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何でいるの?

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馬車に揺られて向かった先は実家だ。

お迎えの馬車と護衛が私を乗せてベルナード邸に到着した。

早速 お兄様が出迎えてくれた。

「エステル!」

「お兄様!」

「また一段と可愛くなって」

「お兄様こそカッコよくなって」

「さあ、お嬢様。旦那様と奥様がお待ちですよ」

「オフィリア様は?」

「眩暈がするから安静にしているよ。
会えないけど、よろしくって言っていたよ」

「大丈夫なのですか?」

「妊婦だからありがちなことだけど、倒れたら困るから安静にさせているんだ」

「お大事にとお伝えください」



居間でお父様とお母様に抱きしめられた。

父「お帰り、エステル」

母「本当に痩せてなかったわ」

毎月 手紙を一通以上送っていた。

私「それがね、」

ソワール邸での待遇を報告した。


母「まあ、すごい手厚いのね」

父「可愛がられているな」

兄「何もされていないか?」

私「お兄様、虐められていないと言ったではありませんか」

兄「そうじゃなくて」

母「初夜のことを聞いているのよ」

私「一切ありません」

父「そうか。
もう妾を迎えたのか?」

私「私の知る限りではありません。
本館のことですから、私が知らないだけかもしれません」

兄「エステル。最初から妾を迎えて子を産ませる予定の男に体を許しては駄目だぞ」

父「そうだぞ。都合のいい女にされてしまう」

母「そういうのは夫ではなくて恋人となさい」

兄「どちらにしてもエステルにはまだ早い」

父「そうだぞ。4年は早い」

4年って…



翌日は別の隣の領地の 伯爵家のパーティに参加した。
その時にそのお屋敷の兄弟から声をかけられた。

「エステル様は新婚なんだよね」

「はい」

「王命だろう?」

「そうですね」

「酷い扱いを受けたりはしていない?」

「そんなことはありませんわ。良くしていただいております」

「もしかして白い結婚か。
ソワール侯爵令息はヴァネッサ嬢と婚約中は別の令嬢達とお楽しみだったからな」

「エステル様は平気なの?」

「まあ、私達はそういう結婚ですから」

「そうか。お互い恋人を作れる契約なんだな」

「え、そうなのか?」

「だって犬猿だろう。
政略結婚の夫婦では珍しくはない」

「エステル、僕と付き合おうよ」

「ケビン様は婚約者がいますよね」

「政略結婚だから 構わないだろう」

「契約書に明記していますか?」

「え?…いや」

「駄目に決まってるじゃないですか」

「大丈夫だよ」

「私にその気はありません」

「付き合ってみなきゃ分からないだろう?」

急に2人の顔色が変わった。

「私の妻が断っているんだ。しつこい男はモテないぞ」

「リオナード様?」

何故 彼が?

リオナード様は胸の内ポケットから招待状を取り出して見せた。

「もういいかな?」

「「は、はい」」

兄弟はそそくさと離れていった。

「大丈夫か」

「はい。大丈夫です」

「兄君は?」

「お義姉様がおめでたで」

「クリスは」

「お父様達がいますし、王族じゃないのですからパーティに連れて歩きませんよ」

「おいで」

手を繋がれてリオナード様がお父様の元へ向かった。


「ベルナード伯爵」

「リ、リオナード殿!?」

「今エステルがしつこく誘われていました。
知り合いのパーティでもエステルのようにかよわいレディは狙われます。

兄君が付き添えない場合は、伯爵の側に置くかクリスを伴わせてください。

何かあって一番傷付くのはエステルですし、私達も守れなかったことを後悔します」

「そ、そうだな。ありがとう、リオナード殿」

「エステルをお借りしても?」

「エステル、どうする」

「行ってきます」

「では、頼みます」

「ありがとうございます」


その後はリオナード様と他の参加者に話しかけに行って、ベルナード邸に一緒に戻った。







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