分けることにしたのです。
それに安く雇って汚物の処理や汚物で汚れた洗濯物を任せたり、着替えや移動や風呂なども任せ、メイドは疲弊していきました。更に患者からの鬱憤晴らしを受け続けたメイドが患者に何んらかの方法で手に掛けることが珍しくないと調査で分かったのです。
育児メイドや乳母には、必ず育児の知識や実習、感染性のある病がある場合の対処を学ばせ認定バッジを与えます。介護メイドも同様です。介護の知識や実習、運動機能訓練なども行えるようにして、その上で感染を防ぐ対処を学ばせ認定バッジを与えます。
介護の場合は患者が男なら介護メイドも男です。
そうでないとせっかくの女性の介護メイドが体を壊します。
専門性のある者の給金を高くするのは当たり前です。
ですが全部雇用主と認定メイドに任せてしまうと結局、未払いや勝手な給金の引き下げなどで認定メイドが辞めてしまい無意味になってしまいました。
同じ給金なら、介護ばっかりやらさせるより一般メイドの方がマシですからね。
ですから契約を斡旋所が受け持ち、保証金を先に納めさせることにしたのです。
育児メイドも介護メイドも必要な間だけの雇用になることが基本なので、一々個々で次の仕事を探させるのは難しいということもあります。
雇いたい側が斡旋所に申し込めば探す必要はありませんし、それは雇用側の探すという無駄な時間を無くすことに繋がります。
この制度はお互いのためです」
ベンの説明について、そんなことは知らないのが普通だろうと言ったら、“学園の卒業生は知っているべきことです。歴史の授業で病が流行って大変だった事と法改正のことを教えます。教科書が残っておりますので出しておきます”と言われてしまった。
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