【完結】貴方のために涙は流しません

ユユ

文字の大きさ
上 下
27 / 72

あれが婚約者!?(オルデン)

しおりを挟む
ビエラでは満足できなくて、たまに初体験をさせてもらった友人の家に行って当主と楽しんだ。

土産に店の品を用意させて持って行った。

そんなある日、ビエラが担当から外れた。
ビエラと関係を持って4ヶ月ほど経っていた。

父上が領地からやってくると、仕事部屋に呼び出された。

そこには執事とビエラがいた。

「オルデン、お前はビエラと恋人同士で、性交渉があったというのは本当か?」

「……はい」

「抱きたいと言い出したのはお前か?」

「……はい」

「はぁ~」

父上が大きな溜息を吐いた。

「ビエラは処女だったというのは本当か」

「はい」

「お前は責任を取らねばならない。だが、これを知られたら破談になるだろう」

「どういうことですか?」

「旦那様、オルデン様は未だ閨教育が済んでおりません」

「失念していた私も悪かった。
オルデン。ビエラは妊娠している」

「え?」

「お前に子供が出来たんだ。父親になる」

「まさか、そんな」

「婚姻して数年後ならまだしも、婚約中とは。
これではお前は婚約破棄をされかねない」

「でも、支援金が、」

「流石にこれは契約違反だ。先方は金を返すことなく破談にできる。侯爵家の人間と認められる子供はアリス嬢の産んだ子だけ。ビエラとお前の子ではどうにもならない」

父親になるなんて……

「働くこともできないから使用人を雇って別宅で囲うしかない。責任を持って面倒を見るように」


その後、閨教育を受けた。

仕組みも何がいけなかったのかも分かった。


孕んだビエラでは穴は使えないし、悪阻があってそれどころじゃない。

そうしているうちに15歳になり、金を持たされると友人の父親で、あの当主が娼館に連れて行ってくれた。

そこでは遠慮なく発散することができた。
女達は皆、避妊薬を飲んでいるか、孕めない女達だったし、希望を伝えれば根元まで咥えてくれる女を寄越してくれた。

体が成長していくと、陰茎も育っていった。

その内、大人も混じった茶会で、金を持っていて次期侯爵の私に歳上の令嬢達が声をかけてきた。

意外と経験済みの令嬢が多く、ヤレそうな女を誘って茂みなどで交わった。


稀に会う婚約者を見ると、気が滅入った。
このまま婚姻して、閨で勃つのか?

出来るだけ関わりたくなくて、とことん避けた。

そして私には伯爵令嬢の恋人ができた。
一目惚れだと言って声をかけてきた。
顔は可愛かった。体はイマイチ発育が悪かったが、手間要らずだった。

「婚約を解消したばかりなの」

それが何故かなんて気にならなかったし、彼女はすぐに私を受け入れた。男女が逢引きをする時間貸しの宿に連れて行かれ そこで逢瀬を重ねた。

もう16歳になっていた。

「デビューで一緒に踊りたいわ」

同い歳だと分かった。

婚約者あいつと出るのは嫌だから、安易な行動を取った。

「ドレスを贈るよ。パートナーとして一緒に出よう」

「本当!? ありがとう!」

婚約者あいつのエスコートなんてごめんだ!付き纏われるのも嫌だ!だからあの手紙を書いてしまった。あの大人しい女が見せて回るとも思わずに。

“かしこまりました”
返事はたったこれだけ。愛想も何もないと腹を立てていた。

ヤスミンを恋人としながらも、他の令嬢とチャンスがあれば体を合わせ、時々娼館にも通った。


産まれた子は男児で、私に似ているそうだ。
まだ会いに行ってはいなかった。
何度も会いに来て欲しいと手紙をもらったが、忙しいと取り合わなかった。



デビュータントを迎え、王族、上位貴族のダンスで名前が呼ばれた時に衝撃が走った。

“第三王子シルヴェストル殿下、アリス・ジオニトロ嬢”

王子と一緒に呼ばれたことで、ダンスホールに目を向けた。そこには別人がいた。

大胆なドレスなのに品があり、ネックラインにはキラキラと宝石らしきものが散りばめられ、シャンデリアの光を反射させていた。艶めく髪はふわりと揺れ、顔も綺麗だった。

息の合ったダンスはどのペアよりも惹きつけられた。王子の触れる手に、見つめ合う瞳に、焼け付くような不快感が生じた。

曲が終わり、捌ける時も手を繋ぐ。

「オルデン様、もうすぐ呼ばれますわ」

「あ、ああ」

ヤスミンとダンスを始めると、途端に今まで魅力的に感じていた顔が平凡に見えた。
自分が贈ったドレスなのにパッとしない。アクセサリーも無駄に派手だ。

ダンスも婚約者に比べると上手くはなかった。


フリータイムで婚約者の元に行くと無視された。
そして冷たくあしらわれる。

お前は私の婚約者だろう!

そこに騎士団長のガーネット伯爵、宰相のノッティング侯爵まで私と婚約者の間に立った。  

散々言われた後、第三王子シルヴェストル殿下が私の婚約者と手を繋いで去って行った。

は?

あれは私の婚約者なのに……


その後は、むしゃくしゃして、ヤスミンを夜の庭園に連れて行き、後ろから突っ込んだ。

「痛いわ!オルデン様!」

「(静かにしろ!気付かれたら晒し者だぞ)」

思いのまま腰を叩きつけて抉り、高まると放出した。時間はほとんどかからなかった。

吐精が終わり、ズルッと抜き去ると、身なりを整えた。

「帰るぞ」

「………」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】恨んではいませんけど、助ける義理もありませんので

白草まる
恋愛
ユーディトはヒュベルトゥスに負い目があるため、最低限の扱いを受けようとも文句が言えない。 婚約しているのに満たされない関係であり、幸せな未来が待っているとは思えない関係。 我慢を続けたユーディトだが、ある日、ヒュベルトゥスが他の女性と親密そうな場面に出くわしてしまい、しかもその場でヒュベルトゥスから婚約破棄されてしまう。 詳しい事情を知らない人たちにとってはユーディトの親に非がある婚約破棄のため、悪者扱いされるのはユーディトのほうだった。

(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?

青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。 エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・ エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・ ※異世界、ゆるふわ設定。

【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」 とある日のパーティーにて…… セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。 隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。 だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。 ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ…… 主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語── ※ご感想・ご意見につきましては、近況ボードをご覧いただければ幸いです。 《皆様のご愛読、誠に感謝致しますm(*_ _)m》

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

氷の貴婦人

恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。 呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。 感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。 毒の強めなお話で、大人向けテイストです。

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。

こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。 彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。 皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。 だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。 何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。 どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。 絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。 聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──…… ※在り来りなご都合主義設定です ※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です ※つまりは行き当たりばったり ※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください 4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!

「平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる」

ゆる
恋愛
平民との恋愛を選んだ王子、後悔するが遅すぎる 婚約者を平民との恋のために捨てた王子が見た、輝く未来。 それは、自分を裏切ったはずの侯爵令嬢の背中だった――。 グランシェル侯爵令嬢マイラは、次期国王の弟であるラウル王子の婚約者。 将来を約束された華やかな日々が待っている――はずだった。 しかしある日、ラウルは「愛する平民の女性」と結婚するため、婚約破棄を一方的に宣言する。 婚約破棄の衝撃、社交界での嘲笑、周囲からの冷たい視線……。 一時は心が折れそうになったマイラだが、父である侯爵や信頼できる仲間たちとともに、自らの人生を切り拓いていく決意をする。 一方、ラウルは平民女性リリアとの恋を選ぶものの、周囲からの反発や王家からの追放に直面。 「息苦しい」と捨てた婚約者が、王都で輝かしい成功を収めていく様子を知り、彼が抱えるのは後悔と挫折だった。

公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】

佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。 異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。 幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。 その事実を1番隣でいつも見ていた。 一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。 25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。 これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。 何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは… 完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。

処理中です...