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過保護
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その後は顔を洗って、メイドさん達に身体を拭いてもらい、寝巻きに着替えさせてもらった。
可愛らしい寝巻きだけど夫人の?
その後はレオナール様が食事を食べさせようとして抵抗して疲れた。
鎮痛剤が効いていて痛くはない。
本当にソファにいるよ。
寝れないかなと思ったけど疲れと薬のせいかすぐ眠れた。
ズキッ ズキッ
「レイナ」
「ん…」
「レイナ」
「レオナール様?」
「痛むんだろう。薬と水だ」
「ありがとうございます」
寝ぼけたまま薬が効くまで痛みに耐えて、いつの間にか眠っていた。
朝起きるとレオナール様がベッドに座って私の手を握りながら寝ていた。
私のこと嫌いじゃないの?
「レオナール様」
「!! 痛いのか!?」
「ちゃんとベッドで寝てください。私は帰りますから」
「駄目だ」
「じゃあ別の部屋に移ります」
「ここでいい」
「レオナール様が休めないじゃないですか」
「こんな怪我を負わせてのんびり寝ていられない。夜中も痛がっていたじゃないか」
「そうですけど」
「朝、往診があるから食事やトイレを済ませておこう」
「トイレは本当に嫌です!」
「分かったから。メイドを呼ぼう」
良かった~。流石に恥ずかしいよね。
消臭スプレーや脱臭器とかあればいいけど無いからね。
公爵夫妻とも朝食を共にした時に夫人にお礼を言った。
「夫人。寝巻きやこちらのワンピースなどを貸していただきありがとうございます」
「それはレイナさんの服よ」
「えっ」
「母上っ」
「レオナールがいつレイナさんが来てもいいように買い揃えたのよ。寝巻きも下着もワンピースもオーダーメイドなのよ。伯爵家にお願いしてサイズを教えてもらってレオナールがデザイナーと決めたのよ。
王妃様のパーティードレスでもないのにレオナールに数時間かけて拘束されて可哀想だったわ」
信じられない……
「レオナール様、ありがとうございます」
「に、似合ってる」
ようやく分かった。
この人はレイナが好きなんだ。
不器用なのか、恥ずかしいのか、緊張なのかわからないけど、どれかが原因であんな無口だったのね。
「お菓子もね、王宮の菓子職人をひとり引き抜いてきたのよ。“レイナはケーキが好きだから”ってね」
「母上~っ!」
「茶葉なんか…」
「止めてください!」
「貴方ね。ほぼ無言の茶会なんて拷問よ」
「すみません」
「……私、レオナール様に嫌われているんだと思っていました。私を見ないし、話したくもないくらい嫌われているのだと。
本当はシンシアを望まれていたのかと思っていました」
「レイナ嬢。レオナールは私達に君と婚約したいと言ったからシャルム家に申し込んだ。
ただ、同じ日に王家からも申し込みが来たらしく、より良い方にレイナ嬢を婚約させたいから数日待って欲しいと言われたよ」
「そんなことを言ったのですか!?
父が申し訳ございません」
「その時はちょっと思うところもあったが、結果的に第三王子殿下ではなくレオナールが選ばれた。
シャルム伯爵は王子より息子がレイナ嬢を幸せにできると評価なさったと嬉しくなったよ」
どういうことなの…父が理解できない。
「王家の方は指名ではなくシャルム家の令嬢と書いてあったようだ」
だとしたら、私云々じゃなくて王子とシンシアを結婚させたくて私をレオナール様の婚約者にしたんじゃないかな。
シンシアは妾の子ということになるけど伯爵の血を引き継いでいる。
私は母の不義による子だと思っているはずだから、王子妃にするには伯爵の血が流れているシンシアを選んだだけ。
しばらくすると医者が到着した。
両足を見比べると腫れているのがわかる。
それに内出血もしっかりある。
2回も踏まれたからね。
「時間はかかるけど治りますよ。無理はしないでくださいね」
そう言って車椅子を置いて行ったが乗り心地が悪そうだ。
結局トイレ以外はレオナール様がお姫様抱っこで運んでくれる。
太りそう。
学校を長く休むので勉強も教えてくれる。
「語学は標準で数学は凄いが他がまずい。
暗記が苦手なのか…」
「暗記だからひとりでやれます」
そう言っても側から離れない。
1週間も経つと順応とは恐ろしいもので言われなくても口を開く。
「レイナの好きな具沢山のミルクスープだよ」
「美味しいです」
髪の毛も1日に3回とかしてくれ、爪の手入れもし始めた。
そんな中で先触れがあった。
「…第三王子が見舞いにくるそうだ」
『えっ!?何で』
「さぁ。婚約者の姉だからか」
数十分後に到着したと言われたのでレオナール様の抱っこで応接間へ。
「大丈夫かい?」
「この様な姿で申し訳ございません」
「亀裂骨折だと聞いた。力になれることはないか」
「公爵家の皆様が大変よくしてくださいます。社会復帰をしたくなくなる程居心地がいいです」
「…そうか」
「完治する頃には大分肥えてると思います」
「…実はシャルム伯爵家に行ってきた。
シンシアが療養すると聞いたのでな。
伯爵には会えなかったがシンシアに会わせてもらった。
…シンシアが言うには家族に虐げられて監禁されていると。王宮で療養したいと言って穏便に連れ出して欲しいと言われた」
「は!?」
「長年嫌がらせをされてきたと」
『私を殺そうとしたくせに』
「レイナ、どういうことだ」
「レイナ嬢、今何語を使ったんだ?」
「えっ」
「全く聞いたことのない言語だった。どこの国の言葉なんだ?何と言った」
日本語だった!?
「日本という遠い国です」
「もしかしてスキルか」
そう言うことにしておこう
「よくわかりません」
「レオナール殿は分かるみたいだな」
「私のスキルは翻訳です。知らない言語でも頭に翻訳されて聞こえてきます」
ええっ!じゃあ、悪態も聞こえてたってこと!?
最近は恥ずかしいことも口走っちゃってたじゃない!油断してた!
「レイナ、妹に殺されかけたのか?」
可愛らしい寝巻きだけど夫人の?
その後はレオナール様が食事を食べさせようとして抵抗して疲れた。
鎮痛剤が効いていて痛くはない。
本当にソファにいるよ。
寝れないかなと思ったけど疲れと薬のせいかすぐ眠れた。
ズキッ ズキッ
「レイナ」
「ん…」
「レイナ」
「レオナール様?」
「痛むんだろう。薬と水だ」
「ありがとうございます」
寝ぼけたまま薬が効くまで痛みに耐えて、いつの間にか眠っていた。
朝起きるとレオナール様がベッドに座って私の手を握りながら寝ていた。
私のこと嫌いじゃないの?
「レオナール様」
「!! 痛いのか!?」
「ちゃんとベッドで寝てください。私は帰りますから」
「駄目だ」
「じゃあ別の部屋に移ります」
「ここでいい」
「レオナール様が休めないじゃないですか」
「こんな怪我を負わせてのんびり寝ていられない。夜中も痛がっていたじゃないか」
「そうですけど」
「朝、往診があるから食事やトイレを済ませておこう」
「トイレは本当に嫌です!」
「分かったから。メイドを呼ぼう」
良かった~。流石に恥ずかしいよね。
消臭スプレーや脱臭器とかあればいいけど無いからね。
公爵夫妻とも朝食を共にした時に夫人にお礼を言った。
「夫人。寝巻きやこちらのワンピースなどを貸していただきありがとうございます」
「それはレイナさんの服よ」
「えっ」
「母上っ」
「レオナールがいつレイナさんが来てもいいように買い揃えたのよ。寝巻きも下着もワンピースもオーダーメイドなのよ。伯爵家にお願いしてサイズを教えてもらってレオナールがデザイナーと決めたのよ。
王妃様のパーティードレスでもないのにレオナールに数時間かけて拘束されて可哀想だったわ」
信じられない……
「レオナール様、ありがとうございます」
「に、似合ってる」
ようやく分かった。
この人はレイナが好きなんだ。
不器用なのか、恥ずかしいのか、緊張なのかわからないけど、どれかが原因であんな無口だったのね。
「お菓子もね、王宮の菓子職人をひとり引き抜いてきたのよ。“レイナはケーキが好きだから”ってね」
「母上~っ!」
「茶葉なんか…」
「止めてください!」
「貴方ね。ほぼ無言の茶会なんて拷問よ」
「すみません」
「……私、レオナール様に嫌われているんだと思っていました。私を見ないし、話したくもないくらい嫌われているのだと。
本当はシンシアを望まれていたのかと思っていました」
「レイナ嬢。レオナールは私達に君と婚約したいと言ったからシャルム家に申し込んだ。
ただ、同じ日に王家からも申し込みが来たらしく、より良い方にレイナ嬢を婚約させたいから数日待って欲しいと言われたよ」
「そんなことを言ったのですか!?
父が申し訳ございません」
「その時はちょっと思うところもあったが、結果的に第三王子殿下ではなくレオナールが選ばれた。
シャルム伯爵は王子より息子がレイナ嬢を幸せにできると評価なさったと嬉しくなったよ」
どういうことなの…父が理解できない。
「王家の方は指名ではなくシャルム家の令嬢と書いてあったようだ」
だとしたら、私云々じゃなくて王子とシンシアを結婚させたくて私をレオナール様の婚約者にしたんじゃないかな。
シンシアは妾の子ということになるけど伯爵の血を引き継いでいる。
私は母の不義による子だと思っているはずだから、王子妃にするには伯爵の血が流れているシンシアを選んだだけ。
しばらくすると医者が到着した。
両足を見比べると腫れているのがわかる。
それに内出血もしっかりある。
2回も踏まれたからね。
「時間はかかるけど治りますよ。無理はしないでくださいね」
そう言って車椅子を置いて行ったが乗り心地が悪そうだ。
結局トイレ以外はレオナール様がお姫様抱っこで運んでくれる。
太りそう。
学校を長く休むので勉強も教えてくれる。
「語学は標準で数学は凄いが他がまずい。
暗記が苦手なのか…」
「暗記だからひとりでやれます」
そう言っても側から離れない。
1週間も経つと順応とは恐ろしいもので言われなくても口を開く。
「レイナの好きな具沢山のミルクスープだよ」
「美味しいです」
髪の毛も1日に3回とかしてくれ、爪の手入れもし始めた。
そんな中で先触れがあった。
「…第三王子が見舞いにくるそうだ」
『えっ!?何で』
「さぁ。婚約者の姉だからか」
数十分後に到着したと言われたのでレオナール様の抱っこで応接間へ。
「大丈夫かい?」
「この様な姿で申し訳ございません」
「亀裂骨折だと聞いた。力になれることはないか」
「公爵家の皆様が大変よくしてくださいます。社会復帰をしたくなくなる程居心地がいいです」
「…そうか」
「完治する頃には大分肥えてると思います」
「…実はシャルム伯爵家に行ってきた。
シンシアが療養すると聞いたのでな。
伯爵には会えなかったがシンシアに会わせてもらった。
…シンシアが言うには家族に虐げられて監禁されていると。王宮で療養したいと言って穏便に連れ出して欲しいと言われた」
「は!?」
「長年嫌がらせをされてきたと」
『私を殺そうとしたくせに』
「レイナ、どういうことだ」
「レイナ嬢、今何語を使ったんだ?」
「えっ」
「全く聞いたことのない言語だった。どこの国の言葉なんだ?何と言った」
日本語だった!?
「日本という遠い国です」
「もしかしてスキルか」
そう言うことにしておこう
「よくわかりません」
「レオナール殿は分かるみたいだな」
「私のスキルは翻訳です。知らない言語でも頭に翻訳されて聞こえてきます」
ええっ!じゃあ、悪態も聞こえてたってこと!?
最近は恥ずかしいことも口走っちゃってたじゃない!油断してた!
「レイナ、妹に殺されかけたのか?」
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