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初めての夜に尋問 S
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何故だろう。湯浴みをして私達は2人きりにされた。ベッドの横のサイドテーブルには円滑に進めるための液体の入った瓶が3つ置かれている。
一つは潤滑剤だろう。一つは新郎が異性に興奮しなかった時のため。そしてもう一つの瓶は分からない。
私はガウン状に前を交差させリボンでとめたナイトドレス。彼のガウン中全裸のはずだ。
その気にならないのなら瓶の中身を飲めばいいのに、彼は私を膝の上に乗せて尋問を始めているのだ。
「伯爵令嬢との出会いは茶会なんだな?で、友達になって会っているうちに好意を持ったんだな?
どっちから付き合おうと?」
「ドロテです」
「いつからだ」
「私が18歳になる1ヶ月前です」
「彼女基本情報ついて何を知ってる?」
「ドロテ・セクレス。伯爵家の長女。
弟が2人で裕福。 10月生まれの25歳。
婚歴無しの同性愛者です」
「ドロテの何処に惚れた」
「包み込むように可愛がられました」
「……まだ未練が?」
「残った最後の記憶は未練というより枷でしょうか」
「ならもう愛していないのだな?」
「はい」
「次はマティアス殿下についてだ。殿下とはいつ出会った」
「流行病が発生したとき、宮殿内でも感染者が増えてしまい、軽度の喘息を持ったマティアス殿下の避難先としてオッセン家が選ばれました。
当時は安全上 極秘で屋敷にいらっしゃいました。
私が9歳、殿下が13歳の時です」
「その時 何が?」
「何と言われましても、滞在して私達家族と仲良く過ごしたとしか答えられません」
「どのくらい滞在なさったんだ?」
「1年半は超えていました」
「そんなに!?」
「なかなか感染が終息せず、殿下も感染すればどうなるかご存知だったのでしょう。ほぼ収まっても帰ろうとなさいませんでした。
二度ほど帰城を拒み、三度目で渋々戻りました」
「殿下はどう過ごされたんだ?」
「あの、重いですよね、降ります」
「全く重くない。で?」
「お散歩したり本を読んだりゲームをしたり、勉強を教えてくださったり。外出は認められておりませんので敷地内で出来ることはいろいろしました。
馬にも乗せて貰いました」
「馬?領地だったのか」
「はい。敷地はとても広く、殿下が馬に乗せてくださいました。但し2人とも子供ですから厩役と兵士が付き添いましたけど、ゆっくり歩かせて楽しみましたわ」
「他には」
「普通の子供の滞在です」
「シャルロットの兄姉達は一緒か?」
「3人とも王都にいました。
兄と姉は学園があり、次女は領地が苦手でしたので」
「苦手?」
「虫です。私は全然大丈夫ですけど、姉は心底嫌がっていました。その為、最北の領地を持つ家門に嫁いだんですよ。普通の令嬢は縁談を断るので、あちらでは望んで来てくれた姉を大事にしてくれているようです。今回第一子ですから大喜びで、屋敷内を歩くのも付き添いが左右と後ろにつき転倒対策をしているそうです」
「では、シャルロットと殿下は2人きりで1年半以上過ごしたということか」
「何を仰っているのですか。母もいて使用人もたくさんいて、殿下付きの護衛や使用人も何人もいました。子供2人きりで1年半も無理ですよ」
「そうじゃなくて……求婚されたのはいつだ」
「求婚と言っても本気じゃないと思っていました」
「いつだ」
「領地で会って数時間後です」
「は?」
「後は時々」
「一回じゃないのか」
「何度か」
「最後はいつだ」
「殿下の婚姻式の数日前です。あり得ませんよね。だから冗談だと思っていました。今日も同情か何かでしょう」
「他には何か隠していないか」
「元々隠してなんておりません」
「他に男の求婚者は?」
「さあ。私は女性が好きだと公言していましたから、あったとしても父が止めて断ったはずです」
「…シャルロットが女性を好きだと気が付いたのは何がきっかけだ?」
「親戚の男の子達と合わなかったからでしょうか。
掴まれたところは痛いですし、無理に引っ張られて転倒したこともありますし、歳上の子はずっと見てるんです。何だか気持ち悪くて。
女の子はそんなことは無かったですし、可愛いなとか綺麗だなとか素敵だなと思って好きになりました」
「確か経験は無いんだよな。だが女性同士の場合は専用のモノを使うと聞いたが、伯爵令嬢とは考えなかったのか?」
「ドロテが望まなかったのです。キスも頬や手にしかしてくれませんでした。23歳までは清いお付き合いをしようと私を待ってくれていたのです」
「そうか」
「あの、私ではその気にならないのでしたら、あちらのどれかが助けてくれるはずです」
「女性としたことはないが出来るだけ尽くそう。不快なことがあれば言って欲しい」
「はい」
エリアス様はナイトドレスのリボンを解き、抱きしめた。
「折れそうだ。大丈夫なのか?」
「す、すみません。鍛えていなくて」
エリアス様の体は硬い筋肉で覆われていて、私は骨に少しの筋肉と少しの脂肪と皮が付いた貧弱な体だった。胸も大きくはない。普通だと思っていたが、エリアス様が手で包むと隠れてしまう。
咄嗟に身を捩ってしまった。
一つは潤滑剤だろう。一つは新郎が異性に興奮しなかった時のため。そしてもう一つの瓶は分からない。
私はガウン状に前を交差させリボンでとめたナイトドレス。彼のガウン中全裸のはずだ。
その気にならないのなら瓶の中身を飲めばいいのに、彼は私を膝の上に乗せて尋問を始めているのだ。
「伯爵令嬢との出会いは茶会なんだな?で、友達になって会っているうちに好意を持ったんだな?
どっちから付き合おうと?」
「ドロテです」
「いつからだ」
「私が18歳になる1ヶ月前です」
「彼女基本情報ついて何を知ってる?」
「ドロテ・セクレス。伯爵家の長女。
弟が2人で裕福。 10月生まれの25歳。
婚歴無しの同性愛者です」
「ドロテの何処に惚れた」
「包み込むように可愛がられました」
「……まだ未練が?」
「残った最後の記憶は未練というより枷でしょうか」
「ならもう愛していないのだな?」
「はい」
「次はマティアス殿下についてだ。殿下とはいつ出会った」
「流行病が発生したとき、宮殿内でも感染者が増えてしまい、軽度の喘息を持ったマティアス殿下の避難先としてオッセン家が選ばれました。
当時は安全上 極秘で屋敷にいらっしゃいました。
私が9歳、殿下が13歳の時です」
「その時 何が?」
「何と言われましても、滞在して私達家族と仲良く過ごしたとしか答えられません」
「どのくらい滞在なさったんだ?」
「1年半は超えていました」
「そんなに!?」
「なかなか感染が終息せず、殿下も感染すればどうなるかご存知だったのでしょう。ほぼ収まっても帰ろうとなさいませんでした。
二度ほど帰城を拒み、三度目で渋々戻りました」
「殿下はどう過ごされたんだ?」
「あの、重いですよね、降ります」
「全く重くない。で?」
「お散歩したり本を読んだりゲームをしたり、勉強を教えてくださったり。外出は認められておりませんので敷地内で出来ることはいろいろしました。
馬にも乗せて貰いました」
「馬?領地だったのか」
「はい。敷地はとても広く、殿下が馬に乗せてくださいました。但し2人とも子供ですから厩役と兵士が付き添いましたけど、ゆっくり歩かせて楽しみましたわ」
「他には」
「普通の子供の滞在です」
「シャルロットの兄姉達は一緒か?」
「3人とも王都にいました。
兄と姉は学園があり、次女は領地が苦手でしたので」
「苦手?」
「虫です。私は全然大丈夫ですけど、姉は心底嫌がっていました。その為、最北の領地を持つ家門に嫁いだんですよ。普通の令嬢は縁談を断るので、あちらでは望んで来てくれた姉を大事にしてくれているようです。今回第一子ですから大喜びで、屋敷内を歩くのも付き添いが左右と後ろにつき転倒対策をしているそうです」
「では、シャルロットと殿下は2人きりで1年半以上過ごしたということか」
「何を仰っているのですか。母もいて使用人もたくさんいて、殿下付きの護衛や使用人も何人もいました。子供2人きりで1年半も無理ですよ」
「そうじゃなくて……求婚されたのはいつだ」
「求婚と言っても本気じゃないと思っていました」
「いつだ」
「領地で会って数時間後です」
「は?」
「後は時々」
「一回じゃないのか」
「何度か」
「最後はいつだ」
「殿下の婚姻式の数日前です。あり得ませんよね。だから冗談だと思っていました。今日も同情か何かでしょう」
「他には何か隠していないか」
「元々隠してなんておりません」
「他に男の求婚者は?」
「さあ。私は女性が好きだと公言していましたから、あったとしても父が止めて断ったはずです」
「…シャルロットが女性を好きだと気が付いたのは何がきっかけだ?」
「親戚の男の子達と合わなかったからでしょうか。
掴まれたところは痛いですし、無理に引っ張られて転倒したこともありますし、歳上の子はずっと見てるんです。何だか気持ち悪くて。
女の子はそんなことは無かったですし、可愛いなとか綺麗だなとか素敵だなと思って好きになりました」
「確か経験は無いんだよな。だが女性同士の場合は専用のモノを使うと聞いたが、伯爵令嬢とは考えなかったのか?」
「ドロテが望まなかったのです。キスも頬や手にしかしてくれませんでした。23歳までは清いお付き合いをしようと私を待ってくれていたのです」
「そうか」
「あの、私ではその気にならないのでしたら、あちらのどれかが助けてくれるはずです」
「女性としたことはないが出来るだけ尽くそう。不快なことがあれば言って欲しい」
「はい」
エリアス様はナイトドレスのリボンを解き、抱きしめた。
「折れそうだ。大丈夫なのか?」
「す、すみません。鍛えていなくて」
エリアス様の体は硬い筋肉で覆われていて、私は骨に少しの筋肉と少しの脂肪と皮が付いた貧弱な体だった。胸も大きくはない。普通だと思っていたが、エリアス様が手で包むと隠れてしまう。
咄嗟に身を捩ってしまった。
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