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神の後ろ盾(国王)
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【 国王の視点 】
早馬が到着し、騒ぎとなった。
「陛下、グラシアン王子殿下率いる一行が襲撃に遭ったそうです。死者負傷者が出ていることと、生き残った犯人を捕らえているそうで、騎士団の助けを求めております」
「それはまずい……アリスが同行していただろう」
「到着した護衛兵士を呼びます」
直ぐに血で汚れた護衛兵士が到着した。
「国王陛下にご挨拶を申し上げます」
「挨拶などよい。分かっていることと被害状況を教えてくれ」
「襲撃の首謀者はコルシックの王妃殿下とその実子の第二王子ミカエルのようです。実行犯のリーダーはミカエル王子殿下で、彼を含む3名を生かして捕らえました。
グラシアン王子殿下、ジオニトロ嬢、テムスカリン家の長男エミリアン様はご無事です。護衛兵士の死者は6名となっております」
「直ぐに兵士を向かわせよう。其方は手当を受けよ」
「後、神の一人から警告を受けました」
「……どういうことだ」
「ジオニトロ嬢は神の一人から祝福を受けておりました。……実はジオニトロ嬢はミカエル王子の剣で胸を貫かれました。ですが意識を失った瞬間に神が降臨し、“我が愛し子の身に害をなす者は裁きを受け、時には不治の病に苦しむだろう。アリス自身は普通の人間だが 天界は彼女に償いをする為に今後も見守らせてもらう”と言うと強い光に包まれました。ジオニトロ嬢の傷は跡形も無く消え、代わりにミカエル王子の胸に剣で刺し貫かれたようなアザが出現し……奇病で覆われました」
「神!? 確かなのか!」
「白く透き通った美しい人の姿をした者は ふわふわと浮いておりました。言い終わると光と共に消えました。
何より、ジオニトロ嬢は心臓を貫かれ大量に血を流していたのです。流れ出た血も破れた服もそのまま。ただ傷が消え令嬢も元気に立ち上がりました。
人智を超えた力でしかあり得ません」
「聖女というものか」
「そうではありません。ただ、神はジオニトロ嬢の意思に反することを好まないようです。危害を加えず無理強いをせずにいれば神の怒りに触れることは無いようです」
「分かった。場所を教えてくれ」
後は騎士団長に任せて 宰相を呼んだ。
「アリスを妃に選ぶべきであった」
「それはアリスが望めば叶いますが、望まないでしょう。相応しくはありますが彼女の性に合いません。それに子が望めなかった時、もう一人娶ることにアリスが難色を示せばどうなるか」
「ミカエル王子がどうなったか確認をしてからにしよう」
2日後、貴族牢の中に居た男を見て驚愕した。
ミカエル王子はグラシアン王子殿下よりも歳下だったはずなのに、顔の皮膚だけ鱗のような皮膚で覆われ 身体は発疹で覆われ 指先は黒く変色していた。
アリスの着ていたドレスをメイドが持って来ると、確かに胸と背中に剣の幅に切れていて、多量の血が付いていた。
全員の証言も一致している。
アリスに神の償いについて聞いても、話していいか分からないので答えられないと言われた。
「テムスカリン子爵夫妻と次男を登城させよ」
涙を宝石に変えるなど神の御業。飲み物によって色を出し香りを出し、望む形にしたり自発光させたりもできる。そして神自ら致命傷を治し 害を成した者に制裁をした。
だとしたらアリスが嫌がる婚約は解消しなければならない。提出された契約書には支援金の文字があった。王家で代わりに返して支援をしようと思っていた。
数日後、子爵夫妻と次男オルデンを謁見の間に待たせていると、アリスと子爵家長男エミリアンが入室した。
「アリス!やっと会えた!」
オルデンがアリスに駆け寄ろうとするも、間に近衛兵が立ち塞がった。
兵「陛下の御前だぞ」
子爵「オルデン!こっちに来なさい!」
オ「っ!」
「其方達を呼んだのは、アリス・ジオニトロとオルデン・テムスカリンの婚約を白紙にすることを伝えるためだ」
オ「は!?」
「神託を賜った。アリスは神の庇護にある。故に意に沿わぬことはさせられぬ」
子爵「ですが、これは契約です」
「今までジオニトロ家に渡した金は王家で補填する……何かね?アリス」
ア「これまでの支援金はジオニトロ家で全額お返しいたします。もちろん今後の支援も必要はございません」
子爵「返せば良いというものではないのだよ」
ア「子爵もご存じの通り、オルデン様はずっと浮気を繰り返しております」
夫人「オルデンは改心したのよ?」
ア「それは僅かな期間でしかありません。現在は違法賭博場に入り浸り、そこで知り合った女性達と体の関係を持ち続けています」
子爵「オルデン!!」
オ「っ!」
夫人「婚姻前の多少の女遊びは目を瞑ってあげて」
オ「そ、そうだ!所詮遊びだ!他の女など性欲の吐け口でしかない!私の妻はアリスだけだ!」
私「でしたら仕方ありませんわ」
オ「アリス…分かってくれたんだね。アリスがちゃんと私と会ってくれたら他の女を相手にしないと誓おう」
私「では、貴方の子を産んだ元メイドと婚外子の男児はどうなりますか?」
オ「ど、どうしてそれを!!」
私「ずっと知っていましたがジオニトロ家の準備が整うまで貴方を泳がせていただけですわ」
「子爵、本当か」
子爵「……事実でございます」
「ならば返金の必要は無い。破棄の上、慰謝料を支払え」
私「後腐れの無いよう返金させてください、陛下」
「だが、」
ア「彼に何を言われるか分かりませんもの」
「分かった。だが、慰謝料は支払わせよう」
ア「要りません。但し、エミリアン様とは仲良くさせていただきます」
「分かった」
オ「どうして兄上が?何故さっきからアリスの側に?
まさか…やっぱり兄上とアリスはっ!」
ア「もう婚約者ではなくなりますのでアリスと呼ばず“ジオニトロ嬢”とお呼びくださいね。
それにエミリアン様は私が“お兄様”と慕うお方。下衆な考えはお止めください」
オ「兄上はテムスカリンの跡継ぎだぞ!侯爵家はどうするつもりだ!」
ア「はぁ。私が誰を選ぼうが侯爵家をどうしようがジオニトロ家の勝手です。取り返しのつかない契約違反を犯したのは貴方ですわ。それに散々私を蔑ろにしてきたではありませんか。今更どの面下げて婚約者面なさるのです?恥ずかしい真似はよしてください」
オ「に、認知はしたが婚姻したわけでは、」
ア「未来のジオニトロ侯爵家の跡継ぎに、婚約中に浮気をしたときにできた婚外子と異母兄弟になれと?」
オ「あ、あれはまだ子供の頃の過ちで、」
ア「それが今も続いているではありませんか。今の貴方は避妊薬を使うことを覚えただけのこと。違いますか?それにジオニトロ侯爵家に婿入りして次期侯爵になろうとしている方が違法賭博だなんて、我が侯爵家を何だと思っているのです。次女のスーザンは第二王子殿下の婚約者なのですよ?王子妃の実家に違法賭博をする者がいたら醜聞すぎてスーザンは肩身の狭い思いをすることになります」
「宰相。天罰を受けた貴族牢の住人を3人にみせてやってくれ。そして子爵夫妻にだけ神の警告を教えてやってくれ。もちろん沈黙を誓ってもらってくれ」
「かしこまりました」
夫妻は婚約解消に同意し署名して2人の息子を連れて帰って行った。
グラシアン王子殿下は弟王子ミカエルを連れて帰国した。
そして王妃と王子達を集めて、事情を説明し、絶対にアリスに害を成すなと警告した。
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「直ぐに兵士を向かわせよう。其方は手当を受けよ」
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「……どういうことだ」
「ジオニトロ嬢は神の一人から祝福を受けておりました。……実はジオニトロ嬢はミカエル王子の剣で胸を貫かれました。ですが意識を失った瞬間に神が降臨し、“我が愛し子の身に害をなす者は裁きを受け、時には不治の病に苦しむだろう。アリス自身は普通の人間だが 天界は彼女に償いをする為に今後も見守らせてもらう”と言うと強い光に包まれました。ジオニトロ嬢の傷は跡形も無く消え、代わりにミカエル王子の胸に剣で刺し貫かれたようなアザが出現し……奇病で覆われました」
「神!? 確かなのか!」
「白く透き通った美しい人の姿をした者は ふわふわと浮いておりました。言い終わると光と共に消えました。
何より、ジオニトロ嬢は心臓を貫かれ大量に血を流していたのです。流れ出た血も破れた服もそのまま。ただ傷が消え令嬢も元気に立ち上がりました。
人智を超えた力でしかあり得ません」
「聖女というものか」
「そうではありません。ただ、神はジオニトロ嬢の意思に反することを好まないようです。危害を加えず無理強いをせずにいれば神の怒りに触れることは無いようです」
「分かった。場所を教えてくれ」
後は騎士団長に任せて 宰相を呼んだ。
「アリスを妃に選ぶべきであった」
「それはアリスが望めば叶いますが、望まないでしょう。相応しくはありますが彼女の性に合いません。それに子が望めなかった時、もう一人娶ることにアリスが難色を示せばどうなるか」
「ミカエル王子がどうなったか確認をしてからにしよう」
2日後、貴族牢の中に居た男を見て驚愕した。
ミカエル王子はグラシアン王子殿下よりも歳下だったはずなのに、顔の皮膚だけ鱗のような皮膚で覆われ 身体は発疹で覆われ 指先は黒く変色していた。
アリスの着ていたドレスをメイドが持って来ると、確かに胸と背中に剣の幅に切れていて、多量の血が付いていた。
全員の証言も一致している。
アリスに神の償いについて聞いても、話していいか分からないので答えられないと言われた。
「テムスカリン子爵夫妻と次男を登城させよ」
涙を宝石に変えるなど神の御業。飲み物によって色を出し香りを出し、望む形にしたり自発光させたりもできる。そして神自ら致命傷を治し 害を成した者に制裁をした。
だとしたらアリスが嫌がる婚約は解消しなければならない。提出された契約書には支援金の文字があった。王家で代わりに返して支援をしようと思っていた。
数日後、子爵夫妻と次男オルデンを謁見の間に待たせていると、アリスと子爵家長男エミリアンが入室した。
「アリス!やっと会えた!」
オルデンがアリスに駆け寄ろうとするも、間に近衛兵が立ち塞がった。
兵「陛下の御前だぞ」
子爵「オルデン!こっちに来なさい!」
オ「っ!」
「其方達を呼んだのは、アリス・ジオニトロとオルデン・テムスカリンの婚約を白紙にすることを伝えるためだ」
オ「は!?」
「神託を賜った。アリスは神の庇護にある。故に意に沿わぬことはさせられぬ」
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子爵「オルデン!!」
オ「っ!」
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私「でしたら仕方ありませんわ」
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「ならば返金の必要は無い。破棄の上、慰謝料を支払え」
私「後腐れの無いよう返金させてください、陛下」
「だが、」
ア「彼に何を言われるか分かりませんもの」
「分かった。だが、慰謝料は支払わせよう」
ア「要りません。但し、エミリアン様とは仲良くさせていただきます」
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