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入学
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ついに入学です。桃恋が始まります。
駄女神のペイジ、見ていますか?
夢に出てきて感謝の言葉をくれてもいいのですよ?
もう一つの授けものを教えてくれてもいいのですよ?
ファラルさんに伝言を叫びたくなってきた。
「ファラ…」
ゴロゴロゴロゴロ…
「お嬢様、晴天なのに雷なんて、おかしな天気ですね」
「…本当ね」
おい、駄女神!そんな力があるなら飲んだ水分の全部を宝石に変えさせてよ!
「お姉様、行きましょう」
馬車に乗って学園へ向かった。
「いい?嫉妬は可愛くね。
決して相手を虐めたり呼び出したり複数で囲っては駄目。何かどうしても注意したい時は先生と一緒の時や殿下の前で優しく諭すのよ。
泣き出したら、黙って泣き止むのを待ちなさい。
優しく微笑むのよ」
「シャルロットという男好きですね」
「そうよ」
「お姉様と一緒なら破談になったとしても立ち直れますわ」
「その時は、姉妹で頑張りましょう。
いっそのこと、“恋多き姉妹”として君臨しましょう」
「それいいですね」
「せっかくだから“入学式は素敵な殿方を探せ”の時間よ」
「素敵な殿方…」
「子供の頃に会っていても、大きくなったらガラッと変わっている殿方もいるもの」
「そうですね」
「あと、いつも同じタイプの殿方に走らないで、色々なタイプを摘み食いするのもいいじゃない?」
「摘み食い?」
「今回は逞しい殿方。
彼との恋が終わったら、次は学者タイプの殿方とか」
「お姉様、シルヴェストル殿下にそのような話をしたら監禁まっしぐらになるので気をつけてくださいね」
「シルヴェスト様?何で?」
「……あ、見えてきましたわ」
馬車の乗降場に着くとシルヴェストル様とリヴヴェル様が待っていた。
「おはよう。アリス、スーザン嬢」
「おはようございます、アリスちゃん、スーザン嬢」
「「おはようございます」」
差し伸べられたシルヴェストル様の手を取った。
スーザンにはリヴウェル様が差し伸べてくれた。
「スーザン嬢、リオネル殿下は新入生代表の挨拶があるから迎えにこれないんだ」
「リヴウェル様にエスコートしていただけて光栄ですわ」
講堂に入るとブレイル様とマチアス様が待っていた。
「席はここだよ」
最前列に私とスーザン。スーザンの隣は空席で、私の反対隣はシルヴェストル様、その向こうはマチアス様。
後ろにブレイル様とリヴウェル様。
この席はすごいわね。
第二王子リオネル、
第三王子シルヴェストル、
第二王子の婚約者で侯爵家スーザン・ジオニトロ、
宰相の子息で侯爵家ブレイル・ノッティング、
騎士団長の息子で伯爵家リヴウェル・ガーネット、
貴族の頂点に君臨する公爵家のマチアス・バンフィールド。
シャルロットの攻略対象とマチアス様まで加わってしまったわ。
それにしてもアリスはこのポジション?
「アリス、何考えてるんだ?」
「すごいメンバーに囲まれたなと緊張してきました」
「すごいのはアリスだろう」
「確かにここに座る厚かましさは、ご指摘の通りです」
「何でお姉様はこんなに自己評価が低いのでしょう」
「本当だよな」
「最後にクラス分けでしたよね」
「お姉様、私だけ違うクラスかも」
「大丈夫よ、気合いを入れながら勉強したでしょう」
「気合い?」
「シルヴェストル殿下、お姉様は独特のやり方をするのです。まるで騎士団に入ったかのように大声で叫んで気合いを入れ、さらに自己暗示というものをかけるのです」
「どんな?」
「“私はできる!私はやれる!気合いだ!”みたいな感じで。勉強を始める前に一緒に叫ぶのです」
「ハハッ、それは確かに騎士団式ですね」
後ろからリヴウェル様が答えた。
「アリスが?」
そんな目で見ないで、シルヴェストル様。
「アリスちゃんといると楽しいよ」
「マチアス様、それ、褒めてるんですよね?」
「もちろん」
そして式が終わり、クラス分けだ。
まず担任が自己紹介して自分のクラスの生徒名を読み上げる。そしてクラス単位で移動だ。
「今年は4クラスで、上からS、E、G、M。Sクラスは10名、EとGは20名ずつ。Mは8名。
私はMクラス担当の……」
そうして最下位クラス8名が呼ばれて行く。
「オルデン・テムスカリン」
クラス離れて良かった~
「ヤスミン・コーレル」
よかったね、恋人が一緒で。
「シャルロット・ベルビュー」
大変そうね、最下位クラスの先生。
「あ~、やっぱり可愛いのね」
「誰が?」
「気になりますか?シルヴェストル様」
「アリスが気になるならな」
「本当は?」
「アリス以上の友人はいないだろう?」
「ふ~ん」
「何だその顔は」
頭を鷲掴みにされた。
シャルロットは薄桃色の髪にグリーンの瞳の可愛い子だった。
「お姉様、私、ギリギリSクラスに入れましたわ!」
「良かったわね」
「お姉様がいなければ絶対最下位クラスでしたわ。ありがとうございます、お姉様」
「私は応援しただけで、スーザンが頑張った結果よ」
駄女神のペイジ、見ていますか?
夢に出てきて感謝の言葉をくれてもいいのですよ?
もう一つの授けものを教えてくれてもいいのですよ?
ファラルさんに伝言を叫びたくなってきた。
「ファラ…」
ゴロゴロゴロゴロ…
「お嬢様、晴天なのに雷なんて、おかしな天気ですね」
「…本当ね」
おい、駄女神!そんな力があるなら飲んだ水分の全部を宝石に変えさせてよ!
「お姉様、行きましょう」
馬車に乗って学園へ向かった。
「いい?嫉妬は可愛くね。
決して相手を虐めたり呼び出したり複数で囲っては駄目。何かどうしても注意したい時は先生と一緒の時や殿下の前で優しく諭すのよ。
泣き出したら、黙って泣き止むのを待ちなさい。
優しく微笑むのよ」
「シャルロットという男好きですね」
「そうよ」
「お姉様と一緒なら破談になったとしても立ち直れますわ」
「その時は、姉妹で頑張りましょう。
いっそのこと、“恋多き姉妹”として君臨しましょう」
「それいいですね」
「せっかくだから“入学式は素敵な殿方を探せ”の時間よ」
「素敵な殿方…」
「子供の頃に会っていても、大きくなったらガラッと変わっている殿方もいるもの」
「そうですね」
「あと、いつも同じタイプの殿方に走らないで、色々なタイプを摘み食いするのもいいじゃない?」
「摘み食い?」
「今回は逞しい殿方。
彼との恋が終わったら、次は学者タイプの殿方とか」
「お姉様、シルヴェストル殿下にそのような話をしたら監禁まっしぐらになるので気をつけてくださいね」
「シルヴェスト様?何で?」
「……あ、見えてきましたわ」
馬車の乗降場に着くとシルヴェストル様とリヴヴェル様が待っていた。
「おはよう。アリス、スーザン嬢」
「おはようございます、アリスちゃん、スーザン嬢」
「「おはようございます」」
差し伸べられたシルヴェストル様の手を取った。
スーザンにはリヴウェル様が差し伸べてくれた。
「スーザン嬢、リオネル殿下は新入生代表の挨拶があるから迎えにこれないんだ」
「リヴウェル様にエスコートしていただけて光栄ですわ」
講堂に入るとブレイル様とマチアス様が待っていた。
「席はここだよ」
最前列に私とスーザン。スーザンの隣は空席で、私の反対隣はシルヴェストル様、その向こうはマチアス様。
後ろにブレイル様とリヴウェル様。
この席はすごいわね。
第二王子リオネル、
第三王子シルヴェストル、
第二王子の婚約者で侯爵家スーザン・ジオニトロ、
宰相の子息で侯爵家ブレイル・ノッティング、
騎士団長の息子で伯爵家リヴウェル・ガーネット、
貴族の頂点に君臨する公爵家のマチアス・バンフィールド。
シャルロットの攻略対象とマチアス様まで加わってしまったわ。
それにしてもアリスはこのポジション?
「アリス、何考えてるんだ?」
「すごいメンバーに囲まれたなと緊張してきました」
「すごいのはアリスだろう」
「確かにここに座る厚かましさは、ご指摘の通りです」
「何でお姉様はこんなに自己評価が低いのでしょう」
「本当だよな」
「最後にクラス分けでしたよね」
「お姉様、私だけ違うクラスかも」
「大丈夫よ、気合いを入れながら勉強したでしょう」
「気合い?」
「シルヴェストル殿下、お姉様は独特のやり方をするのです。まるで騎士団に入ったかのように大声で叫んで気合いを入れ、さらに自己暗示というものをかけるのです」
「どんな?」
「“私はできる!私はやれる!気合いだ!”みたいな感じで。勉強を始める前に一緒に叫ぶのです」
「ハハッ、それは確かに騎士団式ですね」
後ろからリヴウェル様が答えた。
「アリスが?」
そんな目で見ないで、シルヴェストル様。
「アリスちゃんといると楽しいよ」
「マチアス様、それ、褒めてるんですよね?」
「もちろん」
そして式が終わり、クラス分けだ。
まず担任が自己紹介して自分のクラスの生徒名を読み上げる。そしてクラス単位で移動だ。
「今年は4クラスで、上からS、E、G、M。Sクラスは10名、EとGは20名ずつ。Mは8名。
私はMクラス担当の……」
そうして最下位クラス8名が呼ばれて行く。
「オルデン・テムスカリン」
クラス離れて良かった~
「ヤスミン・コーレル」
よかったね、恋人が一緒で。
「シャルロット・ベルビュー」
大変そうね、最下位クラスの先生。
「あ~、やっぱり可愛いのね」
「誰が?」
「気になりますか?シルヴェストル様」
「アリスが気になるならな」
「本当は?」
「アリス以上の友人はいないだろう?」
「ふ~ん」
「何だその顔は」
頭を鷲掴みにされた。
シャルロットは薄桃色の髪にグリーンの瞳の可愛い子だった。
「お姉様、私、ギリギリSクラスに入れましたわ!」
「良かったわね」
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