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久しぶり
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「アリス」
「アリス」
「私よ、ペイジよ」
「ペイジ様よ…キャアッ!」
「ちょっと駄女神!」
ペイジの胸ぐらを掴んで揺さぶった。
「や、やめてくださいっ!」
「あんた、雷出せるくらいならもっと何か授けられたでしょう!勉強しなくても答えがわかるようにしなさいよ!」
「そんなっ」
「ここ…前と同じ場所じゃない。まさかまた殺したの!?」
「え?」
「いっそ私があんたを殺してやる!」
「ちがっ!違う!違う!!話をしたくて眠ってもらったの!」
ペイジは空間に水溜りを作ると下界の様子を映し出した。
マチアスが私を抱き抱えて蹲っている。周囲の使用人が慌てていた。
「要件は何」
「凄いじゃない。逆ハーのヒロインがアリスに変わってしまっているわ」
「はい?」
「メンバーの好感度が高いし、シルヴェストル様の待遇も王宮内で良くなっているし。流石ね!私の目に狂いはなかったわ」
よく言うよ。
「逆ハーじゃなくて友人達よ。そんなに気になるなら自分で話の登場人物になれば良かったじゃない」
「そんなことをしたら介入がバレて降格されちゃうわ」
ニヤリ
「ふうん?ペイジの仲介済みだけどね」
「……」
「で、要件は?」
「終わったけど」
「は?」
「良くやったわ。引き続き頑張ってね」
「次に大した用事も無く呼び付けたらコロス」
「そんなこと無理よ」
「私じゃなくてファラル様なら可能じゃない?」
「 !! 」
「言っておくけど、ペイジが言うように逆ハーメンバーに好感度が良くて侯爵代理の私に何かあればファラル様の耳にも入るんじゃない?何が起きたか気になって読んでみたら 宝石になる涙なんて設定のない話を知ったら間違いなくペイジが疑われるわね。人間殺しと小説の破壊が露見して、」
「お願い!私を虐めないで!」
「呼び出しにつき、一つ授けものをして」
「ええ!?」
「いいから早く授けものをして小説の世界に帰して!医師が首振ってるじゃない!まさか」
「早く戻さないと!」
「何を授けたのか教え……」
「残念ながら、心臓も呼吸も止まっておいでで手の施しようがございません」
「そんなバカな!元気そのものだったんですよ!」
「しかし、」
パチッ
「何か方法はないのですか!深い眠りについているだけとか!まさか毒!?」
「あ、あのマチアス様」
「誰が毒など!!」
「マチアス様、お嬢様が」
目を開けるといつも冷静なマチアス様が怒っていて、医師らしきお爺さんは困っていて、メイドも真っ青、バンフィールド夫人はソファに倒れ込んでいた。
マチアス様が私を見ると目を見開き、飛び付くように私を抱きしめた。
「アリス!何処が痛い?苦しいところは!」
「だ、大丈夫です マチアス様」
「毒ではないのか!」
「違います!」
青ざめていたメイド達の血色が戻っていく。
「誤診か」
医師の顔が青ざめた。
「誤診とかそういうのではありません」
「だが心音も呼吸も止まって」
「眠りが深すぎて機能を最小限にしたのかもしれません」
「そんなことが起こりうるのか」
「駄女神の悪戯です」
「アリス」
「もう大丈夫ですから。ご迷惑をお掛けしました」
「駄目よ。明日も休みなんだから今夜は泊まっていってちょうだい。心配で帰せないわ」
「そんなご迷惑は、」
「私もマチアスも心臓が止まりかけるほどショックを受けたの。私達のためにそうしてちょうだい」
「分かりました」
その後、マチアス様は私からずっと離れなかった。
トイレに立つときは侍従のウスターシュに見張らせて、夕食後の湯浴みの時間も客室の中のソファで待ち、私が眠るまで側にいた。
朝 起きるとメイドが教えてくれた。
「マチアス様は結局こちらのソファで就寝なさいました。ちゃんと私兵が立って間違いがないようにさせています」
「大丈夫だって言ったのに」
「大事な人を失ったと思ったのです。仕方ありません」
扉を開けてソファに近付いた。
「ふふっ」
寝顔は少し幼く感じるわね。
マチアス様の髪を優しく撫でていると瞼が開いた。
「おはよう。マチアス様」
「っ!」
「えっ!?」
マチアス様が上半身を起こすと私を引っ張って抱きしめた。
「生きてる」
「はい」
相当怖い思いをさせたみたい。トラウマになっちゃったのね。
抱きしめ返して頭を撫でた。
「大丈夫ですよ。女神がそう簡単に私のことを死なせませんから、多分大丈夫ですよ」
「ずっとウチで暮らせばいい」
「流石に無理ですよ」
「ずっと守ってやる。私が誰よりもアリスを守ってやれる」
「マチアス様は友情に厚いのですね」
「……」
「ありがとう、マチアス様」
「アリス」
「私よ、ペイジよ」
「ペイジ様よ…キャアッ!」
「ちょっと駄女神!」
ペイジの胸ぐらを掴んで揺さぶった。
「や、やめてくださいっ!」
「あんた、雷出せるくらいならもっと何か授けられたでしょう!勉強しなくても答えがわかるようにしなさいよ!」
「そんなっ」
「ここ…前と同じ場所じゃない。まさかまた殺したの!?」
「え?」
「いっそ私があんたを殺してやる!」
「ちがっ!違う!違う!!話をしたくて眠ってもらったの!」
ペイジは空間に水溜りを作ると下界の様子を映し出した。
マチアスが私を抱き抱えて蹲っている。周囲の使用人が慌てていた。
「要件は何」
「凄いじゃない。逆ハーのヒロインがアリスに変わってしまっているわ」
「はい?」
「メンバーの好感度が高いし、シルヴェストル様の待遇も王宮内で良くなっているし。流石ね!私の目に狂いはなかったわ」
よく言うよ。
「逆ハーじゃなくて友人達よ。そんなに気になるなら自分で話の登場人物になれば良かったじゃない」
「そんなことをしたら介入がバレて降格されちゃうわ」
ニヤリ
「ふうん?ペイジの仲介済みだけどね」
「……」
「で、要件は?」
「終わったけど」
「は?」
「良くやったわ。引き続き頑張ってね」
「次に大した用事も無く呼び付けたらコロス」
「そんなこと無理よ」
「私じゃなくてファラル様なら可能じゃない?」
「 !! 」
「言っておくけど、ペイジが言うように逆ハーメンバーに好感度が良くて侯爵代理の私に何かあればファラル様の耳にも入るんじゃない?何が起きたか気になって読んでみたら 宝石になる涙なんて設定のない話を知ったら間違いなくペイジが疑われるわね。人間殺しと小説の破壊が露見して、」
「お願い!私を虐めないで!」
「呼び出しにつき、一つ授けものをして」
「ええ!?」
「いいから早く授けものをして小説の世界に帰して!医師が首振ってるじゃない!まさか」
「早く戻さないと!」
「何を授けたのか教え……」
「残念ながら、心臓も呼吸も止まっておいでで手の施しようがございません」
「そんなバカな!元気そのものだったんですよ!」
「しかし、」
パチッ
「何か方法はないのですか!深い眠りについているだけとか!まさか毒!?」
「あ、あのマチアス様」
「誰が毒など!!」
「マチアス様、お嬢様が」
目を開けるといつも冷静なマチアス様が怒っていて、医師らしきお爺さんは困っていて、メイドも真っ青、バンフィールド夫人はソファに倒れ込んでいた。
マチアス様が私を見ると目を見開き、飛び付くように私を抱きしめた。
「アリス!何処が痛い?苦しいところは!」
「だ、大丈夫です マチアス様」
「毒ではないのか!」
「違います!」
青ざめていたメイド達の血色が戻っていく。
「誤診か」
医師の顔が青ざめた。
「誤診とかそういうのではありません」
「だが心音も呼吸も止まって」
「眠りが深すぎて機能を最小限にしたのかもしれません」
「そんなことが起こりうるのか」
「駄女神の悪戯です」
「アリス」
「もう大丈夫ですから。ご迷惑をお掛けしました」
「駄目よ。明日も休みなんだから今夜は泊まっていってちょうだい。心配で帰せないわ」
「そんなご迷惑は、」
「私もマチアスも心臓が止まりかけるほどショックを受けたの。私達のためにそうしてちょうだい」
「分かりました」
その後、マチアス様は私からずっと離れなかった。
トイレに立つときは侍従のウスターシュに見張らせて、夕食後の湯浴みの時間も客室の中のソファで待ち、私が眠るまで側にいた。
朝 起きるとメイドが教えてくれた。
「マチアス様は結局こちらのソファで就寝なさいました。ちゃんと私兵が立って間違いがないようにさせています」
「大丈夫だって言ったのに」
「大事な人を失ったと思ったのです。仕方ありません」
扉を開けてソファに近付いた。
「ふふっ」
寝顔は少し幼く感じるわね。
マチアス様の髪を優しく撫でていると瞼が開いた。
「おはよう。マチアス様」
「っ!」
「えっ!?」
マチアス様が上半身を起こすと私を引っ張って抱きしめた。
「生きてる」
「はい」
相当怖い思いをさせたみたい。トラウマになっちゃったのね。
抱きしめ返して頭を撫でた。
「大丈夫ですよ。女神がそう簡単に私のことを死なせませんから、多分大丈夫ですよ」
「ずっとウチで暮らせばいい」
「流石に無理ですよ」
「ずっと守ってやる。私が誰よりもアリスを守ってやれる」
「マチアス様は友情に厚いのですね」
「……」
「ありがとう、マチアス様」
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