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怒る
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翌早朝、日の出と共に図書室へ向かう。
図鑑を探すと虫や動物の図鑑があった。
蛇の項目を開き部屋にいた蛇を探す。
黒とオレンジのまだら模様で口元が黄色で尾先が赤の蛇を見つけて読むと最南端の森にいる蛇だった。
意図的だと分かった。
もしかして、あの急な眠気も人為的なものかもしれない。
命を狙われているということがわかった。
父なら蛇は使わないだろう。
多分妾かシンシアだ。共謀かもしれない。
妾の出身地は南だ。
確証はないから責められない。
朝食の時間になり食堂に行った。
「体調は」
「寝不足ですが大丈夫です」
「何をしていたんだ」
「食後にお話します」
「今答えなさい」
家長の命令なら仕方ない。持ってきた袋から蛇入りの瓶を取り出しテーブルに乗せた。
「キャア!」「ヒィッ!」「うわっ!」
シンシアの顔が青いわね。
「夜中に足元で動く何かに気が付いて、見たらこの蛇がおりました。格闘して捕まえておりましたのであまり眠れませんでした」
「なんでそんなモノがいるんだ!」
「私も知りたいですわ。
夜明けに図書室で調べたら最南端の森に生息する猛毒の蛇だと分かりました。
蛇自ら王都に来ることはありません。
憲兵に届け出ようと思っております」
「お姉様は大袈裟よ!」
「猛毒の蛇が寝具の中にいて私の足に触れ噛みつこうとしたのに大袈裟?
なら夜中に貴女の部屋に放してもいいってことかしら」
「やめて!」
「シンシア、こんな危険な生き物が王都に現れたのに報告しないで他の方が被害に遭ったらどうするの?
王宮で見つかったら黙っていた伯爵家はお終いなのに大袈裟?第三王子の婚約者候補である貴女は心配じゃないの?」
「醜聞になったら候補から外されるわ」
「醜聞にはならないわ。この蛇が人為的に連れてこられて私の部屋に放たれたのでなければ」
この言葉に妾もシンシアも青くなった。
共犯みたいね。
「ジョシュア」
「はい、旦那様」
「食後に蛇を届け出る」
「かしこまりました」
「レイナは学校があるだろう。蛇は預かる」
「かしこまりました」
「……咬まれたていないのだな?」
「はい」
「ジョシュア、着替えの際にメイド達にレイナの体を確認させてくれ。咬まれた痕跡がないか、赤くなったり青くなったり腫れたりしたところはないか確認して、異常があれば医者を呼んでくれ」
「かしこまりました」
意外だった。
疎まれているのは確かなのに心配するんだ…
学校から帰ると屋敷の中が異様な空気になっていた。
執事のジョシュアが近寄り
「旦那様がお呼びです」
「着替えは?」
「そのままでお願い致します」
居間に行くと妾が泣き崩れていてシンシアは父に縋り付いていた。
「レイナ。座りなさい」
「はい」
「蛇の件は届け出なかった」
「理由は教えていただけるのですか」
「……妾が自白した」
「……それで?」
「お前は知っていたのか」
「勘です。今朝の話で顔に出ていたのはマリアさんとシンシアですから」
「それでも憲兵に通報しようとしたのか」
「質問の意図が分かりません」
「お前の妹だろう」
『ふざけんなよ』
「何と言ったんだ」
「殺人未遂です。単なる悪戯ではありません。この2人は犯罪者です。
間違えているようでしたら教えてください」
「……」
「私はいきなり通報しようとしたわけではありません。今朝、蛇を出した時に名乗りでれば良かったのです。
捜査が入るから仕方なく自白したのでしょう?家族を殺そうとしておいて反省もしない人間を庇うなど愚か者のすることです」
「なっ!」
愚か者が貴方のことだと分かったようね。
「蛇は私を襲わずに部屋から抜け出して別の部屋に行ったかもしれませんし別のお屋敷に行ったかもしれないのですよ?
有耶無耶にしてしまったら確実に別の手段を取るでしょう。
何しろ先日溺死しかけたのも睡眠薬のようなものを盛られたせいですから。
あの強い眠気は異常です」
「……すまなかった」
「今すぐ2人の部屋を調べてください」
「お姉様!」
「シンシア、自白をありがとう。
シンシアの部屋を先に調べてください」
しばらくするとジョシュアが小さな袋を持ってきた。
薬を包む紙をあけると中は粉薬の様なものだった。
紙には睡眠薬と書いてある。
「シンシア…」
「溺れるとは思わなくて…」
「何のためにレイナ眠らせたんだ」
「それは…」
「眠った私をどうにかしたかったのね。
殺しやすくしたのか、連れ去らせようとしたのか、穢そうとしたのか。
だけど湯浴み中に効果が表れてしまった。
そしてメイドが気付いた」
「はぁ~何てことを」
その後は自室にいた。
夕食の時間になって下に行くと、父だけが座っていた。
食事が終わると、疲れた顔をして話し始めた。
「マリアとは別れる。明日、実家へ向かわせる。平民として働いて生きていくことになる。
シンシアは1ヶ月、この屋敷で監禁し領地の別邸に閉じ込める」
「そうですか」
「被害者のレイナには申し訳ないが、シンシアは王子の婚約者候補だ。この件を公にしてしまうと王族にも迷惑がかかる。
だから1ヶ月はこの屋敷で病気を装い、その上で務まらないと辞退する。
急に姿を消すわけにはいかない」
「分かりましたわ。その代わり、シンシアに監視の騎士を付けてください。専属メイドは外してメイド長とメイド長が選んだ信頼できる者を付けてください」
「分かった。すまなかった」
図鑑を探すと虫や動物の図鑑があった。
蛇の項目を開き部屋にいた蛇を探す。
黒とオレンジのまだら模様で口元が黄色で尾先が赤の蛇を見つけて読むと最南端の森にいる蛇だった。
意図的だと分かった。
もしかして、あの急な眠気も人為的なものかもしれない。
命を狙われているということがわかった。
父なら蛇は使わないだろう。
多分妾かシンシアだ。共謀かもしれない。
妾の出身地は南だ。
確証はないから責められない。
朝食の時間になり食堂に行った。
「体調は」
「寝不足ですが大丈夫です」
「何をしていたんだ」
「食後にお話します」
「今答えなさい」
家長の命令なら仕方ない。持ってきた袋から蛇入りの瓶を取り出しテーブルに乗せた。
「キャア!」「ヒィッ!」「うわっ!」
シンシアの顔が青いわね。
「夜中に足元で動く何かに気が付いて、見たらこの蛇がおりました。格闘して捕まえておりましたのであまり眠れませんでした」
「なんでそんなモノがいるんだ!」
「私も知りたいですわ。
夜明けに図書室で調べたら最南端の森に生息する猛毒の蛇だと分かりました。
蛇自ら王都に来ることはありません。
憲兵に届け出ようと思っております」
「お姉様は大袈裟よ!」
「猛毒の蛇が寝具の中にいて私の足に触れ噛みつこうとしたのに大袈裟?
なら夜中に貴女の部屋に放してもいいってことかしら」
「やめて!」
「シンシア、こんな危険な生き物が王都に現れたのに報告しないで他の方が被害に遭ったらどうするの?
王宮で見つかったら黙っていた伯爵家はお終いなのに大袈裟?第三王子の婚約者候補である貴女は心配じゃないの?」
「醜聞になったら候補から外されるわ」
「醜聞にはならないわ。この蛇が人為的に連れてこられて私の部屋に放たれたのでなければ」
この言葉に妾もシンシアも青くなった。
共犯みたいね。
「ジョシュア」
「はい、旦那様」
「食後に蛇を届け出る」
「かしこまりました」
「レイナは学校があるだろう。蛇は預かる」
「かしこまりました」
「……咬まれたていないのだな?」
「はい」
「ジョシュア、着替えの際にメイド達にレイナの体を確認させてくれ。咬まれた痕跡がないか、赤くなったり青くなったり腫れたりしたところはないか確認して、異常があれば医者を呼んでくれ」
「かしこまりました」
意外だった。
疎まれているのは確かなのに心配するんだ…
学校から帰ると屋敷の中が異様な空気になっていた。
執事のジョシュアが近寄り
「旦那様がお呼びです」
「着替えは?」
「そのままでお願い致します」
居間に行くと妾が泣き崩れていてシンシアは父に縋り付いていた。
「レイナ。座りなさい」
「はい」
「蛇の件は届け出なかった」
「理由は教えていただけるのですか」
「……妾が自白した」
「……それで?」
「お前は知っていたのか」
「勘です。今朝の話で顔に出ていたのはマリアさんとシンシアですから」
「それでも憲兵に通報しようとしたのか」
「質問の意図が分かりません」
「お前の妹だろう」
『ふざけんなよ』
「何と言ったんだ」
「殺人未遂です。単なる悪戯ではありません。この2人は犯罪者です。
間違えているようでしたら教えてください」
「……」
「私はいきなり通報しようとしたわけではありません。今朝、蛇を出した時に名乗りでれば良かったのです。
捜査が入るから仕方なく自白したのでしょう?家族を殺そうとしておいて反省もしない人間を庇うなど愚か者のすることです」
「なっ!」
愚か者が貴方のことだと分かったようね。
「蛇は私を襲わずに部屋から抜け出して別の部屋に行ったかもしれませんし別のお屋敷に行ったかもしれないのですよ?
有耶無耶にしてしまったら確実に別の手段を取るでしょう。
何しろ先日溺死しかけたのも睡眠薬のようなものを盛られたせいですから。
あの強い眠気は異常です」
「……すまなかった」
「今すぐ2人の部屋を調べてください」
「お姉様!」
「シンシア、自白をありがとう。
シンシアの部屋を先に調べてください」
しばらくするとジョシュアが小さな袋を持ってきた。
薬を包む紙をあけると中は粉薬の様なものだった。
紙には睡眠薬と書いてある。
「シンシア…」
「溺れるとは思わなくて…」
「何のためにレイナ眠らせたんだ」
「それは…」
「眠った私をどうにかしたかったのね。
殺しやすくしたのか、連れ去らせようとしたのか、穢そうとしたのか。
だけど湯浴み中に効果が表れてしまった。
そしてメイドが気付いた」
「はぁ~何てことを」
その後は自室にいた。
夕食の時間になって下に行くと、父だけが座っていた。
食事が終わると、疲れた顔をして話し始めた。
「マリアとは別れる。明日、実家へ向かわせる。平民として働いて生きていくことになる。
シンシアは1ヶ月、この屋敷で監禁し領地の別邸に閉じ込める」
「そうですか」
「被害者のレイナには申し訳ないが、シンシアは王子の婚約者候補だ。この件を公にしてしまうと王族にも迷惑がかかる。
だから1ヶ月はこの屋敷で病気を装い、その上で務まらないと辞退する。
急に姿を消すわけにはいかない」
「分かりましたわ。その代わり、シンシアに監視の騎士を付けてください。専属メイドは外してメイド長とメイド長が選んだ信頼できる者を付けてください」
「分かった。すまなかった」
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