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リオナード/最悪
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【 リオナードの視点 】
エステルは少し苛立っていた。
あのヴァネッサと結んだ契約は白紙にしたいと願い出ていなかったから…いや、怖くて言い出せなかった。
白紙にしたくないと言われるのが怖かった。
妾の話の後、今度は昔関係を持った女が誘ってきた。
エステルが若いことで軽くみて、失礼な物言いだった。
エステルは更に不機嫌になった。
少ししてトイレに行くと言って離れて行った。
会場で待っていたがなかなか戻らない。
ふと見ると伯爵の元にいた。
近寄るとエステルの頬は赤くなり手の形をしていた。
そして引っ掻き傷のようなものがあり血が滲んでいた。
エステルは伯爵に連れて帰るように求めていた。
あの女がエステルを殴った!?
さっき注意したばかりだろう!
エステルはベルナード邸に帰りたいと言った。
嫌だ。離れたくない。
だけどエステルは私を一度も見ることなく、夫妻に守られるようにして会場を後にした。
父上達を探して報告した。
「エステルが!?」
「ガーランド子爵夫人!?」
「その…昔数ヶ月お付き合いをしたことが。
もちろん互いに独身でした」
「で?」
「ガーランド夫人がまた誘いをかけてきて、エステルを軽視したので注意しました。
一旦別れたのですが、トイレか廊下で再び顔を合わせたのでしょう」
「で、エステルが頬を叩かれて戻って来たけど伯爵の元に戻って連れ帰るように言ったのね?」
「はい」
そこで声がかかった。
「ソワール侯爵、夫人。ご子息と一緒に陛下の所へお越しください」
「分かりました」
陛下のところへ行くとガーランド子爵と夫人がいて、夫人の方は顔が蒼白だった。
陛「どういうことだ何故ガーランド夫人はエステル・ソワール夫人に暴力を振るったのだ」
子「ニコール!?」
二「ふ、夫人に侮辱されてつい」
リ「ガーランド夫人は会場で妻を軽視したばかりだろう!」
陛「ガーランド夫人。何故あの子は其方に侮辱を?」
二「分かりません。まだ子供ですから癇癪を起こしたのでしょう」
陛「偽りは無いな?」
二「もちろんです、陛下」
陛「テイラー嬢、出てきてくれ」
テ「はい陛下」
陛「トイレであったことを話してくれ」
テ「はい。陛下。
私は個室にいて、ガーランド夫人もいました。後から来たのはソワール夫人です。
ガーランド夫人が謝ったのですが侯爵令息との昔の関係を仄めかしていて、“王命さえなければ別れることはなかったかも” と仰いました。
何故かソワール夫人はご自身の夫の妾の枠を目指せといった発言をなさって、ガーランド夫人はご自身が子爵夫人であると怒鳴りました。
そこでソワール夫人は“男漁りをするのが子爵夫人の役割なのか” と。
“子爵夫人にはなれたかもしれないけど、侯爵夫人は無理だろう” と言ったらガーランド夫人が……
二「っ!」
陛「リオナード。どういうことだ」
リ「その前に会場で、エステルが側にいるにも関わらず、昔の関係を口にして また関係を持とうと誘いをかけてきたのです」
子「ニコール!!」
二「そ、それは」
陛「つまりは、ガーランド夫人は二人が王命で結ばれた夫婦だと知っていて、エステルの前でリオナードに体の関係を誘ったのだな?
そして、“王命が無ければ”?」
二「へ、陛下、」
陛「そんなにガーランド子爵夫人の座は不満か」
二「違います!」
陛「夫人の言動はそう言っている。
エステルは次期侯爵夫人。無礼過ぎるだろう。
其方に侯爵夫人になれる要素があるとは思えんな。
王命を軽視するということは、余の考えを否定することだ。
エステルは16歳だぞ。
事故死した姉の代わりに王命を果たそうと、24時間も経たないうちに姉の代わりに花嫁になった。
学園にも行くことが叶わなくなり、突然親元から離されて知らない屋敷で暮らすことになったのだ。
結婚式の夜には心身の疲労で倒れて浴槽で溺れかけたと聞いている。
其方は子爵夫人として、人生の先輩として彼女を労わるべき立場であろう。
己の口が原因を作っておきながら、感情に任せて侯爵家の嫁に暴力をふるい怪我をさせるなど許されることではない!
血が出ていたと兵士が証言したぞ!
私の王命や誕生日は そんなにどうでもいいことなのだな」
ガーランド夫人は崩れ落ちるように膝を着き、床に手を着き頭を下げた。
二「ご、誤解でございます」
陛「言動がそう示しているぞ」
二「も、申し訳ございませんっ」
陛「其方は王宮行事には二度と現れなくてよい」
二「陛下!」
陛「それとも不敬罪で処罰されたいか?
都合のいい説明を余にして騙そうとしたことも付け加えるぞ」
子「承りました」
二「ううっ」
陛「子爵。夫人を連れて帰ってくれ」
子「はい。仰せの通りに。
ソワール侯爵令息。夫人に詫びを入れさせて欲しいと伝えてくださいませんか」
私「会わせたくありません。ですが謝罪は伝えます」
子爵が夫人を引きずって去った。
陛「明日エステル抜きで話を聞く」
私「申し訳ございません」
両親と屋敷に戻ったあと、詳細を報告した。
エステルは少し苛立っていた。
あのヴァネッサと結んだ契約は白紙にしたいと願い出ていなかったから…いや、怖くて言い出せなかった。
白紙にしたくないと言われるのが怖かった。
妾の話の後、今度は昔関係を持った女が誘ってきた。
エステルが若いことで軽くみて、失礼な物言いだった。
エステルは更に不機嫌になった。
少ししてトイレに行くと言って離れて行った。
会場で待っていたがなかなか戻らない。
ふと見ると伯爵の元にいた。
近寄るとエステルの頬は赤くなり手の形をしていた。
そして引っ掻き傷のようなものがあり血が滲んでいた。
エステルは伯爵に連れて帰るように求めていた。
あの女がエステルを殴った!?
さっき注意したばかりだろう!
エステルはベルナード邸に帰りたいと言った。
嫌だ。離れたくない。
だけどエステルは私を一度も見ることなく、夫妻に守られるようにして会場を後にした。
父上達を探して報告した。
「エステルが!?」
「ガーランド子爵夫人!?」
「その…昔数ヶ月お付き合いをしたことが。
もちろん互いに独身でした」
「で?」
「ガーランド夫人がまた誘いをかけてきて、エステルを軽視したので注意しました。
一旦別れたのですが、トイレか廊下で再び顔を合わせたのでしょう」
「で、エステルが頬を叩かれて戻って来たけど伯爵の元に戻って連れ帰るように言ったのね?」
「はい」
そこで声がかかった。
「ソワール侯爵、夫人。ご子息と一緒に陛下の所へお越しください」
「分かりました」
陛下のところへ行くとガーランド子爵と夫人がいて、夫人の方は顔が蒼白だった。
陛「どういうことだ何故ガーランド夫人はエステル・ソワール夫人に暴力を振るったのだ」
子「ニコール!?」
二「ふ、夫人に侮辱されてつい」
リ「ガーランド夫人は会場で妻を軽視したばかりだろう!」
陛「ガーランド夫人。何故あの子は其方に侮辱を?」
二「分かりません。まだ子供ですから癇癪を起こしたのでしょう」
陛「偽りは無いな?」
二「もちろんです、陛下」
陛「テイラー嬢、出てきてくれ」
テ「はい陛下」
陛「トイレであったことを話してくれ」
テ「はい。陛下。
私は個室にいて、ガーランド夫人もいました。後から来たのはソワール夫人です。
ガーランド夫人が謝ったのですが侯爵令息との昔の関係を仄めかしていて、“王命さえなければ別れることはなかったかも” と仰いました。
何故かソワール夫人はご自身の夫の妾の枠を目指せといった発言をなさって、ガーランド夫人はご自身が子爵夫人であると怒鳴りました。
そこでソワール夫人は“男漁りをするのが子爵夫人の役割なのか” と。
“子爵夫人にはなれたかもしれないけど、侯爵夫人は無理だろう” と言ったらガーランド夫人が……
二「っ!」
陛「リオナード。どういうことだ」
リ「その前に会場で、エステルが側にいるにも関わらず、昔の関係を口にして また関係を持とうと誘いをかけてきたのです」
子「ニコール!!」
二「そ、それは」
陛「つまりは、ガーランド夫人は二人が王命で結ばれた夫婦だと知っていて、エステルの前でリオナードに体の関係を誘ったのだな?
そして、“王命が無ければ”?」
二「へ、陛下、」
陛「そんなにガーランド子爵夫人の座は不満か」
二「違います!」
陛「夫人の言動はそう言っている。
エステルは次期侯爵夫人。無礼過ぎるだろう。
其方に侯爵夫人になれる要素があるとは思えんな。
王命を軽視するということは、余の考えを否定することだ。
エステルは16歳だぞ。
事故死した姉の代わりに王命を果たそうと、24時間も経たないうちに姉の代わりに花嫁になった。
学園にも行くことが叶わなくなり、突然親元から離されて知らない屋敷で暮らすことになったのだ。
結婚式の夜には心身の疲労で倒れて浴槽で溺れかけたと聞いている。
其方は子爵夫人として、人生の先輩として彼女を労わるべき立場であろう。
己の口が原因を作っておきながら、感情に任せて侯爵家の嫁に暴力をふるい怪我をさせるなど許されることではない!
血が出ていたと兵士が証言したぞ!
私の王命や誕生日は そんなにどうでもいいことなのだな」
ガーランド夫人は崩れ落ちるように膝を着き、床に手を着き頭を下げた。
二「ご、誤解でございます」
陛「言動がそう示しているぞ」
二「も、申し訳ございませんっ」
陛「其方は王宮行事には二度と現れなくてよい」
二「陛下!」
陛「それとも不敬罪で処罰されたいか?
都合のいい説明を余にして騙そうとしたことも付け加えるぞ」
子「承りました」
二「ううっ」
陛「子爵。夫人を連れて帰ってくれ」
子「はい。仰せの通りに。
ソワール侯爵令息。夫人に詫びを入れさせて欲しいと伝えてくださいませんか」
私「会わせたくありません。ですが謝罪は伝えます」
子爵が夫人を引きずって去った。
陛「明日エステル抜きで話を聞く」
私「申し訳ございません」
両親と屋敷に戻ったあと、詳細を報告した。
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