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早速の反発

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今日はそれだけで終わりで 授業は明日から始まる。

「アリスちゃん、一緒に帰ろう」

「ブレイル様と?」

「スーザンさんは王子妃教育だよね。
義姉様からアリスちゃんの制服姿が見たいから連れて帰って来いと言われていてね。
ジオニトロ邸には連絡が入っているはずだから迎えの馬車は来ないよ」

「エリアーナ姉様ったら」

「さあ、レディ。ノッティング邸までエスコートしよう」

「手慣れてるなぁ」

「普通だよ」

「誰かにエスコートされたのはデビューでシルヴェストル様が初めてだったから普通がわかりません」

「…これからは違うよ。ほら、腕に手を添えて」

「でも、」

「早くしないと義姉様が迎えにくるよ?」

「…まるで介護されてるみたい」

「そうそう。介護だよ介護」

シルヴェストル様に手を振って教室を出た。




ノッティング邸に着くとエリアーナ様が出てきた。

「アリス!」

「お姉様、ごきげんよう」

「可愛いわ!肖像画を描かせて」

「何言っているんですか、断固拒否です!
描くならブレイル様がいいですよ」

「私を生きた猫じゃらしとして投げ入れないでくれないかな」

「ふふっ」

「あらあら、可愛いわ」

「お義母様、アリスが肖像画を拒否するのです」

「アリスちゃん。いいでしょう?」

「では、エリアーナお姉様も制服を着て並んで描いてもらうなら」

「ば、馬鹿言わないで!」

「え~、ジェイド様は絶対喜びますよ。
そうだ。小さめにも描いてもらってジェイド様の机の上に飾りましょう」

「止めて」

「ジェイド様を呼んでこないと」

「分かったから。
肖像画を諦めればいいんでしょう!」

「ペンダントの中にお姉様の絵を入れてジェイド様にプレゼントするのもいいかもしれませんね」

「そのときは道連れよ」

「あげる人、いませんから」

「そう思っているのはアリスだけよ」

「え?」

「今日はどうだった?」

夫人がブレイルに座りなさいと促しながら尋ねた。

「イリアナ嬢が絡んできました。名前で呼び合うのが不満だったようです」

「アリスの言った通りね」

「私からお手紙を書いておくわ」

「袋叩きにあっていましたから、そこまでは」

「あら、そうなの? ブレイル」

「はい。リオネル王子殿下とマチアス殿が参戦してくださいました」

「席はどうなってるの」

「アリスちゃんの斜め前にイリアナ嬢がいますが、隣はマチアス殿で、前はリオネル殿下です。

今日で二人はアリスちゃんの味方だとよく分かったことでしょう。
ですが公爵家の三女は外に出されて立場が変わるということを分かっていません」

「そう。公爵令嬢のまま嫁いで来られたらたまったものではないわね。
いいことを思いついたわ。
エリアーナ。バンフィールド家から教師を紹介してもらいたいのだけど。立場がわかっていない勘違い小娘を矯正したいの。厳しくて粘り強い方がいいのだけど」

「連絡をとりますわ」

「ありがとう。

ブレイルは、また何かあれば報告してちょうだい」

「はい、母上」





おかしい。入学から2週間経ってもシャルロットが活躍していない。

唯一、同じクラスのオルデンでさえ、シャルロットに引っかからずにいるらしい。
シャルロットの猫撫で声を無視。

オルデンの恋人ヤスミンは捨てられたようだ。

そして頻繁に屋敷にオルデンから手紙が届く。
“話し合おう”、“誤解だ”、“遊びだった”……

それを全て同じ文面で使用人に返信させている。
“私達は他人です。目も合わせません”

学校では 私達のクラスの前には警備兵が立っている。クラスごとにタイやリボンが違うため、近寄ると止められる。

Sクラスは濃紺。一年生は銀のラインが一本。
Mクラスは赤。一目でバレる。

ちなみにEは緑、Gは茶色だ。

何度かやって校長に叱られたらしい。
私も呼び出されて事情聴取されたけど、例の手紙を見せて、“オルデンさんの当初の希望を叶えて差し上げております。別のご令嬢をエスコートしてデビューしたのは王妃殿下もご存知です”と伝えると、校長はニッコリと微笑んで解放してくれた。

後で教えてくれたが、テムスカリン子爵家に警告文を出してくださった。

Sクラスは特に王族が2人もいて高位貴族の割合も多い。
私用を学園に持ち込まずに解決すること。
次からは停学処分となること。Sクラスから苦情が出れば退学も有り得るということを明記してくださった。

私はそのことをリオネル殿下やマチアス様に伝えた。“学園長は素晴らしいわ。ストーカーから守ってくださったわ”と。

数日後、学園長宛に王妃殿下からお褒めの言葉が綴られた手紙が届いたらしい。
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