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助っ人
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「で、何で毎度呼ぶんだよ」
「ビジネスチャンスですよ」
「間に合ってるよ」
居間にいるグラシアン王子殿下の姿を庭から見せて、相手をしろと 呼び付けたエミリアン様に勧めていた。
「この間、先行投資したじゃないですか」
「何のことだ」
「キス」
「バカっ あの後大変だったんだぞ!」
「しーっ」
「しー じゃないよ」
「大丈夫です。今回殿下はお宝を持って来ていますから」
「何だよお宝って」
「コルシックの王妃殿下の装飾品を鷲掴みにしてポケットに入れて持って来ていて、売っていいと言っていました」
「それ、本気にして売ったら重罪犯で頭と首が切り離されちゃうやつだからな」
「エミリアン様なら大丈夫ですよ」
「大丈夫な訳があるかっ」
「ほら、行って来ていいですよ」
「だから何で私を当てがうんだよ」
「オルデンだと即死だから」
「うちの兄弟を駆り出すな」
「水臭いこと言わないの。うちに泊まるかもしれませんよ。エミリアン様も泊まっていってください」
「餌にするなっ。それにバレたらまたオルデンに追い回される」
「鎖で柱に繋いでおかないからですよ」
「じゃあな」
「どこに行くんですか」
「帰るんだよ」
「お兄様…」
「……」
エミリアン様は正面から屋敷に入り、居間へ行くと、殿下に挨拶をした。
エ「またお会いできて光栄です。グラシアン王子殿下」
グ「おお!エミリアン。久しぶり」
エ「覚えていただけて光栄でございます」
グ「だよな?普通こうだよな。なのにアリスは私を椅子にして30分も上に座ったり、耳に爪を突き刺して虐めるんだぞ」
エ「アリス…何やってるんだ」
私「だって、あいつが胸の谷間に顔を突っ込んで貧乳だってバカにするんです」
エミリアンが私の胸を見た。
エ「殿下は豊満な方がお好みですか?アリスは貧乳ではありません。控えめなだけです。
豊満な女は若い時だけが旬です。大抵は垂れ下がったり萎みます。だからアリスくらいの方が長く考えるといいのです」
グ「なるほどな」
私「なんか貶されてる感が消えないんですけど」
エ「今回はどのくらい滞在なさるのですか」
グ「アリスの休みが終わるまで此処にいるつもりだ」
私「ゲッ」
エ「アリス。下品な音を出さない」
私「だって、まだ休暇は始まったばかりなのに」
エ「毎日うちの店で何か買わせればいいだろう」
私「そんなに物欲無いから」
グ「会話がおかしいぞ」
私「そっちに預けます」
エ「意味がわからん」
私「グラちゃんを子爵邸に泊まらせます」
エ「言い直せという意味じゃない。却下と言ったんだ。グラちゃんってまさか?」
私「グラシアン王子殿下のことです。長いから短くしていいって言われました」
グ「ちょっと違うがな」
エ「じゃあ、アリスがうちに泊まればいいじゃないか」
私「獣がいるじゃないですか」
エ「オルデンは友人の領地に遊びに出てるからいない」
私「でも私がそちらに行ったら子爵に変な勘違いされちゃいます」
グ「何でアリスが他の屋敷に泊まりに行くんだよ」
私「いいから早くお城に行って来てください」
レ「殿下、用事を先に済ませてしまいましょう」
私「夕飯も食べて来てくださいね。ついでにそのまま城に滞在してください」
レ「さあ、殿下。行きましょう」
笑顔で手を振り馬車を見送った。
「お兄様。あいつが入ってこれないようにできませんか?1時間で要塞にする職人とか抱えていませんか」
「いるわけないだろう。そんな職人がいたら国か国境を持つ領主のお抱えになってるよ」
「やっぱりお兄様のお屋敷にいこうかしら。漏れなくあの一行もついてくると思いますけど」
「それは嫌だな。アリス。頑張れ。この先残りの人生を考えれば夏の長期休暇などあっという間だ」
「酷い!可愛い妹が困ってるのに!」
「まあ…そうだな」
「その覇気のない相槌はなんですか?」
「よしよし、可愛いぞ」
「そう言いながら帰り支度をしているのは何故?」
「ん?用事は済んだだろう」
「寧ろこれからですよ」
「食事して酒飲んで戻って来て寝るだけだろう。追い討ちにまた酒を飲ませて寝かし付けろ」
「明日は?」
「殿下の行きたい所とか見てない土地はないのか」
「テムスカリン子爵家の領地?」
「恐ろしい呪文を唱えるな」
「屋敷もうちなんかより広いですよね」
「忘れた」
「使用人も多いですよね」
「数えてない」
とぼけるエミリアンの後ろに回り込んで背中に抱きついた。
「お兄様ぁ~。アリス、お兄様と領地に行きたいですぅ」
「おいっ」
「お兄様ぁ~」
「分かった!分かったから放せ」
「アリス?」
呼ばれて振り向くと、開いていたドアの前に立っていたのはメイドとマチアス様だった。
いかにも怒っていますという顔のマチアスは、低い声で命じた。
「アリス。離れろ」
パッと放して2歩下がった。
「私はこれで…」
「待て。2人とも座ってくれ」
「(アリスのせいだぞ!)」
「(予定に無かったもん!)」
「普段何しているのか分かったものじゃないな」
「「 !! 」」
「確か君はテムスカリン家の長男だったね」
「はい。エミリアンと申します」
「此処へは?」
「呼ばれて参りました」
「アリス?」
「グラシアン王子殿下の相手をエミリアン様に手伝って貰おうと呼びました」
「で?殿下は?」
「書簡を持っているらしく、城へ行くよう促しました。10分と経っていません」
「で、何で抱きついていた」
「殿下が夏の長期休暇中、この屋敷に滞在するというので、どうしようかと考えた結果、テムスカリン子爵家の領地がいいとお願いをしていたところです」
「抱きついて?」
「嫌がって帰ろうとしたので」
「……オルデンがついてくるぞ」
「友人の領地に行っているので不在だそうです」
「はぁ。エミリアン殿。迷惑をかけた」
「では、失礼いたします」
「明日早めに来てください。待ってます」
エミリアンは急いで帰ってしまった。
まだマチアス様が怖いんですけど。
「ビジネスチャンスですよ」
「間に合ってるよ」
居間にいるグラシアン王子殿下の姿を庭から見せて、相手をしろと 呼び付けたエミリアン様に勧めていた。
「この間、先行投資したじゃないですか」
「何のことだ」
「キス」
「バカっ あの後大変だったんだぞ!」
「しーっ」
「しー じゃないよ」
「大丈夫です。今回殿下はお宝を持って来ていますから」
「何だよお宝って」
「コルシックの王妃殿下の装飾品を鷲掴みにしてポケットに入れて持って来ていて、売っていいと言っていました」
「それ、本気にして売ったら重罪犯で頭と首が切り離されちゃうやつだからな」
「エミリアン様なら大丈夫ですよ」
「大丈夫な訳があるかっ」
「ほら、行って来ていいですよ」
「だから何で私を当てがうんだよ」
「オルデンだと即死だから」
「うちの兄弟を駆り出すな」
「水臭いこと言わないの。うちに泊まるかもしれませんよ。エミリアン様も泊まっていってください」
「餌にするなっ。それにバレたらまたオルデンに追い回される」
「鎖で柱に繋いでおかないからですよ」
「じゃあな」
「どこに行くんですか」
「帰るんだよ」
「お兄様…」
「……」
エミリアン様は正面から屋敷に入り、居間へ行くと、殿下に挨拶をした。
エ「またお会いできて光栄です。グラシアン王子殿下」
グ「おお!エミリアン。久しぶり」
エ「覚えていただけて光栄でございます」
グ「だよな?普通こうだよな。なのにアリスは私を椅子にして30分も上に座ったり、耳に爪を突き刺して虐めるんだぞ」
エ「アリス…何やってるんだ」
私「だって、あいつが胸の谷間に顔を突っ込んで貧乳だってバカにするんです」
エミリアンが私の胸を見た。
エ「殿下は豊満な方がお好みですか?アリスは貧乳ではありません。控えめなだけです。
豊満な女は若い時だけが旬です。大抵は垂れ下がったり萎みます。だからアリスくらいの方が長く考えるといいのです」
グ「なるほどな」
私「なんか貶されてる感が消えないんですけど」
エ「今回はどのくらい滞在なさるのですか」
グ「アリスの休みが終わるまで此処にいるつもりだ」
私「ゲッ」
エ「アリス。下品な音を出さない」
私「だって、まだ休暇は始まったばかりなのに」
エ「毎日うちの店で何か買わせればいいだろう」
私「そんなに物欲無いから」
グ「会話がおかしいぞ」
私「そっちに預けます」
エ「意味がわからん」
私「グラちゃんを子爵邸に泊まらせます」
エ「言い直せという意味じゃない。却下と言ったんだ。グラちゃんってまさか?」
私「グラシアン王子殿下のことです。長いから短くしていいって言われました」
グ「ちょっと違うがな」
エ「じゃあ、アリスがうちに泊まればいいじゃないか」
私「獣がいるじゃないですか」
エ「オルデンは友人の領地に遊びに出てるからいない」
私「でも私がそちらに行ったら子爵に変な勘違いされちゃいます」
グ「何でアリスが他の屋敷に泊まりに行くんだよ」
私「いいから早くお城に行って来てください」
レ「殿下、用事を先に済ませてしまいましょう」
私「夕飯も食べて来てくださいね。ついでにそのまま城に滞在してください」
レ「さあ、殿下。行きましょう」
笑顔で手を振り馬車を見送った。
「お兄様。あいつが入ってこれないようにできませんか?1時間で要塞にする職人とか抱えていませんか」
「いるわけないだろう。そんな職人がいたら国か国境を持つ領主のお抱えになってるよ」
「やっぱりお兄様のお屋敷にいこうかしら。漏れなくあの一行もついてくると思いますけど」
「それは嫌だな。アリス。頑張れ。この先残りの人生を考えれば夏の長期休暇などあっという間だ」
「酷い!可愛い妹が困ってるのに!」
「まあ…そうだな」
「その覇気のない相槌はなんですか?」
「よしよし、可愛いぞ」
「そう言いながら帰り支度をしているのは何故?」
「ん?用事は済んだだろう」
「寧ろこれからですよ」
「食事して酒飲んで戻って来て寝るだけだろう。追い討ちにまた酒を飲ませて寝かし付けろ」
「明日は?」
「殿下の行きたい所とか見てない土地はないのか」
「テムスカリン子爵家の領地?」
「恐ろしい呪文を唱えるな」
「屋敷もうちなんかより広いですよね」
「忘れた」
「使用人も多いですよね」
「数えてない」
とぼけるエミリアンの後ろに回り込んで背中に抱きついた。
「お兄様ぁ~。アリス、お兄様と領地に行きたいですぅ」
「おいっ」
「お兄様ぁ~」
「分かった!分かったから放せ」
「アリス?」
呼ばれて振り向くと、開いていたドアの前に立っていたのはメイドとマチアス様だった。
いかにも怒っていますという顔のマチアスは、低い声で命じた。
「アリス。離れろ」
パッと放して2歩下がった。
「私はこれで…」
「待て。2人とも座ってくれ」
「(アリスのせいだぞ!)」
「(予定に無かったもん!)」
「普段何しているのか分かったものじゃないな」
「「 !! 」」
「確か君はテムスカリン家の長男だったね」
「はい。エミリアンと申します」
「此処へは?」
「呼ばれて参りました」
「アリス?」
「グラシアン王子殿下の相手をエミリアン様に手伝って貰おうと呼びました」
「で?殿下は?」
「書簡を持っているらしく、城へ行くよう促しました。10分と経っていません」
「で、何で抱きついていた」
「殿下が夏の長期休暇中、この屋敷に滞在するというので、どうしようかと考えた結果、テムスカリン子爵家の領地がいいとお願いをしていたところです」
「抱きついて?」
「嫌がって帰ろうとしたので」
「……オルデンがついてくるぞ」
「友人の領地に行っているので不在だそうです」
「はぁ。エミリアン殿。迷惑をかけた」
「では、失礼いたします」
「明日早めに来てください。待ってます」
エミリアンは急いで帰ってしまった。
まだマチアス様が怖いんですけど。
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